土木学会論文集
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1998 巻, 591 号
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  • 土木学会鋼構造委員会・鋼構造終局強度研究小委員会
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 1-7
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
  • 許 鎧麟, 魚本 健人
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 9-18
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    最近, 構造物の最適化分野いおいて形状最適化の研究に関心が高まっている. そのうち, 応力集中を最小化するための形状最適設計手法として生物成長調節過程をシミュレーションした手法が新しく提案された. 本研究では, 構造感度解析を必要ない特徴を有している本手法について, そのアルゴリズムを説明し, 有効性を検証した. なお, 本手法の計算上の優れた効率性についても検討を行った.
  • 松浦 章夫
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 19-28
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地震等で振動する軌道上を走行する高速用鉄道車両の脱線限界を, 3次元1車両モデルを用いて直接的に解析する実用的なシミュレーション手法を提案した. 本法では, 車輪・レール間の接触力評価において, Kalker の簡易理論と, ここで新しく考案した2点接触アルゴリズムを適用した. これらの方法の採用によって, 従来の間接的な評価方法とは異なり, 脱線現象を直接的な方法で評価することが可能となった. 例として, 軌道狂い, 実地震動あるいは振幅変調した横振動を軌道に与えた場合の解析を行った. その結果, 軌道の横振動数が1.2Hz以下の領域では飛び上がり脱線, 1.5Hz以上の領域では乗り上がり脱線が起こること, 軌道振幅による脱線限界値は従来の間接的評価法よりも大きくなること等が分かった.
  • 佐藤 忠信, 斉 凱
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 29-40
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    Hフィルターを利用した線形構造系の同定アルゴリズムについて種々の考察を加えた. 線形一自由度系と多自由度系のモデル構造物を対象とし, Kalman フィルターを利用した場合の同定結果とHフィルターを利用した場合の同定結果を比較することにより, Hフィルターの特性を明らかにしている. Kalman フィルターよりHフィルターのほうが収束性のよいこと, 観測値に含まれるノイズの同定結果に及ぼす影響がHフィルターの場合には非常に少ないことを示し, Hフィルターがロバストな特性を有していることを明らかにした.
  • 阿井 正博, 田村 健太郎, 西野 文雄
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 41-46
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    平面はりの弾性2次離散化関係には, はり一柱理論のたわみ公式をマトリックス構造解析用に書き直したもの, および有限要素法の手順によって離散化展開されるものとがある. 前者は, 曲げ変形におよぼす軸力の効果を初期状態まわりで正確に現すと考えられるが, その軸力を節点変位に関して陽な剛性式で表すことができない. ここでは, 後者によるこれまでの結果を見直しながら, 定式化の最初である変位補間式から一貫した2次非線形理論としての展開を示しており, はり一柱理論に整合する1つの離化結果を得ている.
  • 小長井 一男
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 47-51
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    沖積地盤中の円形断面のトンネルは地震時に地盤のせん断変形に追随し左右交互に傾いた楕円状の変形を繰り返す. このノートではこのような円孔の変形モードを規定して一様地盤のインピーダンスを周波数領域で求めている. このインピーダンスは, 円孔の変形モードを規定したことから円周に沿って一様な Winkler 型の離散ばねで表現できる. さらに相互作用がトンネルライニングに及ぼす効果を評価するインデックスを提示し, ライニングと地盤が完全に付着した状態, およびの両者の間の摩擦を切った場合の相互作用効果を検討した. ただ円孔壁面で摩擦を切るだけではかえってトンネル覆工の断面力が増加する場合もあり, 免震層の効果を議論するためには今後免震層の伸縮などを考慮に入れた検討が必要である.
  • 鬼頭 宏明, 山脇 学, 園田 恵一郎
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 53-69
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    フルサンドイッチ構造が採用された神戸港港島トンネル沈埋函部の断面設計において, せん断設計が支配的となる隅角部近傍のはり部材を対象に, ダイヤフラム間隔, シアコネクタならびにフルウエブの有無そして断面扁平比を実験変数とした計14体の供試体パネルに対して, 逆対称4点曲げ実験を行いそのせん断耐荷機構を調査した. 特に, ここではダイアフラムとフルウエブが混在する供試体を7体用意した. パネルの挙動は, 連続体的なはり理論に合致したものではなく, いわゆるトラス的な機構を呈した. 最終的には, パネル対角を結ぶコアコンクリートの斜めひび割れ破壊を伴ってその耐力に至った.
