土木学会論文集
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2000 巻, 665 号
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  • 軽部 大蔵, 深川 義隆, 本田 周二, 河井 克之
    2000 年 2000 巻 665 号 p. 1-18
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    大水深の海域に大規模な埋立地を造成すると, 大きな荷重増加が海底地盤の深所にまで及ぶことになる. このことが造成地の沈下挙動の予測に幾多の問題を引き起こしている. 本論文は, 神戸ポートアイランドおよび六甲アイランドの多くの地点や構造物について続けられている長期沈下測定記録の一部を埋立経歴とともに整理したものである. それによれば, プレローディングは, その撤去後の地表面沈下の軽減に有効であり, このことは, 地震時沈下にも当てはまる. また, 双曲線法の長期沈下予測への適用性も詳しく検討され, その限界が示された.
  • 古屋 弘, 伊藤 不二夫, 串間 正敏, 三田地 利之
    2000 年 2000 巻 665 号 p. 19-29
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    オーガー掘削機を用いて各種杭の施工や地中連続壁の造成を行う場合, それらの打設深度は重要な施工管理項目である. 通常これらの施工においては, 事前のボーリング調査結果に基づき施工エリアの土層を推定し, この土層ラインに従い杭または地中連続壁の打設長および根入れ長を決定している.
    本研究では, 基盤の傾斜がある場合や地層構成が複雑な場合でも, 客観的で高精度な施工管理を行う手法を開発する目的で, オーガー掘削機による削孔中の振動に着目し, これを利用して地層の変化を判定する手法を提案し, その現場実証実験を行った. 実験の結果, 硬軟が明瞭な地層構成の場合, オーガー掘削機の振動測定を行うことによりリアルタイムな地層境界の判定が行える可能性があることを示した.
  • 樅山 好幸, 熊野 賢二, 宮川 豊章, 野村 勝義, 今田 和夫
    2000 年 2000 巻 665 号 p. 31-44
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリート構造物における非破壊試験は, 現在各関係機関で研究・開発が進められているものの, 歴史が浅いこともあり, 明確な評価基準が確立されないまま損傷状況の把握や品質管理に用いられているのが現状である. そこで, 本文では踏掛版下およびトンネル覆工背面の空隙調査手法として, 簡便に調査が行える衝撃弾性波あるいは超音波を用いた非破壊試験に着目し, 供試体を対象に実施した試験結果から空隙調査への適用が可能であることを確認した. さらに, 実構造物を対象にこれらの手法を適用し, 実測データを分析・評価することにより, 周波数の大きさや卓越周波数あるいは波形の相違から空隙調査に対してこれらの手法が適用可能であることを明らかにした.
  • 河村 圭, 宮本 文穂, 中村 秀明, 三宅 秀明
    2000 年 2000 巻 665 号 p. 45-64
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 従来より著者らが開発してきた「コンクリート橋診断エキスパートシステム」の信頼性向上を目的とし, 教師データによる学習により獲得された専門技術者の知識を提示可能とする学習手法を提案するものである. また, システムの実用化を目指し, エキスパートシステムに必要不可欠である説明機能および知識獲得支援機能を新たに開発したものである. なお, 説明機能は, 推論に利用される入力データの定義や診断結果がどのような推論処理により推論されたのかを説明する機能である. また, 知識獲得支援機能は, 教師データによる本システムの学習後のニューラルネットから更新された知識を抽出し, ユーザーに対してその変化を提示するものである.
  • 長岡 隆三
    2000 年 2000 巻 665 号 p. 65-80
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は設計・建設産業 (Engineering & Construction Industry, 以降E&C産業と呼ぶ) の一部を占めるプラント建設業 (またはエンジニアリング産業) の歴史的経緯と問題点を検討したものである. 我国のエンジニアリング産業は誕生してほぼ半世紀を迎えるが, 過去30年の活動期を経て現在深刻な減退サイクルに入っている. 日本企業にとって世界市場における競争優位 (Competitive Advantage) の再構築は急務となっており, それが出来なければ現在の深刻な不況状況から脱却できないと言っても過言ではない. 本論文は世界のプラント建設市場を概観し, エンジニアリング産業の競争優位を検討しつつ日本のエンジニアリング産業再生のための方策を提唱することを目的とした.
