土木学会論文集
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1996 巻, 551 号
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  • カマキリの卵ノウ高さによる方法
    酒井 與喜夫, 湯沢 昭
    1996 年 1996 巻 551 号 p. 1-10
    発行日: 1996/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    一般住宅の冬季の降雪対策や, 道路行政における除雪・排雪計画を策定する上で, 降雪・積雪予測は不可欠である. しかし, 気象予測の観点から見た場合, 1週間以内の短期や中期予測に関しては実用的な状況にあるが, 1カ月以上の長期予測はその予測の地域的な広がりや予測精度の観点から見た場合, 必ずしも満足のいく結果とはなっていない. 雪国には, 古来より気象にまつわる諺が多くある. その中の1つに「カマキリが高い/低い位置に産卵すると大雪/少雪」と言うのがある. 本研究は, カマキリの卵ノウ高さからその年の最大積雪深を予測しようとするものであり, その予測結果についての時系列的な検証と, 実際の予測方法の提案を行うものである.
  • 池田 駿介, 舘 健一郎, 山田 知裕
    1996 年 1996 巻 551 号 p. 11-20
    発行日: 1996/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    アシ原において現地観測を行い, アシの振動と風速変動, 運動量フラックス, 気温変動等を測定した. その結果, 穂波は大きな運動量輸送 (スウィープ) と同時に発生しており, その成因が流れの変曲点不安定に起因する組織渦の通過であることが確認された. また, アシの振動のスペクトルは穂波の周波数にピークを持ち, 高周波域では急速に減衰する形状を有していた. 実植生の形状を考慮した植生の振動方程式を用いて不規則応答解析を行った結果, アシの振動のスペクトルとスペクトル解析から求められるスペクトルが関係付けられた.
  • 神田 佳一, 村本 嘉雄, 藤田 裕一郎
    1996 年 1996 巻 551 号 p. 21-36
    発行日: 1996/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    堰・床止め工などの河道横断構造物の下流に設置される護床工を対象とし, その安全で合理的な設計に関する指針を得ることを目的として, 護床工周辺部の流れと流砂特性および洗掘機構に関する基礎実験と水理解析を行った. 実験では, その主要現象について流量条件や護床工の様式および河床砂の粒径をパラメータとして, それらと護床工下流部の洗掘特性との関係を系統的に明らかにするとともに, 洗掘の進行過程における洗掘穴内の流速分布, 河床せん断応力の分布を詳細に計測した. その検討結果から, 護床工下流部の局所洗掘に対する安定条件を導くとともに, その軽減法を提案した.
  • 渡辺 勝利, 大成 博文, 佐賀 孝徳, 斎藤 隆
    1996 年 1996 巻 551 号 p. 37-46
    発行日: 1996/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    流れの可視化法を用いて, 低レイノルズ数下で直線から蛇行水路へと変化する流れの組織構造を観察し, そこに形成された大規模な二次流れの構造を考察した. 水路の蛇曲に伴って, 横方向の平均流速分布と組織構造の横方向への傾斜現象が発生する. この現象は, 横方向の大規模なせん断構造を発生させ, それが, 蛇曲に伴う二次流れの形成に重要な役割を果たすことを明らかにした.
  • 藤田 光一, John A. Moody, 宇多 高明, 藤井 政人
    1996 年 1996 巻 551 号 p. 47-62
    発行日: 1996/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    川幅が強制的に拡大された後, 河床の一部にほぼ一定幅でウォッシュロードが堆積したことにより, 高水敷が形成され川幅が縮小した3つの河道区間を対象として, 川幅縮小の過程, 形成された高水敷・営力・供給土砂の特性を, 地形変化計算モデルの検証に耐える詳細さで, 定量的に明らかにした. 土砂生産域から直接供給され, 流量とほぼ一意の関係を持つウォッシュロードの供給特性を考慮して, その堆積横断分布を計算するモデルを作成した. これと, 河道内の植生繁茂を支配する水理環境から, 高水敷形成前の河床での部分的植生繁茂が, 川幅縮小の第一の原因であることを明らかにし, 形成初期の高水敷横断形状を再現する計算結果を得た. この計算モデルを用いて, 川幅縮小に果たすウォッシュロードと植生の役割, その工学的応用法を示した.
