土木学会論文集
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1998 巻, 596 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
  • 足立 紀尚, 岡 二三生, 曽良 岡宏, 小池 真史
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 1-10
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 多孔質凝灰岩・大谷石の一種である戸室石に対して, 定ひずみ速度排水三軸圧縮試験および排水クリープ試験を行った. さらに, Vaid の応力-ひずみ-ひずみ速度状態面の概念を排水条件に適用し, 飽和粘性土に対する赤井らによる唯一的な応力-ひずみ-時間関係の概念を導入することによって, ひずみ軟化を呈する堆積軟岩の時間依存性挙動の統一的な説明を試みる.
  • 吉田 秀典, 日比野 繁信, 堀井 秀之, 工藤 奎吾
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 11-27
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    不連続性岩盤に対する解析手法を確立することは岩盤力学の重要な課題の一つであるが, その際のポイントの一つは入力パラメータの決定方法である. 地質調査や原位置試験の結果より入力パラメータを客観的に決定できる解析手法でなければ, それを実際の設計や施工管理に用いることは出来ない. 本研究では, 例えば地下発電所空洞掘削に先行して行われるトンネルの掘削を原位置応力解放試験と捉え, 掘削時に計測される内空変位の結果から地下発電所空洞掘削解析に必要な入力データを同定するという, 解析パラメータの同定方法を提案し, その有用性を示した.
  • 足立 雅樹, 安原 一哉, 島袋 淳
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 29-38
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 細粒分として塑性のないシルトを砂に混合した供試体に対し, 一連の非排水繰返し三軸試験を行った. 前報で提案した方法に基づき作成された締固め砂質土供試体の液状化特性, 及び液状化後の体積変化特性に及ぼす, (1) 密度, (2) 細粒分含有率, (3) 細粒分の種類の影響について検討した. その結果, 前報で提案した正規化繰返し強度比 (=繰返しせん断応力/静的せん断強度) を用いることにより, 細粒分含有率, 細粒分の種類によらないユニークな液状化強度曲線が得られること, また, 液状化後の体積ひずみはこの繰返し強度比によって定義された正規化安全率を用いれば, 細粒分含有率によらず両者の間にはユニークな関係があることを明らかにした.
  • 足立 格一郎, 村上 睦
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 39-48
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    生石灰杭改良地盤は, 生石灰の反応熱により長期間高温圧密状態にあり, あたかも加熱したドレーンにより圧密されている状況にある. しかし, 高温環境が地盤の圧密挙動や改良効果に与える影響については未だ明確にされていない. 本研究では, 改良される実地盤を想定した模型実験を行い, 加熱ドレーンによる周辺粘土地盤の圧密変形挙動を把握すると共に, 温度と透水性の変化に着目した地盤のモデル化を行い, 中空円筒圧密解析ならびに応力-浸透-熱移動連成解析による検討を加え, 加熱ドレーン改良地盤内には圧密過程の異なる領域が存在することを明らかにした.
  • 石田 毅, 陳 渠, 海江田 秀志, 水田 義明
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 49-63
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高温岩体の地熱抽出においては, 水圧破砕により造成される貯留層の評価が重要である. 本研究では, AE震源の空間分布に対してフラクタル次元を求め, その結果から貯留層の形状を評価し, また水圧破砕によって造成される亀裂の進展メカニズムについても新たな情報を得る手法の検討を行った. まずフラクタルとフラクタル次元の概念を整理して示したのち, 震源分布を模擬した点の分布モデルを用いて基礎的な検討を行い, この手法の有用性と信頼性の限界を調べた. その結果に基づき, 深度1000mの坑井を用いた高温岩体発電実験のAE震源分布のフラクタル次元を求め, その結果を現地の地質状態などと比較して造成された貯留層の性状の評価を行い, この手法により新たな観点から貯留層を評価できる可能性があることを明らかにした.
  • 小坂 寛已, 今田 徹, 小笠原 政文, 津野 和宏, 藤井 義文, 平井 卓
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 65-79
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 水平に近接した2本の円形シールドトンネルに作用するゆるみ土圧の特性を明らかにするために, 2つのトンネル模型装置を用いた遠心力載荷実験を実施するとともに, DEM解析によるシミュレーション解析を行った. 遠心力載荷実験では, 遠心力場でテールボイドに相当するトンネルカバを引抜くことでゆるみ土圧を発生させた. その結果, 先行トンネルのセグメント頂部に発生する曲げモーメントは, 近接する後行トンネルのテールボイドの発生により, 先行時の約2倍になることがわかった. DEM解析では, トンネルのテールボイド発生の影響を定性的, 定量的にシミュレートできることを確認するとともに, トンネル離隔を変える解析を行うことにより, 近接して施工される2本のトンネルに作用する鉛直土圧の推移を推定した.
