土木学会論文集
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2000 巻, 645 号
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  • 徳江 俊秀, 釜井 俊孝, 梅津 喜美夫
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 1-14
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 従来あまり意識されていなかった平面ひずみ試験の初期応力状態に着目し, 豊浦砂の直方体供試体 (寸法9×8×5cm) を用いてその影響について調べてみたものである. 平面ひずみ圧縮試験 (CD試験,σxx0=一定) の初期応力状態は, 100≦σz0≦300, 25≦σy0≦500,σx0=100 (単位: kN/m2) の範囲で種々設定した. その結果以下の様な結論が得られた. (1) 初期応力状態は, その載荷中の体積変化特性に着目することにより3つのパターンに分けられる. (2) 平面ひずみ圧縮試験中の応力経路は, 上記のパターンに対応した3つのグループに分けられる. (3) また応力ひずみ関係もそのパターンに関連して2つのグループに分けられる. (4) しかしながら強度は初期応力の影響を受けず一定の大きざを示す.
  • 石川 達也, 大西 有三, 堀池 高広
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 15-28
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 有道床軌道における道床バラスト部の繰返し変形挙動を不連続変形法 (DDA) により解析し, 軌道構造解析手法に対する不連続体解析手法の適用可能性に関して検討を行った. その結果, DDAの適用方法について新しい知見を得るとともに, 解析結果に基づき道床バラスト部の繰返し変形特性を道床砕石粒子の移動傾向や粒子配列の構造変化の点から考察し, 道床バラスト部の繰返し塑性変形挙動の本質が道床砕石粒子の移動により生じるすべりを伴う粒子構造の再配列にあることを明らかにした.
  • 鵜飼 恵三, 石井 武司, 斎藤 邦夫, 富田 修司, 齋藤 貴, 于 玉貞
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 29-35
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    泥水掘削溝壁の安定性を評価する方法は, 1960年代以降数多く提案されてきたが, 問題の複雑さゆえに十分に信頼できる方法は未だ開発されていない. 本論文では, 既往の方法の問題点を整理した上で, 従来考慮されなかったすべり土塊に作用する側方拘束力の重要性を指摘し, 簡易 Janbu 法の考えにもとづく新たな三次元極限平衡法を提案した. 本方法を砂地盤に構築された泥水掘削溝壁の遠心模型実験結果に適用し, 三次元弾塑性FEMの計算結果と比較することにより, 提案法の妥当性を検討した.
  • 鈴木 素之, 梅崎 健夫, 川上 浩, 山本 哲朗
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 37-50
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    土の残留強度を求めるための直接型せん断試験方法に関する影響因子として垂直応力, 過圧密比, せん断速度およびせん断過程における垂直応力変化を取り上げた. リングせん断試験および繰返し一面せん断試験に基づく既往の研究結果を整理・検討し, さらに5種類の粘性土に対する新たなリングせん断試験結果に基づいて, 上記の影響因子と残留強度の関係を考察した. 直接型せん断試験における垂直応力の低い領域での試験結果の解釈には検討が必要であることを指摘した. 残留強度は, 過圧密比の変化に対して一定であるが, 土の種類によつてせん断速度の影響を受ける. 残留状態に達した後の応力状態は垂直応力変化に対して残留強度線上で変化する. 以上のことより, 一つの供試体から残留状態における強度定数を簡便に求める方法を提案した.
  • 宮澤 圭, 吉澤 孝和
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 51-62
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地すべり地において, 地中に発生したすべり面上を移動する地山の変形が移動量に比べて微小であれば, 地表の諸点は, その直下のすべり面の勾配とほぼ平行に移動する. この仮定に基づいて地すべり地で得られた地表変位追跡測量データを解析して, すべり面の概略の形状を推定することができる. この推定法は, 地すべり地の詳細な調査や対策工事計画に対して, すべり面の一次近似を与えるものとして役立つと考えられる.
    本文は, 多項式によって地下すべり面の複雑な三次元形状を推定するこれまでの手法に改良を加え, 特に解析に用いる種々のデータの信頼度を考慮して推定精度を向上させることを検討したものである. 推定精度の評価は, 実際に発生した地すべり地のデータを用いた数値解析によって検証する.
