土木学会論文集
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2000 巻, 659 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
  • Hamid Reza RAZAGHI, 柳澤 栄司, 風間 基樹
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 1-16
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地震荷重を受ける土の斜面の地震時永久変位を予測するために, 新たにニューマーク法によるすべりブロックの永久変位の計算方法を提案した. 地盤の水平動を入力地震動とし, 振動系をなす堤体を剛な円形すべりブロックと残りの本体とに別け, 円形ブロックの動きを計算した, 永久変形量に及ぼす入力地盤の水平最大加速度, 最大速度, 最大変位の影響, および加速度, 速度, 変位の各応答スペクトルとの関係について検討した.
  • 早川 清
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 17-25
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 地下軌道区間での列車走行により発生される地盤振動の軽減対策に関し, バラストマットと弾性枕木を用いる対策法の有効性について, 現地振動調査を主体として検討したものである. 対象地点の地下軌道区間および地表上の素地軌道区間において, 列車走行により発生される振動を地表面および地下軌道部の床, 壁, 柱, 軌道等において測定し, 各部位での発生振動値, スペクトル特性と振動減衰特性等について述べた. これらの結果より, 振動加速度レベル (VAL) での振動軽減効果を把握するとともに, バラストマットを用いた振動軽減対策法の有効性が, インサーションロス理論を用いて推定できることを示した.
  • 朝倉 俊弘, 志波 由紀夫, 松岡 茂, 大矢 敏雄, 野城 一栄
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 27-38
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    一般に, 山岳トンネルは耐震性に富む構造物であるといわれているが, 既存の地震被害事例分析によれば, 地震規模が大きく, 地震断層面からの距離が近く, 特殊条件が介在すれば, トンネルも被害を受けるとされている. 本論文においては, 過去の地震による被害事例の調査を行い, さらに, 1995年兵庫県南部地震による山岳トンネルの被害の実態調査を実際に行って, 被害事例を整理・分析した. ついで, 地震被害パターンを分類し, これに対して, 解析・実験によるシミュレーションを行って, その被害メカニズムについて考察した. この結果, 典型的な山岳トンネルの地震被害パターンは, (1) 坑門, 坑口部の被害, (2) 不良地山区間の被害, (3) 断層の変位による被害に分類でき, また, そのメカニズムは解析的・実験的に説明できることがわかった.
  • 島袋 淳, 安原 一哉, 村上 哲
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 39-49
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 前報同様, 非塑性シルト供試体に対する応力制御繰返し三軸試験によって, シルト質土の液状化特性, 液状化後の体積変化特性および剛性劣化特性を調べた結果を報告したものである. まず, これらの特性は供試体作製法 (すなわち, 結果的に得られる供試体初期構造) の影響を強く受けることを明らかにした. 次いで, 液状化後の体積変化特性と剛性劣化特性については, ともに過剰間隙水圧とせん断ひずみをパラメータとした, 実用に供する可能性のある簡便な予測モデルに定式化した.
  • 小西 真治, 朝倉 俊弘, 田村 武, 辻 鉄也
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 51-62
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 砂質地盤に粘性土層が一層介在した場合の切羽安定条件を, 模型実験と数値解析により求めたものである. 実験より軟らかい粘性土層の存在で崩壊領域が広がることや, 層の位置によって影響の程度が変わることがわかった. 次に, 二次元剛塑性有限要素法を用いてこの実験を精度よくシミュレーション出来ることを確認した. そして, パラメータ解析により粘性土の強度, 位置, 層厚による切羽安定に必要な内圧の変化傾向を把握した. さらに, 内圧で切羽を安定させる工法と地盤改良で安定させる工法が Mohr-Coulomb の破壊基準を用いることによって同じ基準で比較出来ることを確認した. 最後に, 砂層のc, φおよび粘性土層のcにより切羽安定条件の領域を定め得ることを確認した.
