土木学会論文集
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1996 巻, 541 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
  • Nedeljko Stojnic, 東原 紘道
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 1-7
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1982年に Ubilci (ユーゴスラビア) で発生した地滑りは人為的にアンダーカットの施された粘土質の傾斜地の内部にレンズ状の砂層が存在したことにより誘発された. この地滑りの発生過程とそれに伴う大規模な物質移動を拡張された個別要素法 (EDEM) を用いて解析した. その際乾季と雨季とで変化する粘土の粘着力が地滑りの規模にどのように反映するかを調べるために2種類の粘着力値を仮定した.
    数値計算の結果は Ubilci で生じた地滑りの実際の地滑り面や地滑り後の傾斜地の形状をよく再現できることが確かめられた.
  • 田中 邦煕, 山田 清臣
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 9-20
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本文では, 石積み擁壁の安定性を評価する方法として, 石積み部分の形状・寸法, 接触条件等を考慮して, 平均的な粘着力, せん断抵抗角に置き替え, 円弧すべり法により, 背面土を含む石垣斜面全体の安全率を求める方法を提案した. この方法により, 種々の条件の石垣斜面に対する安全率を実験計画法に基づいて求め, 統計的手法を用いてデータ処理した. その結果, 石垣の安定に影響する要因とその影響度合, 石垣が施工されることにより元来の土砂斜面の安全率が増加し, 石垣効果が得られる条件, 石垣の安全率を算出する直交多項式等が求められた. 今回得られた成果は, 老朽化が著しい城壁等の安定性を評価・判定し, 修復工事の要否を客観的に判断する老朽度判定法の確立に寄与していけると考えられる.
  • 名倉 克博, 樋口 雄一, 村田 秀一, 兵動 正幸
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 21-34
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    粘性土地盤における泥水掘削溝の安定機構を把握するため, 新しく遠心場における泥水掘削実験法を開発し, 二次元掘削溝および三次元掘削溝の安定機構を調べた. 二次元掘削溝では, 溝底付近の溝壁の膨みから生じたせん断面が直線的に地表面に向って進行する土楔破壊が生じ, 三次元掘削溝では, まず長辺中央の溝壁底部の膨みからせん断面が生じ, それが円弧状に進行し, 次に地表面亀裂が楕円形状に溝短辺方向へ進行して破壊することが確認された. 実験結果から破壊形状を仮定し, また地表面変位の急変点から求めた掘削限界深度を与えて三次元安定計算を行ったところ, 泥水掘削実験結果を比較的良く表現できた.
  • 植木 博, 斉藤 亮, 五瀬 伸吾
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 35-46
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 杭の大規模地震時における水平方向支持力評価式を求めるために, 群杭の水平方向荷重分担に関する新たな考え方を誘導し, 室内模型実験を行ってこの考え方の妥当性を検証したものである.
    新たに導入する考え方では, 隣接杭の変形の影響を表現する相互作用係数αijの他, 隣接杭間地盤の塑性域の重複を反映した剛性低下係数αgiを考慮することとした. 模型実験では, 相互作用係数と剛性低下係数に関する実験式を誘導し, 次いで, この式を用いて実験結果のシミュレーション解析を行い式の妥当性を検証した.
    今回の模型実験結果によると, 群杭の大変形時における荷重分担および変位量は, 相互作用係数と剛性低下係数を考慮することによって評価が可能であることが判った.
  • 萩原 敏行, 北澤 浩二, 日下部 治
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 47-55
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 2種類の自然堆積砂礫土について, 拘束圧最大8MPaまでの圧密排水三軸圧縮試験を実施し, せん断中にボンド構造が形成された結果を述べている. 試験試料は, いずれも火山性堆積物からなる粒子破砕性の強い材料である. 高拘束圧下でのせん断試験後供試体について一軸圧縮試験, ブラジリアン試験, 水浸試験を実施した. その結果, 圧力レベルの増大とともにせん断中に発達する粘着力の大きさが増加し, また高圧での粘着力の発達には, 粒子破砕が大きく影響していることが明らかにされた.
  • 横田 公忠, 八木 則男, 矢田部 龍一, 砂子 一
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 57-65
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    蛇紋岩の風化した粘性土に起因した切土のり面の崩壊機構について検討した. 対象とした切土のり面は変状発生後通常の対策工を施工したにも関わらず再度滑動し, 追加の対策を余儀なくされた. すべり面の粘性土のせん断特性を調べた結果, 残留状態で著しくせん断抵抗角が低下する性質を有していた. これから1次の対策工施工時に大変位を許し, すべり面の土のせん断抵抗角を低下させたことが, 2次の対策工を行わざるをえなくなった理由であることが分かった. 安定解析によりこの検討結果の妥当性を確認した.
