児童青年精神医学とその近接領域
Online ISSN : 2424-1652
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57 巻 , 3 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
第56回日本児童青年精神医学会総会特集(Ⅰ)
テーマ:児童青年精神医学の基本に立ち返って
会長講演
特別講演
教育講演
先達に聞く
原著
  • 浦谷 光裕, 岩坂 英巳, 太田 豊作, 中西 葉子, 山室 和彦, 岸本 直子, 本庄 あらた, 高橋 弘幸, 根來 秀樹, 飯田 順三, ...
    2016 年 57 巻 3 号 p. 438-449
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    ソーシャルスキルトレーニング(social skills training: SST)は,集団参加行動,コミュニケーションや自己コントロールなどのスキルを伸ばし,成功体験を積み重ね自尊心を高めることで,日常生活場面での適応を伸ばしていく目的で行われる。注意欠如・多動症(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder: ADHD)をもつ児童に対するSSTは,一定の有効性が報告されているが,養育者などの行動評価によるものが主で,生物学的指標で評価されている報告はない。これまで,健常児と比べてADHD児は,事象関連電位(event-related potentials:ERP)において,P300の振幅の低下と潜時の延長,またmismatch negativity(MMN)の振幅の低下が報告されている。今回,われわれはADHDと診断された児童15名に対し,SSTを行い,その前後でP300とMMNを測定し,比較検討を行った。その結果,SST前と比較しSST後のMMNのC4における振幅が有意に増高しており,生物学的な側面からもADHD児に対するSSTの有効性が示された。

症例研究
  • 田宮 聡, 岡田 由香, 小寺澤 敬子
    2016 年 57 巻 3 号 p. 450-457
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    多言語環境が子どもの言語発達に及ぼす影響についての理解を深めるために,日英のバイリンガル環境で生まれ育ったA(女児)の言語発達について報告した。Aは生下時から日英両語に暴露されうる環境で生活していたが,両語の発達はともに遅れていた。その遅れがバイリンガル環境のためと説明されたこともあったが,保護者はAの発達を心配し,小学1年生で帰国して児童精神科を受診した。Aには言語発達遅滞以外に,社会性やイマジネーションの困難さとともに知的能力障害も見られ,自閉症スペクトラム障害と診断された。Aの日本語の発達については,語彙の乏しさ,単語の形態の誤り,文法の誤り,会話のかみ合わなさなどが観察された。これらの問題を,バイリンガル特有の言語特性である,転移,プロフィール効果,コードスイッチングとの関連で考察した。Aの日本語の遅れはバイリンガル環境によるものではなく,発達の問題であると考えられた。

  • 黒江 美穂子, 宇佐美 政英, 渡部 京太, 齊藤 万比古
    2016 年 57 巻 3 号 p. 458-470
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    10歳で神経性無食欲症を発症した女児の,長期入院治療を経験したのでここに報告する。女児の強固な拒食病理や完璧主義的思考により,経過は一進一退であったが,徐々に心身の健康と年齢相応の自立志向性を獲得していった。女児の症状形成過程および入院治療が長期化した背景にある精神病理を考察し,治療においては身体管理や生命の保護のみならず,治療スタッフの関わりによる基本的信頼感の構築,さらに同年代仲間集団との交流といった複合的な機能を担った児童思春期専門病棟の意義について述べた。また家族療法の導入により,治療者が多角的,重層的な視点から症例を捉えられたこと,両親が親としての支持機能を回復し,特に母親が活き活きと情緒的応答性を取り戻したことが,回復の鍵となった。

第56回日本児童青年精神医学会総会印象記
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