近年, コンクリート中のイオンを通電により泳動させることで, コンクリートの劣化を抑制あるいは回復させる技術 (脱塩工法, 再アルカリ化工法など) が注目を集めている. しかしながら, 通電によるコンクリート中のイオンの電気泳動メカニズムについては不明確な点が多く, 特にペーストと骨材間に形成される界面 (遷移帯) あるいは骨材そのものが, コンクリート中の塩化物イオン (Cl
-) の電気泳動に及ぼす影響などについては, 明らかにされていないのが現状である. このような観点から, 本文では, モルタルおよびコンクリート中における塩化物イオンの電気泳動に及ぼす骨材の影響を明らかにすることを試み, 硬化体中の塩化物イオンの電気泳動に及ぼす骨材の影響のメカニズムを, 細骨材と粗骨材において各々明らかにした.
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