土木学会論文集
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1998 巻, 598 号
選択された号の論文の37件中1~37を表示しています
  • 渡邊 英一, 宇都宮 智昭, 谷垣 信吉
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 1-9
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 航空機着陸荷重による超大型浮体式構造物の過渡応答解析を有限要素法により行ったものである. 不規則波に対して開境界条件を適用するため, スポンジ層と Sommerfeld 境界を組み合わせた波浪吸収フイルターを適用し, その有効性を確認した. また, 航空機着陸を模擬した荷重による浮体の応答特性は, 着陸から数秒間は軸対称形状となるが, それ以後は浮体の形状の影響を大きく受け, 非軸対称形状となる事を示した.
  • 山口 栄輝, ハッマデ ムハッマド, 久保 喜延
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 11-19
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    3次元充実断面梁の有限変位解析を行うための有限要素定式化を提案する. 本定式化ではディジェネレイション法を採用し, 固体力学の支配方程式を直接解く. 解析対象とするのはティモシェンコ梁であり, その梁理論における仮定は, 離散化を行う過程の中で取り込む. すなわち, 具体的には, 新たな梁要素 (9節点梁要素) の考案とペナルティ法の適用により仮定を取り込んでいる. ティモシェンコ梁理論の仮定を用いると, 一般にせん断剛性が過大評価される. そのため, ここでは, せん断補正係数を構成則に導入する. このような定式化の流れ, およびそれにより得られる有限要素方程式は, 節点変数に回転角を含まないこともあり, 簡潔でわかりやすいものとなっている. 本定式化の妥当性は, 数値計算例により検証する.
  • 勝地 弘, ニコラス ジョーンズ, スキャンラン ロバート, 秋山 晴樹
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 21-36
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 明石海峡大橋のフラッターとガスト応答を対象に振動モード間の空力・構造連成を考慮した数値解析を行い, 全橋模型風洞試験と比較するとともに, モード間連成について検討を行った結果を述べるものである. フラッター解析においては, 6モードを用いることで模型で観測された顕著な連成効果を捉えることができるとともに, その連成メカニズムについて考察を加えた. また, ガスト応答解析においても鉛直たわみとねじれ変位に顕著なモード間連成の影響が認められ, その連成メカニズムについて考察を加えた.
  • 山田 健太郎, 曹 秋良, 奥原 祐治, 程 小華
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 37-46
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    実働荷重による溶接構造物の長寿命域での疲労耐久性を精度良く評価する場合, 荷重の相互干渉効果を考慮する必要がある. 本研究では, 3種類の鋼材 (SM520B, SS400, HT780) の中央切欠き試験片に, 定荷重 (CA), 単一過荷重 (SOL), 周期過荷重 (POL) を作用させ, その疲労き裂進展速度を測定し, 荷重の干渉効果を評価した.
  • 串田 守可, 宮本 文穂, 中川 正樹
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 47-63
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は著者等が開発したコンクリート橋診断ニューロ・ファジィエキスパートシステムのさらなる実用化を目指して, エキスパートシステム技術自体が直面している種々の問題点を検討し, システムの信頼性を高めることを目的としている. まず, 従来のアンケート調査による教師データ獲得手法を見直し, 教師データに内在する不要なあいまいさを排除する手法を提案する. また, 学習機能を保有するシステムの最大の欠陥である推論過程のブラックボックス化を防止する支援機能を新たに開発し, システム自体の推論機構の信頼度を向上させる. そして, 現システムの知識ベースを提案する手法により洗練した上で, 実橋の耐用性診断を行い, その診断結果および目視調査結果を比較する事で提案手法の妥当性を検証する.
  • 三木 千寿, 穴見 健吾, 大橋 治一, 町田 文孝, Fauzri Fahimuddin
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 65-73
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年の鋼材の強度特性の向上から, 今後, 橋梁構造の合理化の為に鋼板の板厚方向に応力が作用するディテールを活用していくことが考えられる. 本研究では, 吊橋の箱断面補剛桁のハンガー定着部の溶接継手ディテールを対象に, 鋼板の板厚方向特性を, 静的強度, 破壊じん性値, 疲労強度に注目して検討した. またその際, 鋼板の化学成分, 特にS (硫黄) 量にも注目し, 化学成分の強度特性に対する影響を検討した. その結果, 鋼材のS量を制御すれば, 対象とした継手部の安全性は十分確保できることが明らかにされた.
