日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
36 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 住吉 太幹
    2025 年36 巻1 号 p. 1-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
  • 林 拓也, 麻生 俊彦, 田中 沙織, 花川 隆, 笠井 清登, 小池 進介
    2025 年36 巻1 号 p. 2-7
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    近年の脳MRI研究では,撮像技術の著しい進歩により高精度データの取得が可能になる一方で,機種間でのデータの質のばらつきや研究成果の再現性における課題が指摘されている。戦略的国際脳科学研究推進プログラム(国際脳)では,これらの課題に対応するため,国内18機関の多施設による高精度MRI研究を展開し,健常人および神経精神疾患患者7,000名以上の大規模データを収集した。本プログラムでは,MRI装置・機種を超えて調和した撮像プロトコール(HARP)を開発・導入し,特にトラベリングサブジェクトを活用した装置間差の評価や,高時空間分解能の構造MRI(空間解像度0.8mm),機能的MRI(2.4mm,10分間)や拡散MRI(1.7mm)を30分以内のプロトコールで実現した。さらに,HCP Pipelineを基盤とした標準的前処理解析手法の確立や,脳機能や微細構造の多様な解析アプローチの開発により,国際的にも高い水準の脳機能データベースを構築した。今後,本研究で得られた高精度データと解析手法は,脳の機能構築の解明や精神神経疾患の病態理解,さらには診断・予後予測への応用が期待される。
  • 舞草 伯秀, 小池 進介
    2025 年36 巻1 号 p. 8-15
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    精神疾患における脳構造変化は,多施設間で収集された大規模な脳磁気共鳴画像(MRI)データの解析によって徐々に解明されてきている。しかし,施設間の計測手法やサンプル特性の違いに起因するバイアスが,解析の信頼性と解釈の一貫性を損なう要因となっている。筆者らはこれまで,複数施設における同一被験者の撮像(traveling subject:TS)に基づくharmonizationと統計学的な手法であるComBat‐GAM法を統合する新たな手法を考案してきた。この方法は,計測バイアスを低減しつつ,負担のかかるTS計測なしでも条件付きでデータ統合できる可能性を示唆した。さらに,大規模健常データを用いた非線形回帰によるライフスパンの軌跡を推定することで,疾患に特有の変動をより際立たせ,従来のメタ解析を超える高感度な解析を可能にするとともに,新規データの追加など柔軟な解析を可能にした。今後,統合されたデータを基に,精神疾患ごとの脳構造変化の特徴が明らかになり,疾患の病態解明や診断精度の向上に貢献することが期待される。
  • 山下 宙人
    2025 年36 巻1 号 p. 16-21
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    安静時機能的結合(rsFC)法は,脳の機能的ネットワークを調べる方法として,基礎研究・臨床研究で活用されている。臨床研究では,診断・治療標的・サブタイピングを目的とした精神疾患バイオマーカ研究開発への応用が進められているが,実用的なバイオマーカの確立は,依然として課題である。本研究では,疾患要因,非疾患生体要因,計測要因がFCに及ぼす影響を包括的かつ定量的に評価するために,国際脳プロジェクト(BMB,2018〜2023年)で計測された大規模旅行被験者データとSRPBS(2012〜2018年)で計測された多疾患データセット,合計2,100ランからなる安静時実験の機能的磁気共鳴画像(fMRI)データを統合分析した。結果,非疾患要因である個人内試行間,個人間変動が2つの主要な要因であり,疾患変動は計測要因であるスキャナや計測プロトコル間変動と同程度の大きさであった。一方,少数ではあるが疾患変動が一番大きい結合も存在した。各要因について変動が大きい脳ネットワークを調べると,要因間でオーバラップはあるが異なるネットワークが影響を受けていることが観察された。本結果から,信頼性の高いバイオマーカ開発のためには,疾患変動が大きくかつほかの要因が小さい結合を選択すること,および個人内変動,個人間変動を減少させる実験および解析手法の開発が必要であることが示唆される。
  • 内田 航
    2025 年36 巻1 号 p. 22-26