  • 池田 駿介, 空閑 健, 陳 飛勇
    1996 年 1996 巻 551 号 p. 63-73
    発行日: 1996/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    両岸部に植生帯を有する開水路流れについて, 非植生帯幅を変化させて実験を行い, 水面変動, Reynolds 応力などを詳細に測定した. 植生帯境界では変曲点不安定により水平組織渦が発生し, 非植生帯幅がある値になると2列の渦列の相互干渉が顕著となり, 千鳥状に配置された渦列が形成された. それとともに植生境界における Reynolds 応力もピーク値を取ることが観測された. 流れはSDS & 2DHモデルを用いて数値計算が行われ, 水平渦の波長, 渦の通過に伴う水面変動, Reynolds 応力などを良好に再現できることが明らかとなった.
  • 真田 武, 岩田 好一朗, 水谷 法美
    1996 年 1996 巻 551 号 p. 75-87
    発行日: 1996/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 単円筒構造物による非線形回折波の速度ポテンシャルの2次近似解を解析解の形で誘導し, その解の構造を明らかにするとともに, 円筒周りの水位変動の特性について考究した. 入射波高が大きくなると, 波の非線形性が無視できなくなり, 円筒周辺の水位変動や波峰高を正確に予測するためには, 非線形理論を使う必要のあることを再確認した. また, 本研究で誘導した解は Green 関数を使わない解析解であるため, 解の構造が明確である.
  • 小松 利光, 岡田 知也, 松永 信博, 櫨田 操, 藤田 和夫
    1996 年 1996 巻 551 号 p. 89-99
    発行日: 1996/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    波浪エネルギーの有効利用の一つとして, 3次元構造物を用いて波を効率的に越波させることにより獲得された水位差を利用して, 一方向流れを発生させる技術が提案されている. 3次元構造物は一様法面勾配をもつ越波堤部とV字状集波堤部から構成されている. 波浪エネルギーから効率良く位置エネルギーを獲得するには, 入射波に対して構造物の最適寸法を決定することが重要となる. 入射波が規則波の場合と不規則波の場合に対して構造物の形状と寸法を広範囲に変える実験を行い, 越波量と獲得される位置エネルギーを定量的に評価した. さらに設計波に対し所要越波量を得るための構造物の設計指針を提案した.
  • 佐藤 愼司, 田中 茂信, 野口 賢二, 加藤 史訓
    1996 年 1996 巻 551 号 p. 101-111
    発行日: 1996/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    うねりが卓越する砕波帯内外で水位・水粒子速度・浮遊砂濃度を観測した. 入射波のエネルギーは周期8s程度の変動成分に集中していたが, 30s以上の周期で変動する成分も観測され, この長周期成分は海浜斜面上で部分重複波を形成していた. 砕波帯外では砂漣が存在し, 浮遊砂の発生は入射波の波群構造に対応していた. 砕波帯内では砂漣はみられず, 底質の巻き上げは砕波に伴う乱れに支配されており, 高濃度の浮遊砂の発生を伴う強い乱れは, 直前の波の谷の水位が低く, 沖向き流速が強い場合に生じる傾向があった. 浮遊砂フラックスは定常成分によるものが大きく, 長周期成分によるフラックスは定常成分の10~20%であった. 浮遊砂濃度や砕波帯内の流れの長周期変動は, 入射波の波群構造と密接な相関があることが確認された.
  • 浅野 敏之, Abbas Yeganeh Bakhtiary
    1996 年 1996 巻 551 号 p. 113-122
    発行日: 1996/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    暴浪下の海底砂の移動形態であるシートフロー漂砂を実験室内で再現するために, これまで様々な人工粒子が用いられてきた. 本研究は人工粒子を用いた場合の実現象との力学的等価性を既往の広範な実験結果の解析から検討したものである. まず 底質粒子の諸特性がどのようにシートフロー漂砂の力学機構に関与するかを議論した. 次いで濃度分布・底質移動速度分布・漂砂量フラックス・シートフロー層厚に関して, 底質粒子の特性による結果の相違について明らかにし, その相違の生じる力学機構について考察を行った.
  • 尾崎 則篤, 山本 和夫
    1996 年 1996 巻 551 号 p. 123-134
    発行日: 1996/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    中空糸膜による活性汚泥の外圧型クロスフロー濾過において膜糸配置及びクロスフロー流速が汚泥堆積過程に及ぼす影響を調べた. ある一定値以上のクロスフロー流速では汚泥が堆積しなくなることを示した. また膜糸配置が異なると汚泥堆積過程が異なることを示した. しかし膜間流速及び乱れ強度は膜糸配置によらず一定であつた. そこで汚泥粒子の膜面への衝突現象のシミュレーションに基づいて, 膜糸配置による汚泥堆積開始の違いを説明しうるモデルを提案した.
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