土木学会論文集
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1998 巻, 586 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 谷岡 康, 福岡 捷二, 谷口 将俊, 小山 幸也
    1998 年 1998 巻 586 号 p. 1-11
    発行日: 1998/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    都市中小河川の洪水流出実態とその特性を近年の時空間的に密に得られた雨量と水位のデータから解明する. 市街化や下水道施設の整備の進んだ都市中小河川においては, 降雨と流出の関係が極めて線形的であり, 下流に降雨が集中する程立上がりが急でピークの大きい尖鋭な流出波形を示すことが明らかとなつた. さらに降雨の地域分布や時間的変動を詳細に反映出来るように小流域分割を行う洪水流出解析モデルを構築し, 都市中小河川の流出現象を良好に再現出来ることを示し, このモデルにより様々な降雨特性に対応する流出特性を明らかにした. さらに, 都市中小河川の合理式の適用範囲について考察した.
  • 朝位 孝二, 小松 利光, 大串 浩一郎, 羽田野 袈裟義
    1998 年 1998 巻 586 号 p. 13-22
    発行日: 1998/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    拡散数値シミュレーションを精度よく行うための新しい計算スキームを開発・提案し, Implicit HORNET スキームと名付けた. Implicit HORNET スキームはスプリット・オペレータ・アプローチに基づく解法であり, 多次元問題, 非線形問題に適用可能である. また, スキームに含まれているパラメータを調節することにより容易にスキームの精度の次数を変えることができる. このことを利用して, Implicit HORNET スキームを局所的に一次精度風上差分にすることで数値振動を抑制することも試みた.
  • 杉原 裕司, 松永 信博, 中平 伸治
    1998 年 1998 巻 586 号 p. 23-38
    発行日: 1998/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    従来の成層乱流k-εモデルに比べて, さらに強安定成層場への適用が期待できる新しい非等方型k-εモデルを開発している. 本モデルでは, 成層による非等方効果を最低次のレベルで考慮して, 乱流密度フラックス, 渦動拡散係数, レイノルズ応力テンソルおよび乱れエネルギーフラックスが定式化されている. これらの算定式は非等方表現されているため, 比較的高い Richardson 数の成層乱流に対しても有効なモデルとなっている. 本モデルは従来型モデルに比べてモデル定数を2つ多く含んでおり, その概略値が理論的考察から推定されている. 二成層および線形成層場における振動格子乱流の密度連行実験のテスト計算により, 本モデルの基本性能が詳細に調べられている. また, 本モデルと従来型モデルとの性能比較に基づいてその有効性が検討されている.
  • 福岡 捷二, 渡辺 明英
    1998 年 1998 巻 586 号 p. 39-50
    発行日: 1998/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    低水路が堤防と異なる線形で蛇行する複断面蛇行水路における流れ場を表わし得る3次元モデルの開発を行った. モデルの解析結果と実験結果を比較した結果, 水位分布・流速分布・水位~流量関係等の流れ場は良く一致した. また, これらの結果をもとに流量配分・流速分布を詳細に調べ, 低水路蛇行による運動量交換の機構について考察を行った.
  • 禰津 家久, 中山 忠暢
    1998 年 1998 巻 586 号 p. 51-60
    発行日: 1998/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    Froude 数および水面変動を基準に区分した開水路乱流における特徴的な流れ, すなわち, 常流, 限界流, 射流の3種類の流れでは乱流構造やエネルギー収支関係等に大きな違いが見られるとともに, 自由水面に発生する表面更新渦や水面変動の inacdve 成分の挙動と密接な関連があることが従来より推測されている. 本研究では2台のレーザ流速計を用いて空間的に異なる2点の瞬間流速を同時計測し, 時空間相関解析や条件付きサンプリング手法を適用することによって, 自由水面近傍における組織渦の時空間相関構造についての考察を行う. また, 超音波波高計とレーザ流速計を同期させることによって, そのような組織渦構造と水面変動の関連性についての評価も行う.
