土木学会論文集
Online ISSN : 1882-7187
Print ISSN : 0289-7806
ISSN-L : 0289-7806
2000 巻, 661 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
  • タグエルディン ーハテム, 目黒 公郎
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 1-10
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 著者らが開発を進めている新しい構造解析手法 (応用要素法) を構造物の動的大変形解析に応用するための理論とそれを用いた解析結果を紹介している. 提案手法を用いると, 弾性挙動からクラックの発生・進展と言った非線形挙動, さらに破壊が進んで要素や要素の集合体が周囲の要素から完全に離れて独立に運動するまでの動的大変形挙動の解析が可能である. 理論解との比較からは, 簡便なモデルも用いているにもかかわらず提案手法の解析精度が非常に高いことが確認された. 更に提案手法は, 事前に破壊の位置や破壊モードを仮定する必要がない点でも優れている.
  • 西野 文雄, Sujan MALLA, 櫻井 孝昌
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 11-26
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    剛体変位を適切に除去すれば, 有限変位微少ひずみ問題は微少変位問題として扱うことができる. このためには固体を微少に分割し, 分割されたの各要素から他の要素とは独立に剛体変位を除去しなければならない. 本論文はこの考えに基づき, 数値解を求める目的で, 理論展開の中に物理的な考えを入れず, 数学演算のみで, 剛体変位の除去による基礎方程式の定式化を行ったものである. 数学演算のみで定式化ができたという簡明性は, 過去の剛体変位の除去手法による定式化が構造要素について行われたのに対し, 定式化を3次元の固体について行ったことによる.
  • 阿井 正博, 大隅 祐史
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 27-32
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    構造用ケーブルは, はり部材等と組合わせて用いられるのが普通であり, 汎用的なケーブル構造解析としては, やはり, 変位法が考えられる. 本文では, 弾性カテナリーによる変位法ケーブル要素の展開とその適用を示している. その表現は, 任意のたわみに対して正確であるが, 水平張力成分がなく鉛直に垂れ下がる状態で特異となる. 特異性の程度を明らかにしながら, それを除去する数値処理の方法を提案しており, 一貫した構造解析を可能としている. 弾性カテナリー要素では, 両端節点位置に対する張力成分は陽な表現にはない. 変位法要素としてその張力成分が, 特異状態をも含めて, 収束値として常に得られる1つの数値計算法も示している.
  • 竹宮 宏和, 塩津 吉彦, 湯浅 聡文
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 33-42
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 前半では, 平坦軌道を走行する新幹線列車から発生する地盤振動について, 振動計測とコンピュータ・シミュレーションから考察したものである. 定式化において, 列車荷重には軌道特性からの分布荷重を仮定し, 枕木間隔による擬似周期性を調和周期関数で与え, 車軸間隔, 車両の編成を考慮している. 解析ツールとして, 25次元FEMモデルを使用している. 後半では, 振動対策として, 著者らの提案するX-WIBをサイトに導入したときの振動低減効果を調べている. 本研究は高速列車走行時の沿線の振動評価・予測および対策工法の開発に寄与する.
  • 村田 清満, 山田 正人, 池田 学, 瀧口 将志, 渡邊 忠朋, 木下 雅敬
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 43-55
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地震時における鉄道構造物の安全性は, 構造物を構成する個々の部材の損傷レベルを予め想定した上で, 部材の損傷レベルに対応した変形性能が, 地震時の部材の応答値を上回っていることを照査する. 筆者らは, コンクリート充填円形鋼管柱を対象に, 部材の変形性能の評価法をすでに提案した. 一方, 地震時の部材の応答値は, 動的応答解析を基本に評価されるのが妥当であるが, この場合, 応答値は, 部材の復元力モデルに大きく依存する. 本研究は, 既に実施した一連の静的交番載荷実験に基づき, コンクリート充填円形鋼管柱部材の特性を反映した復元力モデルを提案するとともに, 復元力モデルの妥当性をハイブリッド実験により検証したものである.
