日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
29 巻 , 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 功刀 浩
    2018 年 29 巻 1 号 p. 1
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 吉田 知之
    2018 年 29 巻 1 号 p. 3-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
    中枢シナプスの分化誘導を担う細胞接着分子であるシナプスオーガナイザーをコードする遺伝子に生じるさまざまな変異が自閉スペクトラム症,知的障害,統合失調症などの神経発達障害の発病にかかわることが明らかになっている。このような変異を再現したヒト型遺伝子改変マウスを用いた研究は発病メカニズムの理解に貢献してきた。最近,いくつかのシナプスオーガナイザー複合体の構造が解明され,さまざまな組み合わせで形成される複合体の中から,特定の複合体の形成のみを阻害するような点変異のデザインが可能となった。このようなシナプスオーガナイザー遺伝子点変異を導入したマウスは神経発達障害発病機序研究の重要なツールになると考えられる。
  • 仲西 萌絵, 内匠 透
    2018 年 29 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
    自閉症は,社会的相互関係の障害や,特定のものへの強いこだわりなどの症状を呈する発達障害の一つである。発症には遺伝的要因が強く関与することが知られるが,なかでもシナプス関連分子では数多くの遺伝子変異が同定され,自閉症との関連が示唆されている。今回,我々は自閉症の兄弟より,シナプス接着分子NLGN1遺伝子上にアミノ酸置換を伴う一塩基置換を同定し,in vitroin vivoにおける機能解析を行った。in vitroの試験において,同定した変異は,NLGN1蛋白質の発現量減少やシナプス誘導能の欠失などを引き起こすことが明らかになった。また,他の患者で同定したNLGN1変異においても,同様のフェノタイプが確認された。さらに,同定した変異を保有するNlgn1-P89Lノックインマウスを作製したところ,本マウスは,脳内でNLGN1蛋白質量が減少しており,社会性の試験や空間記憶学習の試験において異常を呈することがわかった。以上の結果は,新規にNLGN1遺伝子の変異が自閉症と関連することを示唆する。
  • 遠山 美穂, 尾崎 紀夫
    2018 年 29 巻 1 号 p. 12-17
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,統合失調症や自閉スペクトラム症の発症要因として,頻度の低く効果量の大きいrare variantsへの注目が高まってきている。次世代シーケンサーを用いた全エクソーム解析や全ゲノムシーケンス解析が多数行われ,クロマチンリモデリング異常や接合後変異,免疫機能およびグリア細胞の機能不全,microRNAの制御不全などが両者に共通して病態に関与していることが示唆されてきた。一塩基変異の探索において,大量に検出された変異から機能的に意義がある変異へと絞り込む過程は不可欠であるが,その一方で重要な疾患関連変異を見逃すリスクをはらんでいる。これらのデータの知見を最大限に活かすには,同定した変異群の相乗的な効果を評価する解析方法の開発とともに,in vitroin vivoで生物学的に検証されたデータの蓄積および解析への活用が必須である。
  • 伊藤 教道, Bolati Wulaer, 永井 拓, 山田 清文
    2018 年 29 巻 1 号 p. 18-21
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
    認知機能障害はアルツハイマー型認知症などの神経変性疾患に加え,統合失調症などの精神疾患においても認められる。統合失調症の認知機能障害は陽性症状および陰性症状に並ぶ中核症状と位置付けられているが,その病態は不明であり,現在までに有効な治療薬は存在しない。精神疾患における認知機能障害の病態の理解や治療薬の開発において,動物モデルを用いた行動薬理試験は有効な手段であり,動物モデルに関しては表面妥当性,構成概念妥当性および予測妥当性の観点から広く議論されてきている。タッチパネル式視覚弁別試験はトランスレータブルな行動薬理学的評価系としてげっ歯類に導入され,薬理学的および遺伝学的疾患モデルマウスの評価が報告されている。本稿ではタッチパネル式視覚弁別試験を用いた精神疾患モデルマウスの認知機能評価について概説し,精神疾患における認知機能障害の分子基盤の解明や治療薬開発に向けたその有用性について考察する。
