土木学会論文集
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1999 巻, 638 号
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  • 塚田 幸広, 青山 憲明, 山木 忠嘉
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 1-10
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論は地盤調査技術の高度化を目的に, ボーリングマシンによる回転貫入時の切削音による地盤の土質判別を目指し, 室内実験およびフィールド実験を実施した結果にニューラルネットワークを適用して, 本手法の有用性を論じたものである.
  • 奥山 一典, 藤原 身江子, 越智 洋秀, 井上 真理子
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 11-27
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    砂の最大・最小密度試験 (JGS T 161-1990) では, 最大粒径が2mmを超える砂は適用範囲外である. しかし, 実務においては, 最大粒径が2mmを超える砂を取り扱うことが多く, 最大粒径制限値の拡大が望まれている. そこで, 本研究では, 最大粒径制限値の拡大に関する2, 3の基礎的問題点を解決した上で, (1) モールドの大容量化, (2) 粒度分布を考慮した最大粒径の制限法の適用という二つの方法で最大粒径制限値の拡大を図り, 最大粒径が2mmを超える砂礫に適用できる最大・最小密度試験法を提案した. そして, 提案法の検証実験を行い, 提案法が十分実用に供することを示した.
  • 松井 幹雄, 西村 和夫
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 29-40
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    2次元円形要素を用いた個別要素法で粒状体だけでなく連続体の挙動も解析できるようにするため, 円形要素を核として用いた擬似矩形要素モデルを提案する. 要素間の接触面を区分し, 区分した接触面毎に離散的なばねとダッシュポットを配置する. 斜面上の単一矩形ブロックの挙動およびコンクリートモルタルの曲げ試験結果と数値計算結果とを比較することによって, 本提案モデルの有用性を検討する.
  • 杉村 淑人, 松田 育子, 富森 叡, 増本 清, 渡辺 邦夫
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 41-50
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    筆者らは, 割れ目性岩盤の割れ目分布の規則性を取り出し, これを水みちとして管路網で表現する水みちネットワークモデルを提案している. 本論文は, 水みちネットワークモデルにおける管路の透水係数の空間分布を, 孔間透水試験のデータを用いて逆解析により求める手法について論じたものである. 逆解析のアルゴリズムは, 非線形最小二乗法として準ニュートン法を用い, 評価関数の微分値を求める方法として最適制御理論を導入することにより逆解析の効率化を図った. また, 実際の試験サイトと同等なスケールのモデルの数値実験により, 割れ目の透水係数分布の再構築ができることを示し, 本逆解析手法の有効性を確認した.
  • 桂 豊, 三田地 利之
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 51-58
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    山留め壁に作用する土圧の研究は, 土圧計による実測値を用いて行われてきたが, 原位置土の材料特性との比較が十分ではなく, 事前に定量的な予測をする方法は確立されていない. 特に洪積地盤の実測土圧は, 静止土圧の経験値に比べ極めて小さな値を示しており, 土圧の評価に大きな問題を投げかけている. 本研究では, 一旦K0圧密・膨張させた供試体を側方に変形させることで, 山留めの施工過程を考慮した室内要素試験を行った. この試験方法に基づいて, 撹乱砂および洪積地盤から採取した不撹乱試料を用いた試験を行い, 土圧係数Kを土の内部摩擦角と過圧密比から推定する算定式を提案した. この提案手法は, 原位置で実際の掘削過程において生じる土圧の低下傾向と初期土圧が小さいという現象を合理的に説明することが可能である.
  • 菱谷 智幸, 西垣 誠, 橋本 学
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 59-69
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, オイラリアン・ラグランジアン法を密度依存を考慮した不飽和領域の3次元移流分散問題に拡張した. 本手法による解析結果と実験結果および既存の解析コードによる解析結果との比較を行い, 本手法の妥当性を検証した. また, 従来の移流項の演算手法の代わりにブロック探査手法を提案し, 演算時間を大幅に短縮した.
  • 安田 進, 吉田 望, 安達 健司, 規矩 大義, 五瀬 伸吾, 増田 民夫
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 71-89
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    液状化に伴って生じる地盤の流動を線形の有限要素法により簡易的に評価する手法を提案している. 流動を液状化後ゆっくりと生じる現象と想定し, 繰返しせん断応力を加えて液状化させた後単調に載荷させる実験を行い, 液状化後の砂の応力-ひずみ関係を求めたところ, 剛性が非常に小さい, 微小抵抗領域とその後の剛性回復領域に分けられることが分かった. これらをそれぞれ線形の関係に置くことで, 簡易解析に用いる砂の応力-ひずみ関係をモデル化した. さらに, 液状化層上部の非液状化層やケーソン直下の地盤についても線形の応力-ひずみ関係にモデル化する方法を提案した. これらを用いて, 地震被害解析を行ったところ, かなりの精度で実被害を説明できることが分かった.
