土木学会論文集
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1999 巻, 628 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 山田 正, 日比野 忠史, 志村 光一, 蓑島 弥成, 鈴木 敦
    1999 年 1999 巻 628 号 p. 1-20
    発行日: 1999/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    レーダ雨量計の定量評価における精度向上に不可欠な上空の雨滴粒径分布に関して, これを地上の雨滴粒径分布から推定する手法及びこの手法を利用したレーダ反射因子と降雨量の換算手法を提案する. 推定手法は, 雨滴間の衝突を考慮した鉛直一次元の雨滴の落下モデルを計算し, 定常降雨における上空と地上の雨滴粒径分布を比較・検討することによりその差の傾向を求めるものである. 本論文で提案している新しいモデルを介在させることにより, レーダ雨量計を利用したより精度の高い降雨強度の推定を行うことができる.
  • 拡張カルマンフィルターの適用
    中村 元, 虫明 功臣
    1999 年 1999 巻 628 号 p. 21-30
    発行日: 1999/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論では放射伝達モデルにおける重み関数の周波数依存特性を用い, 土壌水分計測で重要となる放射特性を示した. さらに土壌水分プロファイルの実測値を用いて従来の受動型マイクロ波リモートセンシングの計測法の問題点を指摘し, 放射伝達モデルと水分―熱結合輸送モデルを同化させることでマイクロ波の感度が無いあるいは鈍い深度の土壌水分プロファイルも併せて推定する手法 (プロファイル逆探法) を提案した. 提案した手法を用いて数値実験を行った結果, 観測系の質 (深層水分量への感度) が良い周波数帯ほど少ないデータで逆探が可能と判断された. また深層水分量への感度が鈍い周波数帯においても上記動的特性をより多くの観測値と同化させることで深層土壌水分情報の抽出が可能であることが判明した.
  • 安永 真理子, 塩月 善晴
    1999 年 1999 巻 628 号 p. 31-40
    発行日: 1999/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    暖域での, 氷晶過程を伴わない水霧については水滴散布による消霧が一つの方法と考えられている. 適当な霧モデルを設定し, 一定の粒径分布をもつ散布水滴群の含水量をいろいろと変え, 消霧効果を数値実験で調べた. 水滴散布による霧の水滴粒径分布の変化の確率を表現するためにストカステイックモデルを用いた. 数値実験の結果, 水滴散布により気象学上で定義される霧は消滅することがわかった. また霧の濃さにより散布する水滴に適正な量があるようで, 10.0g/m3程度までは量が多いほどよいが, それ以上だと効果の増加が少ないことがわかった.
  • 長谷部 正彦, 鎌田 清孝, 葛生 光晴
    1999 年 1999 巻 628 号 p. 41-54
    発行日: 1999/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    低平地の流出解析として角屋・早瀬らは, 水田を貯水池, 水路の流れを等流あるいは不等流として扱うことによって内部現象も比較的良く説明しうる Dynamic Wave 法を採用した低平地タンクモデル法を提案している. この手法により水田地帯を含む低平地流域の雨水流出解析を行い, その結果, 流域内の水理学的現象を良く表現するモデルとしている. 栃木県東部から茨城県南西部へ南北に流下しその後, 利根川へ流入している小貝川流域では, 近年多発している洪水の一要因としては, 近年急速に進められてきている水田圃場整備事業の影響が考えられる. そこで本研究は, 将来圃場整備事業を対象予定とされている試験流域に低平地タンクモデル法による低平地における水田流出解析を行い, 更に水田圃場整備後の流出予測と若干の水理学的特性を調べる.
  • 阿部 清明, 塩月 善晴
    1999 年 1999 巻 628 号 p. 55-64
    発行日: 1999/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    都市においてどれくらいの雨が降ったら浸水害が起きるのか把握しておくことは防災上重要なことである. 前報では, 都市低地部の浸水発生予測のためにタンクモデルと地点短時間雨量予測方式を組み合わせた方法で可能性を検討した. 方法はタンク内の残留水位により浸水の発生, 非発生を明瞭に区分できるタンクパラメータを探し, 発生限界水位Dラインを設定するものである. 宇部市での結果, 実際の浸水発生より数10分から1時間程度早い予測が可能であった. 本報では山口県の他の都市について同様の解析を行ったことを報告する. その結果, 各都市においてタンクの構造は同じでタンクの各パラメータは都市によって大きな変動はないことが判った.