  • 辻 清, 半沢 秀郎
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 81-90
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    軟弱な海成粘土上に土構造物を建設したり, 埋立や土地造成を行う場合, 計画, 設計, 施工管理において, 地盤の安定と変形問題を適切に評価することは重要な課題である. そのためには, 地盤のせん断強度や変形特性を精度よく把握する調査, 試験法が要求されるが, 実務的には簡便でかつ低コストであることが望まれる. 本論文は, この目的に最も適した試験として一面せん断試験を取り上げ, この試験から得られた強度, 変形特性を, 一軸圧縮, 三軸圧縮・伸張, 単純せん断, 現場ベーンおよびコーン貫入試験から得られた強度, 変形特性との関係について, 世界各地の海成粘土について得られたデータをもとに検討を加えたものである.
  • 福本 武明, 原 健夫
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 91-99
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    土を構成する粒子には, 強いものもあれば弱いものもある. 本論文では, 種々の粒状土による粒子強度の分布特性について, 実測結果に基づいて詳しく検討している. 主な結論は, 粒子強度の分布が負の2項分布で相当うまく近似できること, 粒子強度が粒状土の種類や粒径によって異なること, 特に粒径の小さいものほど平均破壊応力が増大すること, 吸水による粒子強度の低下が一様に認められること, などである.
  • 松田 博, 高橋 総一, 藤原 克久, 来山 尚義
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 101-110
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    粘土地盤に対してSCP (サンドコンパクションパイル) 工法を適用する場合, 砂杭を圧入すると地盤改良域内のみならず, 改良域外においても過剰間隙水圧が発生して強度が低下する. 特に改良域外においては, 発生した過剰間隙水圧の消散が改良域内のように早期に期待できないという報告もある. そこで, ここでは特に徳山下松港での低置換率SCP工法による地盤改良工事に際して行われた土質試験結果, および多軸単純せん断試験結果をもとに, 砂杭の打設が地盤改良域外の粘土地盤の強度に及ぼす影響, また影響が及ぶ範囲について調べた. その結果, 砂杭打設直後は改良域外においても粘土のせん断強度が減少すること, また砂杭打設に伴う影響が及ぶ範囲は, 受働土圧を受ける粘土地盤のすべり線によって推定できることが明らかになった.
  • 八嶋 厚, 鷲見 武富, 岡 二三生, 足立 紀尚
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 111-121
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ジョイントを含む岩盤のせん断試験を行った場合, しばしば応力-変位の関係にひずみ軟化現象が観察される. このため, 不連続性岩盤の変形挙動を検討する上で, ジョイントのひずみ軟化挙動を記述できるモデルの確立は大変重要となる. 本論文では, 応力履歴の導入によって, ひずみ軟化型不連続面モデルを誘導した. さらに, ジョイントの一面せん断試験の数値解析を通してモデルパラメータの決定法について検討した. その結果, 提案モデルが不連続面のせん断応力-せん断変位関係を良く表現することを明らかにした.
  • 宮田 喜壽, 木暮 敬二, 谷澤 房郎, 落合 英俊
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 123-130
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    火山灰質粘性土のような高含水比の土を用いた盛土施工において, 不織布を水平排水材として使用する場合, 面内方向通水性能が重要な機能となる. 不織布の通水性能は種々の要因によって低下するが, 中でも不織布が土粒子を捕捉するために生じる目詰まりの影響ま大きい. 本研究においては, 目詰まりが通水性能に及ぼす影響を明らかにするために, 4種類の不織布それぞれを5段階の異なる目詰まり状態にして, 通水性能試験を実施した. その結果, 目詰まり不織布の通水性能は目詰まり程度に関わらず, 拘束圧の増加で指数関数的に減少することが明らかになった. そして, 疎に綴られた不織布は未使用状態で高い通水性能を示すが, 目詰まりの影響によって通水性能が大きく低減することが分かった.