  • 徳永 法夫, 森尾 敏, 家村 浩和, 西村 昂
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 91-106
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, EPS (発泡スチロール) 地中防振壁の交通振動低減効果に関する有効性を検討したものである. まず, EPS単体の模型振動実験からその動特性 (弾性定数, 減衰定数) を調べ, 更に, 1次元砂地盤中にEPSブロックを埋め込んだ模型実験から, この振動低減効果を考察した.
    次に, 深さ8mのEPS地中壁を施工し, 試験車両を用いた走行実験から本工法の効果を検討した. また, 地盤を伝播する波動の種類について考察を加えた. 更に, 地中壁施工中の空溝 (3段切梁) の状態でも同様の走行試験を実施し, 空溝とEPS壁の効果の違いについて言及した. 最後に, 2次元FEMを用いたこれらのシミュレーション解析を実施し, 実験と解析の比較について考察した.
  • 野間 達也, 松木 浩二
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 107-115
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    市街地近郊, あるいは重要構造物近傍において硬岩を掘削する事例が増加しており, 発破が制限される場合が多い. このため, 各種の岩盤の静的破砕工法が開発されてきており, 筆者らもゴムチューブを主体とした静的破砕工法の開発に取り組んできた. しかし, 静的破砕工法の一般的な問題として, 破砕設計法が確立されていないことがある. 本報では, 筆者らが開発した破砕工法に基づき, 発生するき裂進展について注目し, 割岩孔間隔, 割岩孔と自由面の距離 (最小抵抗線) をパラメータとした破砕設計法の開発について述べる. 手法としては, 二次元境界要素法を用いてき裂先端の応力拡大係数を解析し, 線形破壊力学に基づいて岩盤の破砕に必要な力と最小抵抗線・割岩孔間隔を求めることより破砕設計法を構築している.
  • 真下 英人, 鈴木 正彦, 猪熊 明
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 117-129
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    山岳工法によりトンネルを掘削する場合は, 切羽の安定を確保することが不可欠であり, 切羽が自立しない場合には切羽安定のための補助工法が必要となる. 安全性を確保しながら経済的にトンネル掘削を進めて行くには, 切羽の安定性を判断し, 適切に補助工法を採用していくことが重要となり, 切羽の安定性を事前に簡易に評価できる方法の確立が課題となっている. 本研究は, 土被りが比較的浅い土砂地山トンネルの切羽の安定性を定量的に評価する方法を確立することを目的として重力場と遠心力場で模型実験を実施するとともに, 極限釣合法による3次元の切羽安定解析を試み, 地山の強度定数を用いて切羽の安定性を評価するための指標の提案を行ったものである.
  • 高橋 章浩, 竹村 次朗, 川口 喜孝
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 131-142
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    従来地震に対して無被害であった杭式桟橋が兵庫県南部地震では被害を受けた. 調査から液状化による地盤の側方流動により, 桟橋の被害が拡大したと推定されている. 本研究では, このような側方流動を受ける杭式桟橋の挙動を実験的に調べるため, 実際に兵庫県南部地震の際に被災した直杭式の桟橋とその周辺地盤を対象とした, 遠心模型振動実験を行った. 杭は比較的強固な支持層に根入れされていたが, 捨石とこの支持層の間にある薄い砂層の液状化が地盤の側方流動を助長し, 被害を拡大したと推定されている. そこで本研究では, 実験により実際の被災現場と類似の地盤断面での桟橋の被害発生過程について検討し, 更に桟橋の位置する地盤条件や桟橋と背後の護岸をつなぐ渡板等の影響についても調べた.
