土木学会論文集
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1999 巻, 621 号
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  • 椎葉 充晴, 市川 温, 榊原 哲由, 立川 康人
    1999 年 1999 巻 621 号 p. 1-9
    発行日: 1999/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    グリッド型DEM上で流れのモデルを構築する場合, 各格子点の最急勾配方向に雨水を流下させる方法がしばしば利用されてきた. しかし, こうした方法には, 発散地形が雨水流出過程に与える影響を表現できないという問題点がある. そこで本研究では, グリッド型DEMにおいて, 斜面上の雨水が流集する過程だけではなく, 発散する過程をも表現できる新しい河川流域地形の数理表現手法を提案する. 本手法を滋賀県大戸川流域に適用して, 峰や尾根といった発散地形をより適切に表現できることを示した.
  • 福岡 捷二, 小俣 篤, 加村 大輔, 平生 昭二, 岡田 将治
    1999 年 1999 巻 621 号 p. 11-22
    発行日: 1999/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    河道平面形と相対水深を種々変化させた複断面蛇行実験を行い, 河床変動に及ぼすこれらの影響を明らかにしている. さらに, 5河川における洪水流の実測データと航空写真撮影データの分析より, 河道の蛇行度, 洪水流の相対水深, 最大流速の発生位置の関係を調べ, 蛇行度が1.015より大きな河道では, 相対水深が約0.3の値を境界として, それより大きな水深では最大流速が低水路内岸寄りに現れる複断面的蛇行流れが, それより小さな水深では外岸寄り現れる単断面的蛇行流れが現れることを明らかにした. また, 江の川について洪水中に内岸側河床で起こっている河床変動, 特に洗掘深, 堆積深および最大洗掘深の大きさを調べ, 実験水路で生じている河床変動と同様の現象が実河川でも生じていることを確認している. 最後に複断面蛇行河道の合理的な設計を行う上での課題を挙げ, 検討方法を示している.
  • 長田 信寿, 細田 尚, 村本 嘉雄
    1999 年 1999 巻 621 号 p. 23-39
    発行日: 1999/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 河岸侵食によって生じる2次元的な流路変動を対象としており, 流路平面形状の変化すなわち河岸侵食量の空間的分布とその時間変化特性と, それに影響を与える要因を明らかにすることを目的としている. まず, 実河川の流路変動現象を再現可能なモデルを提示し, バングラデシュ国・メグナ川に適用を行い, 実河川での平面流況と侵食位置との関係について考察を行った. 次に, 侵食性河岸を有する蛇行および直線流路において実験・数値解析を行った. 蛇行流路においては, 初期平面形状を同一とし水理条件を変化させて行った複数ケースの結果より, 水理量分布が流路変動過程に及ぼす影響について検討した. また, 直線流路においては, 交互砂州の発達・移動特性と河岸侵食との関連性こついて考察した.
  • 福嶋 祐介, 鏡原 聖史, 野口 和義
    1999 年 1999 巻 621 号 p. 41-52
    発行日: 1999/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    固体粒子を含む流れを非ブーシネスク流体と見なし, このような流れに対するκ-ε乱流モデルを構築した. 基礎方程式系は, 連続式, 固体粒子の質量保存式, レイノルズ方程式, 乱れエネルギーの方程式, 分子粘性逸散率の方程式で構成される. これらのいずれの式においても, ブーシネスク近似を行なわずに密度変化を考慮する. 密度変化が小さい場合, これらの方程式がブーシネスク近似を行った基礎方程式系と一致する必要がある. 導かれた方程式系においては固液・固気二相流体特有の新たな項が考慮されている. 本モデルを開水路の浮遊粒子流に適用し, 妥当性を検討した. さらに, 本モデルを吹雪に適用し, 吹雪の基本的な特性が把握できた. また, ブーシネスク近似が許容される限界の粒子濃度についても考察した.