  • 森田 年一, 菅野 高弘, 宮田 正史
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 131-142
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    平成7年兵庫県南部地震は, 各種の土木・建築構造物に甚大な被害をもたらし, 港湾構造物においては, 多数の重力式岸壁が被災した. そこで, 被災時の重力式岸壁およびその付近の地盤の挙動を明らかにし, 被災原因を検討することを目的として, 数値解析 (非線形動的有効応力解析) を行った. 本報告では, 解析結果を用いて, 実際の被災形態との比較を行い, 変形に対する加速度の大きさの影響, 液状化の影響等の検討を行った. その結果, 被害に対しては, 地震による慣性力の大きさとともに地盤の間隙水圧上昇の影響が, 大きいことが数値解析的に明らかにされた. 重力式岸壁の地震時の変形量に対する影響因子として「構造物の破壊震度」,「地盤の液状化強度および液状化範囲」,「地震力」が挙げられた.
  • 小高 猛司, 高稲 敏浩, 浅岡 顕
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 143-152
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    剛塑性FEMを用いて土留め壁支持の掘削地盤の安定解析を行うために, 速度場に「距離不変」,「角度不変」および「相対位置不変」の各線形制約条件を導入する手法を示し, さらに浸透場との連成によりボイリングの検討を同時に行う手法を示した. この手法により, 矢板の不動と可動の両条件を比較し, さらに, 完全排水 (定常浸透), 完全非排水条件での比較を行うことにより, 浸透力が地盤の安定性に大きく影響を与えていることを示した. 具体的には, 矢板を可動とした場合 (自立式矢板) の掘削地盤の限界掘削深さは, 不動とした場合に比べて, 排水条件では約1/2となり, 非排水条件の場合は約1/5まで低くなる. また, 切梁を設置した土留めであっても, 矢板を完全な不動条件としてボイリングの検討をすることは危険であることを指摘した.
  • 星川 拓哉, 中井 照夫, 檜尾 正也
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 153-162
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    これまでに, 修正応力tijを用いた砂の等方硬化型および移動硬化型の弾塑性構成モデル (tij-sand model, kinematic tij-sand model) を提案し, 3次元任意応力経路下にあるの砂の応力~ひずみ挙動を妥当に説明できることを確認している. しかし, 間隙比や拘束応力が大きく変化する場合には, このモデルでも砂の挙動を十分に説明することは難しい. 本研究では, 砂にも粘土にみられる限界状態が存在することに着目し, 新たな指標として state vadable の概念を導入する. さらに, 橋口による下負荷面モデルを参考に, 従来のモデルを密度・拘束応力の違いも考慮できるモデルに拡張を試みた. また, 本モデルの妥当性を, 密度や拘束応力を変えた砂の排水・非排水三軸試験結果等を用いて検討した.
  • 玉手 聡, 堀井 宣幸, 豊澤 康男, 末政 直晃, 片田 敏行, 高野 裕亮
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 163-174
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地盤破壊に起因した移動式クレーンの転倒災害が多く発生している. これは, 作業時に機体を支えるアウトリガフロートが地盤にめり込むことによって, モーメントのバランスが崩れて転倒するものである. 本研究では, 過去に発生した移動式クレーンによる転倒災害事例から災害に占める支持地盤の要因を調査した. また転倒災害ではアウトリガーのパンチング (めり込み) 破壊が見られたため, その荷重-沈下特性と地盤内の変形性状を調べるために, 関東ロームによる模型地盤で支持力実験を行った. さらに, アウトリガーのめり込みがクレーンの安定性に与える影響を解析的に検討した結果, アウトリガーが地盤へめり込む際の沈下挙動がクレーンの安定性に大きく影響することが解った.
  • 吉村 洋, 東田 淳
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 175-188
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    遠心実験で精度良く測定したたわみ性埋設管の土圧・変形挙動を弾性FEMによって増解析した. 解析では, 実験容器内壁に働く摩擦の影響と土の変形性の応力依存性・非線形性を考慮するため, 地盤材料の重量と変形係数を地盤の深さによって変えた. 解析結果は, 管剛性, 埋設方式, 地盤材料を変化させた22ケースの遠心実験の結果と良好な近似を示し, 各要因による管挙動の変化メカニズムを明確にできた. 特に, 仮設矢板の引抜き過程に対する解析から, 管挙動が矢板抜け跡の空洞とその周辺地盤のゆるみ領域の出現に支配されることを見出し, さらに, 管剛性と地盤材料の影響が矢板引抜き時に極めて顕著に現れるという実験事実は, これらの要因によって矢板抜け跡の空洞とゆるみ領域の発達の程度が異なるために生じると説明できた.