  • 山本 陽一, 兵動 正幸
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 63-76
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 塑性指数の異なる再構成粘性土に対して圧密条件や初期応力状態, そして載荷周波数を種々に変化させた非排水繰返し三軸試験を行い, 粘性土の繰返しせん断特性に及ぼす載荷速度の影響を調べたものである. まず, 過剰間隙水圧や変形挙動, 有効応力比・ひずみ関係に着目してこれらの繰返しせん断挙動に及ぼす載荷速度の影響について検討した. そして, 繰返しせん断強度に及ぼす載荷速度の影響を整理し, 異なる載荷周期における繰返し強度・塑性指数関係に対して定量化を試みた. その結果, 様々な圧密条件や初期応力状態にある粘性土の載荷速度依存性を考慮した繰返し強度の予測・評価が可能となることが示された.
  • 小笠原 政文, 谷 和弘, 松尾 隆志, 坂本 俊一
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 77-89
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 液状化に伴う流動化の影響を受ける可能性のある橋梁基礎構造物の一設計手法として, 静的FEM解析により地盤の流動量を推定し, この流動量を地盤バネを介して基礎構造物に作用させる設計手法について提案する. この設計手法は, 兵庫県南部地震等における護岸周辺地盤の変状や杭基礎, ケーソン基礎の被災事例により検証を行っており, 東京地区の地盤への適用性の検討も行っている. また, 既設構造物の対策工の設計にも適用することができる.
  • 湯 恰新, 土田 孝
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 91-102
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本報告は, 防波堤が高波の波圧を受けるときにマウンドの支持力不足による沈下量の算定法を検討したものである. 防波堤ケーソンの沈下量は, 発生する高波の形状と, 波高Hと防波堤に固有する限界波高Hcrとの比Kによって計算される. ただし, Tは波の周期であり, a0は防波堤断面に基づく定数である.
    S=0.095T2(K-1)2/Ka0 (1≦K<1.38, サイン波形)
    または, S=0.097T2(K-1)3/K2a0(1≦K<1.71, 三角波形)
    サイン波形と三角波形の組み合わせを考慮して提示した方法で試算すると, 現行の簡易ビショップ法による設計断面における50年間の期待沈下量は59~75cm (地盤定数の変動係数V=0.1~0.15) となった.
  • 齋藤 雅彦, 川谷 健
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 103-114
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地質学的に同一と考えられる地層における透水係数の空間分布に関する理論的考察を行い, これに基づく1次元および2次元の数値模擬地盤の作成方法を提案した. この模擬地盤の性質について検討した結果, 透水係数の確率分布は, 対数正規分布に従うこと, および透水係数の空間変動のパワースペクトルはほぼ1/f型であることが確認された. また, この模擬地盤を用いて飽和浸透流の数値解析を実施し, 同一の統計的性質を有する地盤においても, 透水係数の空間的ゆらぎのため, 水頭分布は一意的には定まらないこと, および本手法により作成された模擬地盤は, 局所的な水みちが存在する自然地盤の特徴を無理なく再現し得ることを明らかにした.
  • 小笠原 政文, 佐藤 正義, 谷 和弘
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 115-124
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    自立式矢板護岸およびその背後地盤の液状化に伴う流動化現象を再現し, 加振中と加振後に発生する流動変位が杭基礎に及ぼす影響, さらに杭基礎に作用する流動圧を把握するため, 遠心振動実験を実施した. 本研究により, (1) 加振中のみならず加振後にも液状化による地盤の流動変位が発生するという現象を定性的に再現できていること, (2) 地盤の流動化により杭基礎に発生する残留変位は, 加振中と加振後の両方に生じており, 加振中の影響が大きいこと, (3) 地表の非液状化層の流動圧は, 道路橋示方書に基づく受働土圧の値よりもかなり小さいこと, (4) 地盤の流動化による地盤のヤング係数の低減率は1/650程度であること, が得られた.