  • 池田 駿介, 山田 知裕, 戸田 祐嗣
    1999 年 1999 巻 621 号 p. 53-63
    発行日: 1999/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    植生層を有する場において穂波として知られる植生の揺動は, 流れとの相互作用によって乱流場に影響を与えていることが予想される. そこで,植生の振動方程式を導入し, 植生の揺動の様子を時々刻々と追い, 流体運動へのフィードバックとして相対速度による流体抵抗を考慮し, 流れは従来のLES格子で, 植生に対しては植生の振動に対応した植生格子を設定することで数値計算を行った. その結果, 植生の振動は流体運動に影響を及ぼし, 組織渦発生の規則性を減少させることがわかった. また, 穂波は流下方向に連続的に伝播し続けるのではなく, 発生と消滅を繰り返すという結果を得た.
  • 禰津 家久, 鬼束 幸樹, 倉田 昌明, 江崎 慶治
    1999 年 1999 巻 621 号 p. 65-76
    発行日: 1999/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    粗面上の流れおよび掃流砂の存在する平坦河床上の流れにおいて, ファイバー型レーザ流速計 (FLDA) を用いた高精度な乱流計測を行うと同時に, 流砂量測定を行うことによって, 掃流砂の運動, あるいは流砂量の変化に対して, 乱流特性量がどのような影響を受けるかについて実験的検討を行った. その結果, 特に河床付近を転動, 滑動および跳躍しつつ流下する掃流砂の挙動によって, 底面付近の主流速分布に一様化指向が生じること, 乱れ強度および Reynolds 応力が底面近傍で増加すること, また平均流エネルギーが掃流砂の運動に消費されるため底面付近における乱れ発生率の欠損が顕著となることなどが明らかとなった.
  • 禰津 家久, 鬼東 幸樹, 倉田 昌明
    1999 年 1999 巻 621 号 p. 77-89
    発行日: 1999/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 掃流砂の運動と bursting 現象との関連を解明するため, 平坦な河床を有する移動床上の流れを, ファイバー型レーザ流速計 (FLDA) を用いて測定するとともに, それと同一条件下で固定床粗面上の流れについても測定を行った. そこから得られたデータについて4象限区分を用いた条件付きサンプリング手法を用いて解析することで, 底面付近で発生する bursting 現象に及ぼす掃流砂の影響について検討した. その結果, 掃流砂量の増加に伴って, 底面付近に発生する乱れの規模が増大すること, 固定床実験と比較して発生周期が短くなることなどが明らかにされた.
  • 鈴木 幸一, 門田 章宏, 山本 裕規
    1999 年 1999 巻 621 号 p. 91-99
    発行日: 1999/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    均一砂の流砂量公式である Meyer-Peter & Müller 式に修正を加えることにより, 混合砂礫の各砂礫に対する粒径別流砂量の推定を行った. 限界掃流力の補正を行う際には, 移動限界状態として細粒子に対しては揚力と水中重量が釣り合っている状態を, 粗粒子に対しては平均粒径砂礫上の河床に存在すると想定し摩擦角が減少した状態を考慮して行った. 一方, 掃流力については, 細粒子に対しては, 揚力によって一旦浮上した後に平均的な抗力を受けると考え, 粗粒子に対しては対数則を用いて補正を行った. これらの補正を行うことで, 二粒径および三粒径混合砂礫に関する実験結果との良好な一致を得た.
  • 竹村 公太郎, 鈴太 徳行
    1999 年 1999 巻 621 号 p. 101-109
    発行日: 1999/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 流出土砂量に影響を与えていると考えられる要因の中から地形的因子として流域面積・起伏量・崩壊地面積に着目し, 水文・気象的な因子として年最大流入量・年最大2日雨量に着目して, 各々の要因と実績比堆砂量との関係について検討した. また, 堆砂特性を把握するために累加堆砂量と経過年数についても検討を行った. これらの結果から将来の流出土砂量 (堆砂量) を予測し得る堆砂推定式を求めた.
