児童青年精神医学とその近接領域
Online ISSN : 2424-1652
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59 巻 , 1 号
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第57回日本児童青年精神医学会総会特集(Ⅲ)
テーマ:児童青年精神医学のこれから
シンポジウム7:貧困と不適切な養育が重なるとき~家族支援を考える
シンポジウム8:子ども・若者の自殺予防
シンポジウム9:児童精神科クリニックの現状と課題
子どもの人権と法に関する委員会パネルディスカッション:少年法
生涯教育に関する委員会:第6回臨床研究教育セミナー
薬物療法に関する検討委員会セミナー:児童青年期精神科における薬物療法─神経発達症を中心に─
福祉に関する委員会セミナー:子どもの貧困─子どもたちの生活困難にどう向き合うか
国際学会連絡・国際交流基金運営委員会セミナー:Current Issues on Child Adolescent Psychiatry in Asia(アジアの児童精神医学の動向)
原著
  • 関根 正, 森 千鶴
    2018 年 59 巻 1 号 p. 70-85
    発行日: 2018/02/01
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    青年期以降の自閉スペクトラム症を持つ人が治療を受けるきっかけは二次障害であり,根底には自分に対する意識が希薄という特徴がある。治療として,二次障害に対する薬物療法だけでは長期的な社会適応やQOLの改善は見込めず,心理社会的介入は必須である。しかし,看護師による確立された心理社会的介入は認められず,自閉スペクトラム症を持つ人の特徴を踏まえて実践できる介入プログラムが必要と考えた。そこで,リフレクション支援,自己説明支援,外化支援を介入技法とし,認知的介入と行動的介入から構造化した全10回の個人面接とする看護介入プログラムを作成し,有用性の検討を目的とした。評価は,認知行動的セルフモニタリング尺度,私的自意識尺度,SRS-Ⅱ(self-report),SRS-Ⅱ(others-report)を使用し,実施前後の比較をWilcoxon符号付順位検定,尺度の関連の検討を重回帰分析で行った。また,自分に対する意識の変化を質的帰納的に分析した。自閉スペクトラム症を持つ人16名に実施した結果,認知行動的セルフモニタリング尺度,私的自意識尺度は実施後の方が高く,SRS-Ⅱ(others-report)で実施後の方が低かった。また,行動モニタリングが私的自意識尺度に影響を与えていた。自分に対する認識の変化から,【自分の内面を意識できるようになった】,【対人関係を意識できるようになった】のカテゴリが生成された。これらの結果から,自分に対する意識が高まったと考えられ,看護介入プログラムは自閉スペクトラム症を持つ人に有用と考えられた。

  • 菅谷 智一, 森 千鶴
    2018 年 59 巻 1 号 p. 86-99
    発行日: 2018/02/01
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    居場所感は思春期の子どもにとっては重要な概念であり,児童・思春期精神科において居場所の支援の必要性が指摘されているものの未だ明らかにされていない。そこで,児童・思春期精神科外来を受診している中学生の対人関係と居場所感との関連や特徴を明らかにすることを目的とし,中学生188名を対象に対人関係と「家庭場面」,「友人場面」,「クラス場面」,「病院場面」ごとの居場所感に関する自記式質問紙調査を実施した。統計学的有意水準は5%とし,ノンパラメトリック検定を行った結果,居場所感得点は「家庭場面」において最も高く,「クラス場面」が最も低く,「病院場面」は「クラス場面」よりも高いことが認められた。対象者背景の分析では,「友人場面」と「クラス場面」において,男子より女子の居場所感の低さが認められ,「友人場面」,「クラス場面」,「病院場面」において,1年生よりも3年生の居場所感の低さが認められた。親とよく話をする者は「家庭場面」における居場所感が高く,友人とよく話をする者は「友人場面」や「クラス場面」において居場所感が高いことから,居場所感には友人関係や仲間関係などの他者との関係や学校適応が関連していると考えられ,児童・思春期精神科外来においても受容的で安心感が得られるような関わりや仲間関係に再会できるような取り組みが必要であると考えられた。

研究資料
  • 岩佐 光章, 馬場 敦
    2018 年 59 巻 1 号 p. 100-109
    発行日: 2018/02/01
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    精神科急性期閉鎖病棟に入院した女性患者の子育て経験の有無と実子に対する児童虐待について検討した。2003年1月から2004年12月までの2年間に入院した女性患者191名のうち,子どもを産んだことのある女性は82名(42.9%),現在母親として子どもの養育に関わっている女性は24名(12.6%)であった。母親による児童虐待例は82名中11名(13.4%),出産・育児に関連して精神症状を発症/増悪した母親は25名(30.5%)であった。また,子どもの数は平均1.9人,3人以上の子どもがいる母親は15名(18.3%)と,精神障害を抱えつつ多くの子どもを育てている状況であった。急性期閉鎖病棟に入院した母親に関して,生活の背景に児童虐待が存在していないか確かめることは重要であるが,それに加えて出産や育児といった女性にかかわりの深いライフイベントの中で自身の精神障害の発症/増悪と育児困難をきたしやすい「ライフイベント・ハイリスクマザー」として捉えることで,精神科医が彼らに対して長期的視野にたった継続的な精神科医療を実践し,その結果として児童虐待の予防につながると考えられる。

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