土木学会論文集
Online ISSN : 1882-7187
Print ISSN : 0289-7806
ISSN-L : 0289-7806
1997 巻, 570 号
選択された号の論文の30件中1~30を表示しています
  • 竹宮 宏和, アダム マヘール
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 1-10
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震 (1995. 1. 17) は内陸型の活断層によるもので, 気象庁震度階VIIの震災の帯を神戸に生じさせた. 本論文では, 神戸の地質・地形の特徴, つまり, 六甲山麓の断層による基盤岩の急激な落差, 海岸に向かって深さの漸増する沖積層に注目して, この現象をコンピュータらシミュレーションから究明した. その結果, 前者の影響は短周期成分 (0.5~1秒) で, 後者は長周期成分 (1~2秒) で顕著であること, そしてそれぞれによる地震波の増幅場所から震災の帯の形成にはより前者が関係したと結論している.
  • 西岡 勉, Lalliana Mualchin
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 11-19
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    最大規模地震の概念に基づく地震の再現期間を考慮しない工学用地震危険度マップを作成した. 日本列島内陸の重大な地震を引き起こす可能性のある起震断層を起震源として用いている. 5つの地震動距離減衰に関する既存の研究から本研究に適切な距離減衰式を選択した. 個々の起震断層の最大規模地震マグニチュードと距離減衰式から基盤上での水平加速度の中央値を算出し, そのコンター図 (0.7g, 0.5g, 0.3g, 0.1g) を示している.
  • 銭 俊, 長谷部 宣男
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 21-31
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    斜め縁クラックを有する半平面弾性体の上にある円形剛体パンチを考える. パンチには鉛直, 水平の力が作用し, パンチは傾斜しなく, パンチと半平面の間にはクーロン摩擦力が存在する. 半平面内の任意位置に集中力あるいは点転位が作用する問題を考え, その基本解を導く. 角点を有するパンチの両端は半平面と完全に接触する. したがつて接触面の長さは既知である. 解析解をうるために, まず第一に縁クラックを持つ半平面を単位円内に写像する有理写像関数を用いて, Riemann-Hilbert の問題を誘導し, 縁クラックを有する半平面内に集中力や点転位のある場合の基本解を誘導する. この半平面の基本解を用い, パンチの問題のR-H方程式を解いて, 求める問題の基本解が得られる. 応力拡大係数, パンチが傾かないための荷重の作用位置 (パンチ上の合モーメントの値) などが示される. 得られた基本解は境界要素法の基本解としても用いられるであろう.
  • 大橋 治一, 三木 千壽, 小野 秀一
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 33-45
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 箱桁を有する吊橋ハンガーのピン定着部における応力伝達および繰返し荷重を受ける場合の疲労に関して, 実験および解析を行った結果を報告するものである. 実物大の試験体を用いて静的載荷試験を行い, 常時・暴風時におけるピン部の接触圧分布およびピンの応力を求めた. 引き続き実施した繰返し載荷試験により, ピン孔に施工したシール溶接からきれつが発生することが明らかとなったため, これらに対する対策を提案した. 最後にFEM解析を行い実験結果と対比し, 接触圧の分布および各溶接部の応力分担の状況を解明した.
  • 大久保 禎二, 谷脇 一弘
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 47-61
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 静荷重および地震時の荷重による各部材の応力度および細長比・節点変位に関する制約条件を考慮した場合のトラス構造物の最適な構造形状, 各部材の断面寸法および使用材種を決定する最適耐震設計法に関して研究を行ったものである. 最適化の方法として, 変数分離形式の凸近似化, 双対法, 離散型感度解析, Suboptimization の手法を複合した最適設計法を用いている. 設計例として193部材を有する送電鉄塔トラスの建設用地費をも含めた最小建設費設計問題に適用した例を示し, 本研究の方法により, 静荷重のみならず地震荷重をも受けるトラス構造物の最適な形状, 各部材の寸法および使用材種を正確かつ能率的に決定できることを明らかにするとともに, 建設用地の単価の違いにより, 構造物の最適な形状, 各部材の寸法および使用材種が大きく影響を受けることをも明らかにしている.