  • 松冨 英夫
    1999 年 1999 巻 621 号 p. 111-127
    発行日: 1999/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    流木衝突力の実用的な評価式が提案されている. この評価式は, 見かけの質量係数を検討するための水路実験, 衝突力を検討するための空中での大規模実験と評価式の式形の理論的な考察の3つに基づいて導かれている. この評価式の有効性や衝突力の変化特性を総合的に検討するため, 理論的な評価法も考案されている. この理論的な評価法は, 衝突力の緩衝機能として構造物 (被衝突物) の撓み, 流木の塑性, 回転角速度と内部エネルギー減衰を考慮し, 最も簡単な弾塑性モデルに基づいており, 構造物に任意角度で衝突する時の衝突力のほか, 衝突力立ち上がり時間なども評価できるものとなっている.
  • 間瀬 肇, 幸正 一伯, 高山 知司, 重村 良一, 中平 順一
    1999 年 1999 巻 621 号 p. 129-139
    発行日: 1999/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    海域をまたぐ中小規模の橋梁では, 橋脚に波が打上がり橋面へ飛沫が降り注ぐという問題が生じることがある. 本研究は, 橋脚への波の打上げ特性を明らかにし, 潜堤による軽減対策を検討したものである. まず, 円柱に対する波の打上げ実験から, 波の打上げが橋脚設置地点の通過波高にほぼ比例して増加することを明らかにした. 次に, 橋脚前方に潜堤を設置して通過波高を減少させることによってある程度打上げ高を低減できることを示した. また, 数値計算によってある特定の現地を対象として, 潜堤設置の効果を検討した.
  • 藤間 功司, 正村 憲史, 堂薗 良一, 重村 利幸, 後藤 智明
    1999 年 1999 巻 621 号 p. 141-151
    発行日: 1999/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    線形長波理論に基づき, 一様勾配斜面上に形成された波源からの津波伝播を表す理論解を求めた. 陸棚で発生する津波は, 波源の条件によって伝播形態が大きく異なり, 特に, 波源が汀線付近に存在する場合エッジ波が顕著に現れることを示した. また, 波源の長軸・短軸の長さ, 波源の位置, 方向などのパラメータから, 発生する津波の特性を予測する経験式を導いた. さらに, コリオリカの効果について考察した.
  • 長谷川 寛
    1999 年 1999 巻 621 号 p. 153-165
    発行日: 1999/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    藻場は年々, 沿岸域の開発による埋立や水質悪化による成育不良などの理由により減少してきているが, 近年, 藻場基盤を造成する方法が各地で試みられている. しかし, このような藻場造成基盤は基盤材に海藻が着生すると海藻を経由した波力も基盤材へ働くため直接作用する波力のみで設計された基盤材重量では不安定になる可能性がある. 本研究は比重が海水より重くヤシの葉に似たアラメとヤツデの葉に似たカジメおよび気胞を持ち海水より比重が軽いホンダワラを用いて, レイノルズ数が104程度の沈降実験, 105程度の中型造波実験および上限が2×106の実規模大型造波実験により広範囲のレイノルズ数に対する3種類の海藻の抗力係数を明らかにし, 海藻の着生を考慮に入れた藻場造成基盤材の所要重量の設計法について提案した.
  • 東野 誠, 神田 徹
    1999 年 1999 巻 621 号 p. 167-177
    発行日: 1999/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    底泥から流水への溶解性物質の溶出現象に対して, 乱流熱伝達の解析を応用するとともに溶出現象特有の水・底泥境界面での溶解性物質の底泥粒子への吸着の影響をモデル化して, 溶出フラックスを底泥直上の水流速と底泥の物性 (含水比・溶解性物質含有量) の関数として表現するモデルを構築した. このモデルの妥当性を検証するために, 一方向流れ場において底泥材料としてカオリナイトを, 溶解性物質としてメチレンブルーを用いて溶出実験を行い, 直上水流速および含水比や溶解性物質含有量等の底泥の物性が溶出フラックスに及ぼす影響を明らかにした. 本文で提示したモデルによれば, 直上水流速と底泥の物性が与えられれば, 溶解性物質の溶出フラックスを良好に推定することができる.
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