  • 田口 善文, 香川 和夫, 相良 昌男, 吉川 和行
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 125-135
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    土被りの小さい未固結地山を掘削する都市NATMトンネルにおいては, 切羽を安定させ, 地表沈下を抑制するために, 切羽前方地山にアーチシェル状の先受けを構築するプレライニングエ法を採用することがある. しかし, プレライニングの設計法はまだ確立されておらず, 切羽安定性の定量的評価など未解明な部分も多い. 本文は, 柔な薄肉プレライニングの補強効果を検討するために行った模型実験および実物大実験結果について述べる. 模型実験では, プレライニングの地山補強効果が顕著に表われることを確認し, プレライニングの長さが切羽の安定や地表沈下に及ぼす影響について明らかにした. また, プレライニングを施工した場合の切羽の安定性を定量的に評価する方法を考察した.
  • 福島 伸二, 北島 明
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 137-151
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    山岳空港や工業用地・宅地開発における高盛土等の土構造物は計画地内の切土により発生する岩塊を含む粒径の大きい盛土材, いわゆる粗粒土で造成されることが多い. 本論文はこのような土構造物の安定性の評価に必要な粗粒土の強度特性を求めるために, 新たに開発した供試体直径D=1,600mm, 高さH=800mmの超大型一面せん断試験装置の基本構造の概要と, 供試体せん断面上の応力の算定法, 砂と粗粒土 (まさ土) を用いた本装置の適用性確認のための試験結果について報告するものである. この装置の製作にあたっては, 装置自体の製作費用や試験費用のかからない実用的なものとするためにその基本構造や試験操作が簡単な装置にすること, また特に他の研究機関や大型土工事の現場試験室への貸出しの可能な装置とすることを目指した.
  • 風間 基樹, 加賀谷 俊和, 柳澤 栄司
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 153-166
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, まさ土の液状化抵抗の特殊性を粒径のそろった“きれいな砂”である豊浦砂との対比で検討したものである. 液状化抵抗を表す指標としては, 非排水条件下での定ひずみ振幅ステップ載荷試験から得られる累積損失エネルギー量を用いている. 著者らによって提案されている同指標は, 地盤材料の靭性を考慮できる液状化抵抗の評価指標である. まさ土の液状化抵抗に影響を及ぼす要因として細粒分の存在と破砕性の影響を検討した. 更に, 埋立て材料としての観点から, 締固めによる液状化抵抗の改善効果も評価した.一連の繰返しせん断試験結果からまさ土の液状化抵抗が豊浦砂に比べて密度依存性が小さいこと, 粗粒分の土粒子に付着した細粒分が液状化抵抗に重要な役割を果たしていることを明らかにした.
  • 横山 幸也, 石田 毅, 金川 忠, 田中 達吉, 水田 義明
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 167-178
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    筆者らは応力解放法の1種である埋設法により数多くの現場で地圧測定を行ってきているが, オーバーコアリング時に得られる解放ひずみ曲線に異常と思われる傾向がしばしば認められる. この異常値の原因究明は, 埋設法に限らず応力解放法による他の地圧測定法においても測定精度と信頼性の向上に有用と思われる. そこで, 過去筆者らが実施した267例の解放ひずみ曲線を4種類のパターンに分類し, その特徴の原因を各パターン毎に検討した. その結果, 異常値として棄却すべきデータは4パターンのうち2パターンであり, そのひとつはひずみ計周辺のコアの割れ目や充填材がボーリング孔の孔壁に十分付着していないことにより生じること, 他のひとつはオーバーコアリング時の冷却水によるコアの温度変化によることがわかった. 現在では、これらの異常値が生じる原因は除去されている.
  • 出村 禧典, 太田 秀樹, 松尾 稔
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 179-190
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    軟弱地盤上に直接基礎を有する構造物を建設すると, 地盤が変形し, その結果, 基礎が沈下する. 沈下には, 一様な沈下, 傾斜, そして, 基礎がたわむ相対沈下がある. 基礎がたわむと上部の構造物が変形し, 部材に応力が生じる. 相対沈下の対策は, 早期に収束させる, 上部構造のクリープを利用して徐々に発生させる, などが考えられる. 本論文の目的は, 相対沈下の発生速度に関係している要因を探索することである. 要因の探索には, 粘土層に関口・太田の弾・粘塑性モデルを組み込んだ有限要素法を用いた. 数値解析によって得られた結果を既設構造物の沈下実測値によって検証した. 得られた結論は次のとおりである. 構造物下の地盤の水平方向の透水性を大きくすると, 相対沈下が早く収束する.
