ドーピングとは, 化学物質や医学的手段を使用して運動能力を人為的に高めること, および検査に影響を与える隠蔽行為の総称であり, スポーツ界はこのような行為をフェアープレイの精神と選手の健康保護の観点から禁止し, 違反者に厳しい罰則を課している。オリンピックや各種競技の世界選手権を頂点とする競技スポーツや国体などの国民スポーツでは, 競技時・トレーニング時に厳しいドーピング検査が実施されるが, 新たなドーピングを検出する検査手法が開発されると次々と新しいドーピング手法が考案されるので, その検査法は, 常に最新の動向に合わせて改良されている。また, ドーピング問題はしばしば訴訟問題に発展するため, 科学的証拠を提供する公認試験所には訴訟に耐えうるよう国際基準に基づく品質管理が求められており, 常に第三者監督機関による品質監視下に置かれている。
ここでは2007年時点における最新のドーピングの定義, 検査方法, およびスポーツ界におけるドーピングの動向とその問題点について解説する。
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