  • 松田 博, 柳楽 英希
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 63-75
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    粘土層の地震後沈下を推定するための簡便な手法を見い出すことを目的として, 種々の粘土について繰返し単純せん断試験および再圧密試験を行い, 繰返しせん断後の再圧密沈下特性について調べた. 用いた試料は, カオリン及び海成の再構成粘土である. その結果, 繰返しせん断中に生じる有効応力減少量は塑性指数が大きい粘土ほど小さいこと, ひずみ振幅が小さい場合, 沈下曲線は過圧密粘土と類似した曲線形状を示すこと, 塑性指数が大きいほど地震後沈下ひずみは小さいことがわかった. さらにポートアイランドでの第2期埋立て工事において測定された地震後の沈下-時間関係および室内試験結果をもとに, 沖積粘土層の地震に起因した沈下について検討した.
  • 片川 秀基, 橋本 徹, 平野 秀次, 村上 弘行
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 77-86
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    北陸地方に分布する新第三紀中新世の凝灰角礫岩, 角礫岩状安山岩のボーリングコアを用い, 岩石の力学的性質に及ぼす礫の力学的性質, 礫率の影響について検討した. これらの岩石は, 礫とマトリックスの力学的性質のコントラストが比較的小さな岩石である. 検討の結果は次のとおりである.
    (1) 周面礫率と一軸圧縮強度 (qu), 静弾性係数 (E50) および動弾性係数との間に相関性は認められなかった.
    (2) 一軸圧縮試験での破壊形態には礫とマトリックスの境界での応力集中の影響を示唆する部分もあるが, その分布は局部的で, 礫とマトリックスとの境界での応力集中が供試体の破壊に大きく影響しているとは考えがたい.
  • 片川 秀基, 橋本 徹, 平野 秀次, 村上 弘行
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 87-101
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    北陸地方の新第三紀火山岩類に属する凝灰角礫岩, 角礫岩状安山岩を模擬すべく, 礫とマトリックスとの力学的性質の差異が小さな領域を対象とした人工の礫混じり岩石を作成し, 一軸圧縮試験を実施して, 礫率と岩石の力学的性質との関係を調べた. この結果, 礫率の増加に伴い, 一軸圧縮強度, 破壊ひずみ, 限界ひずみにはいずれも低下傾向が認められた. これらの結果は, 一軸圧縮強度などの力学的性質と礫率との明瞭な相関性が認められなかった上述の天然の礫混じり岩石とは異なる結果であり, 天然の礫混じり岩石については, 礫率のみならず力学的性質に関与する要因は多く, それらを含めた検討の必要性を示唆しているものと考えられる.
  • 土居 洋一, 今泉 繁良, 山田 充彦
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 103-112
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    一般廃棄物は, 多くの場合焼却処理され, 焼却灰の形で管理型処分場に埋立て処理される. この一般廃棄物焼却灰の埋立地盤は, 長い年月を経て人工地盤を形成する. 焼却灰の特性は従来の家庭ゴミとは物性が異なるため, 埋立後の地盤特性に関しては不明な点が多い. そこで, 都市ごみ焼却灰 (炉底灰) を対象として, 締固め試験, 一軸圧縮試験, 透水試験, 圧密試験を行った. 特に, これらの特性に関する長期的な経時変化に着目して, 短期的結果と比較しながら検討した. その結果, 焼却灰は, 経時的な強度の増加及び透水性の低下, 圧縮性の減少等の特徴を有することを明らかにした. そして, これらの特徴が焼却灰中に含まれるカルシウムの水和反応に基づくことを, X線回折のスペクトル図, 電子顕微鏡写真等の観察により示した.