  • 川添 啓示, 武藤 浩樹, 麻生 稔彦, 會田 忠義
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 75-83
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    対象ばりの構造上の問題等から制振対象モードの腹の位置にTMDを装着できず, モードの腹の位置から離れた位置に複数個のTMDを装着するケースを想定する. はじめに, 対象ばりに等しい動特性を有する複数のTMDを任意の位置に装着した場合について, これらのTMDの近似調整法を提示する. ついで, 複数の任意の位置にTMDを装着して, 制振対象の1次モードを制限振幅内に抑制しつつ, 2次および3次モードの共振時の最大応答の絶対値の和を最小にする各TMDの装着位置と分担質量を最適化手法 (許容方向法) を用いて数値解析的に決定する方法を提示する. 本最適化手法を単純ばりおよび片持ちばりに適用することにより, その妥当性を明らかにするとともに, 両はりに対する最適なTMDの装着個数, 装着位置および質量の分担状態を明らかにした.
  • 藤原 博, 三宅 将, 赤井 隆晃, 河野 幸弘, 出川 定男
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 85-96
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    一般に, 鋼橋塗装の塗り替え時期を判断する塗膜調査は目視観察を主体に行われているが, 塗装や塗料に関する知識や経験の有無によって評価に個人差が生じている. 本研究は, 画像処理技術を利用することにより, 塗膜劣化を定量的に評価することが可能と考え, 既存の画像処理手法の中から濃淡モフォロジィ処理を選び, 実橋の塗膜写真13620枚を対象に抽出試験を行い実用性の検討を行った. その結果, 塗膜劣化を撮影した写真からさび, 塗膜われ, 塗膜剥離等の欠陥群の占める劣化面積率及び粒径などの特徴量を算出し, 劣化度を定量的に評価できることを実証するとともに, 特徴量から求めた塗膜劣化度評価基準を用いて塗膜の塗り替え時期を推定する可能性を示した.
  • 能島 暢呂, 亀田 弘行
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 97-109
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地震時において空間的な被害波及を最小限にとどめるためには, 連続的な広がりを持つ構造物群を一時的に分割することが重要であるが, これには緊急制御用の遮断装置を適切に配置しておくことが必要である. 本研究ではこれを大規模システムの最適分割問題と位置づけ, 確率論的手法による定式化と解法の提案を行ったものである. まず線状構造物にランダム発生する被害位置の確率密度関数に基づいて, 連続システムの期待連結長さの解析解を4種の形態について示し, 各特性を比較した. さらにこれらを任意形状に分割したシステムについて期待連結長さを求め, 最適分割問題を定式化した. その解法として動的計画法を応用した手法を提案し, 簡単な数値計算例を掲げて最適分割形状に関与する要因について考察した.
  • 高西 照彦, 園田 敏矢, 多田 浩
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 111-123
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    TLDを設置した構造物が風や地震等の外乱を受けたときの動的応答解析を行う場合, TLD内容液の等価振動系が与えられていれば, それはTLD-構造物系の連成振動を解析するのに用いて非常に便利である. TLDが線形振動するときの等価振動系については既に広く知られているが, 非線形振動をする場合のそれについてはあまり研究がなされていない. 本論では長方形TLDが水平方向の強制変位を受けてその内容液が非線形振動を行う場合 (ただし砕波を生ずるまでには至らぬ範囲内で) に, その振動現象を近似的に表現する等価振動系を提案し, これを用いて算出したTLD内容液及びTLD-構造物系の振動特性が, 実験結果及びFEMによる計算結果に比較的よく一致することを示した.
  • 井浦 雅司, 熊谷 洋司, 小牧 理
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 125-135
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本報告では, 縦リブで補剛された円形鋼製橋脚を対象として, まず縦リブ本数と円筒シェルの半径を変えた6体の実験結果について報告する. 実験方法は, 一定の軸力を作用させながら, 横力として降伏変位を基準とした正負交番1回漸増繰り返し載荷を行っている. 本供試体の崩壊形態は全て象の脚座屈であり, 円周方向への亀裂は見られなかった. しかしながら, 1体の供試体において, 縦リブ溶接線に沿って亀裂が発生し, その一部は母材を貫通していた. 次に, 本実験結果と既往の実験結果および数値解析結果を基に, 板厚変化部を有する円形鋼製橋脚の最高荷重と最高荷重点における変位を推定する新たな方法を提案している. 最高荷重を推定するパラメータは, 変断面橋脚にも適用できるように先に著者らが提案したパラメータを修正している.