  • 江口 忠臣, 室 達朗
    2000 年 2000 巻 665 号 p. 81-90
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本稿では, 建設車両の走行性能予測および省力化に関する問題としてORタイヤの解析モデルを提案し, あわせてタイヤの基礎的変形性状解析結果を報告する. 本研究ではORタイヤの機能をその構造から分析し外観上トレッド部とサイドウォール部の2つのブロックに分割する. タイヤの基本的な変形性状を表す情報として, 載荷試験により荷重とたわみおよび接触形状とたわみとの関係を実測値からチャート化した. タイヤモデルを剛体―ばねモデルRBSM (Rigid-Bodies Spring Model) にて構築し, 先のブロックに対する等価弾性係数を推定した. 構築したタイヤモデルを検証するため順解析を行い, チャートとの整合性を確認した. そしてタイヤの基礎的変形性状について数値解析を行い, その一部を明らかにした.
  • 塩月 隆久, 橋爪 正博, 古川 浩平
    2000 年 2000 巻 665 号 p. 91-101
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    発破による振動の評価尺度として振動レベルが用いられることが多くなっているが, この場合振動波形が得られない. このため, 加速度を計測して速度に変換し, 振動の最大速度振幅と振動レベルの関係式から振動レベルを推定することが多いが, この場合, 発破方法の違いが関係式に反映されない. そこで本研究では, 重畳シミュレーションにより得られた発破振動の最大速度振幅と振動レベルを用い, 発破施工の観点から発破方法の違いによる最大速度振幅と振動レベルの関係について検討する. その結果, 初段に用いる雷管の種類, 段当り孔数, 発破パターン, 振動の継続時間が関係式のA値に及ぼす影響を明らかにした.
  • 保田 敬一, 白木 渡, 安達 誠, 三雲 是宏, 堂垣 正博
    2000 年 2000 巻 665 号 p. 103-116
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, 橋梁の景観設計の重要性が広く認識されてきていることと, 住民参加型の社会資本形成の広がり, さらにその利用者の感性を取り込んだ設計が求められるようになってきている. 本論文では, 商品開発などで成果をあげている感性工学手法を取りあげ, 桁橋を対象に利用者の中でも大学生によるアンケート調査を行い, 学生が橋に対して要求している感性を分析し, 桁橋を構成するデザイン要素と感性との関係を合理的に結び付けることを試みた. そして, これまで橋梁の景観評価に有効であるとしてよく用いられてきたニューラルネットワークとの比較を行うことで, 今後の新しい景観評価・設計の方向性として感性工学手法の有用性を明らかにする.
  • 中村 兵次, 鈴木 久尚, 平島 健一
    2000 年 2000 巻 665 号 p. 117-136
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地盤改良工法や切ばりプレロード工法を採用した掘削土留め工では, 一般の場合に比較して土留め壁の変形が小さく, 結果として背面側土圧が一般の場合より大きくなると考えられることから, 背面側土圧を土留め壁の変位に関係なく既知量として与える設計方法を用いることは適切ではない. このような場合には, 背面側にも地盤ばねを考える計算法を使用することが考えられるが, そこで必要となる背面側の水平地盤反力係数と最小土圧の設定には確立された方法がない. 本論文では, 有限要素法を用いた数値計算結果に基づいて, 背面側の水平地盤反力係数と最小土圧の設定方法を提案するとともに, その提案を掘削面側地盤を改良した現場と切ばりプレロード工法を採用した現場へ適用した結果についても述べる.
  • 秩父 顕美, 吉野 広司, 佐藤 一彦
    2000 年 2000 巻 665 号 p. 137-146
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    設備診断法の一つである音響診断技術を適用してシールド掘進機の運転監視システムを開発することを目的に, 加速度センサによる検出信号を用いた掘進機の異常診断や切羽地質の推定方法などについて検討した. その結果, 異常を表す信号にはある特定の狭帯域における周波数スペクトルが卓越するという特徴があり, 広帯域と狭帯域のエネルギー比を指標として掘進中の異常現象を検出できる可能性があることが判明した. また, 検出信号の正規化されたパワースペクトルを特徴変数として主成分分析を行うことにより, 掘進機の仕様や運転方法の異なる事例での検出信号を同じ特徴空間において地質別にパターン分類できることが判明した. これらの結果から, 掘進機においても音響診断の適用性は高いと言える.
