土木学会論文集
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1997 巻, 582 号
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  • 〓 恩地, 宮島 昌克, 北浦 勝
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 1-10
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1995年兵庫県南部地震の際に得られた4地点の鉛直アレー観測記録に基づき, 上下地震動の非線形増幅特性を検討した. 本研究では, 重複反射理論に最適化手法である DOWNHILL SIMPLEX を合わせることによって動的な地盤定数を同定し, 水平動および上下動の非線形地震応答を解析した. さらに, 同定された動的な地盤定数をPS検層の結果と比較することによって, とくに, 上下地震動に関する地盤定数の強震時の非線形特性を明らかにした.
  • インバージョンのアルゴリズムと三次元有限要素法について
    國井 仁彦, 大友 譲, 谷本 親伯
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 11-21
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    岩盤の不連続面の分布を把握するうえで比抵抗法電気探査は有用な方法である.
    本論文では, 比抵抗法電気探査結果から岩盤内の真の比抵抗の可視化を目ざし, 結果解析のために拡張カルマンフィルタを用いた物性値同定のアルゴリズムを確立した. ついで, これを用いた三次元有限要素法プログラムを開発し, 比抵抗法電気探査を岩盤調査に適用する場合の基礎的問題について検討を行った. その結果, 解析モデルに対してインバージョンを行って同定した, 真の比抵抗分布とモデルがよく一致し, 新たに開発した手法は比抵抗電気探査結果の解析に有効であった.
  • 森川 義人, 所 武彦, 高橋 則雄
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 23-34
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    トンネル掘削や開削工事での止水工法は非常に重要であり, 薬液注入工法が頻繁に使用されている. 注入による止水性が問われるのは掘削時や切羽接近時においてであり, 注入範囲も変形状態にあると考えられる. しかし, 現実には施工時の変形を考慮した止水性の評価はほとんど論じられておらず, 変形を伴わない止水性の評価に限られている. 本研究では, 注入固結砂の変形過程における止水性について, 室内で作成された固結砂供試体を用いて三軸圧縮試験下での透水試験を行った. 試験結果について砂地盤の動水半径と薬液ホモゲルの脆性度により整理し, 変形中透水係数が急激に増加し始める時のひずみε(k (ini))に着目して, 限界ひずみεoを指標値とした変形過程における止水性の評価と予測の提案を行った.
  • 平尾 和年, 安原 一哉, 棚橋 由彦, 落合 英俊, 安福 規之
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 35-45
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 覆土工設計法のための基礎的資料を得る目的で, 種々のジオテキスタイルを用いて軟弱地盤における覆土工法を想定した一連の室内模型実験を行った. その結果, 軟弱地盤の支持力改良のためジオグリッド敷設方法として, (i) 不織布との併用, (ii) 端部の拘束, (iii) サンドマットを敷設することが軟弱地盤の支持力改良のために効果的であることが明らかになった.
  • 白木 渡, 恒国 光義, 松島 学, 安田 登
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 47-58
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    基礎構造物の設計・施工において必要となる地盤物性値 (N値, 内部摩擦角, 粘着力等) の情報の内, N値については, 現場において比較的簡単な試験で得られることから数多くのデータが蓄積されている. しかし, 内部摩擦角や粘着力は, その試験に手間がかかることからデータの数が少ない. 本研究では, 2物性値間の回帰関係を利用したクリッギングを用いて, データが数多く得られているN値の空間分布特性から, データが少ししか得られていない内部摩擦角や粘着力を推定する方法を示し, その応用例として送電鉄塔基礎の支持力の推定問題を考える.
  • 朴 燦燻, 風間 基樹, 柳澤 栄司
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 59-69
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地盤における熱移動の問題を解く場合, 熱伝導による熱移動以外に対流による熱移動及び固相と液相の間の熱伝達による熱移動も大きく影響されると考えられる. また, 地盤で熱移動が行われる場合, その構成材料の熱物性は温度によって連続的に変化し, 地盤中の熱移動 (伝導, 対流, 熱伝達) に影響する. さらに, 間隙流速の変化は熱伝達による熱移動に影響をおよぼすと考えられる. そこで, 本研究は有限要素法による地盤の熱移動解析を行う際に, 以上で述べた現象の影響を考慮に入れた熱解析の精度を高める手法を示したものである. また, 室内模型実験を行って熱移動解析の結果と比較検討しその妥当性を検証した.