  • 臼木 恒雄, 澤田 利明
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 137-148
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    橋梁形式は二主けた橋に代表される広幅員化と鋼コンクリート複合橋に代表される薄肉軽量化が大きな課題となっている. これらの結果, けたの平面保持および断面形保持の仮定は, 限界状態設計法の適用も考慮すると, もはや守られ難い状況になっている. そこで, 本研究では古典的はり理論の二大前提「断面の平面保持」および「断面形不変」を除き, 板の曲げ変形効果も考慮した一般性および汎用性の高い弾性理論式を誘導した. せん断遅れは高次の項まで考慮することができる理論のため, 高い精度を得ることが可能である. さらに, 多室箱桁の例題を解き, 得られた数値より本理論の妥当性を検討した. 解析には修正伝達マトリックス法も用い, 構造系および支配方程式に離散化を行わない厳密性の高い解を得た.
  • 呉 智深, 町田 篤彦, 高 東劭
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 149-159
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 要素内部の不連続面におけるモードIやモードIIのような不連続変位が表現できる有限要素定式化を, 拡張された仮想仕事原理の適用によって三次元的に行った. 一般化された解析法では, 不連続変位に関する自由度が有限要素支配方程式に現れず, 通常の有限要素離散化過程と同様な形となっている. また, 各種不連続破壊モードを統一的に取り扱うために, 非線形破壊力学モデルを適用した不連続面における構成則関係の提案を試みた. 最終的に, 変位の適合条件により導かれた二次元不連続変形場を用いて, プレーンコンクリート試験体のクラック進展解析および鉄筋とコンクリートの付着特性に着目した構成部材の曲げ破壊性状に関する解析を行った結果, 本研究手法の妥当性および有効性を提示した.
  • 梶田 幸秀, 宇都宮 智昭, 渡邊 英一
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 161-170
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は有限要素法により大型浮体構造物の波浪応答解杭を行ったものである. 従来, データ作成や記憶容量における不利, ならびに無限境界の処理が必要となるため, あまり研究されなかった. しかしながら, コンピューターの発達や無限要素を用いることにより, 有限要素法の波浪応答解析への適用は十分可能であることを示した. また, 他の解析手法との比較を行い, 本研究で開発したプログラムの妥当性についても言及している. 縦1000 (m), 横500 (m), 喫水4 (m) の大型浮体構造物を対象とし, 浮体構造物を均質な板としてモデル化を行い, 波の入射方向や, 入射波の波長, ポアソン比などを変化させ, 波浪応答に与える影響について述べている.
  • 謝 旭, 長井 正嗣, 山口 宏樹
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 171-181
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    斜張橋は益々長大化する傾向にあり, その終局弓鍍を正確に推定することが設計上重要な課題となっているが, 長大斜張橋, 特に軸力が支配的となる主桁の耐荷力評価のための具体的設計法は確立されていないのが現状である. 斜張橋では, 長支間においても幾何学的非線形性の影響は小さいため, 断面の塑性化が終局強度に及ぼす影響は著しく, 弾性有限変位解析のみで終局強度を正確に評価することは困難と考えられる. したがって, 長大斜張橋の安全性と経済性を評価するためには, 材料非線形を考慮し, 終局状態での両者の非線形性が同時に考慮できる複合非線形解析を用い, その挙動を検討しておく必要がある. 本論文では, 多室箱桁の複合非線形性を考慮した三次元解析法を定式化し, 長大斜張橋の終局挙動を解析するプログラムを開発した. また, 中央支間1400mの斜張橋案を例として終局強度解析を行い, その非弾性挙動や終局強度特性を検討した.
  • 園田 恵一郎, 鬼頭 宏明, 中島 一男, 上中 宏二郎
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 183-202
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は,「合成構造用鋼材」の一種である突起付き鋼板のせん断伝達特性を明らかにすることを目的に, 計84体の供試体に対し一定側圧の下での引抜きせん断載荷実験を行い, その破壊形式, 耐荷機構, せん断強度, ずれ変形特性ならびにスタッド併用時の挙動を調べたものである. 供試体は, 平鋼板, 縞鋼板, 線状突起付き鋼板の3種の鋼板を用い, 突起の高さ, 間隔, 個数, 側圧強度ならびにスタッドの有無を実験変数に選び, 得られた結果より各実験変数がせん断伝達特性に及ぼす影響を定量的に評価し,せん断伝達強度の算定式の提案を試みた. さらに, 突起付き鋼板とスタッドとの累加強度特性ならびにリブ鋼板の挙動に関する簡易数値モデルの構築についても検討を加えた.
