インフラメンテナンス実践フォーラム
Online ISSN : 2759-0240
最新号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
投稿レポート
  • 加藤 絵万, 佐々木 秀郎, 岩波 光保, 横田 弘
    2024 年 1 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    研究報告書・技術報告書 フリー

     2007年から現在までの我が国の港湾の施設の維持管理に関連する制度および指針類の整備状況について取りまとめ,維持管理指針類の運用に係る課題を示した.施設の性能を保持するための維持管理の標準的な考え方を示し,維持管理計画を定める際の参考とすることができる指針類を硬直的に運用するがために,人的あるいは財政的要因により実施できない維持管理計画が策定されるようなケースが存在する.維持管理の方法は,対象施設を取り巻く自然状況,利用状況,構造特性等によって変わるものであり,一律の指針類の通りに実施することは不可能である.維持管理の基本理念を理解し,個々の施設の各種条件を考慮した維持管理が着実に実行されることが,効率的かつ効果的な維持管理の実現に繋がるものと期待される.

  • 石川 諒人, 神谷 俊晴
    2024 年 1 巻 1 号 p. 5-9
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    研究報告書・技術報告書 フリー

     列車動揺の管理は,列車の乗り心地に直結し鉄道の安定輸送に影響を与える.一方で,軌道変位など他の軌道状態が比較的良好であっても動揺が生じ,その結果,繰り返し補修が必要な箇所となり管理に苦慮をしている現状もある.本レポートでは,曲線内の踏切前後における繰り返し列車動揺発生箇所についてその原因の究明およびその対策の実施について一例を報告する.

  • 大島 竜二, 向井 鷹則, 栗林 健一, 今井 勉
    2024 年 1 巻 1 号 p. 10-13
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    研究報告書・技術報告書 フリー

     東日本旅客鉄道株式会社(以下,JR東日本とする)では2031年度より東北新幹線(東京~盛岡間),および上越新幹線(大宮~新潟間)の土木構造物を対象に大規模改修を計画している.本プロジェクトは10年間の工期で延長約780kmを対象としており,その工事は非常に大規模かつ広域にわたるため,プロジェクト全体の計画・進捗管理は極めて重要である.そのため,JR東日本では新幹線大規模改修における工事計画策定やプロジェクト管理業務に対する生産性向上のため,GISを活用した情報共通基盤である「MIM;Maintenace Informaition Modeling プラットフォーム」(以下,MIMとする)の開発を進めてきた.

     本稿では,開発したMIMプロトタイプの概要,および,MIMプラットフォーム内で用いる3Dモデルの詳細度について検討した内容を報告する.

  • 今井 努, 浅野 和香奈, 江口 忠宏, 狩屋 雅之, 西本 忠章, 宮川 洋一, 山本 正孝
    2024 年 1 巻 1 号 p. 14-19
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    研究報告書・技術報告書 フリー

     インフラ施設の老朽化対策に対する一助として,市民協働の重要性も広く認識されるようになった.一方で,インフラに対する市民のユーザー意識が乏しく,インフラメンテナンスが社会のニーズとなっておらず,維持管理を推進する上での課題となっている.本レポートは,主に地方自治体職員の有志で立ち上げた“地方インフラ・メンテナンスネットワーク”がこれらの課題を解決するために取組む支援活動「オンラインサロン」を紹介し,「市民協働」「土木広報」に関して同種の悩みを有する関係者が同志・実践者として第一歩を踏み出すために共有した全国の事例を整理するものである.

  • 神林 慶哉, 山崎 花菜穂, 福井 航, 平澤 周一, 榎本 泰典
    2024 年 1 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    研究報告書・技術報告書 フリー

     東日本旅客鉄道の保線部門では,毎年多くのレールを交換しており,大宮保線技術センターでは2022年度に約4,200RMのレールを交換している.現在,レール交換計画を策定する際には,現場で交換延長の測定やレール溶接位置の確認,交換時における支障物の確認などを行っており,調査に多くの人件費と労力を費やしている.そこで,線路設備モニタリング装置の効率的活用の観点から,同装置から得られる画像データを活用したレール交換計画の策定手法の検討を行った.本稿では,研究から得られた知見や展望について紹介する.

  • 塚田 耕平, 尾崎 剛, 井上 淳
    2024 年 1 巻 1 号 p. 26-29
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    研究報告書・技術報告書 フリー

     日本国内における生産年齢人口の減少に伴い,鉄道業界の人材不足が深刻な課題となっている.JR東日本の新幹線では、軌道作業の大部分を占めるレール交換の内,傷レール交換は,突発的な作業となることが多いため作業調整や費用面で大きな負担となっている.そこで,シェリング傷の詳細な調査分析を行い,新たなレール傷の管理基準を検討した.調査分析の結果,水平裂長さと横裂深さに相関が低いこと,現行の閾値に対して実際の横裂深さと傷進展状況には余裕があることが確認できた.このことから水平裂傷とシェリング傷を分けて管理する必要性と,新たな管理目標値および処置方法の提案を見出すことができた.

  • 濱田 吉貞, 金 哲佑, 北川 慎治
    2024 年 1 巻 1 号 p. 30-33
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    研究報告書・技術報告書 フリー

     大雨等による水位上昇やそれに伴う基礎の洗掘によって,基礎の安定性が著しく低下する恐れがある河川橋りょうでは,桁下水位を指標に運転規制を行い列車の安全を確保している.その後水位が低下して規制解除する際は,衝撃振動試験で橋脚の固有振動数を測定し橋りょうの安全を確認するが,この確認に時間を要すると運転再開の遅れにつながる.そこで,橋脚基礎の健全性をリアルタイムで観測する方法として,橋脚に設置した加速度計で微小な振動を常時測定し,振動波形から連続的に固有振動数を同定するモニタリングの試行に取り組んだ.本稿はその概要を紹介する.