  • 乗安 直人, 兵動 正幸, 林 重徳, 新谷 登, 田原 正登, 仲佐 俊之
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 71-86
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    着底型深層混合 (DM) 改良地盤は, 従来の地盤改良工法に比べて地盤変位が小さく, 変位の進行の程度により外力・せん断抵抗の動員が異なることが想定される. 本論文は, 着底型壁式DM改良地盤において現場計測を行うと共に, 想定される様々な状況下で解析を行い, DM改良体に作用する実測外力 (土圧, 地盤反力) との比較検討を行った. その結果, 主働側における土圧は比較的小さな変位の進行により静止土圧に近い土圧から主働土圧に移行する様子が, また, 受働側の土圧は変位量が小さく静止土圧に近い土圧が測定された. 実測地盤反力は, 埋立側のネガティブフリクション (NF) を考慮した解析結果とほぼ一致した. これらの外力照査結果から, DM改良地盤の安定のメカニズムに, DM改良体の変位の進行の程度による外力の動員過程を考慮する必要性が明らかとなった. また, このときの各安定モードにおける安定への影響について明らかにした. 以上の検討結果により最終的に現行設計法において新たに考慮すべき点について考察を加えた.
  • 兵動 正幸, 荒牧 憲隆, 徳原 裕輝, 菊地 慎二, 中田 幸男, 村田 秀一
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 87-98
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1995年兵庫県南部地震で被災した六甲アイランド北側岸壁で採取したまさ土を対象に試料土の圧縮特性に着目して, 非排水単調および繰返し三軸圧縮試験を行った. 単調せん断試験結果から, 初期密度や拘束圧の違いによる非排水せん断挙動および steady state に至る挙動の違いについて考察した. 次に, 非排水繰返し三軸試験結果を初期密度, 初期拘束圧の違いによりまとめた. その結果, 試料土の繰返しせん断強度は初期密度, 拘束圧にさほど依存しないという静的試験結果とも対応する結果が得られた. さらに, ケーソン直下の置換砂として用いられたまさ土の応力状態を想定し, 種々の初期せん断応力下における非排水繰返しせん断特性の評価を行った. その結果, 試料土の繰返しせん断強度は初期せん断応力の増加に対し減少することが判明し, 豊浦砂の結果とは逆の傾向を示した. これらの実験結果を用い, 円弧すべり法によるケーソン岸壁周辺地盤の地震時安定解析を行った. その結果, ケーソン背後から置換砂にかけ最小安全率を与えるすべり面が生じ, 地震時の破壊形態の一つを表す結果が得られた.
  • 朱 偉, 山村 和也
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 99-108
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    河川堤防の崩壊は降雨, 洪水の浸透作用によって引き起こされることが多い. 降雨, 河川水位の変動, 地表面からの蒸発散などにより堤防への水の流入, 流出が繰り返され, 堤体土の水分量は絶えず変化している.
    堤防崩壊の直接の原因となる豪雨あるいは洪水による浸透には事前の堤体土の含水量, すなわち, 初期条件が大きな影響を持つので, 堤防の安定性の評価には長期的な水の浸透, 排水にもとづく堤防内部の水分量の分布およびその変動を明らかにすることが必要になる. 本研究では堤防の水分量の長期的変動を調べるため, 堤防の水分量の変化をRI水分計によって観測し, 得られた測定結果にもとづき浸透解析を行って, 堤体土の水分量の季節的な変動の特徴を明らかにした.
  • 崔 亢吉, 風間 基樹, 柳澤 栄司
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 109-123
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    薬液注入工法の信頼性を高めるためには, 注入固結体が注入条件及び深度によって, どのような形状になるのかは検討すべき重要な点である. 本研究では直径と高さ, 300mmモールド内の砂質土に対する薬液注入実験を行った. 薬液注入により固結体は, 上載圧が大きくなると注入材のゲルタイムにかかわらず, 浸透注入のように注入が進行てき, 球状に近い形になるがそれに伴い完全な浸透注入形態の場合約14%, 割裂・浸透注入形態の場合は約25%程度体積が小さくなることが判明された.