  • 山田 英司, 高稲 敏浩, 水野 和憲, 大野 雅幸, 野田 利弘
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 113-128
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    直接基礎に摩擦杭を併用したパイルド・ラフト基礎の沈下挙動に関する解析法は, その多くが地盤を基礎構造物に外力を及ぼすものと捉え, 基礎構造物自身を解くものである. 本論文では, 土骨格の変位場に制約条件を設定してパイルド・ラフト基礎の働きを表現し, 水~土連成場で地盤に関する力のつり合い式を解く. これによりパイルド・ラフト基礎が設置された弾塑性地盤の圧密沈下特性と荷重伝達機構を調べ, 以下の点が明らかになった. (1) 上載荷重を杭先端以深の地盤の深部に伝達することで沈下量を低減できる. (2) 地盤の透水係数によらず沈下量を低減できる. (3) 偏荷重による不同沈下量の低減には有効であるが, 杭先端が傾斜した基盤部付近まで達するような場合は, 不同沈下量の低減に効果がない場合がある.
  • 澤田 昌孝, 堀井 秀之, 吉田 秀典, Jiri VYCHYTIL
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 129-139
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高温岩体発電における発電システムの設計では, 水圧破砕によって形成される貯留層の性能を予測することが不可欠である. 水圧の作用により生ずるジョイントのせん断すべり・開口が水圧破砕における岩盤挙動の支配的メカニズムと考えられる. こうしたジョイントの挙動を考慮に入れ, 岩盤空洞掘削の解析手法として実績のあるマイクロメカニクスに基づく岩盤の連続体モデル (MBCモデル) を拡張し, 水圧破砕に対する解析手法の提案を行った. そして, 解析例として1992年に山形県肘折実験場で行われた大規模水圧破砕試験の問題を取り上げ, 解析結果と計測結果を比較することにより, 解析手法の適用性を示した.
  • 土居 正信, 大塚 悟, 茂木 竜史
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 141-152
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    岩盤構造物の安定性を適切に評価するためには岩盤に内在する不連続面の力学的特性を把握することが重要である. 本論文では岩石間の接触条件を取り込む下界定理に基づく数値解析手法によって, 岩盤不連続面のせん断強度特性について検討した. 実岩盤では複雑な幾何形状を有する不連続面を単純化し, 幾何形状が及ぼす不連続面のせん断強度特性への影響について調べた. 本解析手法の妥当性は Patton の実験結果との比較の外, 極限解析の上界計算を用いて検証した. 不連続面の破壊形態は垂直応力の増加によって凹凸 (アスペリティ) に沿うすべり・剥離破壊からアスペリティのせん断を伴なう複合破壊へ変化する. 破壊形態の推移によって不連続面のせん断強度の非線形性が発現することを数値解析によって明らかにした.
  • 本田 道識, 飯塚 敦, 河井 克之, 軽部 大蔵
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 153-164
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は不飽和粘性土の応力~ひずみ関係式を提案している. Jennings らが Bishopの有効応力式の適用限界を実験的に明らかにして以来, 不飽和土に対してはサクションの作用を独立に取り扱うことで定式化した構成モデルを用いて力学挙動を表現する試みがおこなわれている. 本稿においては土塊内の間隙水分布状態を反映させた応力成分を用いて力学挙動を表現しているモデルに対して塑性降伏条件と硬化パラメータに新たな概念を適用し, 関連流動則にもとづいた応力~ひずみ関係式を定式化している. 計算結果と三軸試験結果との比較は良い一致を示している.
  • 飯塚 敦, 本田 道識, 西田 博文, 河井 克之, 軽部 大蔵
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 165-178
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 不飽和状態に置かれている土構造物を対象として, 有限要素法を用いた初期値・境界値問題として取り扱う手法を提示している. 不飽和土の力学特性を特徴づける水分特性曲線のヒステリシスを考慮した弾塑性構成モデルを用い, 土/水連成の有限要素プログラムを開発した. まず, 解くべき初期値・境界値問題を述べ, 用いた数理モデルを説明している. さらに, 有限要素プログラムの検証を行った後, 簡単な例題として仮想堤体の問題を取り上げ, 堤体上流側の水位変化による堤体内部の応力変化と変形を調べている.