  • 林 正, 山中 素直, 加瀬部 弘, 佐藤 敏亮
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 71-84
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    p法による有限要素法において, 計算効率に優れたハイアラーキ要素を提案する. 要素の定式化に用いる関数は, 内挿関数の必要条件を満たす最も簡単な多項式であり, 高次の多項式およびその導関数を漸化式で与えることができる. また, 二重積の積分値を公式の形で求めることができる. 四辺形, 三角形と六面体要素及びこれらの要素に対する特異要素を定式化し, 写像, 次数低減積分法, 高次自由度の選択法などの数値計算手法を提案する.
  • 寺田 賢二郎, 伊東 孝, 菊池 昇
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 85-97
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 固体と液体からなる混合体に対する漸近展開法に基づく均質化理論による定式化を示し, 得られる解を工学的あるいは力学的見地から考察する. 均質化法は, 普遍的に成り立つ場の方程式に対して微視的および巨視的なスケールを導入し, さらにそれらの仲立ちとなるパラメータについて変数を漸近展開することによって, 両スケールにおける支配方程式を導出するものである. 微分方程式で表された非均質体の力学挙動が, 数学的裏付けのもとに漸近挙動として得られるため, 固体-液体混合体の力学特性の微視的および巨視的な観点からの考察が可能となり, 既存の工学理論との関連が明らかになる.
  • 寺田 賢二郎, 伊東 孝, 菊池 昇
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 99-109
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 固体と液体からなる混合体に対して均質化法を適用し, 微視的な力学パラメータを設定することによって, 粘弾性体の力学挙動が漸近挙動として得られることを示す. 微視的なスケールにおける方程式の解が全体構造物の漸近挙動を支配する特性を表わすことから, 既存の粘弾性力学理論の微視的スケールでの物理的および力学的考察が可能となることに加えて, 粘弾性体に対する初期値・境界値問題における初期条件を数学的に矛盾なく導出することができる. したがって, この種の混合体の粘弾性力学特性が, 数値解析によるシミュレーションによって示され, 工学問題に対する均質化法によるアプローチの適用性が示唆される.
  • 吉田 裕, 哀 文平, 魚地 征一郎
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 111-123
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    時間に関する1階の連立常微分方程式に帰着する解析対象系の, 極めて大きな固有値に対応する評価精度を抜本的に改良した, 陰的2段階過程の直接時間積分法を提案するものである. 陰的な解法であるが, 要する係数マトリックスの構造は, 原系のものと同じ構造で, その記憶法に関するプログラム上の利点を損なうことはない. 2段階の解法であるが, 積分計算の前半部と後半部における係数マトリックスは同じになり, 後半部は, 前進, 後退代入計算だけで計算を進めることができる. 自己出発型であり, パラメータの選択によって異なった特性を実現することができる, 汎用性も備えている. Navier-Stokes 有限要素方程式に, 適用して解法を構成し, その実効性を検証したものである.
  • 樫山 和男, 猪股 渉
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 125-137
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 流速双1次/圧力区分0次 (Q1/P0) の混合補間要素を用いた, 非圧縮粘性流れ解析のための高精度な安定化有限要素法の提案を行うものである. 本手法は, 空間の離散化に対してSUPG法と圧力安定化行列を用い, 時間の離散化に対しては修正準陰解法を用いるものである. 本手法は, 従来提案されている代表的な安定化有限要素法であるGLS法やSUPG/PSPG法と理論的に等価であり, それらに比べてより簡便に安定化が図れ, かつ高精度で計算効率に優れた手法であることを, 代表的な数値解析例に対する比較計算により示している.