  • 柳河 勇, 星谷 勝
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 63-71
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では測定点のサンプル場が与えられたという条件付確率場の理論を, 構造物の極限解析を目的に開発された数値解析手法である剛体ばねモデルで展開した, 条件付確率離散化極限解析を定式化する. その特徴はより的確な信頼性解析を比較的容易に行える点にある. これによって推定される破壊確率は事前情報の枠内にとどまるものではなく, 事前情報と観測情報のバランスをとることで, 真の破壊確率に近づいていくものである. そしてここでは, 盛土構造物をモデルとした事例解析を行っている.
  • 中村 孝明, 岡田 和明, 本間 直樹
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 73-82
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    統計的評価手法の一つである最尤法を使い, 地震動の大きさに応じた斜面崩壊確率を推定できる Fragility Curve (F. C.) を求めた. 地形図から読み取れる簡便且つ機械的な方法を使い, 斜面の崩壊危険度を3段階に分類し, 危険度ごと個別にF. C. を評価した. 統計情報については, 伊豆に発生した2つの地震 (伊豆大島近海地震; 1978, 伊豆半島沖地震; 1974) による崩壊記録を使った. そして, 評価手法の適用性や危険度分類の際の要因の寄与度について検討を行った.
  • 星谷 勝, 野田 茂, 稲田 裕
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 83-95
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 非正規分布に従う確率場に関して条件付確率場を推定する理論を誘導し, 未観測点におけるサンプル実現値の条件付シミュレーション手法を提案するものである. その理論は, 条件付正規確率場の推定手法と非正規確率変数の正規確率変数への変換とを組み合わせ条件付確率密度関数を定義することを基本としている. この手法により, 従来正規確率場や一部の非正規確率場に限られていた条件付確率場の推定が, 一般的な非正規確率場に対して可能となる. 本論文では提案する手法について, 数値解析及び理論解析によりその精度を検証する. さらに, 最適推定値に関する理論的な検討を行う. また確率場の特性が条件付特性値に及ぼす影響をシミュレーションにより検討し, 提案する手法の有効性を示す.
  • 慶 甲秀, 森 猛, 三木 千寿, 橘 剛志
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 97-106
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    最近の実大試験体の疲労試験結果は高強度鋼の溶接継手部の疲労強度は軟鋼のそれよりも低い, いわゆる逆の強度依存性の可能性を示している. ここでは, 高強度鋼溶接継手部の疲労強度の向上を目指し, その方法として, 従来よりその効果が確認されている溶接止端のグラインダー仕上げとTIG処理に加えて溶接材料の軟質化を取り上げている. それらの実構造物への適用性を検討するために, 首溶接, 垂直スティフナ, ウェブガセット, フランジガセット継手を含む大型の桁試験体の疲労試験を行っている.
  • 高橋 昭一, 橘 吉宏, 志村 勉, 森下 弘行, 伊藤 博章, 三木 千壽
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 107-118
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高速道路橋としてわが国初の本格的なPC床版2主桁橋「ホロナイ川橋」では, 種々の解析的および実験的検討から, ブレーシングシステムとして横桁のみの構造を選定している. 横桁については, 主桁への取付構造の構造詳細が疲労強度に大きく影響することや, 床版施工を考慮して横桁を配置していることなどから, 疲労に加え架設時の安全性を確保できる横桁取付構造が必要であった. 横桁取付構造の検討にあたり, 内外の調査から, 三角リブプレートを用いた接合, コネクションプレートによる接合, スプリット・ティー接合, エンドプレート接合が候補案として考えられた. 本文は, これらの候補案から実橋に採用する構造を決定するために実施した, 実物大部分模型による載荷試験の結果および考察について報告する.