  • 神田 政幸, 竹村 次朗, 日下部 治
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 191-207
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 水平力を受ける砂地盤中の単杭の水平地盤反力-水平変位関係 (p-y関係) に与える地盤の相対密度, 杭径の影響を明らかにすることを目的として, 一連の遠心模型実験装置を用いた分割杭の水平載荷実験を実施した. 得られたp-y関係を双曲線にてモデル化し, これを用いて別途実施した単杭の杭頭水平載荷実験を広範囲にシミュレート可能であることを示した. この結果を利用してp-y関係の一つである, バイリニア型p-yモデルの適用性・問題点を検討した. また双曲線型p-yモデルのパラメータとなる初期地盤反力係数および極限地盤反力の評価を試みた.
  • 川井田 実, 森井 慶行, 堀越 研一, 飯塚 敦, 太田 秀樹
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 209-221
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    軟弱地盤上に設けられる構造物のなかには, 圧密沈下・側方流動・杭の負の摩擦力など地盤や構造物の特性に起因した諸問題を抱えているものが少なくない. これらの影響を抑制・防止するために, 荷重軽減や地盤や構造物の強度増加といった対策がとられる場合が多い. 本論文は, この様な諸問題を建設当初から抱え, 維持補修対策が繰り返されてきた高架橋橋台の裏込め盛土におけるEPS置換事例を対象とした解析を主として扱っている. 一連の解析を通して, 今後, 膨大な社会資本を維持管理していくにあたって, 限られたデータから構造物の今ある姿, 安全度を説明し, 将来の挙動を推定することの困難さを示し, この種の問題に取り組むことの重要性を提起するものである.
  • 小野 勇, 山田 清臣, 菊田 征勇, 松浦 聖, 岡田 勝也
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 223-233
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    粘性土模型地盤を用いて4本と9本の正方配列の群杭の大変形をともなう水平載荷実験を実施した. また, 群杭効率を把握するための単杭の水平載荷実験も実施した. 実験結果にもとついて, 粘性土地盤における群杭の列ごとの荷重分担率を算出し, 水平大変形挙動について考察した. その結果, 9本群杭よりも4本群杭が地盤強度の影響を大きく受けることが明らかとなった. また, フーチング変位率, 群杭本数と地盤と杭の相対剛性にもとついた, 群杭効率を求めるための経験式も提案した.
  • 小林 晃, 日向 弘恵, 藤居 宏一
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 235-243
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    岩盤中の透水係数の不均一分布を把握するための手法の一つに透水係数以外のデータを補助データとして推定を行う, 地盤統計学の Indicator Simulation 手法がある. 本論では, その適用に際し必要な補助データと透水係数の共分散マトリックスの求め方による結果の違いと, 用いる透水係数と補助データのスキャッターグラムによる影響を原位置試験結果を用いて検討した. 補助データとして用いたのは比抵抗トモグラフィと亀裂頻度であり, 孔間透水試験結果と比較することにより評価を行った. その結果, 相関が小さくても共分散を補助データより計算した場合, 推定精度が高まることが分かった.
  • 原 忠, 國生 剛治
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 245-253
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    3種類の粒度分布の異なる砂礫材料について, 三軸試験機を用いた液状化試験を行い, 均等係数や相対密度などが強度に与える影響を調べた. そしてこれら砂礫材料の液状化強度は, 粒度分布の違いにも関わらず, 相対密度によりほぼ統一的に評価できることが示された. 一方, 同一材料の同程度の相対密度を有する供試体で液状化試験後に非排水単調載荷試験を行った結果, 均等係数の大きい砂礫材料は均等係数の小さい砂礫材料のそれに比べて格段に大きい値を示し, 粒度分布の違いが大きな差異をもたらすことも明らかになった. 本試験で得られた液状化強度を既往の研究成果と組み合わせたところ, 砂地盤と礫質地盤が同じ標準貫入N値を持つ場合, 前者の方が強度は大きくなる傾向があることが分かった.