  • 丸岡 晃, 太田 真二, 平野 廣和, 川原 睦人
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 139-150
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 広範囲な Reynolds 数域での円柱まわりの流れを数値流体解析手法により2次元及び3次元解析を行った. 円柱まわりの流れの性状を把握し, 実験結果と比較することによって数値流体解析の有効性を検討した. また, 3次元解析において軸方向領域及び層分割の検討を行った. 流れ場は, 非圧縮性粘性流れを仮定し, 非圧縮性 Navier-Stokes 方程式により表現される. 解析手法としては, 時間方向の離散化に陰的解法を適用し, 空間方向の離散化に同次補間を用いた有限要素法を適用した. 2次元解析では, Reynolds数域をRe=101~106, 3次元解析では, Reynolds 数域を亜臨界域であるRe=102~104と設定した.
  • 野澤 剛二郎, 田村 哲郎
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 151-161
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    乱流解析手法のLESを高レイノルズ数で剥離, 再付着などを含む複雑な流れ場である土木構造物まわりの風の流れに適用することに対する問題点を論じ, その解決方法を提案する. 高レイノルズ数の複雑乱流場では, 計算機の容量の制限からすべての計算領域で十分な格子分解能を確保することは困難で, 特に変動の大きい流れにおける格子解像度不足は, 致命的な数値エラーを招く. 本研究では, 領域分割法による適切な格子配置に加えて, フィルタ幅と数値粘性項の調整によりLESと3次精度風上差分法を併用する計算手法を提案している. また, 複雑乱流場の例として, Re=22,000の2次元正方形角柱まわりの流れに対して上記手法を適用し, その効果と問題点について検討している.
  • 北川 徹哉, 藤野 陽三, 木村 吉郎
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 163-173
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    通常の渦励振の発現風速より高風速で発生する“高風速渦励振”の励振源が模型頂部付近に発生する自由端渦であることが, 北川らが行った円柱ロッキング模型を用いた風洞実験により明らかにされつつある. 本研究では形状の異なる円柱塔状の弾性模型を用いて高風速渦励振のメカニズムを実験的に調べている. まず, 一様円柱の塔状弾性模型を用いて実験し, 高風速渦励振の発現と自由端渦の発生を確認した. また, 模型頂部に直径のやや大きい円盤を設置した場合, 自由端渦の発生が妨げられ, 高風速渦励振も発現しなかったことを示し, 自由端渦が高風速渦励振の励振源であることを明らかにしている. さらに, 可視化実験により後流を観察し, 自由端渦の振動数がカルマン渦の放出振動数よりも低い原因について考察した.
  • 久保 全弘, 北堀 裕隆, 杉山 宜央, 八木 孝行
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 175-188
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 断面を構成する板要素の幅厚比が比較的大きいノンコンパクトな溶接鋼I形断面はりを対象に, 断面の非対称性がはりの横ねじれ座屈強度と変形性能に及ぼす影響を実験的に検討する. フランジ幅と板厚を多様に変化させた二軸および一軸対称断面の合計10シリーズに対し, それぞれ4種類のはり長さを選び, 単純スパンの中央に集中荷重が作用した場合の横ねじれ座屈実験を行う. はりの座屈崩壊モードと変形性能を調べ, 回転容量の推定式を求める. また, 部材の実測残留応力を考慮した非弾性横ねじれ座屈強度, 局部座屈と横ねじれ座屈の連成強度評価および設計基準強度曲線との適合性などを考察する.
  • 後藤 芳顯, 王 慶雲, 高橋 宣男, 小畑 誠
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 189-206
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    繰り返し荷重下の鋼製橋脚の有限要素解析においては, 鋼材の繰り返し塑性のモデル化が重要である. ここでは, 有限要素への導入が容易になるように, できるだけ少ない材料パラメータ, 内部変数で表現する構成則として三曲面モデルを提示した. このモデルでは, 基本的な材料パラメータは単調引張り試験から決定できるように配慮している. 他のパラメータは鋼種によらない一定値で鋼製橋脚の繰り返し実験結果と一致するようにキャリブレーションにより決定されている. 本構成則によると通常の弾性域を一定とした移動硬化則や等方硬化則に比べ, 鋼製橋脚の履歴挙動を大変形に至る全領域にわたり精度良く解析できることを確認した.