  • 小長井 一男, 野上 仁昭, 勝川 藤太, 鈴木 猛康, 三神 厚
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 203-210
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    振動台は入力地震動を再現する加振装置であるが, 実際意図した波形を忠実に再現することは容易ではない. これは模型が振動台の質量に比べ無視し得ない質量を持ち, 例えば模型の共振振動数に一致するような入力が与えられた場合, 振動台の加振力が不足することが起こり得るからである. このため入力を補正して結果として振動台の動きが意図された地震動に近づくようなイタレーションがしばしば行われる. しかしながら実際, 対象とする構造物がその基礎や地盤と相互作用を起こすことを考慮する場合には, この制御方法は必ずしも適切ではない. ここでは対象構造物とその基礎部あるいは地盤との相互作用を反映させる振動台の制御方法を示し, この手法の効果を確認する基礎実験の成果を紹介する.
  • 大島 俊之, 三上 修一, 山崎 智之, 小倉 裕介, 石川 義樹
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 211-226
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は履歴復元力である曲げモーメント (M)-曲率 (φ) の関係が部分的に軟化する柱部材の非線形曲げ振動応答解析を対象として, 数値解析上の計算の安定性を検討して不安定時の処理法を提案するとともに, その弾塑性応答解析結果を示した. また従来より用いられているM-φ関係を直線近似して解析する手法との比較を行うため, エネルギー応答や応答軌跡を位相平面で比較する方法などによって検討した.
    また計算過程の検証を行うため, 既往の実験結果との比較計算を実施した.
  • 野澤 剛二郎, 田村 哲郎
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 227-238
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高次精度風上差分法の数値粘性がSGS乱流粘性に卓越することを防ぐ方法として提案されている large-eddy simulation の手法を, 一様流中の正方形角柱まわりの複雑乱流場の計算に適用した. 角柱に働く空気力係数を実験値と比較することで, この手法のパラメータである数値粘性項の係数とフィルタ幅を変化させることによる予測値への影響を検討している. また, 角柱まわりの風速の変動成分について, カルマン渦の放出に伴う周期的成分とランダム成分に分けて実験値と詳細な比較を行っている. 特に角柱側方の剥離剪断層内におけるランダム成分の発達の具合はパラメータの変化に強く影響を受けており, これが正しく再現されるようにパラメータを設定することで空気力係数や流れ場全体の解が改善されることを確かめた.
  • 阿部 雅人, 樋口 健, 名取 通弘, 岩佐 貴史
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 239-246
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    テザー衛星システムは, スペースシャトルなどの母船と子衛星が柔軟なテザー (ケーブル) で結ばれたシステムであり, 実験観測や長大宇宙構造物建造にあたって幅広い応用が期待されているが, その柔軟性のために振動が問題となる. 特に, 収納時においては, 発散振動が生じることが知られており, 何らかのアクティブな制振策を導入する必要がある. 本論文では, テザー長の調節による衛星軌道面内の振動制御を対象に, (i) 非線形の運動方程式を線形化した上で最適制御理論を適用する手順の制御則の設計法を構築し, (ii) 軌道面上の動力学を近似的に再現する地上実験により実験的にその有効性を検証した.
  • 阿部 雅人, 名取 通弘, 樋口 健, 塩竃 裕三
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 247-256
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    宇宙構造物の建造にはロケット等による輸送が前提となるため, 軽量でかつ畳み込みやすい膜面やケーブル等の柔軟な構造形式が適している. 一方, 宇宙空間において構造部材の再利用を行ってコストダウンを図り, さらに構造物を大型化していくためには, 一度展開した構造物を再び収納する技術が重要である. そこで, 本研究では, 宇宙実験・観測フリーフライヤー (SFU) 回収時の太陽電池アレイ収納不良を対象として取り上げ, 柔軟な膜面展開構造物の収納時挙動を実験・解析の両面から検討した. その結果, SFU回収時の収納不良は, 展開時と収納時で変形経路が異なる一種の飛び移り現象 (snap-through) によるものであることが明らかになった. さらに, 解析に基づいて, この現象に対する構造的対策を提案した.