  • 大西 有三, 大津 宏康, 矢野 隆夫, 加藤 雅広, 高田 裕輔
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 255-266
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    岩盤中の不連続面の強度・変形特性を把握することは, その岩盤全体のせん断挙動を推定するのに重要な問題となる. 非常に滑らかな不連続面と粗い凹凸を有する不連続面では, すべりを生じさせるために必要な力の大きさが異なることは明かであり, その面の凹凸の大きさを求めることは強度・変形特性を考える場合に必要不可欠である. 従来より多くの研究者によって岩盤不連続面のせん断強度式が提案されているが, せん断の進行と共に生ずる岩盤表面の削れを考慮したものは皆無である. そこで本研究では離散化ラフネスデータを用いて, その面の幾何学的な削れ方を考案し, 減耗率kという新たなパラメータを導入してせん断挙動を推定する方法を開発し, その解析手法の有用性を示した.
  • 本多 眞, 鈴木 誠, 上田 稔, 西村 均
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 267-279
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    杭構造物の基礎となる基礎地盤面は, 地質学的な観点からみると地表面の起伏に追従していることが多い. このことに着目して地表面レベルを補助データとした Cokriging による基礎地盤面レベルの推定法をこれまでに提案し多くの実績をあげた. 本研究では地表面に加えて, 弾性波探査による情報を取り入れた推定法を提案する. Cokriging で3変量以上を扱う場合, 空間構造モデルが複雑となり, 少ないデータからの推定は精度に問題がある. そこで地表面レベルはトレンド成分として扱う手法を考案し, 数値実験により手法の妥当性を検証した. また実際のサイトに適用することにより, 本手法の有効性を確認した.
  • 鈴木 輝之, 宇野 裕教, 澤田 正剛, 安達 謙二
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 281-290
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    各種の補強材を用いた新しい土構造物が多く開発され実用に供されているが, 寒冷地における凍上対策を考慮した構造物はほとんど無く対策工法の検討が急がれている. 本研究では多数アンカー式補強土壁を試験設置し, 冬期間の背面盛土の凍結状況や壁面ブロックに加わる凍結土圧などの動態観測を4シーズンにわたって行った. 実験の結果凍結面形成や凍結土圧などの特性について, いくつかの有用な知見が得られた.
  • 小林 春男, 中野 浩之, 福島 伸二, 北島 明
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 291-306
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    テールアルメ工法における盛土材は原則として良質な摩擦性材料の使用が前提である. 特に盛土材が泥岩のようなスレーキング性材料の場合には, 降雨や地下水位変動による乾・湿繰返しに起因した土砂化による圧縮沈下や, 盛土材とストリップ材間の摩擦抵抗の低下による壁面の変形や局部的な破壊の発生などが懸念される. ここではある用地開発工事で切土発生の泥岩材により造成した大規模なテールアルメ補強土壁盛土において, 泥岩材のスレーキング対策として採用したセメント系固化材による土質改良の事例を報告する. この事例では, 土質改良によるスレーキング性沈下の抑制効果の確認, 改良目標や施工管理基準を設定するための室内配合試験・試験施工を実施した. また泥岩盛土内でのストリップ材の引抜き抵抗の確認のためのストリップ材の室内及び現場引抜き試験を実施した.
  • 大西 有三, 矢野 隆夫, 岩本 宏, 西川 直人
    2000 年 2000 巻 645 号 p. 307-320
    発行日: 2000/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    岩盤内には必ずと言ってよいほど不連続面が存在し, その面のせん断特性は岩盤全体に大きな影響を与える. よって, 岩盤を対象とした土木構造物の設計を行う場合には, その特性を十分に理解しなければならない. 一般に, 岩のせん断特性を調べる室内試験として, 一軸圧縮試験, 三軸圧縮試験などが行われるが, その試験結果だけでは岩盤不連続面のせん断特性を総合的に判断することは不十分である. 滑らかな不連続面と粗い凹凸を有する不連続面では, すべりを生じさせるために必要な力の大きさが異なることは明かであり, その面の凹凸を計測することはせん断特性を考える場合に必要不可欠である. よって, それらの問題を解明するため, 岩石一面せん断試験装置とラフネス計測装置を開発し, それらの装置の有用性を示した.
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