土木学会論文集
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1998 巻, 607 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 中山 恵介, 長谷川 和義, 藤田 睦博
    1998 年 1998 巻 607 号 p. 1-17
    発行日: 1998/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    冷気流の張り出し形状は, 冷気流とその上部の季節風との間の抵抗が大きな影響を与えている. その抵抗を決定付ける界面抵抗係数を推定するために, 冷水を用いた温度差による密度流実験を行った. 実現象においてはReは非常に大きく, モーニン・オブコフ長さ<<遷移層厚さの関係が成り立つことを利用し, Re>2×105である場合の界面抵抗係数の算定法を新しく提案した. 更に, Re≦2×105である場合においても, 熱フラックス推定式を新たに提案することにより, 界面抵抗係数の新たな算定法を提案した. それらの界面抵抗係数算定式と, 鉛直方向に積分された冷気流推移モデルを用いることにより, 降雪をともなった冷気流の再現を行い, 冷気流張り出し降雪が予測可能であることを示した.
  • 冨永 晃宏, 長尾 正志, 千葉 茂樹
    1998 年 1998 巻 607 号 p. 19-28
    発行日: 1998/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    開水路湾曲部の流れ構造については河道設計における重要性から従来より多くの研究がなされているが, 幅水深比が大きな場合に限られており, 中小河川のような幅水深比が小さな場合のデータはあまり得られていない. 本研究ではこの点に着目し, 幅水深比の小さな長方形断面開水路において曲率半径および湾曲角を変化させた湾曲部を設け, 流速分布を詳細に計測したものである. 得られた2次流構造は従来の結果を支持するものであるが, この2次流とは逆回転の外岸渦の存在が確認された. 2次流強度の発達過程に対して定量的な解析が行われ, 湾曲角度及び曲率半径の影響が明らかにされた. また, 主流速, 底面せん断応力および乱れエネルギーの湾曲部における発達過程が2次流との関連において説明された.
  • 辻本 哲郎, 北村 忠紀
    1998 年 1998 巻 607 号 p. 29-44
    発行日: 1998/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    河床が柔軟な植生粗度に覆われた2次元等流場を対象として, 植生の変形, 揺動が流れに及ぼす影響について, 模型実験および数値解析を通して検討を行っている. まず, 植生モデルを用いた水路実験から, 流れの抵抗は, 植生の変形効果によって減少すること, 組織的な揺動の効果によって増加することを確認している. 次に, 植生の変形効果のモデル化を行い, 変形の効果のみ考慮した場合の, 種々の密生度, 剛性を有する植生粗度を伴う流れの抵抗則, 河床に作用するせん断応力の見積もり方法を提案し, さらに組織的な揺動の効果についての定性的な考察を行っている. 最後に, こうした検討結果を利用して, 実植生の抵抗則, 河床に作用するせん断応力の評価を行っている.
  • 栗原 崇, 鈴木 幸一, 渡辺 政広
    1998 年 1998 巻 607 号 p. 45-54
    発行日: 1998/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    管路内を砂礫粒子が流送される場合, 粒子と管壁の摩擦係数の違い, 堆積層の厚さ, エネルギー勾配などの関係から, 砂礫堆積層が一体となって管壁を滑る摺動層流れなど開水路流れとは異なった流動形態が表れる. 本研究では, 堆積層を有する水平管路流れを対象にした流送土砂の実験結果をもとに, 流れの抵抗, 掃流砂量, 各流送形態の発生領域区分などを一次元的に取り扱う方法を示した.
  • 山西 博幸, 東 修, 楠田 哲也, 渡辺 亮一
    1998 年 1998 巻 607 号 p. 55-67
    発行日: 1998/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は河道両岸に沈積した底泥の効率的除去の一手法として, 波による洗掘について理論的・実験的に検討したものである. 固定傾斜底泥面上に作用する衝撃砕波圧を水塊の跳ね返りを考慮した運動量保存式から求め, 衝撃砕波圧算定式として定式化した. 現地河道両岸の堆積状況から, 従来の研究ではあまり議論されていない1/5勾配での砕波実験を行った. 衝撃砕波圧算定式に必要な各係数は室内実験より求めた. このとき, 衝撃圧pの力積と最大衝撃砕波圧pmによる平均力積との比kは2.5~2.7であった. また, 底泥の無次元洗掘速度 (Wsg/As)/τs/Npmと底泥の剪断強度τsの比 (pms) の関数として表した. 実験結果から係数mは1.4, 無次元洗掘限界値 (pms)c は0.37となった.
  • 包 四林, 西村 仁嗣
    1998 年 1998 巻 607 号 p. 69-77
    発行日: 1998/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, Hardy-Cross 法による海浜流解析の実用化に向けてその改良の方策を追究することを目的とし, 同心矩形回路補正, 粗格子による初期値計算の導入を試みた. その結果, Hardy-Cross 法における収束の遅滞の問題をある程度解決できることが明らかになった. また, この解析法が実用化しなかった理由の一つである島状非水領域の存在に対する取り扱い方法について考察した.
  • 細田 尚
    1998 年 1998 巻 607 号 p. 79-83
    発行日: 1998/11/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    開水路定常流の水面形は, 支配断面から水面形方程式を追跡することで計算することができる. その際, 水面形方程式の分母と分子が同時にOとなる水深と位置が特異点である. 水面形方程式を特異点の周りで線形化することで, 特異点周辺の水面形が定性的に分類され, あらかじめ特異点を通る水面形の勾配を求めたのち, 水面形解析が行われる. しかし, 特異点周りの線形化方程式は, 現実には存在しない射流から常流へ連続的に遷移する水面形を解として持つことが知られている. そこで本研究は, 開水路非定常流の基礎式に基づき, 特異点を通る定常な水面形からの擾乱を考え, 擾乱を支配する式を導くとともにその時間的安定性について考察した. その結果擾乱は, 鞍形点で常流から射流へ遷移する水面形以外, すべて時間的に不安定になり, 現実的には存在しない可能性を示した.
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