  • 王 海波, 室野 剛隆, 西村 昭彦
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 57-69
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    杭基礎の耐震設計には, 杭体と地盤の動的相互作用の評価は不可欠である. 本研究では, 大型せん断土槽を用いて実物大鋼管杭の振動台実験の実施により, 大地震の際の軟弱地盤中の杭基礎の挙動と杭基礎―地盤の動的相互作用について検討した. 強い動的荷重を受けた地盤と杭基礎のpy関係の考察から, 地震動の振動数範囲においては地盤反力の弾性係数は振動数の依存性が小さいこと, 地盤反力の減衰力は振動数に依存しない非粘性減衰の特徴を持っていること, これらの係数は地盤振動レベルまたは杭の深さ方向によって変化することなどが明らかになった. さらに, 上部構造物の慣性力が大きな場合, 地表近傍において前杭と後杭の地盤反力係数および極限地盤反力に差が生じることも分かった. さらに, 自立性のある緩い地盤では地盤と杭の間に隙間が生じることが確認された.
  • 潤田 久也, 川島 一彦, 庄司 学, 須藤 千秋
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 71-83
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本文は, 高圧縮力を受ける橋梁用ゴム製緩衝装置の開発を目的として, 緩衝装置の1/2モデルを用いた載荷実験と Mooney-Rivlin 式を用いた大変形有限要素解析より緩衝装置の応力-ひずみ関係の推定法を提案するものである. 緩衝装置としては, 直方体の弾性ゴムの一面に橋梁取り付け用の鋼板を固定し, 他の面は自由とした状態で桁間衝突に伴なう圧縮力を受けるタイプを対象としている. 本解析では, 要素実験に基づいて Mooney-Rivlin 式の係数を定め, ゴム製緩衝装置の応力-ひずみ関係の推定法を提案し, 解析対象とした平面寸法の範囲では実用上十分な精度で適用可能であることが示された.
  • 長井 正嗣, 謝 旭, 山口 宏樹, 野上 邦栄, 新井田 勇二
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 85-94
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本文ではケーブルの非弾性挙動を考慮した弾塑性有限変位解析を用い, ケーブルの安全率の設定が斜張橋の終局挙動, 強度に与える影響を明らかにする. 斜張僑では, 桁に大きな圧縮軸力が生じていることから, ケーフウレの塑性伸びにより終局状態となる. そのため, 終局強度はケーブルの塑性化または桁の降伏が生じるいずれか小さい方の荷重倍率で支配される. また, 面内耐力の観点からは, ケーブルの降伏点に対する安全率として現行の2.0から1.7へ低減できる可能性を示す.
  • 谷口 朋代, 村山 知章, 面谷 幸男, 小森 寛治, 吉原 健雄
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 95-105
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 水平及び鉛直地震加速度を受けるアンカー構造を有し, かつ底板が浮上らない平底円筒貯槽の滑動の運動方程式を示し, 加速度応答倍率を適用して滑動の判定を行う方法について検討を行った. ここで, 加速度応答倍率の適用は滑動現象にとって最も重要な水平及び鉛直加速度とそれらの応答の同時性を無視することになるので, この点を補うために2つの係数を定義し, 水平及び鉛直加速度とそれらの応答の同時性の効果を滑動判定式に取入れるようにした. そして, それら係数が正規分布で近似される統計的性質を有することを明らかにし, 許容超過確率に基づいて算定した鉛直地震加速度と貯槽の鉛直応答加速度を設計値として用いて滑動の判定ができることを示した.
  • 上中 宏二郎, 鬼頭 宏明, 園田 恵一郎, 蔀直 樹
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 107-118
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は慣用のずれ止めである頭付きスタッドを溶接した突起付き鋼板を底鋼板に用い, その上にコンクリートを打設して作製した23体のオープンサンドイッチ部材に対して, 頭付きスタッドの削減を主目的とした2点曲げ載荷実験を行い, その曲げせん断特性を検討し, 突起の併用による必要スタッド数の削減の可否について論じたものである. すなわち供試体の実験変数には底鋼板の接合面上の突起形状 (平鋼板, 縞鋼板, 線状リブ鋼板の3種), せん断スパン比ならびにスタッド間隔を選び, 得られた結果より, 各実験変数が付着特性を含む曲げせん断特性, 主として耐力と破壊形式に与える影響を調査した. さらに, 必要スタッド本数の削減を意図した当オープンサンドイッチ部材の設計手法についても言及した.