  • 宇佐美 勉, 渡辺 孝一, 金田一 智章, 岡本 隆, 池田 茂
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 207-218
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    補剛箱形断面鋼製橋脚の耐震性能を支配する主要力学的パラメータはフランジ幅厚比パラメータRf, 細長比パラメータλ, 補剛材剛比γ, 補剛材細長比パラメータλSが挙げられる. 過去の実験成果を踏まえ, 高い変形性能 (ハイダクティリティー) を発揮する鋼製橋脚の設計法が文献1) で提案されている. 具体的には幅厚比および補剛材細長比をある値以下に制限し, 補剛材剛度を高めることによって構成補剛板の局部座屈の発生を遅らせ, ダクティリティーの大きな橋脚を設計しようとするものである. 上記の考えで設計製作した鋼製橋脚モデルを兵庫県南部地震の観測地震波を用いたハイブリッド地震応答実験を行い, 鋼製橋脚の耐震性能の確認を行った.
  • 北田 俊行, 中井 博, 中西 克佳
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 219-232
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 薄肉箱形断面を有する単独柱形式の鋼製橋脚柱の耐震性を向上ための以下の方法について検討するために, 7体の実験供試体を用いて, 仮動的実験 (ハイブリッド実験), および漸増変位の繰返し載荷実験を実施している. すなわち, (1) 断面の構成板パネルの幅厚比を小さくして局部座屈を防止する方法, (2) コンクリートを断面内部へ部分的に充填するときの充填方法, および (3) 柱基部を三角リブで補強する方法を, 主に着目している. そして, それらの方法を用いれば, 橋脚柱の耐震性をどの程度向上させることができるのかについて検討し, それらの方法を用いる際の留意点についてまとめている.
  • 安波 博道, 寺田 昌弘, 青木 徹彦, 山田 将樹
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 233-242
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    径厚比および軸力比をパラメータとする高張力鋼 (SM570Q) を用いて製作した鋼管の片持ち柱供試体, 計8体について, 地震力を想定した準静的繰り返し載荷実験を行い, 耐荷力ならびに変形性能に関する調査を行った. 実験データが不足する径厚比パラメータの大きい領域の鋼管柱について, 材料降伏点で無次元化した径厚比, 軸力比と耐荷力上昇率, 塑性率との相関を得た. これらは普通鋼を用いた既往の実験結果と同様の傾向を示した. また, これまでに各機関において実施された既往の実験データも総合して, 鋼管柱の耐荷力上昇率および塑性率の推定式を提示した.
  • 岡下 勝彦, 大南 亮一, 道場 康二, 山本 晃久, 冨松 実, 丹治 康行, 三木 千壽
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 243-261
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    神戸港港湾幹線道路 (ハーバーハイウェイ) の鋼製門型橋脚P75は, 兵庫県南部地震により隅角部に大きなき裂の生じる被害を受けた. き裂の原因を究明するため, 破面調査, 材料特性試験およびFEM解析による地震時発生ひずみの推定を行った. 破面調査の結果, 隅肉溶接止端部を起点として進行したき裂のほとんどで脆性破面の様相が見られた. 材料特性試験からは, き裂起点部近傍の部材が降伏ひずみを大幅に超える大きな予ひずみを受け, 靭性が低下していることがわかった. また, FEM解析により, 当該部のひずみ, および, ひずみ速度とも非常に大きかったと推定された. 以上の結果から, 今回の損傷は, 降伏ひずみを超える大きな予ひずみを受け靭性が低下した材料が, 速いひずみ速度により脆性破壊したことが明かになった.
  • 栄藤 修, 三原 孝夫, 三木 千壽
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 263-272
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震により鉄道用高架橋である生田架道橋が落橋は免れたものの柱の破断を含む大きな損傷を受けた. 1967年に架設された生田架道橋は, 全長50mの3径間連続桁を両端はRC橋脚, 中央は遠心力鋳鋼管柱を用いた門型ラーメン橋脚で支持する構造であり, 地震により鋼桁が西方端で北に1m移動し, 西方の可動支承と橋脚が破断, 東方は固定支承と橋脚は無事であったが支承基礎部のRC橋脚が破壊した.
