土木学会論文集
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1996 巻, 535 号
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  • 水上 純一, 小林 正樹, 土田 孝
    1996 年 1996 巻 535 号 p. 1-12
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    軟弱地盤に対してバーチカルドレーン工法を用いて地盤改良を行う場合, 適切な沈下管理を行うためには粘性土の水平方向圧密係数を求める必要がある. しかし, 通常室内試験から得られる水平方向圧密係数を設計に用いると圧密速度を過大に評価してしまう例が多い. 本研究では圧密容器を開発して, 水平方向圧密特性を調べた. また, ドレーン打設時に生ずる粘性土の乱れの影響を調べるために人工的に撹乱を与えた試料を用いて実験を行った. さらに, 各々の結果に対して有限要素法を用いた数値解析を行って検討を加えている.
  • 大東 憲二, 植下 協, 市川 悦男
    1996 年 1996 巻 535 号 p. 13-21
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, まず, 堀割式の道路や鉄道などの堀割構造物の位置と地下水の流動方向に着目し, どのような場合に不圧地下水の流動阻害が生じるかについて考察した. そして, 不圧地下水の流動阻害が最も大きくなる地下水の流動方向と堀割構造物が直交する場合について, 帯水層の残存率と地下水流動阻害の関係を求めるための理論解を誘導した. また, 地下水の流動方向と堀割構造物が直交しない場合について, 三次元有限要素法を用いた数値解析により帯水層の残存率と地下水流動阻害の関係を求めた. 次に, 地下水流動状態保全の対策工の一つである地下水連通パイプを取り上げ, その設計方法について考察し, 地下水連通パイプの通水能力や設置間隔と地下水流動阻害の軽減効果の関係を明らかにした.
  • 吉田 秀典, 堀井 秀之
    1996 年 1996 巻 535 号 p. 23-41
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    大規模地下空洞の掘削を安全でかつ経済的なものとし, より合理的な支保設計法を確立するためには, 岩盤挙動を正しく捉えた解析手法の確立が不可欠である. 不連続性岩盤における空洞掘削においては, 地山応力解放により生ずるジョイントのせん断すべり・開口が岩盤挙動の支配的メカニズムであると考えられる. 本研究では, こうしたジョイントの挙動を考慮に入れ, マイクロメカニクスに基づく岩盤の連続体モデルを構築し, 任意の岩盤内空洞掘削の解析手法を開発した. そして, 解析例として東京電力塩原発電所の地下発電所空洞掘削の問題を採り上げ, 解析結果と計測結果を比較することにより, 開発した解析手法の適用性を示した.
  • 林 光俊, 斉藤 正幸, 小泉 淳
    1996 年 1996 巻 535 号 p. 43-56
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    東京ガスでは, ガス導管シールドトンネルの工費削減をはかるため, ほぞセグメントと称する新形式セグメントの採用を決定した. このセグメントは, 従来下水道トンネル等で使用されてきた継手金具を用いた標準セグメントと異なり, リング継手に凹凸のほぞを設けることによって継手金具を省略しているのが特徴である. 本セグメントの採用にあたって, 実物大セグメントを用いた各種実証実験および数値解析を行い構造物としての安全性を照査するとともに, 本セグメントの力学特性を評価できる構造解析モデルを提案し合理的な設計方法をとりまとめた.
  • 亀井 健史, 榎本 雅夫
    1996 年 1996 巻 535 号 p. 57-64
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    締固めた粘土 (カオリン) の水浸に伴う膨潤特性を膨潤変形量および膨潤圧の両面から定量的に把握するため, 異なる初期飽和度と初期乾燥密度を有する供試体に対して, 水浸膨潤試験を行った. その結果, 水浸に伴う膨潤量比と膨潤圧および飽和度の経時変化を計測することにより, 吸水前の初期飽和度, 初期乾燥密度がカオリンの膨潤特性 (膨潤量比・膨潤圧) に及ぼす影響を検討し, シルト質土の試験結果との比較を行っている.
  • 亀井 健史, 榎本 雅夫
    1996 年 1996 巻 535 号 p. 65-72
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    締固めた土の水浸に伴うコラプス沈下量は, 土の種類と締固め時の含水比・乾燥密度および水浸時の上載圧等に大きな影響を受ける. 本研究では, 特に土の粒度が水浸に伴うコラプス沈下量に及ぼす影響に着目して, 粘土 (カオリン) を対象にコラプス沈下試験を実施し, シルト質土 (DLクレー) の試験結果との比較検討を行った. その結果, 土の粒度および上記諸要因が締固めた土の吸水に伴うコラプス沈下量に与える影響を定量的な観点から明らかにしている. さらに, 粒度の異なる試料を対象に締固め度に着目したコラプス沈下量の定量的な評価基準に基づき, 締固め施工時における施工管理への室内試験結果の適用性を示唆している.