  • 沖村 孝, 山本 彰, 村上 考司, 鳥井原 誠
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 143-154
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 地震時における傾斜基盤層上の斜面の不安定化要因を明らかにするため, 兵庫県南部地震で被災した傾斜基盤層上の盛土地盤とそれに隣接する被災しなかった盛土地盤について反射法地震探査による地盤調査と地震応答解析を行った. その結果, 以下の結論を得た. 傾斜基盤層上の斜面の地震時の不安定化要因には加速度の増幅によるものと基盤層境界付近のせん断ひずみの集中によるものがある. 前者は石積み擁壁などの小規模な崩壊誘因となり, 後者は基盤層境界付近をすべり面とする大規模崩壊の誘因となる. また, 基盤層境界付近のせん断ひずみの集中は表土層厚と密接な関係にある. さらに, 被災斜面について各種対策工を想定した地震応答解析を実施し, 地震時の効果的な対策工法について考察した.
  • 吉田 雅穂, 宮島 昌克, 北浦 勝
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 155-166
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 地盤統計手法であるクリギング法を用いた液状化領域の空間分布推定法を提案し, 同手法を利用した液状化地盤の流動予測の可能性について検討するものである. 対象とした地盤流動は, 地表面勾配や護岸移動を主な変位促進要因としない, 地表面勾配が約1%以下のほぼ水平な地盤で発生した地表の水平変位であり, 1995年兵庫県南部地震における液状化被害事例をケーススタディとして検討を行った. その結果, 限られた地盤データを基に液状化領域の空間分布を推定できる本手法の有用性を示すとともに, 液状化層の厚さや非液状化層との層境界面の傾斜など, 地盤内の液状化の程度とその空間的な分布状況が, ほぼ水平な地盤における流動の量や方向に影響を与えていることを明らかにした.
  • 高野 晴夫, 今田 徹, 小笠原 政文, 舩本 浩二, 藤井 義文, 平井 卓
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 167-178
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 砂地盤に水平に近接して順次施工される横長形状の矩形シールドトンネルの施工にともなう地盤のゆるみの影響を遠心載荷実験により検討したものである. 最大3本のトンネル模型を土槽に近接して設置し, 遠心加速度場でトンネルカバを引抜く手法でテールボイドを発生させて地盤にゆるみを与えた. 3本の併設トンネルにおいて, 土被り, 施工順序を変化させた実験を実施し, セグメント鋼殻に作用する土圧を計測した結果、土被りが浅い場合に一つのトンネル頂部に作用する平均土圧が全土被り土圧を上回る場合があることがわかった.
  • 川口 貴之, 三田地 利之, 澁谷 啓
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 179-191
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    小ひずみ域において粘性土が弾性的な挙動を示す領域での変形係数を擬似弾性変形係数と定義し, 圧密履歴, 排水クリープ, 載荷モード等の変形係数に及ぼすいくつかの要因について室内再構成粘土を用いて検討した. 実験結果から得られた等方圧密・膨張時のe~lnp'関係を用いて, これら諸要因の影響を考慮した擬似弾性変形係数の定式化を試み, これによって実験結果をよく説明し得ることを示した.
  • 柳浦 良行, 友清 悟
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 193-205
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地盤より工事中に発生する土中ガスは, 多くの場合, 単独ガスではなく混合ガスとして発生するにも関わらずその採取・評価方法は確立されていない. 本研究は, 土中ガスの採取にBATシステム (スウェーデンのB. A. Torstensson が開発したシステム) が有効であることを提案し, 採取された非反応性土中ガスは相平衡および実測値より, その状態変化を各構成ガスに分けて簡易に定量評価できることを明らかにした. さらに, この状態変化は各ガス毎にモル分率が一定な条件の元の温度―圧力関係の平面上で表現できることも見出し, 地下工事に伴って発生する土中ガスを地盤の飽和・不飽和に関係なく従来より精度良く予測することが可能になった.
  • 中山 義久, 西田 一彦, 西形 達明, 井上 啓司
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 207-215
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    非常に幅広い物理・強度特性を有するまさ土の液状化特性を総合的に把握することを目的として, 関西地区で産する複数のまさ土を対象として繰返し三軸試験機で液状化試験を実施した. 液状化強度に及ぼすまさ土の物性値として粒度特性 (細粒分含有率, 50%通過粒径, 均等係数), 風化度 (強熱減量), コンシステンシー特性 (流動限界) を選び, それぞれの物性値と液状化強度との関連を調べた. その結果, まさ土の液状化特性はその採取場所によって大きく異なるが, コンシステンシー特性 (流動限界) と圧密後の間隙比を用いて簡易的に液状化強度を推定できることが明らかになった.