  • 藤原 豪紀, 中山 隆弘
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 119-132
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 非定常スペクトルと時間に依存する位相 (時間位相) を用いた非定常確率過程モデルを示し, 同モデルに基づく地震動のシミュレーション法を提案した. 本法の妥当性は耐震工学的および確率過程論的な両面から検証した. 前者では, 実地震動の非定常スペクトルと時間位相を原モデルとして作成した一群の模擬波について, 最大加速度やその発生時間, さらに応答スペクトルについて考究した. 後者では, 実地震動の非定常スペクトルと模擬波群の非定常スペクトルを比較・検討した. 同様の検討は非定常スペクトルと一様乱数を用いた従来型のシミュレーションについても行った. その結果, 本法は, ほぼ原非定常スペクトルと一致した特性を有する模擬波を発生させ, 従来法よりも有効なシミュレーション法であることを示すことができた.
  • 田中 英之, 久保 喜延, 山口 栄輝, 及川 孝一
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 133-140
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 風による振動が問題となっている斜張橋用ケーブルに対して, 対風制振効果や経済性が見込まれるマルチストランドケーブルを提案している. 本研究の目的は, 渦励振等の空力不安定振動を抑制し, 風荷重にも低減効果のあるケーブルの開発である. その前段階の研究として風洞実験を行い, マルチストランドケーブルのストランド配置および, そのケーブルに巻きつけたヘリカルストランドの効果について検討を行なった. ヘリカルストランドの効果については, 巻き付ける角度やその径を変化させて応答特性や風荷重に及ぼす影響について調査した. また, 模型後方の流速を測定することにより, ヘリカルストランドがケーブル周辺の流れに及ぼす影響についても調査を行った. その結果, ヘリカルストランドの対風制振効果が高いことが判明した.
  • 谷口 朋代, 河野 健二
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 141-150
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    波力と潮流力を同時に受ける海洋構造物の動的応答解析法について検討を行った. まず, 外力に波と潮流の速度に関する非線形抗力を考慮した波力と潮流力を受ける海洋構造物の運動方程式を導いた. そして 潮流の流速を一定とし, 水粒子の運動と海洋構造物の動的応答にはエルゴード性があり, 平均値0の正規分布に従うと仮定して, 非線形抗力を等価線形化抗力に置換し, 線形化した運動方程式を導いた. また, 付加減衰を含む減衰のモード間の連成が無視できることを示し, 不規則振動論の手法に則って海洋構造物の動的応答値が求められることを示した. 等価線形化抗力や慣性力に及ぼす潮流力の影響を明らかにし, 海洋構造物の動的応答に及ぼす影響について検討を加えた.
  • 比江島 慎二, 野村 卓史
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 151-161
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    静止円柱周辺流れに対し線形安定性解析を適用し, 剥離直後のせん断層の不安定性について検討するとともに, その不安定性により増幅された撹乱がカルマン渦形成に関わる後流不安定性に与える影響について考察した. その結果, 剥離直後のせん断層で増幅率の高い変動成分の周波数域は遷移波と呼ばれる不安定変動の周波数域にほぼ一致すること, 遷移波周波数の撹乱により励起された孤立渦は円柱背部での波数増加や位相速度低下により渦どうしの合体を生じやすいことなどが明らかとなった. また, 遷移波周波数の撹乱により励起された渦やそれらの渦の合体による強い変動成分は後流の流速分布特性を顕著に変化させる. そのため後流不安定性が変化し, カルマン渦放出特性などにも強い影響を及ぼすことが示された.