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    拡散MRIは,水分子の拡散現象を利用して脳微細構造を評価する手法であり,種々の精神神経疾患における早期診断や予後予測マーカーとしての有用性が示唆されている。しかし,従来の白質微細構造モデルでは複雑な線維構造を正確に推定できないことが知られている。この問題を克服するために開発されたfibre orientation distribution(FOD)は,単一ボクセル内の複数線維方向を分離可能であり,より複雑な線維構造を表現できるモデルとして注目されている。本稿では,拡散MRIを用いた従来の微細構造推定の概要とその限界,FODの発展について概説する。また,FODに基づく白質構造評価手法であるfixel‐based analysisを紹介し,精神神経疾患における有用性について議論する。Brain/MINDS Beyondを始めとする大規模コホートへの拡散MRI定量技術の応用により,精神神経疾患の病態解明や新規バイオマーカー開発が加速されることを期待する。
  • 鈴木 真介
    2025 年36 巻1 号 p. 27-30
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    わが国においてもカジノ解禁を見据えた動きが進むなかで,ギャンブル依存(ギャンブル障害)は重要な社会問題として注目されている。本稿では,ギャンブル障害患者と健常者における意思決定プロセスの差異を,強化学習モデルを用いて検証する試みを紹介する。まず,「強化学習と意思決定に関する計算論的神経科学」の研究を概観する。次に,「悪い結果をもたらすにもかかわらずギャンブルをやめられない」というギャンブル障害の症状と密接にかかわる「行動の柔軟性の欠如」が,強化学習の枠組みでどのように表現できるかについて議論する。最後に,筆者らが実施した計算論的精神医学の研究を紹介し,強化学習を用いた行動データのモデリングと機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を組み合わせて,「ギャンブル障害患者における行動の柔軟性の欠如」の神経基盤を検証した結果について述べる。
  • 陳 冲, 中川 伸
    2025 年36 巻1 号 p. 31-39
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    うつ病は労働損失や生活習慣病,自殺リスクの増加といった深刻な影響を与え,次世代にまで影響が及ぶ可能性も指摘されていることから,早期予測と介入の重要性が高まっている。機械学習の進展に伴い,予測精度の向上が期待され,うつ病の鑑別,治療反応,再発リスク予測への応用が進んでいる。本稿では,うつ病の早期予測に関する機械学習研究の最新動向と課題をレビューする。これまで多くの研究が実施されているが,新規発症予測の精度は依然として低い。また,うつ病の発症メカニズムにかかわる情動や報酬系の異常を評価する指標と,従来の人口統計情報や心理社会要因を統合的に活用するアプローチが不足しており,少数の特徴量で高精度な予測を行うことが今後の課題となっている。さらに,AIチューニングも十分とはいえず,効率的なベイズ最適化の導入が求められる。加えて,うつ病の罹患率による不均衡データの問題があり,それに対応したPR曲線やF1スコアの活用・最適化が必要である。こうした課題を踏まえ,実用的な予測モデル構築の展望を考察する。
  • 塩飽 裕紀
    2025 年36 巻1 号 p. 40-46
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    遺伝学的研究や疫学的研究から,統合失調症の背景病態の一つに自己免疫が指摘されてきた。自己免疫病態を形成する重要な要素は自己抗体であるが,自己免疫性脳炎の患者から新しいシナプス自己抗体が発見され,それらの自己抗体が陽性の急性精神病である自己免疫性精神病の概念が提唱されてきた。これらを背景に,筆者らは統合失調症においても病態を形成する未知のシナプス自己抗体の存在を仮定して,その探索を行ってきた。その結果,シナプス接着分子であるNCAM1やNRXN1に対する新規の自己抗体を発見した。これらの自己抗体を患者から単離し,マウスの髄液中に投与すると,自己抗体はNCAM1やNRXN1のシナプス結合における分子間結合を阻害し,シナプス/スパインの減少につながり,認知機能の低下やプレパルス抑制の異常,社交性の低下を引き起こす。統合失調症患者に存在するこれらの自己抗体は除去すべき病態形成因子である可能性があり,これらの自己抗体は治療標的となる可能性がある。また,統合失調症患者において,そのような治療が可能な一群を区別するバイオマーカーとして役立つ可能性がある。
  • 大城 武史
    2025 年36 巻1 号 p. 47-49
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
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