成層期における海-陸境界部としての極浅海域特有の水環境特性を, 東京湾奥部人工海浜海域を対象とした現地観測と, 数値計算により検討した. 現場海域の水温構造は風速と日射量の変動特性にかなり依存しており, 微風時には潮位変動に伴う沖側底層水塊の貫入が発生し, 強い沖出し風が連吹すると沿岸湧昇により沖側底層水塊の湧昇が起こる. 境界部である海岸域では貧酸素水の湧昇の影響により強い青潮が生じるとともに, 青潮後のブルーミングにより赤潮状態へと移行する. また, 水深が浅いほど日射の影響を強く受け, その結果, 水温成層構造に明確な岸沖分布が形成されるとともに, 水温・溶存酸素量・植物プランクトン量等の日周変動レベルが極めて大きくなる. さらに, 極浅海域では沖側と比較して, 風によって引き起こされる湧昇や吹き寄せなどに伴う水平移流による熱フラックスが, 日周期および長周期の水温変動特性に大きく寄与していることなどを明らかにした.
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