土木学会論文集
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2000 巻, 660 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 土木計画学研究委員会
    2000 年 2000 巻 660 号 p. 1-2
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
  • 観測と理論
    朝倉 康夫, 羽藤 英二
    2000 年 2000 巻 660 号 p. 3-13
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    交通空間はネットワーク構造を持つから, 交通行動の記述は時空間ネットワーク上でのパス (経路) の記述に他ならない. 行動データ収集のためのベースの調査手法は, 位置と時刻の精度が高いとはいえない. 移動体通信を援用した新しい行動観測手法は, この点を解決できる可能性を持つ. 一方, 交通網上での選択行動を集計しそのメカニズムをシステム的に記述するネットワークフロー分析は, どちらかといえば解析の容易性を重視して単純な行動規範を仮定する傾向にある. 解析の容易性を大きく損なわない範囲で, 行動の観測から得られるより現実的な行動ルールを組み込むことができれば, ネットワークフローモデルの説得力をさらに高めることができる. その方向性を検討するために, 本稿では経路選択行動の観測とフロー分析を意識した経路選択行動のモデル化について考察する.
  • 室町 泰徳
    2000 年 2000 巻 660 号 p. 15-25
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ITSプロジェクトの利用者サービスの1つには交通関連情報の提供が含まれており, 目的地付近の駐車場情報を含むナビゲーションシステムの高度化が企画されている. 本研究では, 駐車場情報提供下のドライバーの駐車場選択行動と探索行動モデルを推定し, 駐車場探索行動の発生メカニズムを検討した. その結果, 駐車場情報提供下では, ドライバーは期待入庫待ち時間を推定して駐車場選択行動をしていること, ドライバーによる経路上における期待待ち時間が, 初期選択駐車場の直近においては新たな駐車場探索行動を行うか否かの判断材料となり得ること, 探索行動の抑制には経路上における駐車場情報の精度が重要であること, が示された.
  • 羽藤 英二, 朝倉 康夫, 平井 千智
    2000 年 2000 巻 660 号 p. 27-37
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 複数情報リソース下の逐次的な情報参照過程に着目した意思決定モデルの基本的なフレームワークを示す. 従来, 情報による行動変化の側面からのみ評価されてきた交通情報の価値について, 意思決定の不確実性減少の観点から交通情報の価値を再定義し, 期待最大機会損失の変化量として定式化した. さらに意思決定の逐次的プロセスに着目し, 不確実性コストを考慮した情報参照モデルのフレームワークを構築し, 実際の行動データを用いてケーススタディを行った. モデル推定の結果, 意思決定の不確実性の高いドライバーが交通情報をより参照にしていること, 複数情報リソースを提供することで経路選択の意思決定の不確実性が低減していることなどが明らかとなった.
  • 追従挙動モデルの整理と今後の展望
    大口 敬
    2000 年 2000 巻 660 号 p. 39-51
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高速道路単路部を交通容量上の隘路とする渋滞現象の発生メカニズムを定量的に把握・評価し, 渋滞を予防する道路設計, 渋滞を緩和・解消する交通運用, AHSなど将来技術の影響評価などを可能とするためには, 運転挙動モデル, 特に追従挙動モデルの開発が重要である. 本稿では, 過去に開発された運転挙動モデルの中で特に追従挙動モデルをとりあげ, その特性を概観・整理する. 関連して, 人間による車両の制御モデルにおける扱いを紹介し, 人間特性のモデリング手法の応用可能性を示唆する. 最後に, これらの研究から得られる知見を整理し, 高速道路単路部渋滞の発生現象を記述できるような追従挙動モデルに関連する今後の研究展望をまとめる.
  • 中山 晶一朗, 北村 隆一
    2000 年 2000 巻 660 号 p. 53-63
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    不確実性下において, 人間は必ずしも確率論的に正しい方法に従って行動するのではなく, 自らの経験等によって規則・方法を形成し, それに基づいて行動すると考えられる. 本研究の目的は, そのような帰納的推論に基づいた経路選択行動を定式化した上で道路交通システムに関するシミュレーションモデルを構築し, 数値実験を通じて, 道路交通システムおよび経路選択行動の挙動を考察することである. 数値実験の結果, 行動主体は, 現状とは著しく異なる認知状態である「思い込み」を起こしたり, また, 経路選択時における思考を省略する行動の習慣化, 行動の「凍結」を起こしたりすることが分かった. また, 行動主体が行動を凍結させることなどせず, 十分に熟考する場合は利用者均衡に近い値に収束するが, その他の場合は必ずしもそれに収束するとは限らないことが示された.
