現在ビウレット法は, 血清総蛋白質の定量法として広く利用されている。今回われわれはビウレット法を二波長法に応用した際の問題点について検討を行った。ヒトアルブミンおよびヒトlgGのビウレット法における極大吸収波長は,それぞれ542および548nm付近であり, 両者の吸収スペクトルの差は600~620nmの範囲で最大となった。そのため, 副波長を600nmとする二波長法では, 肝硬変およびモノクローナル蛋白血症患者の血清総蛋白質が低値に測定された。またビリルビンはビウレット試薬により瞬時に酸化され, 630~950nm(極大吸収は850nm)に吸収を持つ物質に変換された。これに起因し, ビリルビン値が100mg/l以上の血清では, 650~750nmを副波長とする二波長法の血清総蛋白質値が545nmの-波長で測定する方法に比べ, 2~13g/l低値に測定された。したがって, ビウレット法を二波長法に応用する場合は, これらの限界をわきまえた上で使用すべきである。
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