土木学会論文集
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2000 巻, 655 号
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  • 松尾 真紀, 日比野 憲太, 高木 宣章, 児島 孝之
    2000 年 2000 巻 655 号 p. 1-12
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリートに発生するひび割れを表現することのできる新たな離散ひび割れモデルを提案し, その基本的特性について検討を行った. ひび割れは, コンクリート要素界面に接触するアイソパラメトリック線要素として表現した. ある荷重作用下において, コンクリート中の最大主引張応力が引張強度に達したとき, その方向に対して直角にひび割れが発生するものとし, 最大主引張応力発生点にひび割れ要素を逐次挿入する方法で, 無筋コンクリートはりの曲げ試験について, ひび割れ進展解析を行った. ひび割れ要素には, 引張軟化曲線で表される, ひび割れを介して伝達される引張応力とひび割れ幅の関係と破壊エネルギーを特性値として導入した.
  • 加藤 佳孝, 魚本 健人
    2000 年 2000 巻 655 号 p. 13-21
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    セメント硬化体の耐久性能を把握するためには, 物質移動特性をシミュレートすることが必要不可欠であり, この際, 硬化体の不均一性を考慮することが重要である. 本研究では, 硬化体の物質移動に多大な影響を及ぼすと言われている遷移帯の連結性を森林火災理論によって表現し定量的評価を行った. その結果, 連結性の急激な増加をもたらす骨材量は水セメント比によって異なることがわかった. さらに, 硬化体を構成する要素毎の移動係数を用い, 浸透理論に時間項を組み込むことによって全体系の物質移動樹生を表現するモデルの構築を試みた. 現時点では移動現象の再現においては定性的な表現に留まったが, 実験結果から得られた傾向を再現することは可能であり, 本手法が妥当であることを検証した.
  • 出雲 健司, 佐伯 昇, 大沼 博志
    2000 年 2000 巻 655 号 p. 23-33
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    連続繊維シートで補強したRC部材のせん断耐力の評価を行うために, ノッチでひび割れ位置を限定したRC部材を使用して, せん断ひび割れを強制的に導入して, せん断耐力に有効的に寄与するシートの有効付着面積を求めている. この有効付着面積を既報の研究で得た連続繊維シートとコンクリートの付着強さ式に適用することによって, 連続繊維シートによるせん断耐力の向上効果を評価できることを明らかにしている. また, より実際の桁に近いRC桁の側面に接着した連続繊維シートの補強効果と一部のシートに導入したプレストレス力の効果を検討している. 実験の結果, シート, プレストレス力によるせん断補強効果が明らかにされており, 算定式により実験値を評価できている.
  • 佐伯 昇, 堀口 敬, 能登谷 武紀, Abdullah K. SOMEH
    2000 年 2000 巻 655 号 p. 35-46
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鉄筋コンクリートの防食法としてコンクリートに亜鉛めっき鋼繊維を混入し, 鉄筋の腐食を抑える方法を研究したものである. 亜鉛めっき鋼繊維は犠牲陽極として働き, また鋼繊維が腐食することによってコンクリート中の酸素を消費して鉄筋の腐食を抑制する. さらに力学的には繊維のクラックアレスト作用によってひび割れの成長を遅らせる, 本研究では, 改良フェロオキシルテストによって腐食挙動を目視で観察し, さらに腐食促進実験によって, これらの防食挙動を明らかにしている. また亜鉛の溶解による水素ガス発生が問題となることから, この対策について調べている.
  • 中村 秀明, 森川 慎吾, 麻生 稔彦, 浜田 純夫
    2000 年 2000 巻 655 号 p. 47-61
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリート製液体貯蔵タンクは貯水, 配水, 調圧等を行う水道タンクの他に, 下水処理施設, 石油や低温液化ガスの貯蔵タンク, さらには原子力発電所の格納容器にまで幅広く用いられている. これらの構造物は人々の生活や人命に関わるため, 高度な耐震性が要求される. 本研究は, コンクリート製液体貯蔵タンクの地震時における挙動を正確に把握し, しかもできるだけ簡単に解析できることを目的に, 内容液と地盤との動的相互作用を考慮に入れた地震応答解析法を示した. 内容液は微小波高理論と速度ポテンシャル理論により定式化されており, 内容液~構造物の連成解析が可能である. また, 地盤の仮想境界には粘性境界が用いられており, 構造物~地盤との相互作用が考慮されている.
  • 幸左 賢二, 藤井 康男, 水田 崇志, 森田 修二
    2000 年 2000 巻 655 号 p. 63-73
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震により, フーチング上面にひび割れが発生した橋梁が数基発見された. そこで, 1/2スケールの橋脚・フーチング・杭を一体化した試験体を作成し, 単調載荷試験を実施した, その結果, 柱・フーチング接合部隅角付近に発生したひび割れが, フーチング上面から側面に進展し, 実橋とほぼ同じような損傷形態を示した. また, 三次元非線形弾性解析によっても接合部に大きな引張応力が発生することが明らかとなった. しかしながら, 試験体は道路橋示方書に基づき求めた設計荷重の2倍の106tfと大きな耐荷性能を有するとともに, じん性率7と高い変形性能を有していることが判明した.
  • 鎌田 敏郎, 川瀬 貴行, 国枝 稔, 六郷 恵哲
    2000 年 2000 巻 655 号 p. 75-82
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 液体窒素により冷却した鋼板表面の温度分布を計測することにより, 鋼板とコンクリートとの間に存在する空隙の平面寸法および厚さを推定する手法について検討したものである. 実験では, 鋼板とコンクリートとの間に円盤型の人工空隙を配置した供試体を用いた. 実験によって得られたサーモグラフィにおいて, 局所的温度変化領域の中心を通る直線上における温度分布曲線の変曲点部分を空隙端部とみなすことにより, 空隙の直径が推定できることを明らかにした. また, 空隙の実体積と3次元サーモグラフィにおける温度分布局面を用いて算出した体積とが線形関係にあると仮定し, これを利用して空隙の厚さを推定するプロセスについても提案した.