  • 三木 千寿, 鈴木 学, 大橋 治一, 穴見 健吾
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 119-127
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    長大吊り橋のハンガーロープ定着部のピン結合部に注目して, ピンとピンプレートの間に働く接触圧を有限要素法による解析, および超音波を用いた測定法により検討した. 本超音波測定法においては面接触試験体を用いた実験により, 接触表面が25Sより良い場合に適用性が確認された. この超音波測定法を用いた測定および解析により, ピン接合部の接触圧分布は, 板中心部では Hertz の公式に近い分布系を示すが, 板表面においては接触圧は高くなり, また接触幅も広くなっていることが分かった.
  • 藤原 博, 田原 芳雄
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 129-140
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 鋼橋塗装の長期防食性の把握を目的として, 10年間程度の屋外暴露試験に相当する塗膜劣化を, 短期の促進腐食試験で置き換えられるような試験条件を見いだすために, 既存の促進腐食試験6条件に, 新たに1条件を加えた計7条件について比較検討したものである. そのために, 1988年から腐食環境の異なる3地区 (4箇所) において塗装試験板による屋外暴露試験を行うとともに, 既に自動車業界などで採用されている促進腐食試験に着目し, 試験条件である塩水噴霧・湿潤・乾燥それぞれの温度及び時間について比較試験を行った. その結果, 屋外暴露試験結果と相関性の高い促進腐食試験条件を見いだすことができ, この試験条件で6か月間の試験を行うことによって4~15年の屋外暴露結果の推定が可能となった.
  • 竹之内 博行, 谷倉 泉, 大谷 祥三, 三木 千寿
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 141-151
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鋼トラス橋横桁取付け部の多くで, 車両通過時に発生する固定端曲げモーメントに起因したと考えられる疲労損傷が発見されている. 各種調査検討の結果, 横桁上フランジと上弦材上フランジを補強板にて接合し, 局部的な応力状態を改善する案の具体化を図った. この補強板には, フランジ間の位置のずれの影響を吸収するため, 40mmの厚板を用いた. フランジ上の床版ハンチ部のコンクリートのはつりには, ウォータージェットを用いた自動化を試みた. 実橋での試験施工の結果, 良好な溶接品質が得られ, また, 補強施工前後の各種測定により, 今後の疲労損傷発生の防止に十分な補強効果が確認できた.
  • 本間 宏二, 三木 千壽, 征矢 勇夫, 笹尾 英弥, 奥村 健人, 原修 一
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 153-162
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 各種の構造用鋼材に対して歪時効を発生させ, その後, シャルピー試験を行って, 歪時効によるシャルピー吸収エネルギーと遷移温度の変化を実験的に検討したものである. 橋梁における冷間曲げ加工半径は, 塑性歪を受けた鋼材の歪時効脆化を防止する観点から, 板厚の15倍以上とすることが規定されてきた (3%の塑性歪以下に対応). 本研究では, 最近の構造用鋼材を対象として歪時効脆化の実験を行い, 許容される冷間曲げ加工半径の検討を行った. その結果, 従来の許容値 (3%) より大きな塑性歪 (7.5%~10%) を与えても, 必要な靱性が確保されることが明らかになった. そこで, 鋼材のシャルピー吸収エネルギーレベルに応じた冷間曲げ加工半径の許容値を提言するものである.
  • 林 正, 岩崎 英治
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 163-174
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    曲げ及び曲げねじりによるせん断変形を考慮したハイアラーキ棒要素を開発し, スレンダーな骨組部材に適用するための次数低減積分法を提案する. ハイアラーキ要素は, 厳密な変位関数が多項式で表現できない問題に対して有効な要素で, 骨組構造物の種々の解析に用いることができる. 本文では, 静的線形解析について級数の収束性を調べ, 従来の要素に比べて極めて精度の高いことを示す.
