日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
25 巻 , 3 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 吉川 武男
    2014 年 25 巻 3 号 p. 125
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
  • 澤 明
    2014 年 25 巻 3 号 p. 127-129
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    21 世紀にはいり,基礎的な脳科学と臨床精神医学の橋渡しが現実可能なものとして真剣に議論されるようになってきた。一方生物科学は,実証主義的とされてきた DSM 操作的診断基準に疑義を投げかけ,新しい枠組みで精神科障害を考えることの必要性も示唆している。すなわち生物科学は,環境因子と遺伝背景,身体的要素をバランスよく考え合わせ,疾患と健常を対比的にとらえるというよりは,それぞれの個性をもった人間が心理的,社会的要因と複雑に絡み合ったときに陥る困難な障害,それも可塑性を残したものとして,精神科障害を考える。こうした生物科学が精神医学に教える基本原理は基礎から臨床の橋渡しにとって重要である。生物科学,脳科学で人間がすべて理解できるなどと単純に考えず,生物科学を,包括的人間理解に基づくよりよき臨床実践のためのツールの 1 つとして,利点と限界を十分にわきまえたうえで適用することが期待される。
  • 西川 徹
    2014 年 25 巻 3 号 p. 131-134
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    本シンポジウムでは,4 名のケタミンによる抗うつ効果の研究者が,最近得た成果について講演した。初めに,世界で初めてうつ病患者の治療に低用量のケタミンを導入した,Yale大学精神科の Krystal 教授が単独で投与した低用量ケタミンの抗うつ作用について最新の知見を報告した。次に,札幌鈴木病院の岡本主任医長が国立精神・神経医療センターで行った,難治性うつ病への修正電気療法において,麻酔にケタミンを使用する方が通常の propofol を投与するより優れていることを示した。3 番目の,浜松ホトニクスの塚田 PET センター長は,サルにおける PET 脳画像解析を進め,低用量のケタミンが NMDA 型グルタミン酸受容体遮断薬としてだけでなく,セロトニン取り込み阻害薬としても作用することを明らかにした。最後に,ミシガン大学の Domino 教授が抗うつ効果と基礎研究がもたらした謎のいくつかを説明する,ケタミンの多様な神経薬理学的メカニズムを展望した。
  • 成本 迅
    2014 年 25 巻 3 号 p. 135-138
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    報酬予測と意思決定はさまざまな精神疾患で障害されていることが報告されている。最近では,計算論を用いた洗練された神経画像研究も報告されるようになってきている。本シンポジウムでは,神経計算論研究の第一人者である大阪大学の田中沙織准教授から報酬予測と意思決定に関する最新の計算論モデルについて紹介があり,ご自身のセロトニン制御による意思決定関連脳活動の変化に関する研究データが報告された。次に,オランダ,アムステルダム大学の Damiaan Denys 教授からは,強迫性障害に対する脳深部脳刺激療法の治療効果と神経画像研究について報告があった。最後に京都府立医科大学の酒井雄希助教から,セロトニン神経系の障害が想定されている強迫性障害,神経性大食症,抜毛症における報酬予測神経活動の異常に関するデータが報告された。計算論と神経画像研究の統合による精神疾患の意思決定神経基盤の理解に向けて一つの方向性が提示された。
  • 入谷 修司
    2014 年 25 巻 3 号 p. 139-143
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    精神神経機能の拠り所は脳という臓器(organ)であり,よって精神神経疾患の解明は,この臓器を詳細に観察しその組織構造を解明することおいて他はない。今回のシンポジウムでは,脳組織を研究対象にすることの重要性を再確認し,そしてそれを可能にするブレインバンク活動をどのように維持発展させるかということを共有することを目的とした。また日本のブレインバンクが十分に成立機能するための方向性を見いだす一助にすることを目指した。このシンポジウムでは 4 人の演者によって,1)歴史的な観点から精神医学のなかでの脳組織研究を概観し(入谷),2)脳研究を可能するブレインバンク活動の主に法倫理的問題について(Dr. Inge Huitinga),3)ブレインバンクを背景にした脳研究の重要性について(Dr. Rivka Ravid),4)日本のブレインバンク設立準備の現状と今後の展望について(富田先生・東北大学)の講演がもたれた。
  • 鬼塚 俊明, PJ Uhlhaas, 多田 真理子, Spencer KM, 平野 羊嗣, McCarley RW
    2014 年 25 巻 3 号 p. 145-148
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    統合失調症では,脳波や脳磁図で記録されるベータおよびガンマ帯域活動の異常が報告されており,その異常が認知障害や精神病症状と関連していると考えられている。また,神経振動障害の基盤には,脳波のリズムを生み出す GABA 介在ニューロンと MNDA 受容体の機能異常があることが示唆されている。本シンポジウムで,McCarley らはマウスでのオプトジェネティック研究・統合失調症および統合失調型パーソナリティ障害の MRS 研究について述べた。また,Uhlhaas らは脳磁図での統合失調症およびケタミンによる精神病の高γ帯域神経振動の所見を提示し,多田らは統合失調症の早期段階における神経振動に関する研究を紹介した。最後に鬼塚らは統合失調症と双極性障害の聴覚定常反応に関する所見を発表した。神経振動活動は,モデル動物や健常者,疾患群でも記録可能で,電気生理的に定量できるため,基礎研究と臨床研究をつなぐトランスレーショナル・パラダイムとして有望視される。
