土木学会論文集
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1998 巻, 593 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 中山 恵介, 長谷川 和義, 藤田 睦博
    1998 年 1998 巻 593 号 p. 1-10
    発行日: 1998/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    石狩湾中央で冷気流の流出にともなって発生する雪雲の特性を過去3年間のデータを基に解析したものである. カイト気球観測・ピンネシリレーダデータ・SNET・ゾンデデータを用いることにより冷気流と雪雲の発生・発達・推移・衰退との関係を確認した. 過去3年間のレーダデータ・SNET・ゾンデデータより雪雲の規模をLevel0Level3まで定義し, その発生予測が冷気流フロントに平行する上空南北風速成分により可能であることを見いだした.
  • 鈴木 伴征, 入江 光輝, 石川 忠晴
    1998 年 1998 巻 593 号 p. 11-19
    発行日: 1998/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鉛直不飽和浸透流の数値計算において, 時空間アイソパラメトリック要素を用いた有限要素法により飽和・不飽和境界が要素境界と常に一致する計算法を提案した. また, その特殊な場合として, 三角形要素を裏返して計算をおこなうことにより, 浸潤面位置を未知数に含めて完全陰解法が構成できることを示した. 次に, 地表での給水及び地盤下端での給排水が与えられる条件下で上記解析法を適用し, 時間ステップ, 空間ステップの変化に対する計算精度の評価をおこなった. その結果, 時間ステップ及び空間ステップをかなり粗くしても高い精度が得られることがわかった.
  • 鈴木 興道
    1998 年 1998 巻 593 号 p. 21-29
    発行日: 1998/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    魚類の体長と選好流速との関係を明らかにするため, 自然河川において魚類の採捕とその場の流速測定を行った. スゴモロコとウグイの標準体長40mm以下の稚魚は, 流速5cm/sec以下の表層付近を遊泳し, 体長40mm以上に達すると急速に中~高流速帯の中~底層へと生息域を広げ, 成魚とほぼ同じ流速域を遊泳していた. ブルーギルとヨシノボリは, 稚魚~成魚の大半が流速3cm/sec以下の流速域を遊泳していた. コイ, フナ, カワムツ, においても同様に, 稚魚は流速5cm/sec以下の微流速域を好んで遊泳し, 成魚期にさしかかると急速に生息域を広げる事が認められた. オイカワは体長40mmを越えると既に早瀬に出現していた. これらの結果は, 魚の住みやすい川づくりを考える場合, 特に稚魚の生息域となる抽水植物帯や浮き石帯河床の必要性を示す基本的な資料になるものと考えられる.
  • 大成 博文, 渡辺 勝利, 佐賀 孝徳, 斎藤 隆, 波多野 慎
    1998 年 1998 巻 593 号 p. 31-40
    発行日: 1998/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    染料流脈パターンと粒子流跡を同時可視化する方法を用いて, 壁乱流の秩序構造とその縦断面せん断構造が究明された. とくに, 壁近くの low speed streaks の lift-up (bursting の第1過程) 現象, 壁から離れた領域における横渦の巻き上げ (roll up) 現象などが, 流れ方向および鉛直方向の速度せん断構造特性と重要な関係を有することが明らかにされた. また, その流れ方向および鉛直方向の速度せん断構造は, それぞれ, 鉛直方向および流れ方向に, 正負の高い速度せん断値が交互に形成され, それらが直交する特徴を有する. さらに, 染料流脈パターンの形成が, これらのせん断構造の特徴に密接に関係することが示された.
  • 末次 忠司, 栗城 稔
    1998 年 1998 巻 593 号 p. 41-50
    発行日: 1998/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    特に市街地において家屋群が氾濫水の挙動に与える影響は大きい. 本研究では実験に基づいて, 家屋占有率を考慮した合成粗度係数式を提案するとともに, 土地利用毎の粗度係数を設定した他, 実験・計算に基づいて二次元不定流モデルのモデル構成の検討を行った. そして, 新モデルの妥当性の検証・感度分析を筑御川及び鶴見川流域において実施し, その有効性が確かめられたまた. 防災GISとしてのハザード・シミュレータを鶴則川流域を対象に開発した.
  • 福岡 捷二, 西村 達也, 高橋 晃, 川口 昭人, 岡信 昌利
    1998 年 1998 巻 593 号 p. 51-68
    発行日: 1998/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    水制工は河岸近傍の流れを抑制し河岸の侵食を小さくする機能を有していることから, 侵食対策工として用いられてきた. 近年では河岸侵食対策だけでなく多様な生態系を有する川づくりの一手法として用いられてきている. 本研究では, まず固定床および移動床直線水路を対象に, 越流型水制設置に伴う流れ及び河床変動の変化の実験を行いこれに対する解析を行った. その結果, 水制周辺の流れ及び河床変動を十分に表すためには, 水制が流れに及ぼす影響を外力として取り入れる必要があることを明らかにした. 次に, 蛇行水路に水制を設置した大型水理模型実験結果と水理計算モデルによる解析結果から, 弯曲部外岸側の洗掘深を効果的に軽減することができる水制の配置と設計法を提案している.
