土木学会論文集
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2001 巻, 668 号
選択された号の論文の25件中1~25を表示しています
  • 宇佐美 勉, 織田 博孝
    2001 年2001 巻668 号 p. 1-15
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    大地震に対する鋼構造物の安全性および地震後の使用性を検証するためには, 構造物の損傷過程にまで立ち入った複雑な非線形域の数値計算が必要となる. 本論文は, 阪神・淡路大震災後, 急速に進展した, 鋼構造物および鋼・コンクリート複合構造物の非線形数値解析法ならびに照査法に関する最近の研究成果を性能照査型設計法の枠組みの中で整理したものである. また, 鋼ラーメン橋脚の設計コンセプトおよび, 鋼構造物の耐震設計法の高度化に必要な研究課題についても触れている.
  • 殷 峻, 呉 智深, 朝倉 俊弘, 太田 裕之
    2001 年2001 巻668 号 p. 17-27
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    複雑なひび割れ特性を有するコンクリートトンネル覆工は, 他のコンクリート構造物と違って厳密な設計がなされておらず, またその健全性診断はひび割れ性状に寄らざるを得ないのが現状である. 本論文は, 分布クラックモデルを導入した非線形有限要素法によりコンクリートトンネル覆工のひび割れ特性や破壊挙動を解析・検討したものである. 実験現象や結果に基づき, 1) 内部初期亀裂の位置変化, 2) コンクリート引張り強度の変化, 3) 破壊エネルギーの大きさ, 4) 外部荷重の変化, 5) 寸法効果, 6) 土圧の作用などについて因子解析を行い, トンネル覆工の特性、破壊挙動および構造解析手法自身に及ぼす影響を究明した. 本研究により得られた結果はトンネル覆工的設計, 構造診断および補強対策に有用な知見を与えると考えられる.
  • 三木 千寿, Fauzri FAHIMUDDIN, 穴見 健吾
    2001 年2001 巻668 号 p. 29-41
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    許容欠陥寸法を定め, 溶接構造部材の合理的な設計, 製作を行うためには, 溶接欠陥を有する溶接継手部の疲労特性を把握する必要がある. 本研究では, サイズ, 位置の異なる五種類の溶接欠陥を含む突合せ溶接継手試験体を製作し, 長寿命から短寿命までの疲労試験を行うことにより, 溶接継手部の疲労強度に対する溶接欠陥の影響を検討した. その結果, 溶接欠陥の形状, 大きさ, および位置が溶接継手部の疲労特性に大きく影響を及ぼすことがわかった. また, 現行疲労設計指針に基づく亀裂進展解析は特に長寿命域において非常に安全側であった.
  • 樫山 和男, 玉井 典
    2001 年2001 巻668 号 p. 43-53
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 非構造格子に基づく非圧縮粘性流れ解析のための, 高効率な並列計算法を提案するものである. 離散化手法としては, 低次の混合補間 (流速双1次/圧力区分0次) 要素を用いた安定化有限要素法を用いている. 並列計算手法としては, メッセージパッシングを用いた領域分割法に基づく方法を採用している. 本手法は, 大規模な非圧縮性粘性流れ解析において, 問題および機種に依存しない有効な並列計算手法であることを例題を通じて示している.
  • 竹下 明, 依田 照彦, 佐藤 幸一, 櫻田 道博, 志賀 弘明, 中洲 啓太
    2001 年2001 巻668 号 p. 55-64
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    合成桁の鋼桁とコンクリートフランジとの間のずれ止めには, 通常頭付きスタッドが用いられる. 本論文では, 鋼桁のウェブに波形鋼板を用いた場合のずれ止めとして実績のある, 波形鋼板に孔をあけ, そこに鉄筋を通す接合構造 (埋込み接合と呼ぶ) の疲労強度を実験的な面から検討した. その結果, 波形鋼板ウェブに用いる埋込み接合は疲労に対しても十分な安全性を有していることがわかった.
