土木学会論文集
Online ISSN : 1882-7187
Print ISSN : 0289-7806
ISSN-L : 0289-7806
1998 巻, 599 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 入矢 桂史郎, 平本 昌生, 服部 達也, 梅原 秀哲
    1998 年 1998 巻 599 号 p. 1-14
    発行日: 1998/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 若材齢コンクリートの温度応力によるひび割れ防止に関する研究の一環として, この応力に大きな影響を与える若材齢コンクリートの圧縮クリープ挙動について実験的研究を行ったものである. 若材齢のクリープに特有の要因は, 載荷材齢・載荷応力の影響を強く受けること, および温度依存性が大きいこと等である. 本研究では, これらをパラメータとして室内クリープ実験を行い, その結果を整理し, 考察を加えた. その結果, 若材齢のクリープひずみにおいては, 応力強度比の影響を強く受けること, その影響は載荷材齢よりも大きいこと, さらに養生中や載荷期間中の温度の影響を受けるが有効材齢の関数として考慮できることを指摘した.
  • 魚本 健人, 西村 次男, 山口 明伸, 大賀 宏行
    1998 年 1998 巻 599 号 p. 15-22
    発行日: 1998/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    FRPロッドのプレストレストコンクリート用緊張材としての適用性を検討するための基礎的な研究として, ガラス繊維, アラミド繊維, 炭素繊維を用いたFRPロッドの疲労試験およびクリープ試験を行い, 平均応力, 応力振幅, 持続載荷応力の影響について検討するとともに, これら時間依存性を有する特性の破壊機構について検討を加えた. 疲労破断繰返し回数は平均応力および応力振幅の増大とともに減少し, ガラス繊維を用いたFRPロッドに対しては, 平均応力および応力振幅を用いることにより疲労破断繰返し回数を推定することが可能であることを示した. クリープによる破断時間は, 載荷応力の増大とともに減少するが, 応力比を用いることにより, 破断時間の予測が可能であることを示した.
  • 川東 龍夫, 鈴木 宏信, 宮川 豊章, 藤井 學
    1998 年 1998 巻 599 号 p. 23-39
    発行日: 1998/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    下水処理施設の酸素活性汚泥処理システムにおいて, コンクリートの腐食および劣化メカニズムの検討を目的に, 暴露試験を行った. 供試体は経年とともに外観変状, 質量減少, 相対動弾性係数の減少が認められ, 浸漬10年以上経過した非ライニング供試体の力学的性能の低下は大きい. 細孔構造, 化学分析から検討した物性変化は表面部において著しく, その割合はコンクリートの種類, ライニングの有無によって相違する. 腐食と劣化は, 硫酸などによる要因より侵食性遊離炭酸の影響が大きく, 反応とイオンの移動メカニズムをともなって進行する. 侵食性遊離炭酸の発生は, 下水の水質とそれに伴う細菌・原生動物の活動の変化によって影響を受けるが, 種々の実験と遊離炭酸の計算結果をもとに, 腐食・劣化の推定法の提案を試みた.
  • 堤 知明, 中川 貴之, 松島 学, 大賀 宏行
    1998 年 1998 巻 599 号 p. 41-48
    発行日: 1998/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリート構造物の管理の流れは, 目視等の簡単な調査による保守点検に基づき劣化度を判定し, 補修を必要とする可能性がある場合は詳細な補修点検を実施しているのが現状である. 補修・補強が必要か否かの判断は, 管理者独自の基準や各学協会の基準に基づき行われている.
    本研究は, 現場技術者が, 今まで実際に構造物の管理を行ってきて問題なく運営してきているという実績を踏まえ, 既往の実構造物の劣化レベルの調査データに基づいて, 維持管理の現状について検討を加えるとともに, その平均的な値は最適値であると考え, 塩害劣化の主要な因子である, ひび割れ, 剥離・剥落から補修の実施の境界値を確率論的な手法を用いて逆算することで評価した.
  • 飯坂 武男, 鷲見 高典, 梅原 秀哲
    1998 年 1998 巻 599 号 p. 49-57
    発行日: 1998/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリート構造物には種々の原因によりひび割れが発生する. ひび割れの補修には, 有機系材料のエポキシ樹脂が数多く用いられている. 無機系材料は粒径が大きいために注入性が劣り, 注入用としてあまり利用されていなかった. しかし, 近年, この材料は粒径を微細にすることによってひび割れに注入する補修材料として利用され始めている.
    本研究では, 無機系補修材料の特性を明らかにするとともに, 模擬ひび割れを利用して材料の注入性から注入状態を推定したものである.