  • 佐々木 貴弘, 駒井 拓也
    2000 年 2000 巻 660 号 p. 65-77
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 長い歴史の中で, 日本人の生活に密接に結びついて親しまれてきた日本人の原風景ともいうべき「里地景観」のイメージ構造について, 岩手県西根町を対象とした調査より明かとしたものである.
    住民, 転出者, 来訪者を評価主体に選定し, 意味的イメージ, 空間的イメージ, 視覚的イメージの3つのイメージ調査より多面的, 多角的なイメージ論を絡めた里地景観の評価を行った. その結果, 従来試論とされていた里地景観のイメージ構造について, 客観的, 定量的な裏付けを得ることが出来た.
  • 赤羽 弘和, 桑原 雅夫, 佐藤 拓也
    2000 年 2000 巻 660 号 p. 79-87
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究においては, 休日の都市間高速道路を対象とした利用予約制を適用し, 交通需要の発生を時間的に平準化することにより, 交通渋滞を軽減・解消する可能性を探った. サービスエリアにおけるSP調査に基づき, 予約条件, 利用者属性, およびトリップ属性を説明要因とする予約制選択モデルを構成した. このモデルと実際の交通渋滞の観測データとを組み合わせ, 数値シミュレーションにより予約制の効果を検証した. さらに, 予約動向に基づいて交通需要の発生状況を予測し, それを予約条件の設定や予約の受付・処理に反映させるフィードバックループを構築し, 交通需要の予測誤差が予約制の効果に及ぼす影響を数値シミュレーションにより検証した.
  • 兵藤 哲朗, 章 翔
    2000 年 2000 巻 660 号 p. 89-99
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    パラメータの分散や, 誤差項の異質性などを扱うことのできる Mixed Logit モデルは極めて柔軟な構造を持った汎用性が高いモデルと考えられる. しかしながら, その交通計画分野の適用例は限られており, かつ従来手法との比較検討も不十分な段階にある. 本研究では, Mixed Logit モデルの特性を, (1) 選択肢間誤差構造, (1) 誤差の個人異質性, (3) パラメータの確率変動 といった, 従来別個のモデルで対応してきた各手法と比較することにより明らかにした. シミュレーションデータに加えて, 都市間の実行動データなども適用対象とした分析結果より, 実用性を踏まえた Mixed Logit モデルの利用可能性を示すことができた. また, Mixed Logit モデルを主軸とした既存方法論の簡単な整理を行うこともできた.
  • 天野 光三, 西田 一彦, 渡辺 武, 玉野 富雄, 中村 博司
    2000 年 2000 巻 660 号 p. 101-110
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近世の城郭における石垣構造の技術的頂点に位置するものとして徳川期初期での大坂城石垣がある. 石垣形状での2次元的曲線および3次元的曲面にみられる構造美や構造形式としての力学的合理性からみて, 城郭石垣は世界的に他に例をみない極めて優れたものである. 本研究では, 歴史遺産としての徳川期大坂城城郭石垣をその構造に着目して土木史的研究を行った. まず, 現場調査と文献調査により過去の崩壊事例を明らかにした. 次に, これらの歴史データの分析をもとに抽出した石垣構造形式の力学的合理性に関して, 平面および断面形状に着目した実証的研究を行った. その中で, 石垣構造の安定性評価法として, 石垣構造比および石垣はらみ出し指数といった工学指標について提案した.
  • 横松 宗太, 小林 潔司
    2000 年 2000 巻 660 号 p. 111-123
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 物的資産の被害リスクを修復可能なリスクと位置づける. その上で, 災害による物的被害リスクに直面する家計の長期的な消費・資産形成や災害保険の購入行動を表す動学的消費モデルを定式化する. そして, 防災投資による災害リスクの低減が家計の物的資産の形成行動に及ぼす影響を分析するとともに, 防災投資による物的資産の被災リスクの軽減の経済効果を計測するための方法論を提案する.
  • Tadeusz KASPROWICZ
    2000 年 2000 巻 660 号 p. 125-134
    発行日: 2000/10/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    Cost and time are esential parts of construction works accomplishment. According to the existing circumstances, construction works are analyzed under the deterministic or stochastic conditions. The deterministic conditions are assumed when random factors can be sufficiently eliminated. In opposite case the stochastic conditions must be considered. The requirements of construction works execution are described by using models of construction technology and resources. Scheduling of the works execution are realized by solving mixed linear programming problems under the requirement. In this paper, these are applied to cost-time scheduling of the small bridge erection as an example under stochastic conditions.
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