  • 溝淵 利明, 二塚 保之, 村尾 義則
    2000 年 2000 巻 665 号 p. 147-163
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    パイプクーリングは, 温度応力による温度ひび割れ抑制対策として有効な手段である. 本研究では, 橋梁橋脚部を対象にクーリングパイプを立体的に配置し, パイプクーリングによる効果的な熱除去を実施した. 適用に際しパイプ内の流速をもつ水の熱移流を考慮した3次元有限要素法を適用し, 事前に最適な配置を選定するとともに, パイプクーリングを実施した部材について温度計測を行い, パイプクーリングによる温度ひび割れ抑制効果の評価を行った. その結果, 事前に理論解析によって選定したパイプの立体配置が, 温度ひび害れ抑制に効果があったことを確認するとともに, 適用した解析手法がパイプクーリングによる熱除去効果評価法として適していることが明らかとなった.
  • 米田 昌弘
    2000 年 2000 巻 665 号 p. 165-170
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    設計段階で歩道橋の使用性を検討する場合, 歩行者による最大変位や最大速度を容易に算定できる田中・加藤の簡易算定法が多く利用されている. しかしながら, この簡易算定法の推定精度は歩道橋の構造対数減衰率δ1に依存し, たとえδ1=0.05であっても設計にとって危険側の結果 (最大で12%程度) を与えることが判明した. また, 最近では, 非共振歩調 (共振歩調から数%程度相違した歩調) に対する解析結果が歩行試験結果と比較的良く一致するとの報告もなされているが, 当然のことながら, 田中・加藤の簡易算定法では非共振歩調時における動的応答量を推定できない. そこで, 本文では, 構造対数減衰率がδ1=0.01~0.10の歩道橋上を共振・非共振歩行する際の動的応答量を推定できる簡易式を提案し, その有用性を検討した.
  • 地形分類の利用
    松島 良成, 矢吹 哲哉, 有住 康則
    2000 年 2000 巻 665 号 p. 171-176
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ある特定地域における地震災害防災を検討する場合に, サイスミックゾネーションマップが重要な資料となる. しかし, 沖縄県のような島嶼地域特有の小地形を考慮する必要がある場合には, 従来利用されてきたマップメッシュの妥当性及び細分化の検討が必要となる. その細分化によるマップメッシュの増大に伴い, 必要とされる地盤情報も増大する. したがって, 地盤情報に関する資料不足が問題となることが想定される. そこで, 本研究では, 地形分類図および過去の地盤情報について統計処理した結果を利用することで, これらの資料不足に対する補完手法を提案するものである.
  • 馬 智亮, 伊藤 義人
    2000 年 2000 巻 665 号 p. 177-181
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 道路へのCALS適用のために, 既存の個別機能ソフトと新たに開発した専用グループウェアなどのソフトを有機的に統合するシステム化について検討を行っている. 本論文では, まず作成した専用グループウェアのプロトタイプの概要を説明し, またそれを用いたケーススタディを示す. これによって, 本専用グループウェアが道路のライフサイクル情報を構造化して管理でき, 情報管理がより柔軟になり, 作業効率を向上させることができるだけでなく, 今後必要となるライフサイクル道路情報処理の可能性も示す.
  • 永井 泉治, 吉武 勇, 中村 秀明, 浜田 純夫
    2000 年 2000 巻 665 号 p. 183-188
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 山岳トンネル坑口部の橋梁における車輌の積雪スリップ事故防止策として, 山岳トンネル特有の湧水を利用した温水パイプ式ロードヒーティング実験を実施し, 検討を試みたものである. またその基礎実験として, 熱伝導特性の異なるコンクリートについて熱伝導試験を行うとともに, その融雪効果を調べた. トンネル湧水を用いた現場実験より29cm/dayの降雪量に対しても, 無雪状態にすることができたため, 温水パイプ式ロードヒーティングへのトンネル湧水適用の有効性が確認できた.
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