  • 竹下 祐二, 深見 秀樹, 河野 伊一郎
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 67-74
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地下水の挙動を定量的に把握するためには, 透水係数や貯留係数値といった地盤の浸透特性値を精度良く求めることが重要であり, その原位置透水試験法として揚水試験がよく実施されている. 本研究では, 揚水試験データの新しい解析方法として, 階層型ニューラルネットワークに着目し, 揚水試験によって計測される水位低下データの形状をニューラルネットワークによって学習・評価させる方法を提案する. 本方法の適用性は被圧異方性帯水層において不完全貫入揚水井を用いた揚水試験モデルおよび実際に現場で計測された揚水試験データを用いて検討を行った.
  • 関根 一郎, 西牧 均, 石垣 和明, 原 敏昭, 斎藤 章
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 75-86
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    比抵抗探査結果から岩盤の評価を行うためには, 岩盤の比抵抗と間隙水の比抵抗や飽和度との関係, 岩種ごとの比抵抗と力学的性質との関係, 風化や破砕による比抵抗と力学的性質との関係等について把握する必要がある. 本研究では, 花崗岩, 閃緑岩を加熱によって組織を緩め亀裂性岩盤モデルとした供試体と種々の岩石を成形した供試体を用いて室内実験を行い, 比抵抗測定結果について検討するとともに, 比抵抗と力学的性質との関係について考察した.
  • 藤井 利侑, 萩原 敏行, 日下部 治
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 87-98
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    乾燥砂中に設けた深い円形立坑周辺地盤の主働破壊のメカニズムを調べることを目的に, 遠心模型実験と軸対称の弾塑性有限要素解析を実施し, 結果の比較・検討を行った. その結果, 主働時の円形立坑周辺地盤の破壊領域は, 立坑壁面より立坑直径の約1/2までの狭い範囲に発達し, 二次元の破壊モードとは大きく異なることを, また遠心実験および解析結果で得られた破壊のメカニズムは, 地盤の応力レベルにより異なることを示した. また, 立坑に作用する主働土圧は上部では深さによらずほぼ一定, 下部では直線的に増加するが, これは立坑上部では鉛直下方向, 下部では立坑端へ向かうすべり形状の特徴と対応することを示した.
  • 朱 偉, 山村 和也, 石田 哲朗
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 99-108
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    降雨による土構造物の崩壊は, 浸透と安定との複合問題であるため, 盛土への浸透現象を解明し安定性に及ぼす影響を明らかにする必要がある. 降雨浸透現象に影響する要素としては, 土質材料の種類や締固め度, 降雨強度や降雨パターンならびに構造物の形状などが考えられる. また, 同じ降雨が作用しても土構造物の条件によっては, 間隙水圧や飽和度の変化に差異が生じ, 安定性に及ぼす影響も異なる. ここでは, 大型降雨浸透実験をモデルに, 各種の条件で浸透流解析を行い, 降雨浸透の土構造物の安定性へ及ぼす影響を明らかにした.
  • 中井 照夫, 河野 伊知郎, 橋本 正
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 109-118
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    掘削時の地盤の応力や変形について解析・実験の両面から検討した. まず, 基本的な擁壁の主働および受働土圧問題の2次元モデル試験と対応する有限要素解析を行い, 実験で観測された壁体の変形様式の違いによる土圧分布, 地表面沈下のプロファイルの差異等が解析でよくシミュレイトできることを示した. また, 山留め掘削を単純化させた壁体の変形モードを与えるモデル試験と解析でも, 両者の間によい対応関係があることを示した. 最後に掘削過程および切りばり剛性を考慮した山留め掘削解析を行い, 切りばり剛性の差が壁面土圧, 地表面沈下などにおよぼす影響についても言及した.
  • 三浦 哲彦, 赤峰 剛徳, 下山 正一
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 119-131
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    完新統に属する有明粘土層は, 従来は単一海成層と見なされてきたが, 新たな組織的調査によって, 海成層の有明粘土層と非海成層の蓮池層に区分するのが妥当であることが示された. 有明粘土層からの塩分溶脱について検討し, この現象は比較的最近に生じたものであることを本層中に含まれる貝化石の分析によって示した. 有明粘土の高鋭敏性を解明することを目的として, 堆積環境に起因する土中塩分濃度の変化に注目し, その地盤特性に及ぼす影響について考察した.