  • 禰津 家久, 中山 忠暢
    1998 年 1998 巻 593 号 p. 69-78
    発行日: 1998/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    開水路に特有な自由水面は乱れの再配分率の複雑化に大きな影響を及ぼすことが従来より指摘されている. 水面が穏やかな流れでは, 自由水面は渦構造の鉛直方向の動きを抑制し, 管路に比べて乱れの非等方性が大きくなる. 一方, Fr=1の限界流近傍では乱れの inactive 成分の卓越によって流れが波状特性を示し不安定になる. さらに, Fr数の増加とともに水面変動は増加し, 逸散率等に大きな影響を及ぼすとともに, 水面が穏やかであることを前提とする Hunt の理論は成立しなくなる. 本研究では2台のレーザ流速計および超音波波高計の同時計測を行うことによって, このような自由水面近傍の乱流構造と水面変動の関連性についての考察を行う.
  • 池田 駿介, 山田 知裕, 杉本 高
    1998 年 1998 巻 593 号 p. 79-91
    発行日: 1998/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    植生を有する場では, 裸地とは異なる複雑な乱流構造が存在し, その乱流構造に密接に関連した運動量, 熱・物質輸送が行われている. 本研究では1996年7月27日に東京都大田区の多摩川河口部から1kmほど上流の地点に広がるアシ原において放射計, 超音波式風速・温度計, 赤外線式炭酸ガス・水蒸気変動計, サーモグラフィーなどを用いて行った観測をもとに, 植生場で起こる乱流構造と運動量, 炭酸ガス, 水蒸気の鉛直方向輸送及び熱輸送の時空間分布を調べた. その結果, 各輸送形態の特徴をとらえ, 輸送量を定量的に把握することができた. また, 熱画像により平面的な組織渦の伝播を捉えることができた.
  • 池田 駿介, 戸田 祐嗣, 佐野 貴之
    1998 年 1998 巻 593 号 p. 93-103
    発行日: 1998/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    瀬の流れと水質及び生物生産に関する現地観測を東京都奥多摩地域の秋川で行った. 河床礫や水表面波形の空間分布を様々な計測機器を用いて計測した結果, 大礫の平均径や標準偏差が水表面のテクスチャに影響を与えることが明らかになった. 同時に, 瀬の日射環境, 溶存酸素量や一次生産量を計測した結果, 溶存酸素量の日変化は主に河床の藻類の光合成によって引き起こされること, 観測対象とした瀬の河床付着藻類は2.49~6.65g・O2/m2/day程度の値を示し, 他の水域と比較して高い一次生産力を有することが明らかになった.
  • 逢澤 正行, 篠原 修
    1998 年 1998 巻 593 号 p. 105-115
    発行日: 1998/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    自由乱流の重力噴流に属する自由落下型落水表情と壁面乱流の開水路急変流に属する越流型落水表情の両者について, レイノルズ数の連続的変化に伴う自由表面の断続的形態変化が, 自由表面の安定問題となる第1領域, 遷移領域である第2領域, 全体が乱れる第3領域の不連続な3領域に区分できることを実験的に求め, その境界値を無次元量によって示した. また, 第1領域において, 自由表面の安定問題が微小擾乱の成長問題となり, 自由落下型の場合には表面張力が, 越流型の場合には重力が, 微小擾乱に対抗する復元力として作用することを示した.
  • 羽田野 袈裟義, 天野 卓三, 松本 治彦, 埜口 英昭, 平野 宗夫
    1998 年 1998 巻 593 号 p. 117-124
    発行日: 1998/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    海面上に流出した油の拡がりを精度よく予測することは海域環境上極めて重要である. 本研究では, 1次元の問題に限定し, 2層流モデルにより油層拡がりを予測する方法を提案している. 解析では2層流の基礎方程式を特性曲線法により取扱い, 初期値境界値問題として解析するが, その際に必要となる先端条件, 先端部の界面抵抗, 初期条件および流出位置の境界条件に水理学的な検討を行っている. 解析法の適合性をみるため, 一定体積の油が流出するいわゆる瞬間流出の実験結果との比較を行っている.