  • 服部 篤史, 山本 貴士, 嘉指 成詞, 宮川 豊章
    1998 年 1998 巻 599 号 p. 59-69
    発行日: 1998/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    連続繊維シート貼付け工法の下水道施設への適用に際しては, 長期にわたる供用性を確保するため, 力学的性質のみでなく, 各構成材料およびコンクリートも含めた複合材料としての耐酸性を明らかにする必要がある. 本研究では, FRP層を形成する種々の連続繊維シート, 樹脂およびそれらを組合わせたFRP板の耐酸性を調査するとともに, コンクリート供試体へ適用し, 曲げ補修・補強効果とその耐酸性を検討した. さらに, 下水道施設として健全および管内面ひび割れ発生後のヒューム管を取り上げ, 内外面に適用した種々の仕様のFRP層による外圧に対する補修・補強効果を検討した. 得られた結果から, 適切な材料選択により, 連続繊維シート貼付け工法は下水道施設の補修・補強仕様として適用可能と考えられた.
  • 久田 真, 大即 信明, 桐山 和晃, N. B. Diola
    1998 年 1998 巻 599 号 p. 71-80
    発行日: 1998/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, コンクリート中のイオンを通電により泳動させることで, コンクリートの劣化を抑制あるいは回復させる技術 (脱塩工法, 再アルカリ化工法など) が注目を集めている. しかしながら, 通電によるコンクリート中のイオンの電気泳動メカニズムについては不明確な点が多く, 特にペーストと骨材間に形成される界面 (遷移帯) あるいは骨材そのものが, コンクリート中の塩化物イオン (Cl-) の電気泳動に及ぼす影響などについては, 明らかにされていないのが現状である. このような観点から, 本文では, モルタルおよびコンクリート中における塩化物イオンの電気泳動に及ぼす骨材の影響を明らかにすることを試み, 硬化体中の塩化物イオンの電気泳動に及ぼす骨材の影響のメカニズムを, 細骨材と粗骨材において各々明らかにした.
  • 志村 和紀, 佐伯 昇
    1998 年 1998 巻 599 号 p. 81-90
    発行日: 1998/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    RC平板モデルを用いた鉄筋コンクリート部材の純ねじりの変形と耐力についての解析において, 有効なかぶりコンクリートの評価を行い, 解析を行なった. 主圧縮ひずみを指標とした有効かぶり式を用い, ねじりひび割れ発生後における, 有効なかぶりを考慮することにより部材のトルク-ねじり変形関係を精度良く評価できることを示した. また, その解析結果を基に立体トラスモデルによる耐力算定式について検討を行い, せん断流の外周を横方向鉄筋中心とし, 有効厚を仮定することにより鉄筋降伏が基本となってコンクリート圧壊, 鉄筋の降伏によって起こる混合型の破壊形式を評価することができ, 耐力の精度良い算定が可能であることを示した.
  • 竹田 宣典, 十河 茂幸, 迫田 惠三, 出光 隆
    1998 年 1998 巻 599 号 p. 91-104
    発行日: 1998/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    海洋環境下におけるコンクリート構造物の耐久性を考慮した合理的な設計方法を確立することを目的とし, 海洋環境においてコンクリートの10年間の暴露試験を行い, 塩化物イオンの浸透, 鉄筋腐食, コンクリートの品質変化に関する検討を行った. その結果, 以下のことが明らかになった. (1) 暴露試験によって得られた塩化物イオンの見かけの拡散係数および表面塩化物イオン量を用いることにより, 長期的な塩化物イオンの浸透予測が可能である. (2) 海洋環境下におけるコンクリート中への塩化物イオンの浸透量は, 飛沫帯で最も多く, 以下海中, 海上大気中の順に多く, 暴露後10年の範囲では, 鉄筋の腐食はこの順に速く進行していた. (3) 良好に処理された打継目やひび割れ幅が0.05~0.1mm程度のひび割れは, 暴露後10年の範囲では, 鉄筋の腐食の進行を著しく促進させるものではない.
  • 入矢 桂史郎, 服部 達也, 梅原 秀哲
    1998 年 1998 巻 599 号 p. 105-117
    発行日: 1998/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリートの圧縮クリープと引張クリープの挙動の違いに着目し, モルタルと粗骨材量の異なる数種類のコンクリートにおいて, その両者の挙動の比較を行った. その結果, モルタルにおいては, 同一条件下のクリープひずみは, 引張クリープひずみが圧縮クリープひずみに比べ若干大きいことがわかった. また, 同一条件下のクリープ孫数はほぼ等しく, 載荷期間による変化もほぼ同じであった. クリープ試験実施後のモルタル供試体において細孔構造の測定を行った結果, 引張と圧縮ともにクリープによる細孔径の変化はほぼ同じで, 細孔構造上も上記のクリープ試験結果が裏づけられた.一方, コンクリートにおいては, 若材齢かつ低応力強度比において, 圧縮クリープひずみが引張クリープひずみより大きいことが認められた. その理由として, 粗骨材のクリープ特性の影響を強く受けることがわかった.