  • 風間 基樹, 豊田 浩史, 東畑 郁生, 柳沢 栄司
    1996 年 1996 巻 535 号 p. 73-82
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地盤の地震応答解析に用いられる土の動的変形特性のひずみ依存性は, 今まで室内要素試験によって求められてきた. しかしながら, 要素試験の供試体に作用する繰り返しせん断応力が土自身の慣性力によらないこと, 排水条件や載荷速度が実際と合致しないことから, 地震時の応力-ひずみ関係を忠実に表していない可能性がある. 本研究では, まず振動実験から直接的に応力-ひずみ関係を求める方法について検討した. また, 同手法を遠心力場における1次元のせん断振動実験に適用し, 地盤に発生した応力-ひずみ関係を求め, せん断剛性や減衰定数の拘束圧依存性, ひずみレベル増加に伴う非線形性などを検討し, 既往の室内実験結果と比較した.
  • 軽部 大蔵, 加藤 正司, 浜田 耕一, 本田 道識
    1996 年 1996 巻 535 号 p. 83-92
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    不飽和細粒土の力学的挙動を水分特性曲線を拠り所として考察した. すなわち, 間隙水を吸着水, メニスカス水, バルク水から成るとし, これらの量と力学的作用を求める方法を提案した. 提案法によっていくつかの理論値を算定して, 実測力学挙動と比較した. 本論文は不飽和細粒土の三軸圧縮特性を論じる三部作の第1論文であり, 順次, 圧密挙動, 軸圧縮挙動を詳論する予定である. 研究の対象とした試験は飽和供試体を三軸試験機に設置して, 先ずサクションを与えて不飽和化し, 次に等方圧密し, 最後に排水軸圧縮するものである. 供試体はサクション過程を種々に設定して, 同一のサクションを持ちながら, 相異なる飽和度を示すようにした.
  • 定常データに基付く場合
    本城 勇介, 福井 宏行, 小川 正二
    1996 年 1996 巻 535 号 p. 93-102
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    赤池のベーズ情報量規準 (ABIC) に基付く拡張ベーズ法により, 新潟県六日町周辺の広域地下水モデルを逆解析により構築した. この解析では, 観測データは地下水が定常状態にある場合のものを用いた. この種の逆解析で問題となる不適切性を, 事前情報を導入し, 観測データと事前情報の最適な相対的な重み付けをABICにより的確に行うことができることを示した. また, 逆解析のもう一つの重要な問題である, 最適モデルの選択あるいはモデル・パラメーター数の限定の問題も, ABICを用いることにより同時に解決された. これらの点を大規模な実データに基づいて示した点が, 本研究の最も大きな成果である.
  • 清水 賀之, 西田 昭二
    1996 年 1996 巻 535 号 p. 103-114
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    シールド掘進機の土中での運動を簡易に推定できる1手法を提案することを目的に, 著者らが以前作成した運動モデル中の係数のうち角度変化運動をあらわす係数の簡易推定式を誘導し, さらに模型実験データならびに実機データを解析することにより, その妥当性を評価した.
  • 板橋 一雄, 佐藤 健, 森 富雄, 岩田 賢
    1996 年 1996 巻 535 号 p. 115-125
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    軟岩の乾湿繰り返し試験の条件は試験の統一化や簡便さの観点から決められたものであるため, それが自然の乾燥・湿潤条件をどの程度反映しているかは明確にはされていない. その原因には軟岩の暴露試験がさほど実施されていないこと, 室内試験と暴露試験の結果を比較する手法が提案されていないことが挙げられる. そこで, 数種類の軟岩の室内スレーキング試験と暴露試験を実施するとともに, 文献調査によって得た結果を解析した. その結果, 粒度分布の代表値 (50%径, 2mm通過率) の移動量に基づく方法や粒度分布を負の二項分布で近似し, その移動法則に基づく方法を提案した. さらに, 5種類の軟岩の室内スレーキングサイクル数と暴露日数との関係を明らかにした.
  • 文 松霖, 横山 幸満, 今泉 繁良
    1996 年 1996 巻 535 号 p. 127-134
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    拡底杭の引抜き抵抗に及ぼす拡底部の幾何形状の影響を, 密な砂地盤で模型拡底杭の引抜き実験の結果をもとに論じたものである. 拡底杭の引き抜き抵抗は初め軸部と地盤との摩擦抵抗が発揮され, これが完全に発揮されるにつれて, 拡底部の抵抗が生じ始めるという抵抗機構が考察された. 拡底杭の全引抜き抵抗は拡底角によって変化し, 拡底部の抵抗は拡底角が大きくなるにしたがって徐々に増加するが, 軸部の摩擦抵抗は拡底角が50°までは, 角度の増大に伴い抵抗力は減少し, それ以上の拡底角に対して抵抗力はほぼ一定値となることが分かった. 拡底部の存在によって, 拡底部上部付近の軸部の摩擦力度は減少すること, 及び極限時に杭側に作用する水平土圧係数は受動土圧係数Kpに近づくことなどを述べている.