  • 谷脇 一弘, 大久保 禎二
    2001 年2001 巻668 号 p. 65-81
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 線形・非線形挙動状態にある箱形断面を有する岡節骨組構造物の最適設計問題を統一的, かつ能率的に解くことのできる新しい最適設計法を提案するものである. 最適化の方法は, まず最小コンプリメンタリーエネルギー原理に基づき, 岡節骨組構造物の線形・非線形解析問題が満足すべき解析上の必要条件を誘導し, これを最適設計問題の制約条件として考慮する. さらに, 設計変数として各部材の断面寸法のみならず, 未知部材端力, および可動節点変位を考慮し, 勾配射影法の手法を用いて設計変数の改良を行い, 最適な部材断面寸法, 部材端力および節点変位を決定するものである. 設計例において, 従来の最適設計アルゴリズム (双対法) により最適化を行う方法による解との比較を行い, 本論文で提案した方法の信頼性および能率性を明らかにしている.
  • 阿部 雅人, 柳野 和也, 藤野 陽三, 橋本 哲子
    2001 年2001 巻668 号 p. 83-101
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1995年兵庫県南部地震において阪神高速道路神戸線の高架橋脚は全般的に大きな被害を受けたが, 3径間連続高架部の固定支承下の橋脚については, 例外的に軽微な被害にとどまっているものが多くみられた. 本研究ではこの事実に注目し, その主たる原因が支承の損傷にあると考えて被害分析を行った. まず, 支承の耐震性能の評価手法を構築し, それによる耐震性能評価は実被害と整合的であり, 妥当なものであることを示した. 次に, 3径間連続部の被害を力学的に説明することを目的として, 支承を含めた3径間連続高架道路橋全体系の保有耐震性能を評価し, 実被害との整合性を分析した. その結果, 損傷順序および損傷方向を考慮することで, 被害を保有耐震性能の観点から概ね整合的に理解することが可能になった.
  • 大山 理, 栗田 章光
    2001 年2001 巻668 号 p. 103-116
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 鋼・コンクリート二重合成連続箱桁橋を対象に, 設計上の課題の1つであるコンクリートのクリープ現象に着目し, その影響評価を試みたものである. まず, 合成桁のクリープ解析をより厳格に行うために, 回復クリープの影響を考慮した応力-ひずみ関係式の誘導を行った. 次に, 本橋梁形式の中間支点領域に発生する負曲げモーメントに対する処置として, 内および外ケーブル工法を併用してプレストレスを導入することにより桁全長を圧縮状態とする場合と中間支点領域の上コンクリート床版のひび割れを許容した場合を対象に種々の数値計算を行った. その結果, 全断面圧縮状態を想定した場合, 中間支点部の上コンクリート床版は, クリープの影響により総発生応力の約3割の応力が損失するなど, クリープに伴う本橋梁形式の挙動を明らかにした.
  • 野田 博, 中山 昭彦
    2001 年2001 巻668 号 p. 117-130
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    一様流中ならびにスペクトル等の確率統計量が詳細に得られている一様乱流中における2次元角柱に作用する風圧を測定し, その特性を考察した. 風圧測定は全点同時測定とし, 検討に際しては平均風圧係数, 変動風圧係数, ストローハル数等の空気力特性の他, 既往の研究では殆ど得られていない瞬時の風圧係数分布, パワースペクトル密度ならびにスパン方向の相関係数に関しても調査した. また, 一様流と一様乱流の実験結果を比較することにより, 角柱の風圧特性に及ぼす乱れの影響に関しても詳細に考察した. 瞬時の風圧特性の結果より, 気流の乱れに関係無く完全剥離型断面では前面もカルマン渦の影響を受けること, 再付着型断面では側面で瞬間的に負圧のピークが生じ, そのピークが弱まりながら風下に移流すること等が分かった.
  • 渡邊 英一, 宇都宮 智昭, 永田 和寿, 梶田 幸秀, 杉浦 邦征
    2001 年2001 巻668 号 p. 131-142
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1995年兵庫県南部地震以後, 高架橋の耐震設計においては, 地震後のライフラインとしての機能確保が大きな課題となっている. そのため, 高架橋を基礎, 桁, 支承等からなるシステムとしてとらえ, 総合的にその耐震性を確保する方策に関する研究が精力的に進められている. 本研究では, 3連の単径間高架橋の縮小模型の橋軸方向に正弦波ならびにスケールした実地震波を入力することにより, 隣接する高架橋の上部構造の衝突を考慮した高架橋群の応答性状について検討した. 固定・可動支承ならびにゴム支承を組み入れるなどし, 高架橋の各構造要素を理想状態に再現した模型を用いての加振実験を行った. また, 得られた実験結果をもとに, バネー質点系による高架橋の時刻歴応答解析手法の妥当性について検討した.