  • 福澤 公夫, 沼尾 達弥, 三井 雅一, 野崎 秀洋
    1998 年 1998 巻 599 号 p. 119-130
    発行日: 1998/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    柱状のコンクリート構造物の補修・補強方法の一つに炭素繊維あるいはアラミド繊維等の高性能な繊維を横方向に巻立て補強する方法がある. この場合の補強効果を評価するためには, 拘束を受けるコンクリートの応力-ひずみ関係を正確に把握しなければならない. 高性能繊維は, 破断に至るまでひずみに比例して応力が増加するという独特な引張性状を有している. そのため, 鋼材による補強を前提とした既往の研究成果をそのまま用いることはできない. 本研究では, 高性能繊維の種類, 繊維の形態, 換算繊維比およびコンクリートの圧縮強度が圧縮性状へ与える影響を実験的に検討するとともに, その実験に基づき高性能繊維により横方向に補強されるコンクリートの応力-ひずみ算定方法を提案する.
  • 浦野 真次, 橋本 親典, 辻 幸和, 杉山 隆文
    1998 年 1998 巻 599 号 p. 131-141
    発行日: 1998/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地下連続壁に打ち込まれるフレッシュコンクリートの充填状況の可視化モデル実験を行い, モデルコンクリートの流動性や施工条件が充填状況に及ぼす影響について検討した. その結果, トレミーの貫入長が実機で2m程度であれば, コンクリートの流動性にかかわらず新しく打ち込むコンクリートが上面に噴出しないなど, 本実験の結果は従来の経験的な知見と一致しており, 本実験手法が有効であることが明らかとなった. また, トレミーによる施工性は新しく打ち込むコンクリートの粘性の影響を受けることを確認し, トレミーからの吐出後の充填状況は, コンクリートの流動性, トレミーの貫入長および受持ち面積などの影響を受けることを把握した.
  • 高橋 修, 丸山 暉彦, 稲葉 武男
    1998 年 1998 巻 599 号 p. 143-153
    発行日: 1998/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    埋設ジョイントの舗装体には, 橋軸方向の桁の伸縮変位と桁のたわみによる端部の回転変位が外的な変形作用として働くことになる. 伸縮変位は変位量としてかなり大きいものであるが静的に作用し, 回転変位はひずみ速度が速い動的な作用であるが変位量は非常に小さい. 現在の設計法では, 主に桁の伸縮変位に基づいて埋設ジョイントの型式や断面寸法が決められており, 桁端部の回転変位についてはほとんど考慮されていない. 本研究は, 桁の回転変位を実橋において調査するとともに, 動的な変形作用に対する格子パネルを用いた埋設ジョイントの疲労抵抗性を評価し, 埋設ジョイントに対する桁端部の回転変位の影響について検討した. 回転変位の影響は, 実橋での測定と疲労試験の結果に基づいた寿命予測をケーススタディとして行うことによって評価した.
  • Sunaryo Sumitro, 椿 龍哉
    1998 年 1998 巻 599 号 p. 155-163
    発行日: 1998/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    一軸引張を受ける鋼繊維補強コンクリートの変形挙動を表現するための微視的構造を考慮した構成関係を示す. 微視的な構成関係の特性はコンクリートと繊維の間の非線形界面領城によって表される. 繊維と母材の剥離は応力基準に基づくとする. すなわち, 剥離領城の伝播の条件は界面に作用するせん断応力により表される. 本モデルは, 界面領城のせん断剛性と強度, 摩擦による付着応力, 繊維端部の拘束条件, および繊維方向角の影響を考慮することができる. 本モデルの有効性は数値計算結果と実験データの比較により確認できる.
  • Fawzy Mohamed El-behairy, 二羽 淳一郎, 田辺 忠顕
    1998 年 1998 巻 599 号 p. 165-175
    発行日: 1998/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    格子モデルを修正した新しい手法が著者によって述べられている. この新手法は, 構造物が弾性域から始まって破壊に至るまで各増分を求め最小総合ポテンシャルエネルギーを計算することによるものである. 最小総合ポテンシャルエネルギーを構造物に採用しようというものである. トラスの斜材の角度と適切な形状は格子モデルの結果に影響を及ぼすとても重要なパラメータとなる. それらについて本論文において研究している. 既存のせん断耐荷力算定式と実験データを用い, 修正格子モデルの適用性を検討する.
  • 大津 政康, 大塚 政暢
    1998 年 1998 巻 599 号 p. 177-184
    発行日: 1998/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    AE波形のモーメントテンソル解析法により, AE発生源の機構の同定が可能となっている. そこでノッチ付き供試体の曲げ試験を行い, ノッチ先端の破壊進行領域の形成過程の解明に適用した. モーメントテンソル成分と損傷力学パラメータの関係についても検討し, モーメントテンソルから損傷過程の評価も試みた. 破壊進行領域の形成過程では, いずれの供試体でもAE源はある範囲に広く発生し, 引張クラックがその外縁部に,せん断クラックが最終破壊面近傍に主に観察された. 一方, 損傷過程については, コンクリートではステップ状に不連続的に累積され, モルタルでは漸増的に累積されることが認められ, 破壊進行領域での損傷累積には, 破壊モードより微小クラックの発生過程に依存することが明らかになった.
  • 上田 多門, 二羽 淳一郎
    1998 年 1998 巻 599 号 p. 185-187
    発行日: 1998/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
feedback
Top