  • 勢力 薫, 笠井 淳司, 橋本 均
    2018 年 29 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
    脳は機能や神経投射の異なる多数の細胞で構成され,さらに脳領域や神経回路ごとに認知・精神活動や運動の調節などの異なる脳機能が担われている。脳の構造と機能の関係や精神疾患の症状にかかわる機能変調の機序を理解するためには,これまでの研究ではあまり対象にされなかった脳領域も含め,脳全体を対象として構造や機能の変化を細胞レベルで捉える研究が必要であると考えられる。そこで最近,実験動物の脳における細胞単位の構造や神経活動の変化を脳全体で観察する方法として,光学顕微鏡を用いた全脳イメージング技術の開発が世界各所で進められている。イメージング技術に併せて全脳領域の構造や活動変化を定量的に解析する技術の開発も進んでおり,これらをヒト精神疾患の一部を反映する精神疾患モデルマウスの機能評価に応用することで,ヒト脳では探索することが難しい細胞レベルの病態機構の特定につながると期待できる。
  • 谷口 将之, 篠原 亮太, 古屋敷 智之
    2018 年 29 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
    社会や環境から受けるストレスは抑うつや不安亢進などの情動変化を引き起し,うつ病などの精神疾患のリスク因子となる。心理的なストレスは内側前頭前皮質(mPFC)に投射するドパミン系を活性化するが,その役割は不明であった。近年,マウスのストレスモデルを用い,短期的なストレスはmPFCのドパミン応答とドパミンD1受容体活性化を介してストレス抵抗性を増強し,長期的なストレスはmPFCのドパミン応答を抑制して情動変化を促すことが示された。この変化に伴い,短期的なストレスはmPFC興奮性神経細胞の樹状突起を造成し,長期的なストレスでは樹状突起が萎縮する。ストレスによる樹状突起造成と樹状突起萎縮を担うメカニズムは異なり,mPFCのD1受容体は短期的なストレスによる樹状突起造成にのみ必須である。これらの知見は,ストレスがmPFC興奮性神経細胞の形態変化を介してストレス抵抗性を調節していることを示唆しており,この分子メカニズムが精神疾患などストレス性疾患の新規創薬標的となることが期待される。
  • 甲斐 竜太, 那波 宏之
    2018 年 29 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
    自閉スペクトラム症および統合失調症は,脳神経の発達異常を病態の基盤とした神経発達障害と考えられている。共に有病率は約1%であり,社会性やコミュニケーションの障害によって社会機能を損なってしまう疾患である。自閉スペクトラム症では音への過敏さ・鈍感さ,言語発達の遅延,統合失調症では錯聴,幻聴など,共に聴覚系の認知機能障害が一つの特徴となっている。ヒト染色体22q11,16p11異常はこれらの精神疾患を多発させるが,同時に患者とモデル動物の各々数十%以上に伝音,感音難聴が存在する。これらの聴覚認知機能障害は,疾患の原因や本態を意味するのか,それとも脳機能障害の結果を反映しているのであろうか。前頭葉皮質のトップダウン情報処理という観点から,自閉スペクトラム症および統合失調症の聴覚生理,聴覚認知機能障害を考察してみたい。
  • 疋田 貴俊
    2018 年 29 巻 1 号 p. 40-43
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
    大脳基底核は運動制御のみならず,意思決定などの高次脳機能においても重要な脳部位であり,薬物依存などの病態にも大きく関与している。大脳基底核神経回路は直接路または間接路に二分され,ドーパミンによる制御を受けているが,意思決定や薬物依存における大脳基底核神経回路機構は不明であった。世界中の研究室で線条体/側坐核に混在する直接路細胞と間接路細胞をそれぞれ特異的に神経活動遮断または活性化する手法が開発され,それぞれの神経回路を区別した機能解析がされている。本稿では,これらの手法によって明らかとなった,意思決定と薬物依存症における大脳基底核神経回路機構,特にドーパミンによる直接路と間接路のスイッチング機構を概説する。今後,薬物依存をはじめとした精神疾患における病態解析において神経回路からの視点が重要と考えられる。
  • 高田 篤
    2018 年 29 巻 1 号 p. 44-45
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/07/30
    ジャーナル オープンアクセス
feedback
Top