  • 濱田 政則, 若松 加寿江
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 189-208
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 既往地震による事例の分析, 液状化土の物性に関する実験及び模型地盤による流動実験の結果をもとに, 液状化による地盤の水平変位発生のメカニズムを探り, 変位量予測のための基礎的知見を提供したものである. 本研究により流動中の液状化土は擬塑性流体としての挙動を示すが, 加振などの外乱が停止された状態では一定のせん断変形を受けた場合に固体的性質が回復することが示された. また液状化土の流動にはレイノルズの相似則が成立し, 流動速度は液状化層厚の1/2乗に, みかけ上の粘性係数は3/2乗に比例することが示された. 研究結果を総合化することにより, 地表面勾配, 液状化層厚及びN値をパラメータとした傾斜地盤の水平変位の予測式が導かれた.
  • 三浦 哲彦, 沈 水龍, 古賀 勝喜, 中村 六史
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 209-221
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    軟弱地盤改良工法の一つとして, 柱状のソイルセメント改良体を打設して複合地盤として表面荷重を支える基礎工法がある. 柱状改良体を打設する場合に, 周辺粘土を乱すことが懸念されることから, 鋭敏性の高い軟弱地盤上の土質構造物の安定解析において改良体周辺粘土のせん断強度は無視する, というのが従来の考え方であった. 実際には改良体周辺粘土にどのようなことが生じているのかを確かめて, より合理的な複合地盤設計法の確立に寄与するというのが本論文の狙いである.
  • 杉村 淑人, 森田 豊, 渡辺 邦夫
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 223-237
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    筆者らは, ダム基礎の浸透流を把握し, 安全かつ合理的に浸透流を制御するためには, 主要な浸透流の経路となっている水みち構造の把握が重要であると考えている. そのため水みち構造と割れ目の水理機構を表現することができる浸透流解析モデルとして, 水みちネットワークモデルを提案している. 本論文では, 先ず, この解析で問題となる水みちネットワークモデルにおける貯留効果のモデル化, 割れ目の水理モデルとしての「開口性割れ目モデル」と「充填性割れ目モデル」の透水係数の扱い, それらを基礎とした各種水みち構造のモデル化について論述した. 次に, 風化花崗岩サイトで実施した孔間透水試験結果を分析し, 圧力応答パターンを5つに分類した上で, 水みちネットワークモデルを用いて孔間透水試験の数値実験を行い, 水みち構造が圧力応答パターンに与える影響を明らかにした.
  • 河邑 眞, 岡林 宏二郎
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 239-247
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    補強土擁壁の安定性を検討するには, 壁変位, 補強材の張力, 壁面土圧, 補強材と土との間の摩擦力などの関係を把握する必要がある. このような問題に対して遠心力模型実験を行ったところ裏込め地盤が非破壊状態である安定時には壁面土圧や補強材張力は設計値より小さく, 壁変位が大きくなり裏込め地盤が塑性状態になると現行の設計値にぶく一致することが明らかとなった. 本論文では, この遠心力模型実験をモデル化して, 補強土擁壁の壁変位による裏込め地盤のヒズミレベルの変化に着目して有限要素解析を行った. その結果, 遠心模型実験と同様に補強土擁壁の壁面土圧と補強材張力の関係は裏込め地盤のヒズミレベルに依存することが明確となった.
  • 幸左 賢二, 鈴木 直人, 木村 亮, 木村 嘉富, 森田 悠紀雄
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 249-260
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    杭基礎の限界状態設計法を確立するためには, 基礎が終局状態に至る挙動を明確にし, それを評価する解析手法の開発が必須である. 解析手法については, これまでにもいくつかの手法が提案がされているが, それを確認する実験は模型試験が多く, 実杭規模での群杭試験はわずかであった. 解析手法の実物規模の基礎への適用性や, 杭配置や杭間隔等の群杭効果を評価するためには, 実杭基礎での検証が必要である. そこで, 著者らは9本群杭 (場所打ちコンクリート杭) を用いた実物杭基礎の大規模な水平載荷試験を実施し, 終局状態に至るまでの杭基礎の挙動を評価した. さらに, 解析による実験の再現を試み, 非線形解析手法の検証および, その設計定数の設定法の検討を行なった.