  • 武田 雅俊
    2014 年 25 巻 3 号 p. 149-151
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    イスラエルの Joseph Zohar 教授が企画したシンポジウム「精神疾患の治療法としての記憶操作」を担当した。残念ながら Joseph Zohar 教授は学会直前に身内の不幸があり参加できなかったが,エール大学の John Krystal 教授と共にシンポジウムを運営し実りある成果を得た。多くの精神疾患では,記憶の記銘・維持・再生ができないことだけでなく,「固定化された記憶」や「誤った記憶」などの症状が認められるが,このような記憶を中心とした認知機能を操作することは,精神疾患の新しい治療法を指し示すものである。不利益な記憶や認知機能を修正することは,現在では主として精神療法が主役を果たしているが,近い将来に向けてニューロフィードバックを含めた生物学的な手法が考えられている。本シンポジウムでは,薬物療法を中心にした記憶の操作方法とその治療的介入について議論された。
  • 乾 明夫, Sergueï O. Fetissov
    2014 年 25 巻 3 号 p. 152-156
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    脳腸ペプチドホルモンは,脳の機能や摂食をはじめとする行動調節に重要であることが知られている。したがって,脳腸ペプチドシグナリングの変化は,摂食障害やうつ病など,摂食や情動行動異常を示す精神神経疾患に関わると考えられている。このペプチドシグナリングの変化は,多因子によるものと思われるが,最近,ペプチドに対する自己抗体がその一因であることが明らかになった。ペプチド自己抗体の量や親和性の変化は,ペプチドシグナリングに多様な影響を及ぼす。ペプチド自己抗体の親和性の上昇は,ペプチドのトランスポートから中和する方向へと,その役割を変化させると報告されている。本シンポジウムでは,メラノコルチンやグレリン,神経ペプチド Y を含むいくつかの脳腸ペプチド自己抗体が,摂食障害や肥満・抑うつなどの病態に関与すること,また腸管壁での炎症や腸内細菌叢の変化が,ペプチド自己抗体の産生に関わる可能性などが議論された。
  • 松浦 雅人
    2014 年 25 巻 3 号 p. 157-161
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    てんかんと精神病との関係は古くから議論されてきたが,今日的な課題でもある。最近の知見では,てんかん発症と精神病性障害の発症には双方向性の関係があることが指摘されている。Hesdorffer 氏はてんかんの診断を受けた 3,773 例を検討し,てんかん診断前後の 6年間に精神病性障害を含む各種精神疾患の罹患率が高いことを報告した。大沼梯一氏は,てんかん例に精神病性障害が続発した 289 例と,精神病性障害にてんかんが続発した 23 例を検討し,両者が連続するスペクトルであることを示した。兼本浩祐氏は,抗てんかん薬が関与して発病した精神病性障害には,患者の脆弱性に基づく素因性精神病から,強力な抗てんかん作用による強制正常化現象に基づく交代性精神病まで,連続する病態が存在することを報告した。Trimble 氏は,てんかんに合併する精神病性障害と統合失調症の神経解剖学的および分子生物学的背景を検討し,両者には神経発達障害という共通点があることを指摘した。
  • 工藤 喬
    2014 年 25 巻 3 号 p. 162-165
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    比較的副作用の少ない SSRI あるいは SNRI はうつ病治療の第一選択藥として今日広く使用されているが,新たな有害作用などが問題となっている。そのうちの賦活症候群やラピッドサイクリング/混合病相などは,患者の bipolarity を慎重に見極め,安易な抗うつ薬使用を避けることが肝要である。また,所謂「新型うつ病」の中には非定型うつ病といった生物学的に規定された一群があり,モノアミン全体の調整が必要とされると考えられる。このような状況の中,新規抗うつ薬であるデュロキセチンは SNRI であり,前頭前野ではモノアミン全体の調節が可能である期待がある。また,新規抗うつ薬エスシタロプラムはセロトニントランスポーターにアロステリック作用を有しており,安全性に期待されている。
  • 住吉 太幹, 中込 和幸
    2014 年 25 巻 3 号 p. 166-168
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    統合失調症や気分障害における認知機能(各種の記憶,遂行機能,注意,語流暢性など)の障害に対する客観的指標(マーカー)の探索が試みられている。その候補としてのいくつかの脳機能画像の所見が本シンポジウムで論じられた。近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)(Dr. Kazuyuki Nakagome),機能的磁気共鳴画像(fMRI)(Drs. Steven G. Potkin and Bernardo DellʼOsso),陽電子放射断層撮影(PET)(Dr. Paolo Brambilla)など種々のモダリティーの粋が,各演者の素晴らしいプレゼンテーションにより包括された。
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