  • 谷口 朋代, 河野 健二
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 163-178
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    潮流と波を同時に受ける海洋構造物の設計に用いる潮流の効果を含む波力荷重の評価方法の開発を行った. まず, 変動する波力の最大値の期待値を超過確率に基づく信頼性解析から求め, それらが独自に設定した波力の基準値に補正係数を乗じて波力の特性値として求められるようにした. 次に, 海洋構造物の不規則応答の最大値の期待値を超過確率に基づく信頼性解析から求め, それらが波力の特性値による静的応答値に補正係数を乗じて求められるようにした. これより, 従来, 動的解析で評価していた海洋構造物の不規則応答の最大値の期待値が, 波力荷重を用いた静的解析で求められようになった. 最後に, 波力荷重に用いる補正係数の性質を示し, 波力荷重による最大応答値解析の解析精度の検討を行った.
  • 堺 淳一, 川島 一彦, 宇根 寛, 米田 慶太
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 179-193
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    円形帯鉄筋はコンクリートの横拘束効果が大きいことが既往の研究により明らかにされているが, 鉄筋を円形に冷間加工すると帯鉄筋の内側には圧縮ひずみが, 外側には引張ひずみがそれぞれ生じ, そのひずみはひずみ硬化が始まる2~4%に達する場合もある. そこで, 低温焼なましにより冷間加工ひずみを除去した円形帯鉄筋と冷間加工ひずみを除去しない円形帯鉄筋を配置した供試体をそれぞれ3体ずつ作製し, これらに対する一軸圧縮載荷実験を行い, また, 冷間加工ひずみを除去する帯鉄筋と冷間加工ひずみを除去しない帯鉄筋の引張力をファイバー要素解析から求め, 帯鉄筋の冷間加工ひずみがコンクリートの横拘束効果に及ぼす影響を検討した.
  • 南荘 淳, 安田 扶律, 藤井 康男, 田蔵 隆, 大槻 明, 淵本 正樹, 中平 明憲, 黒田 兆次
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 195-210
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 1995年1月17日の兵庫県南部地震によって被災した道路橋橋脚の基礎杭ならびに周辺地盤の状況について述べ, その被災原因の究明を目的に, 3次元有限要素法モデルによる液状化解析ならびに側方流動解析を実施したものである. 橋脚基礎杭の被災は, 主に地震時の地盤変形によって発生し, 同時に地盤の流動化に起因する大きな変位が杭に強制的に作用してその損傷を進展させ, 結果的に大きな残留変形が杭に生じたものと推察される. このような被害を軽減するための対策法として, サンドコンパクションパイルによる地盤改良と鋼管矢板を用いる4つの方法に関して, 解析的にその有用性の検討を行った. その結果, 鋼管矢板を橋脚基礎と護岸の間に設置することで, 被害がかなり軽減できることが分かった.
  • 孫 利民, 菊地 敏男, 後藤 洋三, 林 正夫
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 211-220
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    重泥水はベントナイト液に加重材 (バライト) を加えて製成された高粘性, 高比重の特性を有する材質が安定な液体である. これをTLDに用いると, 高比重と最適スロッシング減衰によりTLDの小型化と制振効果の向上が可能となる. 本研究では, 非ニュートン流体である重泥水の減衰特性を把握した後, 重泥水TLDの挙動を模型実験, 等価減衰を導入した非線形波動理論解析ならびに高橋脚施工時の鋼管柱の加振実験により検討した. その結果, 重泥水TLDは水を用いる同じ寸法のTLDの2~3倍の減衰付加性能を有することを確認した. また, 重泥水TLDの簡易設計手法を提案した.
