土木学会論文集
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2000 巻, 652 号
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  • 桜井 春輔
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 1-10
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
  • 五十嵐 寛昌, 杉原 靖彦
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 11-20
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    複円形シールド工法は複数のカッター面板を上下, 左右に2連, 3連等に組み合わせることにより様々な断面形状を構築可能な工法である. そのため, この工法を採用することによって過密化した都市部地下空間において, 効率的に必要有効断面を確保でき, なおかつ, 工期短縮や掘削土量の低減を図ることなどが可能となる. しかしながら, セグメント覆工の設計においては, 断面形状の複雑さから単円形に用いられてきた従来の覆工作用土圧評価法 (全土圧, Terzaghi のゆるみ土圧) の適用性について検証する必要がある.
    そこで筆者らは遠心模型実験による横3連円形及び縦2連円形トンネルの作用土圧に関する実験的検討を行い, シールド掘進時に生じる周辺地盤挙動に基づいて覆工作用土圧評価法を提案した.
  • 河原 荘一郎, 室 達朗, 市原 一也
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 21-33
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    突固めによる土の締固め試験において, 締固め密度は重錘重量と落下高の積で表される打撃エネルギーを基に評価されているが, 重錘質量と落下高の影響レベルが同等であるとは限らない. ここでは, 砂質土の締固めおよび衝撃応答に及ぼす重錘質量・落下高の基本的な影響を解明することを目的とした. そのため, 3種類の粒度の異なる砂質土に対し, 一次元状態で重錘を落下させる室内実験を行った. 鉛直乾燥密度分布, 平均乾燥密度増分からみた土の締固め, および衝撃加速度, モールド底面土圧の衝撃応答に及ぼす重錘質量・落下高の影響レベルを定量的に調査した. さらに, 平均乾燥密度増分と重錘落下に衝撃力の関連性についても考察を行った. 同時に, 砂質土の種類の影響についても調査した.
  • 野本 哲也, 今泉 繁良, 阿部 秀治, 坪井 正行, 二見 智子
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 35-45
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    廃棄物処分場に遮水材として敷設されるジオメンブレンは, その基盤の局所沈下に伴って変形し, 引張りひずみを生じる. このとき発生するひずみの評価式が幾つか提案されているが, 実験的検証が十分ではない. 本論文では, 落とし戸模型実験を実施し, 上載圧およびジオメンブレンと接触物との摩擦条件の変化がジオメンブレンに発生するひずみ分布に与える影響について検討した. また, 実験より得られた最大引張りひずみを, Trough Model および弾性モデルで評価し, 前者は実験値より小さ目に, 後者は大き目に評価することを示した. そして, 設計上の観点からは, 砂層のすべり面の傾斜角の仮定を修正した Trough Model で伸び量を評価し, この値を用いて弾性モデルで最大引張りひずみを評価する方法が妥当であることを示した.
  • 室 達朗, 土屋 清, 上松 正史, 河原 荘一郎
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 47-60
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, トンネル掘進機T. B. M. 用ディスクカッタの内, 掘削面盤中央部分に配置されるセンターカッタの掘削能力を他のインナーカッタと比較して一段と向上させるためにビット先端形状を三角形とし, 定常掘削に要する比エネルギーを最小ならしめる最適なビット斜角βを見い出すことである. ここでは, モルタル供試体を対象として種々の掘削半径で掘削深さを一定とした室内定常掘削実験を行い, さらに掘削能力判定のためのシミュレーション解析による理論的考察を加えた. その結果, 掘削土量は, いずれの掘削半径に対しても|β|の増加とともに増大すること, さらに, 定常掘削に要する比エネルギーは, β=0rad において最小値を有することが判明した.