  • 香月 智, 長屋 秀和, 諏訪 政雄, 佐藤 紘志
    2001 年2001 巻668 号 p. 143-161
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 新しく遺伝的アルゴリズムの計算効率性を高めるための副目的最適化エリート戦略を提案し, これを用いた対話型のトラス構造最適化手法の適用性について検討したものである. 多数の副目的の線形和で構成される多目的の主目的関数を対象として, 一部の副目的関数と特定の遺伝子の間において強い相関性がある場合に, その特定遺伝子について副目的関数のみに着目した遺伝子操作を行うことによって作られる副目的最適化エリート個体を考案した. 提案した戦略をトラス構造の対話型最適設計に具体化して組み込み, 最適値探索問題としての効率性について検討した. その結果, 提案手法が許容応力・最小重量設計問題に効率的な最適値探索を行うことが認められた.
  • 武野 志之歩, 伊津野 和行
    2001 年2001 巻668 号 p. 163-175
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    構造系間には桁間衝突による衝撃を緩和する目的で, さまざまな緩衝装置が設けられている. 桁間衝突による衝撃力を緩和する際衝突時に発生する衝撃力を的確に把握することが必要である. また, その衝撃力が構造系にどの程度の影響を及ぼすか検討することは, 衝突緩和の必要範囲を知る上で有用である.
    桁間衝突時に構造系が受ける衝突効果は力積により評価され, 力積は衝突時の相対速度に依存する. 相対速度により衝突現象を評価するには, 衝突速度を定義することが必要となる. 本論では, 簡易な1自由度系モデルにより桁間衝突現象を再現し, 桁間衝突を定量的に把握する指標として衝突速度スペクトルの提案を行った. 衝突速度スペクトルによれば, 各構造系の固有周期と桁遊間量により衝突速度の把握が可能となる.
  • 松岡 昌志, 山崎 文雄, 翠川 三郎
    2001 年2001 巻668 号 p. 177-185
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    人工衛星リモートセンシングによる地震被害把握の可能性について検討するために, 1995年兵庫県南部地震の際の現地調査に基づく被害データと地震前後の Landsat/TM及び SPOT/HRV 画像とを用いて, 被害地域における衛星画像の輝度値の変化について検討した. その結果, 特に Landsat 画像において輝度値の変化が特徴的であり, 液状化地域では地震前に比べて可視域から中間赤外域で輝度値が高く, 建物焼失地域では輝度値が低くなり, 建物被害地域においても無被害地域とは異なる輝度値変化を示した. また, 地震後の輝度値及び地震前後の比演算値の変化を説明変量とした最尤法により被害地域を分類し, それが実際の被害調査結果と概ね対応することを確認した.
  • 高田 至郎, 福田 克己, Nemat HASSANI
    2001 年2001 巻668 号 p. 187-194
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本稿では, 断層変位により発生する地中鋼管路の幾何的な変形量と3次元シェルにモデル化した管路最大ひずみとの関係を解析的に明らかにして, これらの関係を簡易的に求めることができる設計式を提案することを目的としている. その際, 断層変位量に応じた管路屈曲開始位置を理論的に計算し, 解析に取り入れている. その結果, 局所曲げパラメータを用いて解析結果を整理することにより, 管路曲げ角度と軸方向管路最大ひずみとの間に簡易式を提案した. このことにより, 想定断層の断層変位量を仮定したときに断層を横断する地中鋼管路に発生する最大ひずみを求めることが可能となる.