  • 岩屋 隆夫
    1998 年 1998 巻 586 号 p. 61-75
    発行日: 1998/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    わが国の河川放水路は, 文献や図面等の資料によると, その数が約200余を数えることが出来る. しかしながら, 200余の水路の幾つかは, 河道の付け替えや捷水路であるにも拘わらず, 放水路と称される場合がある. また, 既刊の河川関係書籍の放水路定義は, 必ずしも統一した認識がなく, 定義自体が確立されていない. そこで, 以上の放水路名称の混乱や不統一な放水路定義が生じた原因は, 放水路実態が未整理であること, また放水路特性把握が充分ではない点にあると考え, 海岸砂丘地帯にて開削された河川水路を対象に, 開発要因と開発実態を検証した. この結果, 水路開発の与件を解明すると共に, 開削された水路を8つに類型化して水路実態を整理し, 放水路判別を行うことにより放水路特性を明らかにした.
  • 柴木 秀之, 青野 利夫, 見上 敏文, 後藤 智明
    1998 年 1998 巻 586 号 p. 77-92
    発行日: 1998/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    海象災害に関する数値解析の流れを整理し, その解析方法をシステム化した沿岸防災に関する総合数値解析システム (INSPECT system) を新たに開発した. 開発したシステムは, 日本沿岸を対象に, 高波・高潮・津波による突発災害の追算と災害予測を, 効率的に処理することを目的にするものである. 本論文では, 数値解析システムの設計に当たっての基本方針と設計概要について述べる. また, システムの根幹をなす数値シミュレーション理論と日本沿岸の外力解析への適用事例について述べる.
  • 森 信人, 安田 孝志
    1998 年 1998 巻 586 号 p. 93-104
    発行日: 1998/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    不規則波の水面変動の確率密度分布に対して Edgeworth 級数展開を用いて近似を行い, 弱非線形および狭帯スペクトルの仮定の下での振幅および波高分布を導出した. その結果, 波高分布の高波高部分の分布形状は水面変動の4次モーメントにより変化することを明らかにした. さらに, 水面変動の位相の確率密度分布, 代表波高および波群に及ぼす非線形性の影響について検討を行い, 水槽実験結果によりその妥当性を明らかにした.
  • 藤間 功司, 正村 憲史, 重村 利幸, 後藤 智明, Dede Yuliadi, Michael. J. Briggs
    1998 年 1998 巻 586 号 p. 105-115
    発行日: 1998/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    線形長波理論に基づき, 過渡的な入射波形を有する津波の島周辺における挙動を表わす理論解を求めた. また, スケールの異なる2種類の水理模型実験結果との比較から, 理論解の妥当性を示した. 様々な入射波形に対する島の津波遡上高分布を本理論解析により求め, 遡上高分布形状や島の海岸線に沿った最大遡上高に及ぼす入射波形の影響について検討した.
  • サントス セウソA. G., 渡辺 政広, 鈴木 幸一, シリニヴァサン ヴァジャペヤムS.
    1998 年 1998 巻 586 号 p. 117-126
    発行日: 1998/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ブラジルの典型的な半乾燥地域における降雨流出-土壌侵食の過程を, キネマティック・モデルを用いてモデル化している. はじめに, 降雨・土砂流出データを解析し, SP法を用いてモデルの最適化を行っている. また, 流域のモデリングの精粗がモデル・パラメータに及ぼす影響について, 3種の流域モデリングを行って検討している. 次に, 流出を予測する上でキネマティック・モデルは有用な手段となってきているが, これを用いて降雨流出-土壌侵食の過程をモデル化する場合, 降雨期間中の浸透の評価が重要となってくる. そこで, 初期浸透能および降雨波形の違いが流出ハイドログラフに及ぼす影響を検討すると共に, 本モデルにおいて最適化されるべきモデル・パラメータの一つである土壌水分吸引係数と前期無降雨日数との関係についても検討を進めている.
  • クルーズ エリックC., 青野 利夫
    1998 年 1998 巻 586 号 p. 127-135
    発行日: 1998/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    非線形分散波理論にづく数値モデルを用いて, 幅広透過潜堤周辺の波浪場と流速場の変形解析を行った. 平面水槽を用いた透過潜堤の実験を行い, モデルの妥当性を確認した. 数値計算から潜堤を通過する波は, 潜堤の天端及び不連続部背後面において極大値をとることが明らかとなった. また, 流れは天端面端部の周りで増大し, 平均水位の分布がその推進力となっていることが確認された. これらの特性に関して, 潜堤の空隙特性との関係が検討された.
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