  • 白戸 真大, 岩熊 哲夫
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 257-268
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    構造材料・地盤材料の終局状態では極限解析で得られるパターンによく似た局所化した変形が観察される. その局所化した変形がどのように発達して終局に至るかを知ることは, 履歴中の複雑な非線形挙動を予測する上で重要である. ここでは比較的少ないパラメータで, 発達する局所的な変形を大変形領域まで安定して追跡でき, かつメッシュ依存等の数値解析上の問題点を持たない構成モデルを提案する. 特徴は, 局所変形の発生条件成立後に, 微視すべりによる第二の非弾性成分を組み込んだことである. この第二のメカニズムを二重すべり理論で表し, 弾塑性モデルに重ねたが, 引っ張り試験による数値ベンチマークテストでは安定した解析結果を得ることができた. この構成モデルの応用例として, 圧縮試験片の挙動と, 古典的な押し込みの問題を取り挙げ, その適用性を定性的に示した.
  • 香月 智
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 269-285
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 香月・Frangopol によって提案された放射状領域分割法の解析精度と計算効率を向上させるため技法の改良を行い, トラス構造物の塑性信頼性解析法への適用について検討したものである. まず, 標準正規確率変数空間の領域分割の均一性を向上するために, 分割領域の中心線ベクトルを周期型組み合わせ配置法に基づき創出する方法を提案した. 続いて, 確率変数の多い多次元空間における計算効率を向上させるため領域分割の細かさを2段階で調整する2段階領域分割法の技法を提案した. 最後に提案手法をトラス構造の塑性信頼性解析に応用しその適用性について検討した. 本論文では, 数学的基本例題によって, 周期型組み合わせ配置法による中心線ベクトル創出法および2段階領域分割法の計算精度および効率についてモンテカルロ法や方向シミュレーション法と比較検討したうえで, トラス構造の塑性信頼性解析においては, 土石流荷重を受ける鋼製砂防ダムの問題を取り上げその適用性について検討した.
  • 澤田 純男, 土岐 憲三, 飛田 哲男
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 287-298
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    墓石の転倒に関する研究は古くから行われているが, 墓石の回転現象と地震動特性との関係を明らかにした研究はほとんど見当たらない. そこで本研究では, 強震時の直方剛体の動的挙動, 特にその鉛直軸まわりの回転挙動が生じる原因を, 振動台模型実験及び3次元DEM解析を通して検討した. 直方剛体の回転挙動は, 振動の卓越する方向に回転する挙動と, 入力波の粒子軌跡が回転することによって剛体が逆方向に回転する挙動の2つに分類できることがわかった. さらに, 三陸はるか沖地震の際に回転した墓石の極く近傍で観測された加速度記録を用いてその回転挙動を再現した. これらの検討の結果, 特殊な場合を除けば, 墓石の回転方向は地震動の加速度粒子軌跡の回転の逆方向を表わしていると結論された.
  • 伊津野 和行, 児島 孝之, 鈴木 亮介, 和田 教志, 吉野 伸
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 299-309
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    多径間連続橋の, 地震時反力分散と大変形の抑制とをはかるため, ゴム材の圧縮変形を利用した反力分散装置の検討を行うことを目的に, 静的載荷試験とハイブリッド地震応答実験を実施した. ハイブリッド地震応答実験からは, ゴム材に生じるハードニング現象によって過大な変位応答が抑えられるとともに, 橋脚基部の曲げモーメントを, 許容値以下に抑えられることを示した. また, 反力分散装置に対してマルチリニア型の履歴復元力特性を仮定することにより, ハイブリッド実験結果を, 数値シミュレーションにより精度よく再現することができた. さらに, 温度変化による地震開始時における装置の初期変位は, 橋脚の地震応答に与える影響が小さいことを数値解析により示した.