  • 福田 光治, 宇野 尚雄
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 125-136
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では,「個数による粒度分布」に基づいた「粒度評価径」と称する指標を新たに提案して, 土質分類法を一個の数値指標で整理することを試みた. そして従来の分類土質名とCBR値, 内部摩擦角, 透水係数, 中間土分類等との関係を考察・分析した結果, 極めて良好な判断ができる指標であることを示したこの結果を利用して, 地盤堆積土の粒度, 各種工法に適正な粒度, 液状化粒度等の分析例を提示した.
  • 近藤 観慈, 林 拙郎
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 137-149
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    土圧問題, 支持力問題, アンカー力の作用する地すべり斜面安定問題をSS法によって解析し, 地盤の代表的破壊問題におけるSS法の有用性を検討した. SS法は分割法の一つであり, 鉛直スライスに設置されたバネの応力-ひずみ関係から内力の作用角を決定して力学的に静定化された解を与える. 土圧問題・支持力問題に対する適用結果から, 既知の解に対して適合性がよく, SS法の有用性が示された. また, 地すべり斜面にアンカー力が作用する場合の内力に対する影響においても合理的な内力の算定が可能であった. 地盤の破壊現象であるこれら3つの問題に対して, SS法によって統一的な解析が可能なことを明らかにした.
  • 大塚 悟, 山田 英司, 松尾 稔
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 151-162
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    基礎と地盤間の静的相互作用力は載荷重の大きさに伴って変化する. 極限支持力解析では極限状態での相互作用力を境界条件に用いることから, 従来, 問題を簡略化するために, 基礎の剛性をゼロまたは無限大に仮定してきた. 本論文は基礎の有限な剛性を考慮して, 基礎と地盤間の相互作用力の変化を取り入れた極限支持力解析を行うものである. シェイクダウン解析の下界定理を用いると, 剛性の異なる材料間の応力再配分を考慮して直接, システム全体の安定性を評価することができる. 基礎上部に等分布荷重が作用する場合と, 偏心集中荷重が作用する際の極限支持力を求め, 過去の模型実験等に基づく研究事例と比較・考察する. 基礎の剛性による極限支持力の変化を, 基礎と地盤間の相互作用力に基づいて詳細に議論する.
  • 坪井 英夫, 小川 充郎, 松井 保
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 163-172
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地盤中に貫入される閉端ケーシングを杭貫入体とみなせば, 杭体が振動貫入していく挙動は, 地盤との相互作用により、その振動波形を計測することにより把握できる. 本論文では, 杭体の貫入時の振動波形を検出する目的で, 地盤改良砂杭用閉端ケーシングに先端反力計と振動加速度計を装着し, 実際の地盤で計測した. これらの実測データに基づいて, 先端反力, 振動加速度および貫入時間が振動体の起振力と自重の項で系統的に表現できることを示した. さらに, これらの貫入杭体の振動特性の工学的適用についても示した.
  • 森川 嘉之, 古田 康裕, 飯塚 敦, 太田 秀樹
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 173-182
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    土の弾塑性構成モデルに必要な土質パラメータを等体積一面せん断強さから決定することを目的として, 各地から様々な不撹乱粘性土試料を集めて等体積一面せん断試験を実施した. この実験結果と弾塑性構成モデルから導かれた等体積一面せん断強さの理論式とを比較した. 計算には, 関口と太田が提案した構成モデルを用いたが, 絶対値としての実験値と理論値 (経験式によるパラメータを用いた理論値) には相当な差があることがわかった. これは時間依存性の影響であると考えられるため, 等体積一面せん断強さの時間依存性を実験的に調べ, その影響を定量的に評価した.