    本報告は動的応答解析, 静的弾塑性解析, 破面観察, 材料試験等から損傷の原因, メカニズムの究明調査を行ったものである.
  • 三木 千寿, 四十沢 利康, 穴見 健吾
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 273-281
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    前の阪神・淡路大震災において, 神戸市港湾幹線P75鋼製門型ラーメン橋脚隅角部で発生した脆性破壊に注目し, 当該橋脚をモデル化した大型試験体を用いて正負交番載荷実験を行い, 当該橋脚に生じた脆性破壊の再現を試みた. その結果, 隅角部では, 隅角部における歪み集中により, 隅角部の溶接ビード交差部に生じた割れを起点として脆性破壊が生じる可能性があることを明らかにした. また, 同様の新設・既設隅角部ディテールに対する補強案として, 脆性破壊の原因と考えられる隅角部での歪み集中の緩和を目的としたRを有するリブを取り付ける手法を正負交番載荷実験及び弾塑性FEM解析により検討した結果, 十分な耐震性能の向上効果が見られた.
  • 大友 敬三
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 283-297
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地盤液状化に伴う側方流動が地中構造物に作用する場合の荷重特性について種々の検討を加えた. 振動台による側方流動実験の結果, 液状化した地盤は泥水状となって流動し, 地中構造物模型に抗力として作用することがわかった. 次に, 液状化地盤の粘性係数および抗力係数とレイノルズ数の関係などを実験により測定した. これらの特性は液状化した地盤が粘性流体として近似できることを裏付けた. また, これらの実験データに基づけば, 地中構造物模型に作用した側方流動の荷重を抗力により推定可能なことを確認した. さらに, 液状化範囲が狭い場合には, 抗力は地中構造物の変形に大きな影響を及ぼさないことを数値解析によって示した.
  • 小林 実央, 安藤 広和, 小口 憲武
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 299-312
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地震時, 埋設管の軸方向に作用する地盤拘束力について, 大規模地震動を想定した速度依存性および繰り返しによる影響を検討するため, ポリエチレンコーティングされた鋼管 (PLP鋼管) を対象として振動台実験を行った. その結果, 地盤拘束力が地盤の速度に依存しないことが確認された. また, 加振条件によらず埋め戻し地盤と管の間に1mm以内の微小な相対変位が発生した時点ですべりが生じ, 拘束力は6kN/m2程度の限界値を示す完全塑性モデルに近い非線形挙動を示した. さらに, 大変位を繰り返し作用させることで拘束力は著しく低減することがわかった. 併せて, 高速一面せん断試験を最大速度160cm/sで行い, 振動台実験と同様, 軸方向地盤拘束力が速度に依存しないことなどが確認された.
  • 谷山 尚, 渡辺 啓行
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 313-325
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    活断層が堆積物で覆われている場合, 断層の動きに伴い堆積層がどのように変形するかは構造物の安全性を考える上で重要な問題である. 本研究では, 逆断層が砂質の堆積物で覆われている場合について, 室内模型実験及び数値解析により検討した. 滑り線をジョイント要素. 周囲の地盤を弾塑性体とした有限要素法解析により, 模型実験結果を比較的良好に再現できることを示した. さらに, 基盤の震源断層の動きを動力学的モデルにより求めて, 実際の砂質地盤を想定した数値解析を行った. その結果, 仮定する地盤の条件にも依存するが, 堆積層厚の数パーセント程度の鉛直変位食い違い量が基盤の断層上に生じると, 堆積層内を伝播して地表にまで達する破壊が生じる可能性が高いことを示した.
  • 岡林 隆敏, 山森 和博, 田丸 康広, 吉村 徹
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 327-337
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    土木構造物の振動計測は, 構造物の維持・管理のために利用されつつある. 本論文では, 振動計測現場において, 高い精度での構造同定を可能にするために, 構造物の振動特性の推定法を示し, かつ, 仮想計測器ソフトウェアを用いた軽量で可搬型の計測システムの改善を行った.