  • 水澤 富作, 近藤 八重
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 221-230
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    最近, 偏微分方程式を数値的に解く方法として Differential Quadrature 法が提案され, 理工学分野の多くの問題に適用されている. この方法は, 任意の導関数を解析領域に設けられた離散点での関数値の重み付き線形和で表し, 境界条件を含めた支配方程式を代数方程式に変換して解く数値解析法である. また, 適用範囲や解析精度を高めるために, 重み係数行列の計算法や境界条件の導入法などを含めて, 現在でも活発に研究が進められている. 本研究では, 扇形 Mindlin 板の振動解析への半解析的な Differential Quadrature 法の適用性について検討を行い, 本手法の収束性や精度などの数値安定について示している. また扇形 Mindlin 板の振動特性に与える幅厚比, 半径比や中心角などの影響について解析を行っている.
  • 臼木 恒雄, 真木 有岳
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 231-242
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    Lamb の板の波動伝播の弾性論解に含まれる変位場を基にして, 充実長方形断面はりの運動方程式を誘導し, 位相速度曲線の一致を確認した. この式中に含まれる動的断面2次モーメントや断面積などの断面諸量と周波数の関係を調べた. 無限長のはりあるいは板などの媒質を伝わる弾性波の第1次モードは, 周波数無限大において等しく Rayleigh 表面波に収束する. この事実から, 半無限体に対しても Rayleigh 表面波の動的断面2次半径を定義できることを示し, Poisson 材料において, それが静的な断面2次半径の7割弱ほどの値に低減する事を証明した. さらに第2次以上のモードではこの動的断面2次半径は周波数無限大の極限で零となり, 高次モードが媒質から消失する物理的事実とも対応することを証明した.
  • 川谷 充郎, 小林 義和, 今枝 拓也
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 243-250
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    道路橋における振動使用性の問題は, (1) 走行車両の走行安定性および乗り心地, (2) 道路橋を渡る歩行者の振動感覚, の二つに大別され, 本研究では後者の問題を考える. 道路橋における歩行者の振動感覚を解析的に検討する場合, 通常, 歩道は幅員の端にあることから, 桁の曲げ振動のみならずねじり振動も考慮する必要があるものと考えられる. 本研究では, 路面凹凸の確率特性を考慮し, 走行車両の偏心走行を想定して, 橋梁の曲げとねじりの連成振動を考慮した走行荷重下のシミュレーション解析および非定常不規則振動解析を行い, 解析結果を既往の研究による振動使用性評価法に基づき考察すると共に, 路面凹凸管理目標値について言及する.
  • 梶田 幸秀, 西本 安志, 石川 信隆, 香月 智, 渡邊 英一
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 251-264
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 高架橋などの桁間衝突時における運動エネルギーの損失や衝突力に関する基礎的知見を得るためにH型鋼供試体の衝突実験を行い, 供試体に発生する衝突力や衝突前後の運動エネルギーの損失およびゴム緩衝材の緩衝効果について検討したものである. 実験では, 質量52.2 (kg) のH型鋼供試体を2体用い, 相対速度1.0 (m/s)~3.0 (m/s) で互いに衝突させ, 供試体に発生する衝突力をひずみ計測により, また運動エネルギーは供試体の移動変位を時間微分して算定した速度により評価した. さらに実験結果を線形の衝突バネを用いたバネー質点系モデルによる解析結果と比較し, 桁間衝突解析におけるバネー質点系モデルの適用性と問題点について検討している.
  • 小山 茂, 岩熊 哲夫, 岩崎 智昭, 小倉 崇生, 三井 康司
    2000 年 2000 巻 661 号 p. 265-272
    発行日: 2000/10/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    複合材料の平均弾塑性挙動を予測する一方法の森・田中理論は弾性の場合には Hashin-Shtrikman の上下界と整合するが, 空隙を含む材料の実験値がこの森・田中理論の解のひとつ, つまり Hashin-Shtrikman の上界付近に分布し, また周期分布を仮定した解も同じような予測値を与える. そこで森・田中理論を3種類の材料からなる複合材料に適用した上で母材の体積比率を零にすることによって, 残る2種類の材料の平均挙動を予測する手法を提案した. その結果, 提案した予測値が2材料の体積比率が極端な場合に, Hashin-Shtrikman の上下界のいずれかに近い値を予測することが明らかになり, 具体的に実験値との比較を示した.
feedback
Top