  • 山本 哲朗, 山内 智也, 堀淵 幸司
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 133-146
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    砂~シルト地盤に対する液状化対策工としてのセメント安定処理の効果を土の粒度特性から調べるために, 砂からシルトの範疇にある6種類の土試料を対象にして三軸セル室で1日間圧密した処理土について液状化実験を実施した. その結果, 安定処理の効果を表す指標として定義した液状化抵抗増加比RLは土の有効径D10ともっとも良い相関にあって, 両者の関係はセメント添加率に強く依存することが明らかにされた.
  • 三田地 利之, 工藤 豊
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 147-157
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    粘性土地盤の非排水強度を決定する方法の一つとして, 我が国ではいわゆる“乱さない”試料による一軸圧縮試験が広く行われている. しかし, 試料採取から室内試験に至るまでの過程で試料が受ける応力解放や乱れの影響で, 試験結果にしばしば大きなばらつきを生じる. 本研究は, 原位置の応力状態から一軸圧縮試験に至る過程を三軸試験機内でシミュレートした実験を行い, 一軸圧縮試験と並行して供試体に働くサクションを測定することによって粘性土試料の乱れの程度を評価可能であることを示すとともに, 一軸圧縮試験結果を用いた原位置非排水強度の推定方法を提案したものである.
  • 森 満雄, 阿部 道雄, 森 麟
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 159-171
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 礫まじり土の締固め密度と, 締固めエネルギーゼロ, 含水比ゼロの条件で求めた, ゆる詰め密度との関連性に着目し, 礫まじり土の締固め密度の推定法を検討したものである. 物理的性質の異なる2種の礫と砂質土 (山砂) を混合し, 大型突固め試験を行った結果, せん頭粒度のゆる詰め密度, 突固め密度, 最大乾燥密度の間に比例関係が得られた. これらの関係より, ゆる詰め密度から最大乾燥密度・最適含水比の推定が可能であることを提案した. さらに, 粒度分布からみた適用限界, 実際に得られるであろう最大の締固め密度の限界についても検討した.
  • 陳 渠, 石田 毅, 水田 義明
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 173-187
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    水圧破砕における破砕流体の存在が岩盤の破砕機構に与える影響を検討するため, 破砕流体として水を用いる通常の水圧破砕と, 破砕流体を用いずウレタン・スリーブを介して破砕孔に載荷する実験を行った. 供試体には花崗岩を用い, 破砕に伴うAEを測定した. その結果, AEのメカニズム解からみるかぎり, 個々の微小破壊はいずれの場合もせん断型の破壊が卓越することがわかった. しかしウレタン・スリーブの場合には, 亀裂が破砕孔周辺で徐々に逐次的に進展するのに対し, 水圧破砕の場合には, 亀裂が極めて短時間に急速に進展する傾向が顕著であった. これは発生した亀裂に破砕流体が浸入して亀裂先端を押し広げるためと思われ, この点に破砕流体の存在の影響が大きく表れていることが明らかとなった.
  • 神谷 浩二, 宇野 尚雄, 松島 健之
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 189-198
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    土の間隙径分布は, 土の間隙構造特性を表現するための重要な要因の一つである. 本報告では, 土の間隙径分布を計測する手段として, 土の間隙を毛細管の集合体とみなす毛細管モデルの仮定に基づいた「空気圧入法」を提案する. その方法は, 飽和土試料への空気圧入によりその圧入圧力と空気透過量の関係から間隙径分布を求めるものである. そして, 試作した装置により, 砂質土や作成した毛細管模型の間隙径分布をその方法により計測した結果, 水銀圧入法による計測結果と対比しても良好な間隙径分布が得られることを示す. また, 砂質土の空気圧入法による間隙径分布と粒度分布の関係について考察するとともに, 平均間隙径は平均粒径の2~3割程度であること等についても述べる.
  • 佐藤 研一, 安原 一哉, 樋口 徹, 吉田 信夫
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 199-213
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 中空ねじりせん断試験装置を用いて波浪による繰返し荷重を受ける防波堤下の応力状態を着目した密な砂の非排水単調せん断挙動と繰返しせん断挙動におよぼす主応力方向角の変化による初期構造異方性の影響を調べた. その結果, 非排水繰返しせん断挙動に及ぼす主応力方向角の影響は最初の載荷方向に特徴づけられることが明らかになった. また, 繰返しせん断中に生じる主応力方向の反転の影響は, 有効応力の低下に顕著に現われた. さらに, 非排水せん断試験により得られる変相点の軸差応力によって液状化強度を整理することにより, 主応力方向角が液状化強度に及ぼす影響を明らかにすることできた.