  • 岩本 政巳, 藤野 陽三
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 311-322
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    調和振動下の非定常空気力を用いた従来のフラッター解析では, 空気力の前提と固有値解の振動状態が一致しないという問題点があった. 本研究では, 平板翼空気力の作用する2次元橋桁を対象に, 一般振動下の非定常空気力を用いたフラッター解析を行うとともに, 空気力および運動方程式の定式化の違いがフラッター解析結果に及ぼす影響を調べた. その結果, 一般振動仮定の定式化より求めた非定常空気力係数およびフラッター解析結果は高減衰領域において調和振動を仮定した結果と異なること, 非定常空気力の有限次数近似モデルはフラッター解析においては一般減衰振動下の空気力として機能すること, が明らかとなった.
  • 三木 千壽, 白旗 弘実, 塩崎 匡克
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 323-332
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鋼橋の突き合わせ溶接部の検査に超音波探傷試験の適用が検討されている. 溶接欠陥のうちでも特に構造部材の強度に影響の大きい割れなどの面状欠陥の検出能が問題となっている. 現場溶接継手モデルに対し, 数値シミュレーション, 実験を行い欠陥エコー特性の検討を行い, 複数経路を考慮した開口合成を行った.
  • 園田 佳巨, 衛藤 芳昭, 石川 信隆, 生駒 信康, 彦坂 煕
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 333-346
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 兵庫県南部地震で多くの被災例を残した既存の落橋防止連結板装置を改良する簡易な手段として, 連結ピンの周囲に高強度の積層繊維ゴムを巻いた緩衝ピンを提案した. ゴム緩衝ピンの効果を定性的かつ定量的に評価するため, 使用時レベルと終局時レベルの2段階に分け, それぞれに対する静的挙動および衝撃緩衝特性の検討を実験的に行い, 従来の鋼製ピンとの比較を行った. その結果, 使用時レベルでは荷重分散効果と衝撃緩衝特性に優れており, 終局時レベルでは最大耐力の低下が見られるが, 限界吸収エネルギーは増大することが認められた.
  • 帯屋 洋之, 後藤 茂夫, 井嶋 克志, 井口 真一
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 347-358
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    要素剛性分離の手法による接線剛性法による板・シェル構造の岩解析において, ベクトル則に従わない空間での有限回転を厳密に考慮した計算法を用いて, 要素端変形の評価, および節点位置ベクトルの更新を行うことにより, 極端な大変形挙動にも容易に対応できる幾何学的非線形解析プログラムを開発した.
    本手法は従来のベクトル演算によって節点位置を更新する手法に比べ格段に高い収束性を有し, 不平衡力算定による釣合計算によって, 定義した要素挙動に対して厳密に整合する大変形解を得ることができる.
  • 当麻 庄司, 鈴木 巧, 黒田 保博
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 359-370
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鋼橋の鋼重は単位道路面積当たりで表され, その橋の構造的特徴を反映するものである. 本論文は過去に建設された橋の鋼重データを集めてデータベースを構築し, 様々な角度から分析を行う. まず橋種別の比較を行って構造形式の特徴を論じ, また年度別の比較から設計基準や設計概念の変化をみる. 最近提唱されている合理桁橋や平成6年度の活荷重改訂の影響についても鋼重の面から検討する. そしてこれらの比較を簡単に行う手法として偏差値の導入を提案する. 本論文の分析結果は橋梁技術者にとって計画時における貴重な資料となるものである.
  • 徐 建年, 岡林 隆敏, 林 英次郎
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 371-379
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 従来, 異なる手法で最適設計されていた動吸振器の最適設計を, 評価関数としてH2ノルムおよびHノルムを用いることにより, 不規則振動論の視点から統一的に取扱う理論を構成する. さらに, 解析的に解くことのできない複雑な条件を有する動吸振器の最適設計について, 数値計算手法による汎用性のある動吸振器の最適設計を提案する.
    本論文では, 動吸振器が設置された1自由度系の構造物を対象にして, H2ノルムとHノルムによる動吸振器の設計を行い, それぞれの動吸振器の有効性について示した. さらに, H2ノルムによれば非定常不規則外力を受ける構造物のための動吸振器の設計が可能であることを示した.
  • 金吉 正勝, 古田 均, 田中 洋
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 381-390
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    斜張橋やニールセン橋などケーブルを構造要素とする橋梁において, ケーブル張力調整は, 設計時における最適な部材力の決定および架設管理における残留誤差の補正方法として重要である. 著者らはファジイ線形回帰分析を用いた解法を開発し, いくつかの実橋に適用してきた. 本研究では, 満足度の概念を適用することにより, より実用的な方法の開発を試みている. すなわち, 満足度により, 設計者の意図を容易に導入することができるので, ケーブルのプレストレス量および架設段階で必要になるシム量がより実用的な形で決定することができる.