    多自由度系の構造同定の手法として, まず, バンドパスフィルタにより多自由度系を1自由度系に還元する処理を行い, 次に, 1自由度系の衝撃応答関数を非線形最小二乗法で曲線適合させる方法を提案した. 5自由度系模型の数値シミュレーションデータと実測データから, 本システムによる高精度の振動特性推定が可能であることを確認した. さらに, 同時多点観測データから, 実時間振動モードをモニターする手法を示した.
  • 岡林 隆敏, 加賀 敏明, 吉村 徹, 尾口 慎也
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 339-349
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    走行車両による橋梁振動に対し, 全状態フィードバックによるアクティブ制御を行うためには, 車両および橋梁の各次振動の状態量が必要となる. しかし, これらを直接, 計測することは不可能である. 本研究では, カルマンフィルタにより車両, 動吸振器, 路面凹凸および橋梁の各次振動を橋梁1点の観測値より推定した. 次に, この推定機構を用いハイブリッド制御を行うために最適レギュレータ理論を適用し, 確率的制御理論すなわちLQG制御として定式化した. これらの有効性を検討するため数値シミュレーションを行った. 橋梁はより現実に近いモデルを構築するためプレートガーダー橋を想定し, 有限帯板法によりモデル化した.
  • 伊藤 一雄, 香月 智, 石川 信隆, 阿部 宗平
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 351-364
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 礫中詰め型の砂防ダムが土石流中の巨礫衝突を受ける際のめり込み抵抗を明らかにするための基礎的研究として, 鋼板の背後に裏込めされた中詰材に着目し, 水平衝撃荷重を受ける砂中詰材の動的変形特性について実験および個別要素法によって検討したものである. まず, 砂中詰材を用いて衝撃実験を行い, 局部抵抗力~変位関係に及ぼす衝突部の深さや中詰材の締め固めの影響について調べた. また, 高速ビデオを用いて中詰材の変形メカニズムについても検討した. 次に, 中詰材の締め固めによる抵抗力が個別要素法における要素配列の配位数と密接な関係があることに着目し, 応力伝達率という概念を導入した新しい個別要素法を提案した. 最後に, 本法が締め固め程度の異なる2種類の中詰材の変形メカニズムとその抵抗力を良好にシミュレートできることを示した.
  • 清野 純史, 三浦 房紀, 八木 宏晃
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 365-378
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    筆者らは, 地下街などの閉鎖的で特殊な空間を対象に, そこで地震災害や火災などが発生した場合の人間行動を定量的に評価するために個別要素法 (DEM) を用いたシミュレーション手法を提案している. 本研究では, 障害物を滑らかに回避したり, すれ違いや追い越しなどの基本的な人間行動をできるだけ現実に即して再現できるようなモデルを構築するとともに, 平常時および緊急時における個体要素のバネ定数や歩行速度, 個体推進力を決定するために, 過去に行った簡易実験よりも詳細な実験を行い, 解析に用いるパラメータを決定した. そして, これを1980年にガス爆発事故の惨事を引き起こした静岡駅前ゴールデン地下街の当時の地下街と現在の地下街に適用し, 避難行動解析を行った.
  • 高橋 和雄, 藤井 真, 西村 寛史
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 379-389
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    土石流が頻発した雲仙普賢岳の火山災害では, 交通を確保するために緊急連絡橋の建設, 橋梁の土石流対策, 防災工事を行うために交通を確保しながら, 橋梁の架け替えが行われた. また, 導流堤や拡幅された河川を横断するスパンの橋梁が架設されつつある. 本報告では,雲仙普賢岳の火山災害における橋梁の応急・緊急および本復旧対策を述べる.
  • 宮島 昌克, 北浦 勝, 近藤 宏樹, 森 伸一郎, 三輪 滋, 沼田 淳紀
    1998 年 1998 巻 591 号 p. 391-394
    発行日: 1998/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
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