  • 田村 武, 足立 紀尚, 廣松 智樹, 坂本 寛章
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 61-72
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は千鳥組みされた剛体セグメントからなるシールドトンネルの3次元解析を行ったものである. 本モデルではシールドトンネルの全体変形は, 継手部を模擬したばねによってのみ発生する. そのばねの剛性を変化させながら, 継手部の影響, とくにセグメントの千鳥組みの添接効果について種々の観点から定量的な考察を行った. セグメントが完全な剛体とすることは極端な仮定ではあるが, その結果, 未知量の数がかなり少なくなるため3次元解析がずいぶん容易となる. ここでは, 微小変形, 線形問題の範囲でトンネル軸方向の影響を直接に考慮できる3次元解析を通して, シールドトンネルの力学特性を調べた.
  • 田坂 嘉章, 宇野 晴彦, 大森 剛志, 工藤 奎吾
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 73-90
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 節理などの不連続面が多数介在する不連続性岩盤における大規模地下空洞掘削時の異方的な岩盤挙動を予測・評価するため, 任意の一方向に卓越する節理の破壊を考慮した等価連続体解析手法を提案した. 本手法は, 岩盤の強度・変形異方性に加え, ひずみ軟化挙動を考慮できることが特徴であり, これを幾つかの節理群が存在する堆積岩系および火成岩系の不連続性岩盤における空洞形状, 土被りが異なる既設地下発電所空洞の掘削解析に適用した. その結果, 本手法が不連続性岩盤における大規模地下空洞掘削時の異方的な岩盤および支保の挙動を概ね再現できることを確認した.
  • 今田 和夫, 松本 樹典, 仲田 慶正
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 91-102
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    インテグリティ試験を基礎杭の調査に適用する場合, 基礎杭は地盤で拘束されているため, 杭体中の波動伝播は杭体の断面変化だけでなく地盤の影響を受ける. そこで, 人工地盤中に設置した模型杭を用いて行ったインテグリティ試験においてサンプリングした杭頭の速度波形を基に, 地盤拘束の影響を評価した. また, 一次元波動解析を行うことにより実測波形にマッチングした解析波形を求め, 計算上仮定した地盤定数が実測値と概ね一致することから, 解析の妥当性を検証した. さらに, 実杭を対象として, 既存の土質調査結果に基づく地盤定数を用いて計算した解析波形は, 実測波形と比較的一致した結果が得られたことから, 波動解析法は実杭における波形判定に有効な手法であることを明らかにした.
  • 京谷 孝史, 白 〓, 恩田 千早
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 103-114
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    東北日本においては, 厳冬期から春先にかけて岩石の凍結融解に起因する岩盤斜面の崩落が問題となっている. そうした崩落の予測を可能ならしめるためには, 凍結融解による岩石・岩盤の劣化特性を定量的に把握する必要がある. 本研究では, 大谷石を用いた凍結融解実験を行い, 飽和度の違いによる空隙率の増加の差を調べ, それに伴う弾性波伝播速度, ヤング率, 一軸圧縮強度の低下などを調べた. そして, 凍結融解による劣化の程度は間隙水の飽和度に大きく依存すること, また, それら力学特性値が, 測定時の供試体内部の水の有無によって大きく影響されること, しかしながら, その低下の割合は水の有無によらず, 空隙率の増加の割合を説明変数として定量的に評価し得ることなどを確認し, その定量表現を与えた.
  • 藤山 哲雄, 建山 和由
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 115-123
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地盤の締固めに伴い, 振動ローラ加速度が変化する現象を利用し, ローラ加速度の計測からリアルタイムに地盤剛性を評価する手法の確立を目的とした検討を行った. 具体的には, 振動ローラの振動挙動と地盤剛性の関係, ならびにこれに及ぼす振動ローラ機械条件の影響について数値計算により考察を行い, その結果から任意の機械条件の振動ローラに適用可能な地盤剛性の評価手法を提案した. さらに, この手法の適用性を現場実験により検証した.