  • 沢田 勉, 平尾 潔, 畠 一樹, 成行 義文, 山村 猛
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 175-186
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 拡張カルマンフィルタによる線形多自由度系の部分同定において問題となる入力ノイズの一処理法を提案したものである. 具体的には, 部分系境界での入力の時間推移を状態方程式に並列に組込むとともに, 入力記録を観測方程式で考慮することによって, 入力ノイズが部分系の同定に及ぼす影響を除去する手法を開発した. 数値計算では, 線形10自由度系の下層の部分系を同定し, 提案した手法の妥当性を検証した.
  • 伊藤 一雄, 香月 智, 石川 信隆, 阿部 宗平
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 187-201
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 砂防ダムに用いられる礫中詰材の締め固め効果を考慮したせん断抵抗力の推定法を開発したものである. まず, 砂および粗粒礫材を用いた単純せん断変形実験を行い, せん断抵抗力~変位関係に及ぼす礫径および締め固めの効果について調べた. その結果, 礫中詰材のせん断抵抗力は締め固めによって顕著に増加することを示した. 次に, 粒状体解析の見地から個別要素法を用いて実験結果のシミュレーション解析を行い, 要素の詰め方によるせん断抵抗力のメカニズムを明らかにした. 最後に, 締め固め効果を考慮した中詰材のせん断抵抗力~変位関係の簡易推定法を提案し, 本手法のダブルウォール砂防ダム設計への応用性について検討した.
  • 佐藤 忠信, 土岐 憲三, 佐藤 誠
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 203-215
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 準能動型の構造物の震動制御を行う可変減衰装置として, 取付箇所に関する制約を抑え, 広く一般的に採用が容易となるよう, 本体外部に油の供給源をもたない, シリンダー単体のみで稼働するバリアブルダンパーの試作模型を作成する. 実験を通してその減衰特性を詳細に記述できる力学モデルを構築し, この力学モデルからダンパーの発生減衰力を制御するために必要となる減衰力をピストンの運動速度ならびにバルブ開度の関係とで表現し, ダンパーに目標となる減衰力を発生させるためのバルブ開度の制御システムを構築する. そしてこの制御システムによってバリアブルダンパーの減衰特性の制御を実際に行い, 数種類の履歴特性を実現する.
  • 東平 光生
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 217-230
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 多孔質飽和成層弾性体の過渡応答解析のためのモード合成法を展開している. 多孔質飽和弾性体の正規モードは骨格と間隙水の内部摩擦の存在によって複素モードとなるが, これらの複素モード間の直交関係式を基礎方程式の対称性に着日して誘導する. 誘導のプロセスを通して, 正規モード間の直交性が, 正規モードが境界条件を満足するという性質に深く関わっていることが示される. 次に, 正規モード間の直交関係式を用いて, 過渡応答波動場を正規モードによって表現する. これによれば, 多孔質飽和弾性体の過渡応答は正規モードによって表現された Green 関数と外力との合成積で表される.
  • 川谷 充郎, 小林 義和, 高森 和恵
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 231-238
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    走行車両による桁橋の動的応答に関する理論解析では, 桁橋の曲げ振動のみを考慮するのが一般的である. 一方, 走行車両による現地振動実験結果からは, 桁橋の鉛直曲げ振動のみならずねじり振動の影響も大きいことが明らかとなっており, 理論解析における桁橋のモデル化に配慮が必要であると考えられる. そこで, 本論では, 従来の曲げのみを考慮した非定常連成不規則振動解析法を曲げとねじりの連成振動を考慮できるように拡張し, 得られる解析結果をシミュレーション法による解析結果と比較することで, その妥当性を検討する. また, 本解析法を用いて路面凹凸および車両諸元の橋梁交通振動に及ぼす影響について考察する.