  • 内山 雄介, 灘岡 和夫, 瀬崎 智之, 八木 宏
    1998 年 1998 巻 593 号 p. 125-144
    発行日: 1998/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    成層期における海-陸境界部としての極浅海域特有の水環境特性を, 東京湾奥部人工海浜海域を対象とした現地観測と, 数値計算により検討した. 現場海域の水温構造は風速と日射量の変動特性にかなり依存しており, 微風時には潮位変動に伴う沖側底層水塊の貫入が発生し, 強い沖出し風が連吹すると沿岸湧昇により沖側底層水塊の湧昇が起こる. 境界部である海岸域では貧酸素水の湧昇の影響により強い青潮が生じるとともに, 青潮後のブルーミングにより赤潮状態へと移行する. また, 水深が浅いほど日射の影響を強く受け, その結果, 水温成層構造に明確な岸沖分布が形成されるとともに, 水温・溶存酸素量・植物プランクトン量等の日周変動レベルが極めて大きくなる. さらに, 極浅海域では沖側と比較して, 風によって引き起こされる湧昇や吹き寄せなどに伴う水平移流による熱フラックスが, 日周期および長周期の水温変動特性に大きく寄与していることなどを明らかにした.
  • 間瀬 肇, 北野 利一, 高山 知司
    1998 年 1998 巻 593 号 p. 145-154
    発行日: 1998/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 非線形不規則波浪変形理論に平均水位を考慮してその変化式を求めるとともに, 水粒子速度の算定法を提案した. 理論モデルを大型海浜断面変形実験の解析に適用し, 波浪場と流速場について, 実験結果と計算結果の比較・検討を行った. 水平水粒子速度については, 代表流速のみでなく, 流速変動の高次モーメントを調べた. その結果, 本研究で用いた不規則波浪変形モデルと水粒子算定モデルは, 十分な算定精度を有することがわかった.
  • 田中 仁, サナ アーマド, 川村 育男
    1998 年 1998 巻 593 号 p. 155-164
    発行日: 1998/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    与えられた波動の諸元に対して, 通常の波動抵抗則を用いるべきか, あるいは定常の抵抗則を準定常の仮定のもとに用いるべきかを判定するための基準を理論及び実験の成果をもとに提案した. 基準は層流, 乱流を問わず, 水深と波動境界層厚の比により表されたものとなっている. 検討の結果, 長波の場合でも, 定常の抵抗則を用いることが適切ではないことのあることがわかった. 斜面上の二種の波動下におけるせん断力を求め, 全領域で定常流抵抗則あるいは波動抵抗則を用いた場合の誤差を明らかにするとともに, 本研究で提案した抵抗則判定基準の有効性を確認した.
  • 離散渦法を用いて
    前島 正彦, 久保田 稔, 伊藤 政博, 桧和田 宗彦
    1998 年 1998 巻 593 号 p. 165-176
    発行日: 1998/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    開水路や風洞内の路床近くに設置した水平円柱に関して, 円柱に作用する流体力測定を初めとし, 流れ場構造に関する実験的研究が行われてきている. ところが, これら多くの研究は定性的論議に終始しており, 円柱周りの流れ場を定量的に評価するには至っていない. そこで今回, 著者らは路床近くの水平没水円柱周りの流れ場のシミュレーション手法として離散渦法を用いて, 一方向の流れ場条件のもとで円柱と路床との距離を変化させ, 円柱周りの流れ場を数値解析し, 著者らが行った可視化実験や圧力測定実験との比較を行っている. 計算結果と実験糸課の比較検討より, 離散渦法による計算結果は, 可視化実験による速度ベクトル分布および圧力測定実験による路床圧力係数や圧力係数の勾配さらに円柱に作用する抗力や揚力をよく再現していた.
  • 銭 新, 石川 忠晴
    1998 年 1998 巻 593 号 p. 177-182
    発行日: 1998/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    湖沼や海洋において発生する鉛直混合のうち, 風の吹送に伴う混合層内のせん断流によって生じる乱れが支配的なDI型の連行現象に対して, k-εモデルの適用性を調べた. 同モデルによる鉛直一次元の数値シミュレーションを実施し, その結果をDI型連行則に関する従来の知見と比較し検討した. その結果, 躍層の降下速度, 流速及び相対密度差の鉛直分布形, エネルギー転換率等に関して, k-εモデルは妥当な結果を与えることが示された.
  • 藤間 功司, 正村 憲史, 林 建二郎, 重村 利幸, 後藤 智明
    1998 年 1998 巻 593 号 p. 183-188
    発行日: 1998/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    汀線付近に鉛直壁を設置した円錐形の島モデルにおける線形長波理論の過渡波解を求めた. 津波数値計算に広く使われている, Staggered 格子を使用した Leap-Frog 法により求めた数値解を理論解と比較し, 格子間隔と津波数値計算の精度との関係を検討した. その結果, 計算誤差を代表する相田のパラメタκの変化が, 式 (18) で示される簡単なパラメタで表されることが分かった. また,κと最大津波高の誤差や島回りの津波高の最大誤差などとの関係を調べた. これにより, 最大津波高などに関して必要な計算精度を仮定すれば, それを得るための格子間隔の基準を決定することが可能になる.
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