  • 千々松 正和, 杉田 裕, 藤田 朝雄, 雨宮 清, 小林 晃, 大西 有三
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 125-139
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高レベル放射性廃棄物を地層処分すると廃棄体からの放熱, 周辺岩盤から人工バリアへの地下水の浸入, 地下水の浸入による緩衝材の膨潤圧の発生などの現象が相互に影響することが予想される. このような, 熱-水-応力連成現象を評価することを目的に, 地下原位置試験場において連成試験を実施した. 試験坑道床盤に掘削した試験孔にベントナイトおよびヒーターを設置し, ヒーターによる加熱および試験坑道床盤に設置したプールによる地下水の浸潤により実岩盤条件下での連成現象を再現し, 温度, 含水比, 間隙水圧, 応力, ひずみ等のデータを取得した. また, 熱-水-応力連成解析モデルにより試験結果を解析的に評価した結果, 温度分布, 緩衝材内の含水比変化等に関しては試験結果と解析結果でほぼ良い一致が得られた.
  • 奥山 一典, 藤原 身江子, 大西 智佳, 八木 則男
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 141-153
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    簡易で経済的なサンプリングが可能となるサンプラーを用いて精度の良い地盤情報 (密度, 物理的性質) を大量に入手し, これを各種力学定数と関係付ければ, 解析・設計の信頼性が向上し, 建設事業費の縮減が期待できる. 本研究では, そのようなサンプラーの一つである二重管式標準貫入試験器による砂の試料採取機構や密度測定精度を明らかにした上で, 試料の密度補正式の誘導, 最大粒径に関する適用範囲の検討を行った. そして, 二重管式標準貫入試験器による実用的な砂地盤の密度測定方法を提案し. 密度を基にした砂のせん断抵抗角φdの推定事例を示した.
  • 奥山 一典, 与那 城稔, 藤原 身江子, 田平 健二, 真田 博司
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 155-169
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 砂地盤のφdを経済的かつ高精度に推定できるシステムの提案を目的とした研究を行った. まず, 最上の強度式中の定数kと砂や粒状体との物理的性質の関係を吟味した上で, 実用的観点から, 定数kと最大間隙比emaxの直線的関係を利用したφdの推定式を提案した. つぎに, 提案推定式と二重管式標準貫入試験器による密度測定方法を組み合わせ, 砂地盤の原位置におけるφdの推定システムを提案した. そして, 土槽内に作製した実験用砂地盤に提案システムを適用してφdを推定した結果, 従来のN値によるφdの推定方法に比べ, 極めて高い推定精度を得ることができた.
  • 藤井 誠, 西田 薫, 石黒 幸文, 雷 興林, 西野 健三
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 171-183
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    岩石の比抵抗と地質要因, 含水量などとの関係について明らかにし, 電気探査結果から地山の岩盤状況を評価する際の基礎資料を得ることを目的にして, ボーリングコアおよび立方体供試体を用いて室内試験を実施した. その結果, 岩石の比抵抗は岩種, 有効間隙率および飽和度によってほぼ決定されること, 岩石中の亀裂などの不連続面の方向, 含水状態および介在物が比抵抗に大きな影響を与えることがわかった. また, 広く知られている砂岩等に対するアーチーの式を適用して, 通常の地下水の比抵抗範囲20~100Ω・mにおける岩石の比抵抗を評価するパラメータを求めたほか, 飽和状態の比抵抗と有効間隙率との関係, 比抵抗と飽和度および含水比との関係, 不連続面が地山比抵抗に与える影響などの検討を行った.
  • 遠藤 毅, 中村 正明
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 185-194
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    我が国産業・経済の中心である東京都区部地域について, 深部地盤の地質層序・地質構造・地層の土質特性等の調査研究を進めるなかで, シルト層の圧密降伏応力, 一軸圧縮強度等の力学的特性の分布が地域別に分類されることを明らかした. 本文は, このシルト層の圧密降伏応力, 一軸圧縮強度等の力学的特性の地域的分布についてさらに検討を加えるとともに, 過圧密比 (OCR) を用い, 過去において現地盤の上位に発達していたと推測される地層の最大層厚を算出し, その層厚および深部地盤構造と土質特性との関係について広域的な検討を行い, シルト層の力学的特性の地域的な差異をもたらした原因を検討したものである.