  • 星隈 順一, 大塚 久哲, 津田 和義, 長屋 和宏
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 239-248
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高強度プレストレストコンクリート杭の変形性能の向上を目的として, 実寸規模の単杭に対して正負交番載荷実験を行い, スパイラル筋の量と中詰めコンクリートが変形性能に及ぼす影響について検討を行った. そして, 杭体の変形性能を評価するために, 杭体に生じた損傷度と残存耐力の観点から, 使用限界変位と終局限界変位を定義した. その結果, スパイラル筋を十分に配置して中詰めコンクリートを充填すれば, 高強度プレストレストコンクリート杭の使用限界変位や終局限界変位が向上することを明らかにした. さらに, 中詰めコンクリートを充填した高強度プレストレストコンクリート杭の変形性能を, スパイラル筋によるコンクリートの拘束効果を考慮して解析した. その結果, 本解析手法により求められる終局曲率は, 実験結果から推定される使用限界時の曲率とよく一致することを明らかにした.
  • 松原 勝己, 星谷 勝
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 249-258
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    線状地中構造物に対する長手方向の耐震設計に用いる地盤バネ定数の評価として, 静的弾性論を用いる一方法を示すとともに, その算定式を導入した. その結果, 軸方向の地盤バネ定数が, 地盤のせん断弾性係数Gおよび変位がゼロになる半径と構造物の半径との比λに関係し, 軸直角方向の地盤バネ定数が, G, 地盤のポアソン比νおよびλに関係することがわかった. また, λが増加するにつれて地盤バネ定数の値が減少する傾向がみられ, λが10程度からその低減が小さくなる. 地盤バネ定数のGに対する比αは, λが10のとき, 軸方向および軸直角方向に対してそれぞれ約2.7および4.9となる.
  • 森地 重暉, 今村 芳徳, 高野 工, 小田 幸平
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 259-275
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 地震時に生ずる地表面での地盤ひずみの観測方法を示し, 得られた観測結果について究明して, 地盤ひずみの性状を明らかにした. 特定の観測場所での中小地震による結果についてではあるが, 地震工学上参考となる結論が得られた. その主なものは次の通りである. 地表面では純せん断に近い状態が発生している. 最大主ひずみの方向は, 地震により差異はあるが, 平均的には一つの方向が卓越している.
  • 澤田 純男, 土岐 憲三, 高田 至郎
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 277-286
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地下構造物の耐震設計に用いられる応答変位法の設計スペクトルは, 従来地震基盤面における速度応答スペクトルによって規定されてきた. 本論文では新たに地表面における加速度応答スペクトルで規定する方法を提案する. 本手法によれば, 対象地点の地震環墳や地盤環境などを考慮して, 地下構造物の設計スペクトルを策定することが可能となる. 本手法の妥当性を検証するため, 地表面での加速度応答スペクトルから応答変位法で用いるスペクトルへの変換法を示し, 道路橋示方書に規定されている設計スペクトルや強震観測記録から統計解析によって求められた平均加速度応答スペクトルにこの手法を適用し, 従来の地下構造物の設計基準に規定されている設計スペクトルと比較する. このような検討を通して, 従来の設計スペクトルの持つ物理的意味を考察する.
  • 才塚 邦宏, 宇佐美 勉
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 287-296
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震後, 新たな耐震設計基準が提案されている. 本研究では, 震災後に提案された耐震設計指針の内, 名古屋大学で提案されたコンクリート部分充填鋼製橋脚に対する地震時保有水平耐力照査法により設計された鋼製橋脚モデル10体 (鋼製橋脚モデル3体, コンクリート部分充填鋼製橋脚モデル7体) を製作し, 兵庫県南部地震観測地震波を入力してハイブリッド地震応答実験ならびに変動変位繰り返し載荷実験を行った. その実験結果に基づき, 採用した提案設計法の妥当性の検証を行った.
