一般に, 山岳トンネルは耐震性に富む構造物であるといわれているが, 既存の地震被害事例分析によれば, 地震規模が大きく, 地震断層面からの距離が近く, 特殊条件が介在すれば, トンネルも被害を受けるとされている. 本論文においては, 過去の地震による被害事例の調査を行い, さらに, 1995年兵庫県南部地震による山岳トンネルの被害の実態調査を実際に行って, 被害事例を整理・分析した. ついで, 地震被害パターンを分類し, これに対して, 解析・実験によるシミュレーションを行って, その被害メカニズムについて考察した. この結果, 典型的な山岳トンネルの地震被害パターンは, (1) 坑門, 坑口部の被害, (2) 不良地山区間の被害, (3) 断層の変位による被害に分類でき, また, そのメカニズムは解析的・実験的に説明できることがわかった.
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