  • 長田 昌彦, 山辺 正, 吉中 龍之進, 浜野 久美
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 217-226
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    湿潤供試体や不均質な岩石などを対象として, 三軸圧縮試験において供試体の縦横ひずみを計測できるような局所ひずみの計測方法として, 熱収縮チューブ (HST) を利用した方法を提案した. またその検証実験を実施し, 合わせて三軸圧縮試験例を示した. さらに本手法とLDT (Local Deformation Transducer) を用いたひずみ計測を比較すると, 破壊時まで両者はほぼ一致した出力を示した. 本手法は簡便なひずみ計測方法として, 十分使用できるものと考えられる. 提案した手法は, 三軸セルからのゲージ取り出し口さえ準備すれば, 現有のセルをそのまま利用できる利点がある.
  • 三村 衛, 柴田 徹, 延山 政之, Abhay K. SHRIVASTAVA
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 227-240
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    筆者らが開発したラジオアイソトープコーン貫入試験機 (RIコーン貫入試験機と呼称する) は, 従来の電気式静的コーンに中性子線源と3He計数管を内蔵した水分コーン (NM-Cone) とガンマ線源とNaIシンチレータを内蔵した密度コーン (ND-Cone) の総称で, それぞれコーン貫入時に地盤の水分量と湿潤密度を測定できるものである. 本論文では, RIコーンを用いていくつかの異なった種類の砂質地盤の検層を行い, 同時に実施された凍結サンプリングによって採取された乱さない試料を用いた室内試験から求められた結果に基づいてその測定精度を検証する. またRIコーンによる砂地盤の相対密度評価法について議論するとともに, RIコーンの測定値の妥当性を有限要素解析に基づいて検討する.
  • 中村 浩, 山崎 糸治, 中廣 俊幸, 杉嶋 敏夫, 大西 豊
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 241-250
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    シールドトンネルの掘削を地盤と覆工の連成問題ととらえ, 2次元線形弾性FEMに覆工要素を組み込んだ解析モデルを構築した. 解析では掘削に伴う応力の再配分の過程を覆工が耐荷する以前と以後の二つの状態に分け, 覆工が耐荷する以前の応力解放の割合を応力解放率として与えることにより表現した.
    この応力解放率は地山特性と施工要因により特定されることを示すとともに, 4本の単円シールドが上下左右に近接する併設トンネルに対して解析を実施した. 先行トンネル自身の作用土圧, 覆工断面力および後続トンネルの掘削に伴うこれらの変動量について解析値と現場計測結果を比較することにより検証し, シールドトンネルの設計手法としての有効性を示した.
  • 鍋島 康之, 松井 保, 周 詩廣, 鶴田 慎之介
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 251-258
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    スチールグリッド補強材の引抜き試験を行い, スチールグリッド補強土の補強メカニズムと横筋で発揮される支圧抵抗力の発現特性について調べた. その結果, スチールグリッド補強土の引抜き抵抗力の大部分は支圧抵抗力であり, 横筋間隔200mm以上であれば支圧抵抗力は各横筋 (直径6.0mm) に均等に作用すること, つまり横筋本数に比例して増加することがわかった. これは, 補強材縦筋の伸張性がほとんどなく, 引抜き時の各横筋の変位量がほぼ等しいためである. さらに, 支持力理論に基づいた支圧抵抗力評価式を提案した. そして, 種々の試料土を用いた引抜き試験結果と比較した結果, 試験結果とほぼ一致し, 提案式の適用性が確認された.
  • 松井 保, 南荘 淳, 安田 扶律, 中平 明憲, 黒田 兆次
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 259-271
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    臨海埋立地盤上に建設された阪神高速道路5号湾岸線では, 兵庫県南部地震により護岸際を中心に大きな地盤変状および基礎杭の水平移動が見られ, これに伴い数多くの基礎杭に損傷が確認された. 本研究においては, 地盤内部の杭体の損傷の実態を明らかにするとともに, 地震時の地盤変位と杭の損傷との関係を分析した. その結果, 杭体のクラック分布は, 杭頭および地層の境界面付近に集中している傾向が明らかになった. クラックの発生は, 主要動時に生じる地盤応答変位の影響が支配的であり, とくに護岸近傍では, 液状化後の側方流動による地盤変位の影響も受けていることを実証的に示した.