  • 文 松霖, 横山 幸満, 今泉 繁良
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 215-222
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    拡底杭の水平抵抗機構とそれに及ぼす幾何形状の影響を, 密な砂地盤で模型拡底杭の水平載荷実験により実験的に考察したものである. 拡底部の存在によって, 拡底杭の水平抵抗は非拡底杭のそれより8-24%を増加した. その水平抵抗は拡底角によって変化する. 同じ荷重の下では, 拡底杭の水平変位と杭体モーメントは非拡底杭のそれより小さい. 極限時に杭体の不動点は地表面下2/3の点に接近した. 杭水平地盤反力度は杭の水平変位の0.75乗, 深さの0.5乗に比例することを述べている.
  • 日下部 伸, 森尾 敏, 兵動 正幸, 村田 秀一
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 223-232
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では先ず, 既存の基準化された比較的簡単な二つの試験法 (ふるい分析と最小密度試験) を組合わせた簡便な方法で砂粒子表面形状を定量的に評価する方法を提案した. 次いで, 粒子表面のぎざの程度が異なる典型的な3種類の砂を対象に, 単調載荷とひずみ振幅漸増方式の繰返し非排水ねじり単純せん断実験を実施し, 変相線と破壊線の相違を調べた. その結果, 砂粒子表面形状の相違は, 変相線の差異として現れ, これが液状化に対するねばりに関係すること, 及び提案した正規化最大間隙比による定量化法は, ぎざの程度により異なる繰返し載荷時の変相線の応力比や変相時に動員される摩擦角を評価する指標として有用であることが明らかになった.
  • 今泉 繁良, 坪井 正行, 高橋 悟, 横山 幸満
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 233-240
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    遮水シートとして利用が増大しているHDPEジオメンブレンが温度変化を受けたとき, その引張り強度と弾性係数の変化を定量的に考察した. まず, 温度を0~60℃に変化させて室内引張り試験を実施し, 両特性を評価した. さらに, 土中温度が0~48℃と異なる条件下において引抜き試験を行い, 弾性論に基づきデータを解析して弾性係数を評価した. 主な結論として, (1) 引張り速度が遅いとき温度tと引張り強度σt, 1%割線弾性係数Es1との間にσt=23.52-0.27t (MPa), Es1=801.64・10-0.0125t(MPa) の関係がある, (2) 引抜き試験から逆算された弾性係数も温度変化の影響を受け, その関係は室内試験のEs1の関係に一致する, (3) Co-energy は温度の上昇とともに低下し, 許容伸び量は低温時よりも高温時のほうが小さいことが得られた.
  • 小嶋 啓介, 本多 秀夫, 荒井 克彦, 一二 幸蔵
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 241-246
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 現位置での重錘落下振動実験で観測される地表面の鉛直加速度の時刻歴から, 地盤のせん断波速度ならびに減衰定数を推定する逆解析手法を開発し, いくつかの地盤に適用した結果を検討する. 逆解析においては, 地盤を線形弾性体と仮定し, 振動実験による地表面の鉛直観測加速度と, 動的有限要素法を用いて求められた計算加速度を, 周波数領域において比較し, 両者の誤差二乗和を最小とするような動的物性定数を探索する. この逆解析手法を実地盤に適用した結果, 比較的単純な地層構成の地盤に対しては, その振動特性を精度良く再現できる物性定数が推定できること, 逆解析法に基づく剛性係数および減衰係数は振動三軸試験で求まる微小ひずみレベルの値に近いことなどが確かめられた.
  • 金 永民, 桜井 春輔
    1996 年 1996 巻 541 号 p. 247-250
    発行日: 1996/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    岩石のような地盤材料では, 破壊の前兆現象としてのひずみの局所化の問題が注目されてきた. ひずみの局所化現象を連続力学に基づく局所形の構成式を用いて有限要素シミュレーションする場合, 解析結果がメッシュサイズに大きく依存する事がある. そこで, 本ノートでは相当応力に相当粘塑性ひずみの勾配を導入することによって, 従来の粘塑性体に対応した速度依存性構成式を非局所形に一般化し, それを用いて岩石の一軸圧縮の数値シミュレーションを行い, ひずみの勾配が変形の局所化に及ぼす影響やメッシュサイズ依存性除去, 及び変形の局所化現象への試料寸法依存性について検討を行った.
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