  • 高橋 悟, 今泉 繁良, 横山 幸満, 坪井 正行
    1996 年 1996 巻 535 号 p. 135-143
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ジオシンセティックスの引抜き試験から弾性論に基づいて摩擦係数μ′と変形係数E・tを評価する方法を提案した. 特に, 抜け出しが完了しない場合, 土中にあるジオシンセティックス上の2点について, 先端引抜き力とその点での変位量との関係を計測すれば, μ′とE・tが評価できることを理論的に示した. そして, EPDMジオメンブレンと2種類の不織布を粒状土内に長さ100cmで敷設し, 引抜き試験を実施してこれらの値を評価した. その結果, 提案した方法で評価されたμ′とE・tの値は, 要素試験である直接せん断試験や引張り試験からの値とほぼ一致し, 先端での「引抜き量―引抜き力」関係をうまくシミュレートし得ることがわかった.
  • 足立 雅樹, 安原 一哉, 福島 正明
    1996 年 1996 巻 535 号 p. 145-154
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 非塑性シルト質土に対する非排水繰返し三軸試験によって, その液状化特性, 及びその後の体積変化特性を調べた. シルト質土は相対密度で規定できないため新たな方法として締固めによって密度を規定する供試体作成法を提案し, この規定法を基にしてシルトの液状化特性およびその後の体積変化特性に及ぼす, 1)密度, 2)供試体作成法の違いによって形成される堆積構造, 及び3)過圧密の影響について検討した. その結果, 動的強度を静的強度で正規化した新たな動的応力比を提案し, これを用いることにより過圧密比によらないユニークな液状化強度曲線が得られること, また, 液状化後の体積ひずみは過圧密比によらず繰返し載荷時の最大せん断ひずみと一義的な関係にあることが明らかになった.
  • 上原 精治, 三上 博, 山口 隆史, 村田 秀一, 兵動 正幸
    1996 年 1996 巻 535 号 p. 155-164
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究で取り上げた液状化対策工法は, 地震時に砂地盤中に打設したドレーン内の水位を一時的に低下させて過剰間隙水圧の消散を促進するものであり, 地盤内に下向きの浸透圧を発生させることにより有効応力を増加させ, 液状化強度も併せて増加させることを目指している.
    本報では, ゆる詰めの砂地盤に設置したドレーンの排水条件を変えた土槽実験について示した. 円筒土槽を用いた単独井の実験では, ドレーンの排水条件を種々変えることにより, 水位低下を伴うドレーンの液状化対策工法の有効性を確認した. また, 矩形土槽を用いた二次元モデルの実験ではドレーンの設置間隔の影響を確認した. さらに, 両実験から下向き浸透圧による二次液状化の抑止効果を検証した.
  • 建山 和由, 深川 良一, 辻井 剛
    1996 年 1996 巻 535 号 p. 165-173
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    深層地盤改良工法の一種である粉体噴射攪拌工法 (DJM工法) の自動化に関する研究の一環として, 施工中の機械負荷から地盤特性を評価する手法について, 理論的考察, ならびに現場実験による検討を行った. 理論的検討では, 地盤を回転掘削する際に攪拌翼に作用する掘削抵抗の発生機構を考察し, この結果をもとに攪拌翼に作用するトルクから地盤のN値を推定する手法の開発を試みた. また現場実験では, 実施工において改良機に作用する攪拌トルクを計測し, これと地盤のN値との関係を検討した. これらの結果をもとに, 施工中に地盤のN値をリアルタイムで評価する手法の可能性と地盤評価にもとづく自動化施工について考察を行った.
  • 日下部 治, Andrew N Schofield, Sukh B Gurung, 大野 司郎
    1996 年 1996 巻 535 号 p. 175-184
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    応力の相似性を確保しつつ地盤工学における境界値問題を実験的に解決するために遠心装置が利用される. 教育用の実験装置を目指し直径0.8mのドラム型装置 (Mini-drum 遠心装置) を試作し適用性を検討した結果, Mini-drum 遠心装置が3軸試験装置に比せられるほど簡便でかつ多様性のある模型実験装置であるとの認識をもつに至った. 本報告では, 基本的な設計コンセプトと2つの利用事例, 1) 砂中のベル型基礎の引き抜き抵抗問題, 2) 粘土地盤の下向き浸透流による土壌イオンの長期容脱過程の追跡問題, を紹介し本装置を用いた実験結果の信頼性, 効率性と環境地盤工学の諸問題への潜在的利用範囲を示した.
  • 桜井 春輔, 川嶋 幾夫, 土田 晃, 小池 信司, 篠田 知堅, 芥川 真一
    1996 年 1996 巻 535 号 p. 185-190
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    トンネルの施工においては, 一般に観察・計測に基づく情報化施工が適用される. このとき, 計測は変位の測定が主体となる. 著者の一人は, 測定された変位から直接求まるひずみを用いて, トンネルの安定性を評価する方法 (直接ひずみ評価法), および, そのときのひずみに対する許容値として限界ひずみを提案した. さらに, この方法を実際の現場に適用し良い結果を得た. しかし, トンネルが不均質な岩盤中に掘削される場合には, 不均質な岩盤の限界ひずみをいかに的確に評価し, 管理基準値をどう設定するかが問題となる. そこで, 本ノートでは, 不均質な材料の限界ひずみを実験により検討し, その特性を明らかにする.
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