  • 呉 正林, 佐々木 康, 日下部 治
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 179-194
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    傾斜地盤中に設置された単杭の室内水平載荷模型実験を通じて, 傾斜地盤内の杭の支持挙動, 地盤の塑性化特性, 地盤反力特性, 破壊メカニズムなどを検討した. これらの結果に基づき, 地盤の進行性破壊特性を考慮し, 杭前面地盤の塑性化領域における極限地盤反力を計算する複数の三次元塑性解析モデルを開発した. これらの解析モデルを用い, 極限地盤反力の数値解析を実施した上で, 杭と地盤の連成系の解析を行ない, 水平荷重と杭頭変位の関係を求めた. 斜面内の塑性化領域を考慮したこの弾・塑性複合地盤反力モデルを用いた数値解析結果は実験結果とよく一致することを示した.
  • 東田 淳, 八谷 誠, 寒竹 英貴
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 195-209
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    国道25号難波西口交差点と国道9号五条堀川交差点付近で発生した2件の大中口径水道管の破壊は, 現場状況と破壊した管体調査の結果から, いずれも, 管路と地盤の相対沈下によって管路の軸方向に沿って大きな土圧が発生し, この土圧に対する反力が管路の支持点に集中したために生じたと推定された. この推定の妥当性を, 現場状況をシミュレートした遠心模型実験による土圧の定量化とFEM計算による管体の応力照査を通して確かめ, 破壊の直接原因は, 管路の支持点において管軸・断面両方向の管路の変形が連成した結果, そこで管体強度を超える断面応力が発生したことであると結論した.
  • 堀井 秀之, 宇野 晴彦, 吉田 秀典, 芥川 真一, 打田 靖夫, 森川 誠司, 山辺 正, 多田 浩幸, 京谷 孝史, 伊藤 文雄
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 211-227
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 不連続性岩盤の力学挙動を表現する解析手法として, 代表的な不連続性岩盤モデルを選定し, 既設の揚水式発電所大規模地下空洞掘削時の岩盤計測挙動を対象として, 各解析手法から得られる壁面変位の時刻歴挙動, 岩盤変位分布について, 実測結果を踏まえ比較検討を行った. この解析結果に基づき, 各解析手法から得られる岩盤挙動について, 各々の構成則との関係を考察し, 岩盤挙動の特徴が現れるメカニズムについて論じた. さらに, これらの結果から各解析結果の共通性や相違点を明らかにし, 大規模空洞掘削時の岩盤挙動表現の特徴・差異について論じた.
  • 堀井 秀之, 宇野 晴彦, 吉田 秀典, 芥川 真一, 打田 靖夫, 森川 誠司, 山辺 正, 多田 浩幸, 京谷 孝史, 伊藤 文雄
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 229-240
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    我が国では多くの地下発電所空洞建設の実績を有するが, 厳しい地質・地圧条件下での施工やより大断面の空洞掘削を可能にするためには, 空洞掘削時の岩盤挙動を正確に予測し得る解析手法の開発が不可欠である. 本研究では不連続性岩盤を対象とする最新の解析手法として, 節理の破壊を考慮したひずみ軟化解析, MBC解析, ロックボルト効果が考慮可能な等価連続体解析, 複合降伏モデル, クラックテンソルモデル, 損傷テンソルモデルを取り上げ, 簡単な節理条件に対する巨視的な等価せん断弾性係数の算定式により入力物性値の比較を行った. 次に, 既往の地下発電所空洞掘削時の岩盤変形挙動を最も良く再現できる入力パラメータを抽出し, 各解析手法による一要素解析結果の関係について論じた.
