ヒト乳酸脱水素酵素 (LDH) A (M), B (H) サブユニットの遺伝子変異例について総括した。19例の症例解析により13種の変異 (Aサブユニット4種とBサブユニット9種) が同定された。4種のLDH欠損変異の原因となるミスセンス変異は, LDH分子の機能に重要な保存された配列に生じていた。一方, 2例の電気泳動度に変化を及ぼすミスセンス変異は, サブユニット分子表面に位置していた。これらの点変異の位置, 機能を, タンパクの立体構造に基づいたコンピュータモデルによって解析した。2種のナンセンス変異, 2種の重複変異, 2種の欠落変異は未熟終了をひきおこし, タンパクとして不完全になるため, 合成されても速やかに代謝, 分解されるために, 欠損として発現するものと考えられた。
複数例が同じ変異であったのは2種にすぎず, 他はみな個々に異なっていた。したがって, LDHの遺伝子変異は, かなり多様性のあるものと考えられた。
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