  • 藤澤 侃彦, 中村 昭, 山口 嘉一, 小林 正宏, 小沼 栄一, 山縣 秀年
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 183-196
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    表面改質した超微粒セメント粉体を圧縮空気とともに地盤中に浸透注入する「粉体圧送グラウチング」は, 軟岩地盤を対象に研究が進められてきた遮水性改良工法である. 本論文では, まず, 粉体圧送グラウチング用に開発した注入材料を紹介した. 次に, 粉体圧送グラウチングの適用性を明確にする目的で実施した, 原地盤より採取した不攪乱試料および砂供試体への室内注入試験, 注入固化体の顕微鏡観察, および注入材料の遮水性, 硬化特性について述べ, 粉体圧送グラウチングの適用地盤, および適用地盤に対する標準的な注入仕様を提案した.
  • 吉越 洋, 井上 素行, 津田 正寿, 内田 善久, 藤山 哲雄, 太田 秀樹
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 197-205
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ロックフィルダムの長期変形メカニズムを明らかにする目的で, ある中央遮水壁型ロックフィルダムの遮水ゾーンの実測沈下挙動について検討を加えた. ダム完成後の遮水ゾーンの長期沈下が, 幾つかの異なる沈下要因の複合によりもたらされている可能性があること, 遮水ゾーン沈下量の深度方向分布に顕著な不均一性が見られ, これが築堤時の堤体物性のばらつきと深く関連していること, 貯水位を大幅に低下させた際に沈下が増長される現象が見られることなど, 幾つかの特徴が明らかとなった. これらの結果から, 遮水ゾーンの長期沈下をもたらす5つの要因を明らかにした.
  • 林 健太郎, 藤井 斉昭, 村松 伴博, 北條 一男
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 207-216
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年のメカトロニクス技術の進歩により, 遠心模型実験装置に小型の振動台を取付け, 遠心力場において振動実験を行うことが可能となった. これにより, 非常に規模の小さい数十センチメートルの模型を用いて, 実物に換算すると数メートルの地盤の地震時挙動を容易に実験的に検証する事が可能となった. しかしながら, 遠心力場における振動実験はようやく実験が可能になったばかりであり, 信頼性に関しては不明な点も多い. このため, 従来行われてきた大型振動台実験とスケールの異なる相似な模型振動実験を行い, 飽和砂地盤の液状化現象に着目して実験結果を比較検討することにより, 遠心力場の振動実験の信頼性に関して検討を行った. この結果, 模型地盤の液状化現象を中心とした動的な挙動は大型振動台実験と比べ定性的にほぼ同様な結果が得られた.
  • 上 俊二, 藤原 東雄, 竹内 潤, 福田 靖, 酒井 敏明, 柳原 勝也
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 217-228
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    セメント系固化材により安定処理された粘土の力学的性質を調べる目的で, 固化材添加量と材令 (養生期間) が定量的に変化されたカオリン粘土 (安定処理土) に対して, 圧密試験, 一軸圧縮試験, 三軸圧縮試験が実施されたその結果安定処理土は見かけ上過圧密土となり, 固化材添加量と材齢の変化により圧密降伏応力が変化し, 圧密降伏応力を境に力学特性が変化することが明らかにされた. 以上の実験結果より, 見かけ上過圧密土となった安定処理土の非排水せん断強度の評価法が提案された.
  • 杉村 淑人, 森田 豊, 渡辺 邦夫
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 229-246
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 筆者らが提案するダム基礎岩盤の浸透流解析のための水みちネットワークモデルの構築を目的とした割れ目系岩盤の水みち構造の抽出について論述したものである. まず, 各種の水理調査法を水みち構造調査法として総合化し, この調査法をモデルサイトとして選定した風化花崗岩ダムサイトに適用した結果を述べる. 特に水理地質構造の視点から既往地質調査結果を見直し, また掘削面の割れ目系構造調査, 孔間透水試験等を加えて, 当該岩盤中の水みちの構造の把握が可能であることを示した. これらの調査結果に基づきモデルサイトの水みち構造モデルの構築を試みた.