  • 川本 英樹, 吉田 秀則
    2001 年2001 巻668 号 p. 195-206
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 橋梁等3次元構造物の耐風性検討に適用できる空力弾性解析技術の確立を目指して, 3次元非定常流体解析コードと梁要素を用いた構造解析コードをカップリングし, 流体構造連成解析コードを開発した. さらに開発した解析コードの実現象への適用性を検討するために, 片持ち支持された3次元弾性円柱の流体力励起振動を解析し, カルマン渦励振については本解析コードによって高精度で再現できることを確認した. しかし高風速渦励振については十分に現象を再現できず, 構造系のモデル化, 格子解像度, 等について詳細な検討が必要である.
  • 林 正, 岩崎 英治, 山野 長弘, 時 譲太
    2001 年2001 巻668 号 p. 207-216
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    3次元有限変位解析に用いるハイアラーキケーブル要素を提案する. 本要素はp法による高次のアイソパラメトリック要素で, 極端に湾曲した状態のケーブルを1要素で解析することができて高精度の解が得られる. また, 数値計算の効率化を計ることができるアダプティプ法のアルゴリズムを開発する. 数値計算の結果から, 本要素は収束性と安定性に優れていることを確かめた.
  • 野上 邦栄, 岩崎 秀隆, 柴田 晃一, 長井 正嗣
    2001 年2001 巻668 号 p. 217-230
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    我が国の斜張橋の座屈設計では, 一般に道路橋示方書に準拠した応力度照査と安定照査を行い安全性を確認する手法が用いられる. しかし, 斜張橋のような複雑な構造形態に対して道示に規定された照査法を用いることの妥当性については問題を残している. このような背景のもと, 斜張橋における簡易かつ精度の高い耐荷力算出法と主桁の安全性照査法の確立が望まれている. 本論文では, 長大斜張橋を対象として, その終局強度の算出に当たりEf法の適用性を弾塑性有限変位解析との精度比較により明らかにする. さらに, 新しく安全性照査式を提案し, 道示に示される照査式との比較を行ない, その有効性について検討する.
  • 横山 正義
    2001 年2001 巻668 号 p. 231-241
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震において神戸海洋気象台ではN45W方向で最大加速度800cm/s2および最大速度100cm/sを越える強いパルス状の波形が記録された. 観測された加速度パルスの形は単純であり, 波形を震源モデルで再現することが可能と考えられる. 本研究では強震動のインバージョンから得られた断層の2次元すべり分布を参照し, これを連続な関数式で近似するモデルを提案する. 論文の前半では, アスペリティの震源過程を模擬する2次元モデルの定式化とケーススタディについて述べる. 論文の後半では提案したモデルを神戸海洋気象台の観測パルスの震源過程に適用し, 本モデルの適用性を考察する.
  • 谷口 望, 依田 照彦
    2001 年2001 巻668 号 p. 243-257
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリート床版と鋼桁よりなる合成構造を用いた連続桁は, 橋梁に多く用いられつつある. その中間支点部においては, 負曲げが生じるため, ひび割れに対する検討が必要である. ひび割れに対する検討は, 従来よりコンクリートを無視した鉄筋と鋼桁のみの断面で設計計算を行ってきたが, ひび割れ発生後の挙動に及ぼす, ひび割れが生じる以前の挙動の影響 (テンションスティフニングなど) については, あまり注目されて来なかった. EUROCODE 4では, ひび割れ発生以前の状態と発生後の状態を, 床版に作用する引張軸力で関連付けている. 本研究では, 日本で従来より用いられているひび割れ間隔を示す式と合わせて, 新しいひび割れ幅制御の計算手法を提案する. 提案した手法は, 合成桁の負曲げ実験と比較し, 妥当性を検討した.
  • 金居原水力発電所における検討
    松本 明男, 山田 雅行, 川西 正夫, 澤田 純男
    2001 年2001 巻668 号 p. 259-269
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    レベル2地震動を作成する方法としては, 半経験的方法が最も精度が高いと考えられるが, 当該地点での地震記録が必要である. しかしながら, 実際に調査段階で地震計を設置した例はほとんどみられない. 本報告では, 金居原水力発電所のダムの設計に際して, 各種調査を実施する段階で, 建設地点に地震計を設置し, 得られた観測記録に基づいて, 半経験的方法を用いて, 入力地震動を設定した. これにより, ダム建設地点の岩盤の地震応答特性および対象断層との相対位置による影響が反映された入力地震動を作成することが出来た.