  • 禰津 家久, 鬼束 幸樹, 定免 英樹, 相良 幸輝
    1999 年 1999 巻 628 号 p. 65-76
    発行日: 1999/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    水路片断面に剛な植生を有する開水路流において, 植生密度および Froude 数を変化させ, PIVを用いた水平面の瞬間構造計測と, LDAを用いた鉛直断面内の2次流を含めた乱流計測が行われた. その結果, 植生領域と非植生領域の境界部の水面付近で発生するシアーが植生密度および Froude 数の増加に伴い顕著となること, そのシアーの増加によって水面付近の横断方向2次流成分が増加することが分かった. また, 4象限区分解析法を用いて, 植生の上部から植生に向かって sweep 的な挙動により運動量が輸送されていることが示された. さらに, 植生を有しない開水路流と異なり, 2次流が断面内で一つの大きなセル状となることが明らかにされた.
  • 池永 均, 向山 公人, 大島 伸介, 山田 正
    1999 年 1999 巻 628 号 p. 77-96
    発行日: 1999/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    塩淡二成層を有する汽水湖沼の長期的な界面変動予測手法の開発を目的に, 集中定数型の数値予測モデルを提案した. それを用いて, 1975年以降における網走湖の界面変動のシミュレーションを行い, モデルの適用性と塩水化の機構について検討した. 網走湖の界面変動は, 上流河川からの流入とそれに伴う湖内塩水の流出形態に依存する. 界面水位がピークを示す1987年を境に, それ以前は連行現象に起因する塩水流出成分が卓越するのに対し, それ以降では吸い上げによる流出形態が支配的となる. ここではそれぞれの流出形態を同時に考慮した塩水流出モデルを界面変動予測モデル組み立てることにより, 網走湖における過去20年間の塩淡境界の変動を実用上の精度で再現できることを明らかにした.
  • 中山 恵介, 佐藤 圭洋
    1999 年 1999 巻 628 号 p. 97-114
    発行日: 1999/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    北海道に降雪をもたらす冷気流は, 浮力の不連続面にみられるように, 塩水や泥水の水域への浸入と非常によく似た振る舞いをすることから冷気密度流と呼ばれるべきものである. 雪雲は冷気密度流のフロントに発生することから, フロントの挙動を解析することが必要とされる. そこで, LESモデルを用いた水平面上を張り出すプルームの計算を行った. その結果, 後続部における乱流熱フラックス, 連行係数において, よい再現性が得られた. 局所リチャードソン数と渦粘性係数の関係は, 3次元性の現れにより二価性を持つことが分かった. フロント前面の淀み域には, フロントスケールのロール状の渦が卓越して発生していた. 後続部厚さに比ベフロントスケールや淀み域距離は, 非常に大きな値を持つことが分かった.
  • 佐藤 弘行, 河原 能久, 玉井 信行
    1999 年 1999 巻 628 号 p. 115-130
    発行日: 1999/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    LES (Large Eddy Simulation) の基礎的なモデルである Smagorinsky モデルを用いて片側複断面開水路乱流の解析を行った. 断面平均流速と径深により定義されるレイノルズ数は約5,300, 格子点数は79*75*220である. 平均量と乱流統計量を Tominaga & Nezu の実験結果と比較し, ほぼ妥当な結果を得た. また, 渦度の輸送方程式の各項を定量的に評価するとともに, 運動方程式からレイノルズ応力の効果を算出し, 高水敷先端部の二次流の発生機構に関する考察を行った. 流れの瞬間像についても検討し, 基本的な乱流構造である壁面近傍のストリーク構造が捉えられていることを確認した. また, 高水敷先端部からの斜昇流が間欠的に発生し, 大きな流速を有することが確かめられた.
