わが国の河川放水路は, 文献や図面等の資料によると, その数が約200余を数えることが出来る. しかしながら, 200余の水路の幾つかは, 河道の付け替えや捷水路であるにも拘わらず, 放水路と称される場合がある. また, 既刊の河川関係書籍の放水路定義は, 必ずしも統一した認識がなく, 定義自体が確立されていない. そこで, 以上の放水路名称の混乱や不統一な放水路定義が生じた原因は, 放水路実態が未整理であること, また放水路特性把握が充分ではない点にあると考え, 海岸砂丘地帯にて開削された河川水路を対象に, 開発要因と開発実態を検証した. この結果, 水路開発の与件を解明すると共に, 開削された水路を8つに類型化して水路実態を整理し, 放水路判別を行うことにより放水路特性を明らかにした.
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