  • 松井 保, 南荘 淳, 安田 扶律, 仲田 慶正, 今田 和夫
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 261-270
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震により被災した阪神高速道路の基礎杭損傷調査に衝撃弾性波を用いた非破壊試験 (略称SIT) を初めて適用した. 適用にあたり, フーチングや杭頭損傷に伴う繰返し反射波等の影響を除去できる波形処理解析手法を開発するとともに, 解析結果と目視結果を比較検討することにより, その適用性を検証した. さらに, 埋立地の基礎杭損傷調査への適用結果から, 地盤あるいは基礎の変位と杭の損傷との相関性を明らかにした.
  • 加藤 正司
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 271-281
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文ではコラプス現象を実験的に把握するために, 供試体に与えるサクションおよび外部載荷応力が明確な不飽和土三軸試験装置を用いて, 締固めた粘性土の等方応力条件下の水浸試験を行った. その実験結果を従来の一次元圧縮装置による水浸試験の傾向と比較した. さらに, 水浸時の吸水特性および変形特性, ならびに水浸試験より得られる等方応力面上の降伏曲線および水浸後の圧縮せん断挙動について検討を加えた.
  • 福江 正治, 田屋 直美, 松本 基, 酒井 豪
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 283-293
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地盤層序の決定や地盤汚染域検出を目的として, コーン貫入試験機のコーン上端ロッド部に電極を取り付けた電導コーンを開発した. 地盤の比抵抗を深さ方向に連続的に調べるために, 異なるロッド径や電極配置に対する比抵抗と電位差の関係を理論的に導き, 同じ土試料を使用した一次元電流実験によって, その適用性を調べた. その結果, 導いた理論的関係が妥当であることがわかった. また, 室内実験によって電導コーンの有用性を確認し, 原位置測定を実施した. その結果, 電導コーンによって測定される地盤の比抵抗が地盤の種類を極めてよく反映し, 層序決定や地盤汚染域の検出装置として有効な試験機となることがわかった.
  • 土田 孝, 湯 怡新
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 295-306
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地盤の不均一性を考慮したモンテカルロシミュレーションを行い, 初期建設費や破壊確率, 破壊時のコストを計算して, 期待総建設費を最小にするという観点から設計に用いるべき最適な安全率について検討した.
    港湾構造物の円弧すべり解析における最適な安全率は, 構造物の重要度, 地盤の不均一性や定数の信頼度および施工条件によって変わることを示した. 重力式岸壁及び矢板式岸壁の場合, 最適な安全率Fopt, は被災額率nと地盤強度定数のばらつき指標Vによって, 経験的にFopt=1.05+0.85(1+log10n)Vで表される.
  • 稲田 善紀, 島崎 修, 上田 貴夫, 松本 喬, 杉 源嗣
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 307-316
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    人々の生活水準が向上し, 各家庭において様々な機能を持つ生活空間が要求されつつあり, 保温効果および遮音効果が高い部屋が要求されている. その解決策の一つとして地下室が考えられる.
    本研究では地下室の保温効果に着目し, 3タイプの実物大モデル地下室を用いて周辺地盤および室内の温度変化を測定し, 地盤の温度変化が地下室に及ぼす影響について検討した. また, 地下室の保温性に影響を及ぼす要因の一つである周辺地盤の熱物性値を求め, 地下室を想定したモデルの温度解析を行い土中占有部分の差異が室内の温度変化に及ぼす影響について検討した. 次に, 最近建築資材として普及している断熱材を地下室に使用した場合を想定し, 冷暖房に要する消費エネルギー量について検討した.
  • 佐藤 正義, 田地 陽一
    1998 年 1998 巻 596 号 p. 317-327
    発行日: 1998/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    埋立て地盤に建設が計画されている実際の重量構造物を対象とし, 杭基礎の耐震安全性を検討するため, 実物を地盤-杭-建屋系にモデル化して, 遠心力場の液状化実験を行った. 小さな間隔で打設された群杭基礎が杭内部地盤の液状化を防止できるかの観点に注目し, 杭基礎の耐震安全性について検討した. その結果, (1) 群杭の剛性だけで杭間地盤の液状化を防止するのは困難であること, (2) 実際の重量構造物を対象とした遠心振動実験によると, 基盤入力175gal程度の地震に対する杭基礎の安全性は概ね確保されていること, (3) 実施した地盤-杭-建屋系のモデル化の手法とせん断土槽や地震波加振による実験方法は, 動的数値解析法とならんで, 今後実構造物の耐震性評価の検討に有効な手段であると言える, ことが分かった.
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