  • 加賀 宗彦
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 195-205
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    薬液注入材の耐久性に関して, ゲル化した注入材の物理・化学的安定性と注入固結砂の長期砂強度の予測法を検討した. 物理・化学的安定性としては, ゲル化した注入材の体積変化と溶脱シリカを長期的に調査した. その結果, 体積変化と溶脱シリカは, 一定期間の経過で, ほぼ停止した. また, 溶脱したシリカは未反応シリカで, 化学的な分解によるシリカはないものと推測でき, 少なくとも4500日間 (12年) は化学的に安定していることがわかった. 耐久性に関連したもう一つの研究として, 長期強度の予測法についても検討を行った. その結果, 外挿法による予測と, 同形アレニュウスプロットによる予測, 2通りの方法で予測が可能であった.
  • 鳥井原 誠, 古屋 弘, 平間 邦興
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 207-216
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    急勾配盛土が可能なジオシンセティックスを用いた盛土補強土工法は, 近年施工実績も増え, 補助工法と組み合わせた工法も幾つか提案されてきている. この補強盛土の施工において, 盛土造成時に法面形成を行い, 且つ補強領域の一体化を促進する法面保護工の拘束効果も, 盛土の安定に寄与する重要な要因のひとつである. 筆者らはこの点に着目し, 室内および現場での各種実験ならびに数値解析を行うことによって, ジオシンセティックスと法枠を組み合わせた新しい盛土補強土工法を開発し, いくつかの工事に適用してきた. これらの実験および現場計測データから, 本工法は補強効果の増大のみならず, 完成後の景観からみても永久構造物としての仕様を十分満足するものとなっていることが確認できた.
  • 小島 謙一, 太田 秀樹, 舘山 勝, 飯塚 敦
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 217-227
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    開削工法などの掘削工事では, 周辺地盤や構造物に及ぼす変形が大きな問題となる場合がある. 特に都市部における掘削工事では周辺構造物の密度は増す一方であり, 十分な検討が必要となる. しかし, 土留め工設計に関わる各規準においては具体的な検討手法を記述したものは少なく, どのような方法が優れているか, 未だ定見はない. また, 比較的煩雑な手法が多く, 設計時に得られている少ない情報から容易に周辺地盤の変形を予測する手法が求められる. 本研究は, モデル地盤による有限要素法解析結果と現場で計測されたデータから求めた周辺地盤への変形の影響要因を評価し, 設計計算に用いるパラメータ (主としてN値および土留め壁の剛性) を用いて, 掘削時の周辺地盤変形を簡便に予測するための新しい手法を提案するものである.
  • 藤井 照久, 兵動 正幸, 日下部 伸, 福田 賢二郎
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 229-243
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 地震による飽和砂地盤上の盛土構造物の崩壊のメカニズムの把握と変形量の評価を行ったものである. 過去の振動台実験の結果から盛土周辺地盤の破壊形態を3つのゾーンに分割した. これに基づき, 北海道南西沖地震で被災した河川堤防を対象に, 各ゾーン毎の破壊形態に対応した境界条件を設定して, 地震応答解析と直接せん断試験を連結させた一次元のオンライン地震応答実験を行った. オンライシ地震応答実験により得られた地盤の変位量を現場で調査された河川堤防の天端沈下量と比較することにより, 盛土破壊に最も寄与した破壊形態について検討を行った. さらに, 地震による沈下の程度の異なった堤防数断面に対しオンライン地震応答実験を行い, それぞれの沈下量の予測を試みた.
  • 李 基豪, 風間 基樹, 寺田 賢二郎, 柳澤 栄司
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 245-256
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    破砕したカキ殻と浚渫粘土の混合土を埋立材料として活用するための基礎資料として, その透水性を検討した. まず, カキ殻を含む混合土の透水性を圧密実験から検討した. その結果, それ自身は不透水であるカキ殻は混合土の透水性を改善する特性を有することがわかった. 混合土のマクロな透水特性は, 構成材料である粘土およびカキ殻の自身の透水性と両者が成す構造によって決まる特性であるそこで, 混合土の供試体スケールの非均質性を反映できる均質化法により, マクロな混合土の透水係数を説明できる等価物性としてのカキ殻の見かけの透水係数を同定した. さらに, 理想化したモデルを用いて, カキ殻混合率を増加させた場合の混合土の透水性を解析的に求めるとともに, 混合土の透水異方性を検討した.