  • 武内 邦文, 志村 友行, 芥川 真一, 桜井 春輔
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 241-252
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 地下空洞のように周辺岩盤の緩み域や破砕帯等の非均質層挙動が卓越する場合に適した逆解析手法を開発し, 数値実験により解析精度を検討するとともに, これを実際の地下発電所空洞の掘削時に得られた計測変位に適用し, その実用化に向けた適用性を評価した. 本手法は, 初期応力パラメーターと非弾性ひずみを未知数としてノルム最小化により解を同定する逆解析により推定した岩盤ひずみを用いてその弾性係数低減率を定義し, 繰り返し計算により非均質層の広がりや特性を定量的に同定するものである. 数値実験および実工事に適用した結果, 本手法は従来の逆解析よりも計測変位により適合した変位とひずみ分布を推定でき, かつ適切に非均質特性を同定できるとともに, 計算自体は線形問題のため, 繰り返しも含めて迅速に処理可能であることから, 現場への適用性に優れていることが判明した.
  • 三浦 哲彦, 藤川 和之, 坂井 晃, 浜武 章
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 253-263
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    軟弱地盤上に造られた道路では, 不等沈下のために橋梁やボックスカルバートと周辺道路面との境界で段差を生じ車両走行の妨げとなることが少なくない. このような段差は車両走行の快適性を損い, 振動や騒音の発生源にもなるので, アスコンによるオーバーレイ補修が施される. 本論文は, 不等沈下を低減するための10種類の路床路盤工法に関する現場道路試験の結果について述べる. 次に, 初期建設費と段差補修費を加算した総建設費で性能評価を行うと, 不等沈下を低減させる工法は従来工法よりも経済的であることを示す. これらの検討結果に基づいて, 軟弱地盤上に設ける道路では路床路盤工に軽量化・強化・補強などの不等沈下対策を取り入れることが段差補修費を含めた総建設費の観点からは合理的であることを明らかにする.
  • 鷲見 武富, 八嶋 厚
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 265-276
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    不連続性岩盤斜面の安定解析において, 多大な労力を要する3次元解析を一般化するためには, 解析作業の省力化が課題となる. その手法の1つに, 多くのブロックの中から3次元安定解析を必要とするブロックを抽出する安定性評価手法がある. 本論文では, 岩盤すべり条件の定式化を行い, くさび効果と不連続面位置を考慮した岩盤斜面の簡易な安定性評価手法を提案する. また, 提案した手法による安定性評価結果と従来のステレオ解析による安定性評価結果を比較し, 提案した安定性評価手法が危険ブロックの絞り込みに有効であることを提示する.
  • 国松 直, 神宮司 元治, 今泉 博之
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 277-282
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は液状化した砂地盤の流動特性について, 従来のひずみ速度優先の計測方法とは異なる, 応力優先制御方式の音叉型振動式粘度計を用いて, 上向き浸透流によって液状化状態を保持した砂試料のレオロジー特性について計測した結果を報告する. 計測結果から液状化した砂試料の流動特性は上向き浸透流の流速によって挙動が変化するが, その流動特性は擬塑性流体的挙動を示すことが判明した. さらに, 既往の研究成果と比較し, 液状化した砂試料の流動特性にべき乗則モデルを適用して, 流速とせん断ひずみ速度に依存する粘性係数算出式を示した.
  • 本多 眞, 菊地 宏吉, 鈴木 哲也, 水戸 義忠
    2000 年 2000 巻 659 号 p. 283-295
    発行日: 2000/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ダムの保守管理の対象となる周辺地下水位は, 時間及び空間の両方の領域において変動するデータである. 観測データから全体の地下水位変動を精度良く把握するためには, 確率論に基づいた統計的な手法が有効である. 本研究では, 貯水位と降水量の変動も考慮に入れて, これらの変動を表現する時空間の確率モデルを提案, 地下水位変動の推定手法としてこの確率モデルを基にした時空間 Cokriging を開発した. このモデルは, 観測孔位置で与えられる時間領域の確率モデルを空間的に補間して空間領域に拡張しており, 位置によって変動の異なるデータに対応できる点が特徴である. そして実際のダムの観測データを用いていくつかの検討を実施して, 提案手法の適用性や有効性を確認した.
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