  • 中島 章典, 深山 大介, 大塚 久哲, 佐藤 貴志, 鈴木 基行
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 297-304
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 鋼製橋脚の弾塑性域までの挙動を考慮した耐震設計法における最大応答変位推定法としてのエネルギー一定則の適用性を検討するために, 震度法および許容応力度法に基づいて設計した鋼製橋脚モデルに対して, 弾塑性地震応答解析により求めた最大応答変位と, 静的な弾塑性有限変位解析法を用いエネルギー一定則を適用して求めた最大応答変位とを比較した. その結果, 両者には大きな差異が生じる場合のあることを示した. そこで, これらの鋼製橋脚と等価にモデル化した1自由度弾塑牲系の地震応答解析を実施して, 最大応答変位を推定する方法を新たに提案し, この方法による最大応答変位が鋼製橋脚の弾塑性地震応答解析による最大応答変位と良好に一致することを示した.
  • 大塚 久哲, 神田 昌幸, 鈴木 基行, 吉澤 努
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 305-314
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    曲線橋は, 強震時に支承部が破損した場合, 曲線の法線方向外側に向かって変位する傾向があることが知られており, 落橋防止装置等に配慮が必要であると指摘されている. 本研究では, 比較的剛な下部構造で支持された曲線橋を想定し, まず, 幾何学的平面形状が移動挙動に及ぼす影響について考察した. さらに, パラメトリック解析を含む非線形動的解析によって, 移動挙動の検証を行った. また, 解析結果から得られた上部構造の変位量と, 種々のパラメータとの関係を基に, 曲線橋の落橋防止対策として有効なけたかかり長の算定方法についても検討を加えた.
  • 大塚 久哲, 神田 昌幸, 鈴木 基行, 川神 雅秀
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 315-324
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1995年兵庫県南部地震では, 斜橋が変形の小さい下部構造により水平移動の拘束を受け, 水平面内の鉛直軸回りの回転変位により下部構造頂部縁端を逸脱し落橋した. 本論文では比較的剛な下部構造で支持された斜橋の回転挙動について, まず回転の発生過程の推定と, 回転が発生する幾何学的平面形状を考察する. 次に被災を受けた斜橋をモデルとするシミュレーション解析により回転挙動を再現する. この後種々の平面形状を有する斜橋について, 橋梁形式, 地震波, 摩擦係数などをパラメータとする時刻歴応答解析を実施し, この結果より斜角や平面形状および摩擦係数などが回転変位に与える影響を考察する. 最後に, 落橋を防止するためのけたかかり長の設定法を検討し, 設計での斜橋のけたかかり長を提案する.
  • 盛川 仁, 澤田 純男, 土岐 憲三, 中島 大輔
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 325-330
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    西宮市北部地域における地盤構造を把握することを目的として, 市内の75地点で長周期微動観測が実施された. 本研究では, その際に得られた記録の上下動成分を用いてF-Kスペクトル解析を実施し, 観測された微動の伝播方向及び位相速度を求めた. さらに, 求められた位相速度の分散曲線から逆解析により西宮市域の地盤構造を推定した. その結果, 市内を東西に横断する甲陽断層の北側では東から西に向かって基盤岩深度が緩やかに深くなっていること, 南側では西宮市の北東に位置する伊丹周辺の地盤構造に近いことが明らかになった. さらに, 逆解析により甲陽断層を挟む南北の地域における基盤岩深度に約500mの高低差があることが推定された.
  • 高橋 和雄, 花田 博史, 鎌田 智之, 山口 健市
    1997 年 1997 巻 570 号 p. 331-335
    発行日: 1997/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 周期的変動軸力 (係数励振力) と面内周期的変動荷重を同時に受ける偏平ケーブルの非線形振動に及ぼす, 周期的変動軸力と面内周期的変動荷重間の加振振動数比の影響および過渡振動の影響を評価したものである. これより, 加振振動数比は, ケーブルの分岐応答および主共振の応答に影響を及ぼすことを明らかにした. さらに, 平均法による過渡振動の解析の精度は良好で, 過渡振動の振幅は定常振動の約1.5倍になることを示した.
feedback
Top