  • 森 伸一郎, 池田 悦夫
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 247-263
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    東京都新宿区四谷の江戸城四谷御門外の一連の遺跡調査において, 江戸城外堀の盛土周辺で地震の痕跡が検出された. 地震の痕跡には, 地割れ, 地滑りのほか, 噴砂脈が認められた. 現地調査, サウンディング, 粒度・比重・重鉱物・珪藻などの土質分析, および周辺の地質調査資料に基づき, 噴砂脈の供給源が更新統 (洪積層) である東京層にあることを確認した. 考古学・地震学・地盤地震工学の観点から, 地震の発生時期を特定した. 液状化しにくいと考えられていた洪積砂層も強地震動の下では液状化しうることを示した. 有史以来の歴史地震で洪積層が液状化したことを確認した初めての例である.
  • 新納 格, 正田 要一, 蒋 建群, 栗林 栄一
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 265-274
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は非イオン性界面活性剤による表面張力低下の締固めに与える影響を実験的に検討したものである. 非イオン性界面活性剤は土粒子界面の電荷の影響を受けず土粒子間の付着力を低下させることを考察し, この水溶液で締固めた不飽和土のpF試験および一軸圧縮試験を実施した. その結果, 最適含水比, サクションおよび圧縮強さは締固めに用いた非イオン性界面活性剤水溶液の液体表面張力値に比例して低下し, 相対的に締固め密度が高くなることが明らかとなった. 応用分野として締固め促進があげられる.
  • 井上 素行, 内田 善久, 望月 直也, 石黒 健, 太田 秀樹
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 275-284
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ロックフィルダム遮水ゾーンの湛水後長期沈下のメカニズムを検討する目的で, ある中央遮水壁型ロックフィルダムを対象とした解析的検討を実施した. 湛水後の遮水ゾーンの長期沈下を, 堤体完成から湛水開始までの圧密沈下, 二次圧密, 湛水荷重による沈下, 湛水時の浸水沈下, 貯水位低下に伴う沈下の5要因に分類し, 有限要素法による築堤-湛水解析, 既往浸水沈下実験結果に基づく沈下予測, 実測データを用いた重回帰分析等の手法を用いて各要因別の沈下量を定量化した. これらを加え合わせた堤体沈下量の推定値と実測値との間には比較的良好な一致が認められ, 想定した長期沈下メカニズムの妥当性をほぼ裏付けることができた.
  • 広兼 道幸, 古田 均, 中井 真司, 三雲 是宏
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 285-294
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    観測データに基づく意思決定問題を取り扱うための基礎技術として最近注目されているラフ集合の基本的な概念についてまとめ, 実際に, 斜面の崩壊危険度診断のデータを用いて, 極小決定アルゴリズムを生成し, 診断結果に内在する経験的知識の獲得方法を提案した.
    生成した極小決定アルゴリズムに含まれる要因は, いずれも専門家が斜面の崩壊危険度を診断する際特に重要視して評価したものであると考えることができる. そこで, 複数の極小決定アルゴリズムについて, エキスパートシステムを構築する際の知識としての妥当性を評価する方法について述べ, この結果を用いてルールを誘導する方法を提案する.
  • 佐藤 正義
    1997 年 1997 巻 582 号 p. 295-304
    発行日: 1997/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    液状化によるケーソン岸壁およびその近傍における杭基礎の被害原因について検討するため, ケーソン岸壁と杭基礎を含む模型地盤をせん断土槽中に作成し, 実地盤の拘束応力と透水性の相似則を満足させて, 遠心力場の液状化実験を行った. 実験結果により, (1) ケーソンの水平変位・沈下の状況に関して兵庫県南部地震の被害状況を定性的に再現できること, (2) ケーソン水平変位の原因は, ケーソン背面地盤の水圧上昇よりも, ケーソン慣性力による下部地盤のせん断変形のほうが支配的であること, (3) 地盤の永久変形によりケーソン近傍に構築された杭に発生する曲げモーメントは, 加振時と加振後の両方に発生すること, (4) 杭基礎は, 側方流動に伴う周辺地盤の変形により杭頭部だけでなく中間部でも損傷すること, が分かった.
  • 1997 年 1997 巻 582 号 p. e1
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
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