  • 田中 洋行, 三島 理, 田中 政典
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 273-283
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    平均粒径が2mm以上の比較的大きな土粒子から成る地盤に対して, 電気式静的コーン貫入試験 (CPT) とダイラトメーター試験 (DMT) を実施した. 調査地点は2ヵ所で, 一つは採石現場から生じた砕石で埋め立てられた地盤 (敦賀) と, もう一つは二次堆積した火山灰から成る地盤 (苫小牧) である. CPTとDMTの他に標準貫入試験によるN値, およびサイスミックコーン試験から求められた剛性率GSCも計測した. これらの試験によって得られた値の関係を明らかにするとともに, 過去に行った平均粒径が0.2mm程度の典型的な砂地盤から得られた関係との相違点を調べた. この結果, 粒径が大きい地盤に対するDMTの適用性については, 慎重に検討する必要があることがわかった.
  • 足立 紀尚, 木村 亮, 岸田 潔, 小坂 馨太, 坂山 安男
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 285-299
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    土被りの小さいトンネルを対象として, トンネル交差部を掘削する際のトンネル覆工土圧・周辺土圧および地山変形挙動の解明を目的とし, 3次元降下床実験を実施した. 地盤材料には乾燥した浜岡砂を用い, 種々のかぶり, 降下床幅および分岐角度において降下床とその周辺に作用する土圧を測定するとともに, 地表面の変化を計測し, 考察を行った. 実験結果より, 分岐降下床の下降にともない周辺土圧が増加し, アーチ効果が期待できる範囲は, 分岐角度および土被りに強く影響を受けることが確認できた. また, 従来から降下床理論としてよく用いられる Terzaghi の土圧理論を3次元に拡張し, 実験値との比較検討を行った.
  • 田村 武, 足立 紀尚, 小西 真治, 辻 鉄也
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 301-310
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 2次元平面ひずみ剛塑性有限要素法によりトンネル切羽の安定性を評価する手法を述べたものある. まず, ここで用いた数値解析手法の概要と特徴を述べたあと, トンネル切羽周辺地山の極限解析を行い, 切羽の安定性を支配する要因について考察した. その結果, 真下が指摘するように砂質地山のトンネル切羽の安定性にはわずかの (見掛けの) 粘着力が大きな役割を果たしており, それを無次元化した量で, 無支保区間やプレライニングがある場合の切羽の安定性も議論できることが明らかになった. また, 剛塑性有限要素法はトンネル切羽の安定問題など, 地盤構造物の極限状態を解析する1つの数値モデルとして有効であることがわかった.
  • 沼田 淳紀, 森 伸一郎, 陶野 郁雄, 遠藤 邦彦
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 311-323
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地震によって液状化した地盤の土質特性などを知るために, 液状化で生じた噴砂を採取して分析することがある. しかし, 遺跡で発掘された液状化砂脈の観察により, 砂脈内の粒度組成と液状化層のそれとは異なることが示され, これを根拠に噴砂を分析することの有効性を否定する意見も示されてきた. この相対する見解を検討するために, ここでは, 2つの地震で生じた3つの液状化地点で実施されたトレンチ調査結果を基に, 砂脈内の土の物理的性質, 砂脈形成のメカニズム, 砂脈と噴砂と液状化層の関係の考察を行った. この結果, 砂脈内の土は分級され下方ほど粗くなり, 液状化層や噴砂とは一致しないこと, また, 砂脈内の土に比べ, 噴砂は液状化層の粒度組成に類似することがわかった.
  • 荻迫 栄治, 了戒 公利
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 325-334
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ジオグリッドの引抜き試験結果に基づき, 粘性土とジオグリッドの相互作用特性について検討した. 粘性土とジオグリッド間に作用する引抜き抵抗は変位に依存しない部分と変位に依存する部分に分けて評価することにより, その特性を統一的に評価できる. 粘性土とジオグリッドの相互作用特性を有限要素法に, 取り入れた解析法を提案し, その妥当性について検証を行った. 解析値と実測値や実験値との比較を行った結果, 定性的にも定量的にもジオグリッドに発生するひずみの発現状況等がよく一致し, 提案した解析法の妥当性が検証された.
  • 稲森 光洋, 御手洗 良夫, 船曳 伸二, 瀬崎 満弘, 原田 隆典, 横田 漠
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 335-351
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 岩盤分類の要素の一つである「ハンマー打診による判定」の定量的評価を目的とした基礎的研究である. ハンマーの打診で岩石や岩盤を任意の段階に区分することは現場的で簡易な方法であるため全ての調査段階で行われ, 例えばハンマーによって打診すれば,「澄んだ音を出す」または「濁った音を出す」といった定性的な表現で評価される. このため判定に個人差があり定量的でない. そこで, 人工的に製作した模擬岩石を対象に, 材質と物性, 形状・寸法, 境界条件, 打診位置および打診面の形状等が異なる種々の供試体の打診音を分析し, これらの諸条件に依存した打診音の特徴を調べた. その結果, 岩石や岩盤等といった材料の力学的性質や物性値を評価する指標になり得るものが音圧の立ち上がりに現れることを見出した.