  • 三木 千壽, 伊藤 裕一, 後藤 清彦
    2001 年2001 巻668 号 p. 271-281
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鋼橋に生じた疲労損傷に対する補修事例をおよそ100例集め, 要約した. これら要約事例は, 原因と対策別に整理しデータベースを構築した. このデータベースの情報を, 利用者の誰もがインターネットを通じて参照できるように, アドレスを公開する. ここでは, このデータベースシステムの利用方法を紹介し, また収録事例の分析から補修方法に関して若干の評価を行った.
  • 神山 眞, 荘司 雄一, 松川 忠司, 浅田 秋江, 中居 尚彦
    2001 年2001 巻668 号 p. 283-298
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    仙台市圏に構築・展開されたリアルタイム・オンライン・アレー観測システム Small-Titan の概要とそれにより得られた強震記録の特性が述べられる. 最初に, このシステムの構築にあたっての目的と観測ステーション, 観測センターの内容, システム全体の構成と特徴が紹介される. このシステムの構築以後の2年半の経過の中で約100個の地震記録を得ているが, これらの地震記録のいくつかの特徴が分析される. 特に, 1998年9月15日に発生した仙台直下の地震 (マグニチュードM=5.0) による強震記録にみられる震源, ローカルサイトの影響に関する解析結果が詳細に述べられる. また, このシステムによる記録を利用したサイスミックゾーニングについての考察がなされる.
  • 名取 暢, 西川 和廣, 村越 潤, 大野 崇
    2001 年2001 巻668 号 p. 299-311
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    腐食は鋼橋における損傷の中でも最も一般的なものであり, 橋梁を架け替える際の重要な要因の一つとなっている. また, 今後, 既設橋梁を健全な状態に保持していくためには, 腐食に関して, その点検から補修補強に至る一連の維持管理手法を確立しておくことが重要である. このような観点から, 本研究では, 鋼道路橋を管理する技術者に腐食に関する情報をわかりやすい形で提供することを目的として, これまでに報告されている腐食事例や実橋調査結果を収集・整理し, 鋼橋のどのような部位に, どのようなことが原因で腐食が生じるのかを整理分析した. また, 点検に際しての留意点や効率的な点検を実施するための重要点検部位を示すとともに, 腐食を検出するための非破壊検査手法に関しても提案した.
  • 貝沼 重信, 森 猛, 一宮 充
    2001 年2001 巻668 号 p. 313-318
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鋼道路橋において, 荷重伝達型の十字すみ肉溶接継手とみなされる溶接継手の止端部やルート部に典型的な疲労損傷が報告されている. この継手の疲労破壊起点は, 溶接脚長, 溶接の溶込み深さ (開先深さ) や板厚などの諸因子により影響を受けることが知られている. しかし, 疲労破壊起点に及ぼすこれらの因子の影響が十分に明らかにされていないため, その評価方法は確立されていない. そこで, 本研究では継手の諸寸法を様々に変化させた荷重伝達型十字溶接継手を対象として, パラメトリックな疲労き裂進展解析を行った. この解析結果に基づき, 溶接脚長, 溶込み深さ, 板厚が疲労破壊起点に及ぼす影響を定量的に明らかにし, 疲労破壊起点の評価方法を提案した.
  • 伊津野 和行, 小林 紘士, 鎌田 耕平
    2001 年2001 巻668 号 p. 319-324
    発行日: 2001/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地震時の大変位が橋梁に与える被害を考えたとき, 落橋防止システムとしての桁間連結装置の重要性は高い. 本研究では, 桁が橋脚から落下するという最悪の事態を想定し, 落下する桁を連結ケーブルで支えるための条件について基礎的な検討を行った. 単純桁の自由落下と, ばね, 粘性減衰機構, 履歴減衰機構を考慮した緩衝過程の定式化を行った. 数値計算により, ケーブルに作用する力の最大値と, 緩衝に必要な作動距離の試算例を示した.
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