  • 中山 昭彦, 横嶋 哲
    1999 年 1999 巻 628 号 p. 131-148
    発行日: 1999/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年提唱・改良されている低レイノルズ数2方程式乱流モデルを2次元開水路乱流に適用したときの予測性能を調べるため, 平坦開水路及び路床が急変する段落ち流れについて計算し, その結果をまとめた. 低レイノルズ数モデルを用いる事により複雑な開水路流を含めた一般的流れにも適用可能になるが, 必ずしも床面近傍低レイノルズ数領域での散逸率の分布を忠実に再現するものが全体の予測精度を良くするとは限らない. 水面近傍での減衰を考慮した低レイノルズ数k-ωモデルが全ての場合を通じて良い結果を示し, 数値計算の安定性からも最も有用性があると判断される. 標準モデルでも壁関数の適用の仕方によりある程度の結果が得られるが, これは偶然と見るべきである. 何れのモデルでも水面近傍の乱れ減衰性は何等かの方法で反映する必要はある.
  • 杉山 均, 秋山 光庸, 佐藤 亮輔
    1999 年 1999 巻 628 号 p. 149-161
    発行日: 1999/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    蛇行開水路流れでは流れの発達に伴って方向の異なる遠心力が作用し, かつ自由水面の存在によりその流動挙動, 乱流構造は複雑に変化する. 本研究では1周期長さの矩形断面蛇行開水路流れを対象に代数応力モデルを用いて解析し, 蛇行開水路流れの三次元流動挙動および解析手法の有用性について検討を加えた. 計算結果には非定常性が認められた. このため, 解析結果を時間平均することにより実験結果と比較した. その結果, 本解析手法は蛇行開水路流れ場における主流方向速度の流れ方向への変化やレイノルズ応力の特徴的分布を比較的良好に再現した. また, 本解析の蛇行開水路流れに生成される断面内の二次流れも非定常性を示し, そのパターンは複雑に変化することを明らかにした.
  • 石田 享平, 鈴木 洋之, 長谷川 和義
    1999 年 1999 巻 628 号 p. 163-176
    発行日: 1999/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    大部分のダム貯水池では静水位の時間変化から流入量が推定されており, 静水位の計測精度が大きく推定流入量に反映する手法となっている. しかし, 実際の水位データは多くのノイズを含んでおり, 静水位の計測や推定を非常に難しくしている. この問題解決のために定山渓ダム貯水池に5点の水位計を設置し, 貯水池の同時水位計測を行った. 本計測から, セイシュ・うなり・水面の風による吹き寄せといった現象を確認した. さらに, 湖面上を吹く風の効果を表わす外力項を有する, 新しい水面振動方程式を誘導・解析することでセイシュ・吹き寄せを同時に考慮した結果を得た. これは実現象を良く表わすものとなった.
  • 間瀬 肇, 高山 知司, 国富 將嗣, 三島 豊秋
    1999 年 1999 巻 628 号 p. 177-187
    発行日: 1999/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 波の回折を考慮した多方向不規則波の変形計算モデル (エネルギー平衡方程式) を提案したものである. モデル方程式は放物型波動方程式を基にした回折項を陽な形で含み, 計算が容易である. このモデル方程式を用いて開口防波堤背後の波浪変形計算を行い, Sommerfeld の理論解, 従来のエネルギー平衡方程式による計算結果と比較・検討するとともに, 楕円浅瀬による多方向不規則波の変形実験結果とも比較し, その有効性を確かめた.
  • 原田 守博
    1999 年 1999 巻 628 号 p. 189-194
    発行日: 1999/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    流域の都市化により洪水氾濫の危険が増大したことを受け, 多くの河川で河道改修が行われてきたが, 通常は, 不透水性の護岸に変更されることが多く, 河川と地下水の間で水の交換が絶たれる傾向にある. 都市域の中小河川が三面張りによって排水路と化し, 平水時には枯渇した状況にあることは衆知の通りである. こうした河川環境を改善するには, 流域本来の水循環過程である河水と地下水の連続性を再認識し, 両者の交流関係を回復することによって河道に豊かな流れを取り戻す努力が求められる. 本研究は, 河川と帯水層の間の動的な相互関係について, 実際の観測水位データを検討するとともに, 貯留関数型の水理モデルを作成して, 河道と帯水層の間の相互作用の実態について考察したものである.
  • 北野 利一, 間瀬 肇, 森 信人, 安田 孝志
    1999 年 1999 巻 628 号 p. 195-202
    発行日: 1999/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
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