  • 林 泰弘, 鈴木 敦巳
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 353-362
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    気泡セメント改良土は新しい地盤材料である軽量土の代表的なものであり, 建設発生土の有効利用, 軟弱地盤対策として施工実績が増加している. しかしながら, 物性を左右するファクターが非常に多いため, この材料の一般的物性評価方法はまだ確立されていない. 本研究では, 改良土特性を評価する最も一般的な指標である一軸圧糊鍍に着目し, 影響因子について室内実験を行うことで検討した. その結果, 気泡セメント改良土の一軸圧縮強度は間隙比の影響が非常に大きいことを示した. また, 原料土の物性は液性限界を用いることで一般化できること, セメント混合量が多くなるとその量の違いは無視し得ること, 養生日数が56日を越えると影響が小さくなること, 混合方法の影響は小さいことを確認した. さらに, 混合直後に圧力を加えると, 密度が増加し, それに応じて弓鍍が増加することがわかった.
  • 上西 幸司, H. P. ROSSMANITH
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 363-369
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 波動と静的荷重を受ける不連続面 (界面) の動的干渉について実験, 数値解析を行い, 地震や山はね被害発生機構について考察する. 実験では, 高速度カメラを用いた動的光弾性法により, 波の干渉による光弾性縞変化の様子を撮影し, レーリー波の速度で界面を伝わる波により界面のすべりが誘起されることを示す. 数値解析では, 差分法に基づいた波動伝播シミュレータ・スウィフド (SWIFD) を用い界面波動抵抗比の影響について考察する. その結果, 異種材料間の界面がすべりを起こす際, 材料の組み合わせによっては,マッハ波の生成により特定の区域に非常に大きな粒子 (加) 速度が与えられることが示される. この種のマッハ波が兵庫県南部地震の際発生し, 所謂「震災の帯」を形成した可能性がある.
  • 田中 邦煕, 新谷 洋二, 山田 清臣
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 371-382
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    石垣の安定性は, 現段階では論理的に解明し難い. 本研究では石垣の安定性をその形状寸法および間詰状態に関する安定性低減率を用いて判定する手法を提案した. 形状寸法に関する低減率は, もたれ擁壁設計法を準用した断面応力計算結果を用いて要因抽出と低減傾向を求めた. 間詰状態に関する低減率は, その定性的表現を経験的な低減係数として定量化した. これらの要因の低減率を相乗した石垣係数F値は, 石垣の安定性を判定する一手法として使用できると期待される.
  • 奥田 庸, 阿部 敏夫, 桜井 春輔
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 383-388
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    土被りの浅い未固結地山にトンネルを掘削する場合, 塑性化やゆるみの発達により, 地山には非線形的な挙動が現れ, 地表面沈下等に問題を及ぼすことが多い. そこで, 本ノートでは, このような地山の非線形挙動をせん断ひずみ量に依存するせん断剛性の低下に起因するものと考え, 逆解析により簡易にせん断ひずみ分布を決定する方法を開発するとともに, さらに, 地山の非弾性の体積変化を考慮することにより計算値は, 計測された変位により精度良く追従できることを論述している. さらに, これらの逆解析法を実際に掘削したトンネルの計測結果に適用し, 地山の評価を行って, 本方法が十分実用に供し得ることを検証した.
  • 吉岡 尚也, 木梨 秀雄, 道廣 一利, 谷本 親伯
    1999 年 1999 巻 638 号 p. 389-393
    発行日: 1999/12/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    不良地山内にトンネルを掘削するときには, 掘削工法として最も基本的かつ一般的なショートベンチカット工法が用いられている. しかし, トンネル断面を早期に閉合したい場合には, 標準の支保パターンに鏡止めボルト程度の補助工法を併用し, 補助ベンチ付き全断面工法で施工できることが望ましい. そこで, 三次元による数値解析的な検討を行った結果, 鏡止めボルトを併用することによって鏡面の押出し変位が抑制され, これにより切羽前方地山に形成される緩み域が縮小し, 切羽の安定性が加確保されることが判明した.
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