  • 國生 剛治, 本山 隆一
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 257-267
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地震による構造物や地盤の破壊は, 波動エネルギーの消費量と直接対応しており, 現在行われている加速度や速度の振幅による見方とは別に, 表層地盤に出入りする波動のエネルギー収支により, 耐震性の評価を行える可能性があると考えられる. そこで, 兵庫県南部地震において鉛直アレーにより観測された加速度時刻歴から, 重複反射理論によって上昇波, 下降波を求め, それらの波動によるエネルギーから地震の際に表層地盤でどの程度エネルギー収支があるのかを検討した. その結果, 地盤の液状化や非線形性の発揮によって, 表層地盤のエネルギー消費が大きくなることが分かり, エネルギー収支の計算により地盤の破壊や非線形応答が評価できる可能性が示された.
  • 大谷 順, 椋木 俊文, 菊池 喜昭
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 269-278
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    気泡混合処理土は, 飽和した浚渫粘土にセメントと気泡を混ぜたいわゆる混合土であり, 近年その適用が増えている. しかしその物性に関する今日までの研究では, 平均的な密度や気泡量の議論がほとんどであり, 混合体としての内部物性の把握やその定量的評価に関する研究は少ない. 本研究では, 非破壊試験法の1つである産業用X線CTスキャナ装置を用いて, 気泡混合処理土の内部状況の可視化とその定量的な評価を行うことを目的としている. 結論としては, X線CTスキャナ装置が地盤工学においても有用であることを示すと共に, 気泡混合処理土の内部状況の可視化と物性の内部分布状況を非破壊で評価可能であることを示した.
  • 高田 誠, 川内野 新, 山本 茂雄, 北村 良介
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 279-282
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    岩盤の強度パラメータは, ボーリングコアを用いて一軸圧縮強さ試験や超音波速度測定を実施したり, ボーリングコアの状態から岩級区分を行い, 既往資料を参考に設定されるケースが多い. しかし, ボーリングコアを用いた室内試験では, 亀裂等の少ない良質なコアを用いることが多く, 原位置岩盤の強度パラメータを室内試験結果のみで判断することは困難であること, 岩級区分からの強度パラメータ推定では個人誤差が入ることに問題がある. また原位置せん断試験を実施するには, 多額の経費と時間が必要となり, 試験数に自ずと制約が生じる. 本論文では, このような問題点をクリアするため, ボーリング孔内で容易に, 連続的・経済的に実施できる原位置岩盤の引張り強度試験を提案する.
  • 岡部 幸彦, 進士 正人, 呉 旭, 川本 〓万
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 283-286
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本文では, Bieniawski の岩盤分類評価法RMRから岩盤の変形係数を推定する方法を新たに提案する. 提案方法は, Hoek-Brown の岩盤破壊基準を基に, 岩盤の限界ひずみと岩石の限界ひずみとがほぼ等しいという条件から導出したものである. 日本国内の平板載荷試験の結果と比較することにより, 提案方法が既存方法より改善された推定結果を与えることを示す.
  • 北村 良介, 川井田 実, 阿部 廣史, 城本 一義, 寺地 卓也
    2000 年 2000 巻 652 号 p. 287-292
    発行日: 2000/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    南九州には火砕流堆積物の非溶結部であるしらすが広く分布している. しらすを主な構成土質材料とするしらす地盤では, 豪雨時に斜面崩壊や斜面崩壊に伴う土石流が発生し, しばしば地盤災害が発生している. このような豪雨に伴う地盤災害の防災・減災を目指し, 斜面崩壊を予知するためのサクションと雨量の現地計測システムを開発したので紹介する. サクションの計測にはテンシオメータを使用し, 雨量は転倒ます式の雨量計によって計測している. 計測システムにおいては, 計測されたデータがデータロガーにファイルされ, ファイルされたデータが携帯電話を介した遠隔操作により研究室のパソコンによって回収できるようになっている.
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