  • 荒巻 智, 河井 勇樹, 藤井 大三
    2024 年 1 巻 1 号 p. 34-36
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    研究報告書・技術報告書 フリー

     コンクリート構造物を健全な状態で維持管理していくためには,検査において変状を確実に捕捉するとともに,変状に対する措置を適時適切に実施することが重要である.とりわけ,変状が生じた構造物の補修は使用する材料や機器等の特性を十分に理解して施工しなければ,補修品質を向上することが難しい.そこで,西日本旅客鉄道株式会社は,2001年6月に「コンクリート補修施工管理技士」制度を創設し,補修工事に従事する施工会社の技術者を対象に資格認定を行い,施工現場に常駐させるとともに,資格取得者に対して継続教育を実施している.本稿では,制度を創設するに至った経緯と制度の概要等を紹介する.

  • 山口 真, 坂田 鷹起, 木村 元哉
    2024 年 1 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    研究報告書・技術報告書 フリー

     近年,塗料メーカーから塗膜層数を従来の塗装系より少なくできる省工程塗料が提案されており,塗替え塗装時の省力化やコスト削減効果が期待されている.しかし,省工程塗料を用いた塗装系の耐久性や施工性については不明な点が多く,鋼橋の塗替え塗装に適用される事例は少ない.そこで,本検討では促進サイクル試験や施工性確認試験により,省工程塗料を用いた塗装系の性能評価を試みた.促進サイクル試験の結果,省工程塗料は一定の耐久性を有していることがわかった.施工性確認試験では,塗料の粘度が高くピンホール等の欠陥形成を助長する可能性があること,現場への適用は可能としつつも,従来の塗装系より施工能率が低下することなどがわかった.また,省工程塗料による塗替え塗装の施工日数を試算すると,施工能率の低下や作業工程が非効率になることで大きなメリットが見出せない結果となった.

  • 勝野 篤紀
    2024 年 1 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    研究報告書・技術報告書 フリー

     上諏訪保線技術センター管内では,安全,安定輸送の確保とともに,快適な乗り心地の確保を目指して線路メンテナンスを行う上で,「繰り返し修繕箇所の解消」が課題となっている.その中でも,中央本線の第4甲州街道踏切においては,踏切及び終点方曲線の高低変位による列車動揺が度々発生しており,また,分岐器に近接していることから,SW-MTTによる「分岐器+一般区間」の施工による解消を検討した.しかし,当該踏切は連接軌道であり,つき固めによる踏切内の軌道整備は不可能である.そこで,踏切の老朽取替に合わせた有道床化を実施することにより,今後の保守を容易にするとともに,つき固めによる列車動揺の解消を図った.

  • 伊東 謙悟, 尾崎 剛, 藤森 啓之
    2024 年 1 巻 1 号 p. 48-49
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    研究報告書・技術報告書 フリー

     JR東日本は,開業40余年を迎え新幹線の重要度が今後益々高まることから「継続的な人財育成」「特有技術の維持向上」「迅速な意思決定」「未知のリスク対応と管理」という4つの目的を達成するため,2019年4月に新幹線統括本部を設置した.新幹線設備部では「変革できる保線技術者」を目指した人財育成の取組として,弊社OffJTの特徴的な取組み内容である技術育成シート,毎日保線クイズ,新幹線保線ナレッジチャレンジを紹介する.

  • 後藤 朋子, 後藤 理沙, 後藤 浩, 後藤 幹尚, 藤森 竣平, 岩波 光保, 千々和 伸浩, 津野 和宏
    2024 年 1 巻 1 号 p. 50-57
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    研究報告書・技術報告書 フリー

     大田区では,橋のメンテナンスを通じた区民協働による橋の新たな価値創造に向けて,シェリー・アーンスタインによる「住民参加の階段」を踏まえ,橋に関する情報発信に取り組んでいる.令和4年度には,大田区全域に向けた広報紙による情報発信およびアンケート調査を実施した.その結果からは,橋に対する一定程度の関心が伺えたものの,実際に橋のメンテナンスに参加することに対する抵抗感も垣間見えた.今後,橋のメンテナンスの区民協働につなげるためには,まずは“あって当たり前”の存在となっている橋そのものに意識を向けてもらうこと,年齢や世代に見合った情報発信を行い,発信のみの一方通行ではなく相互理解につなげる対話をすることが必要と考え,①橋の存在そのもの,②橋を支える技術や人に対する意識付けおよび③年齢に応じた意識付け活動を実践した.本稿では,より日常生活に密着した身近な存在としての橋に意識を向けてもらうために実践した取り組みについて報告する.

  • 浅野 和香奈, 今井 努, 蒲生 涼太, 児玉 玲子, 高林 和生, 細淵 裕史, 丸子 祐二, 水本 規代
    2024 年 1 巻 1 号 p. 58-63
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/27
    研究報告書・技術報告書 フリー

     地方インフラ・メンテナンスネットワーク,通称LIMN(ライモン)は,土木学会インフラメンテナンス総合委員会アクティビティ部会において,地方の市町村におけるメンテナンスの好例を共有し,展開できるような取り組みを推進することを目的に,2021年4月に発足した.このうち,チーム「モン」では,協働活動の支援や啓発を通じて,インフラメンテナンスの現状を市民に伝え,土木以外のサポーターを増やすことを目的に活動している.2022年5月より,市民協働に興味のある方を対象として月に1回,第4土曜日に朝活オンラインサロンを行っている.今回は,協働活動への思いや,協働活動を始めるにはどのようなことが障害となっているのか,実践し継続するにはどのようなことが大切であるかについてのサロンのメンバーによるレポートを元に分析を行った.

feedback
Top