  • 岩城 一郎, 三浦 尚
    2000 年 2000 巻 655 号 p. 83-95
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    著者らの既往の研究により, 石灰石微粉末を混和した高流動コンクリートは低温下において優れた強度発現性を示すことが確認されたため, 石灰石微粉末の産地, 粉末度, 添加量を変化させてモルタル供試体を作製し, 様々な養生条件下における強度発現性を調査した. その結果, 石灰石微粉末の添加により低温下における強度発現が顕著に増進し, その効果は石灰石微粉末の粉末度及び添加量に依存することが明らかになった. そこで, 石灰石微粉末の添加による強度発現機構を解明するため, さらなる検討を行った結果, 低温下における石灰石微粉末の添加による強度発現増進効果は, 主に石灰石微粉末表面が水和生成物の析出サイトとして寄与することに起因し, 石灰石微粉末の多量添加に伴う強度の増進は, 主に石灰石微粉末の空隙充てん効果によるとの結論が導かれた.
  • 岩城 一郎, 三浦 尚
    2000 年 2000 巻 655 号 p. 97-106
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 高炉スラグ微粉末を混和した粉体系高流動コンクリートを寒冷地において施工する場合を想定し, 様々な配合条件, 養生条件, 環境条件に対する強度発現性を明らかにすることを目的としている. はじめに, 高炉スラグ微粉末の粉末度及び置換率を変化させたモルタル供試体を作製し, 養生方法や養生温度が強度発現性に及ぼす影響を調査した. その結果, 低温養生を行った場合, 配合によっては強度発現性に問題があること灘認されたため, 給熱養生による強度発現改善効果を検討した. 一方, 我が国の寒冷地で冬期にコンクリートを打ち込む場合, 打込み後しばらくは低温にさらされても, 冬から春への季節の変化に伴い外気温が上昇し, 強度発現が回復する可能性があると判断される. そこで, 材齢途中で温度が上昇することに伴う強度回復特性についても検討を行った.
  • 三井 雅一, 福澤 公夫, 沼尾 達弥
    2000 年 2000 巻 655 号 p. 107-117
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    FRP接着工法では, 不適切な施工や時間経過に伴う劣化により剥離が生じると所要の補強効果が得られないので, その部分を検出し補修を行う必要がある. 本研究では非破壊検査法の一つである赤外線サーモグラフィ法によりFRPシート・コンクリート間の剥離検出の検討を実験的・解析的に行う. まず, 基本実験として周辺環境との温度差を与えた供試体を用いてFRPシートの種類および層数, 欠陥厚さおよび熱負荷方法の影響について検討を行った. さらに, 外気温の日較差や熱輻射の利用により欠陥検出の可能性を検討した. また, 赤外線放射計より得られた温度分布から, 欠陥の有無のみでなくその形状や厚さなどを定量的に同定するための支援手法を目的として, 非定常熱伝導FEM解析によるシミュレーション手法の提案を行った.
  • 溝淵 利明, 成田 総一郎, 都築 慶剛, 平戸 裕之, 田邉 忠顕
    2000 年 2000 巻 655 号 p. 119-132
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, マスコンクリートの温度ひび割れ抑制対策の有効な手段のひとつであるパイプクーリングについて, 実構造物への適用を目的に筆者らがこれまでに提案しているパイプ内の流速をもつ水の熱収支を考慮したモデルを用いて, 3次元有限要素法による解析手法を適用して, 流量変化, 通水温度変化および流速方向を変化させたダム洪水吐での実測値と比較検討した. その結果, 本解析値はパイプ内の水温, パイプ壁面温度および周辺部の温度について実測値の挙動とよく一致したことから, 本解析手法がパイプクーリングによる熱除去効果を評価する方法として適していることが明らかとなった.
  • 塩谷 智基, 重石 光弘, 大津 政康
    2000 年 2000 巻 655 号 p. 133-141
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    単調載荷および繰返し載荷時の実PHC杭の曲げ・せん断試験にAE法を適用した. 破壊にともなう損傷の進行過程をAEによりモニタリングし, AE発生源の三次元位置標定および, クラックの種別・方向をSiGMA解析により決定した. これらの結果をPIT試験や目視観察結果と比較し, AEによるPC杭の損傷評価の適用性を検討した. その結果, PITは, PHC杭が破断に至っていない, つまり, 載荷過程で生じたクラックが閉口する場合, その損傷評価への適用は困難であることが明らかとなった. 一方, AE計測は, そのような場合にもPC杭の損傷評価が可能で, 曲げ供試体では, 0.08-0.30mm, せん断供試体では0.15-0.20mmのクラック幅を有する損傷から評価できることが明らかとなった。
  • 許 鎧麟, 武田 均, 丸屋 剛
    2000 年 2000 巻 655 号 p. 143-157
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    著者らは, 腐食性環境下に置かれた鉄筋コンクリート構造物の性能の経時変化を予測することを目的として, 既往の研究および著者らのこれまでの研究成果をもとに, 鉄筋コンクリート構造物の細孔組織構造の形成, 塩分, 酸素と水分の移動過程, 自然電位の形成および腐食電流密度を個々の現象に立脚したモデルを用いて連成解析する手法を構築した. 本論文では, 実験結果と解析結果を比較することにより, 任意の配合, 使用材料, 材齢, 養生条件, 環境条件に対し, 鉄筋コンクリート部材中の腐食因子の移動, 蓄積及び鉄筋の腐食進行を適切に計算できることを明らかにした.
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