  • 三輪 昌弘, 長谷部 宣男, 中島 将貴, 館 浩司
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 391-400
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    荷重作用下で変形を生じている薄板の境界の一部を変位拘束し, その後荷重を変化させたとき生ずる残留応力の問題を岩解く. 解析は, 有理写像関数と複素応力関数による方法で, 外力及び混合境界値問題の解として, 解析的に求まる変位拘束を受けない板の一様曲げの岩解と, 境界の一部に変位拘束を受ける一様曲げの岩解を重ね合わせて残留応力の解を得る. 変位拘束の条件として, 固定境界と単純支持境界の2種類の条件を考える. 残留応力によって変位拘束の端部からクラックが発生した場合の応力分布を求める. また, 残留応力が発生した後に, 更に荷重が作用した一般の荷重のもとでクラック発生のひずみエネルギー解放率を求め, クラックの発生およびその方向を調べる. 変位拘束のない荷重比の付近では, クラック発生角度は急激に変化する. これ以外の荷重比に対しては, ボアソン比が0.25のとき固定境界の場合130°~150°, 単純支持境界の場合150°前後の角度である.
  • 平野 廣和, 渡邊 茂, 丸岡 晃, 佐野 健一
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 401-411
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 偏平箱桁橋の耐風設計技術への応用を目指すために, 代表的な剥離・付着断面である断面辺長比4の矩形断面を選び, この空力特性を数値流体解析により求めようとするものである. 比較的低いレイノルズ数300~3,000の間で2次元および3次元数値流体解析を行い, 矩形断面まわりの圧力係数および背圧係数に関して, レイノルズ数をパラメータとして, 既存の風洞実験結果も含めて比較を行った. さらに, 剥離流が再付着する流れの状態に関しても, 煙風洞実験結果との比較を行った. その結果, 剥離流の再付着を生ずる断面辺長比を持つ矩形断面の正確な流れと空力特性を数値流体解析で再現する場合は, 3次元数値流体解析が必要であることが判明したので, ここにその結果を報告する.
  • 後藤 芳顯, 宮下 敏
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 413-426
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鋼製橋脚柱の地震時終局挙動は鋼製橋脚躯体のみならずアンカー部の終局挙動にも大きく支配される. したがって, 橋脚躯体とアンカー部の強度バランスを考慮したより合理的な耐震設計法を確立するためには, 橋脚躯体とアンカー部の挙動を考慮した解析を行い, 橋脚全体の地震時終局挙動の特性を明らかにする必要がある. こうした観点から, 本論文では鋼製橋脚の非線形動的応答解析法にアンカー部の挙動を考慮し, その挙動が橋脚全体の終局挙動に与える影響について明らかにする. さらに, その結果をもとにアンカー部と橋脚躯体の耐力バランスと橋脚の損傷傾向の関係を検討する. また, アンカー部を考慮した鋼製橋脚の耐震設計への簡易手法として, 地震時保有水平耐力法の適用性についても検討する.
  • 朱牟田 善治
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 427-438
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論は, 最近の地震による変電設備被害を調査し, 今後の耐震対策上の課題を抽出することを目的とする. 1993年釧路沖地震, 1993年ノースリッジ地震, 1994年北海道東方沖地震, 1995年兵庫県南部地震を中心に, 変電設備の被害と系統機能被害の特徴を整理する. これに対して, 既往の耐震対策がどのように行われてきたのかを, 個々の設備と系統運用の両面から明らかにする. その後, 変電設備の被害とそれらの耐震対策について地震間, 地域間比較を行いながら現状の耐震対策の問題点について考察する.
  • 森 猛, 公門 和樹
    1998 年 1998 巻 598 号 p. 439-444
    発行日: 1998/07/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鋼構造の弱点とされている耐腐食性を向上させる一つの方策としてその使用が考えられているステンレスクラッド鋼の疲労亀裂進展速度を明らかにする目的で, 鋼, ステンレス鋼, そしてステンレスクラッド鋼を母材とするCCT試験片を用いて疲労亀裂進展試験を行っている. その結果に基づき, 鋼とステンレス鋼の弾性係数の違いを考慮した疲労亀裂進展速度表示式を提案している.
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