土木学会論文集
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2001 巻, 670 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 中山 忠暢, 禰津 家久
    2001 年 2001 巻 670 号 p. 1-11
    発行日: 2001/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    実際の河川では通常流水上に風が吹いており, 底面シアーと水面シアーが混在する流れになっている. 本研究では空気流及び水流が共存する流れ場を対象として, その乱流構造に関する解明を行った. その結果, 2層流下での空気流に対する混合距離モデルの拡張を行った. 一方, 水層については従来から行われているような水面シアー及び底面シアーを単純に加えた直線分布では不適切であり, 放物線状のせん断力であることが明らかになった. また, 水層中での乱れエネルギーについて, 両層での摩擦速度比が大きい場合には非線形性が増加することが示された.
  • 中山 忠暢, 禰津 家久
    2001 年 2001 巻 670 号 p. 13-23
    発行日: 2001/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, 計算機の発達によって直接数値計算がなされ始めてきているが, 水面変動の激しい急勾配流れについては計算時間及び負荷の小さい応力方程式モデルが依然として非常に有効である. 本研究では, 水面が穏やかな流れについて従来から提案されている自由水面での境界条件と比較しつつフルード数の影響を考慮した自由水面での境界条件を提案し, それを用いることによって自由水面近傍での乱れの再配分率の再現を行った. さらに, そのような再配分率の変化は圧力歪み相関項と大きく関連していることが明らかにされ, この項にフルード数の影響を考慮することによって実験値を非常にうまく再現できた. 一方, 本研究で検討したモデルでは再配分率と逸散率を同時に再現することは不可能であることが明らかになった.
  • 西本 直史, 森 明巨, 板倉 忠興, 金澤 克己
    2001 年 2001 巻 670 号 p. 25-36
    発行日: 2001/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    常流・射流が混在する開水路流れの数値解析では, 跳水のように不連続的な流れを扱うため完全気体を対象として発展してきた衝撃波捕獲法が有用である. 中でも特性帯の理論に基づくFDS法 (流束差分離法) が物理的に理解しやすいことから, FDS法を開水路流れに適用する. まず, Rankine-Hugoniot 関係を満たすための“Roe の線形化”について3つの方法を比較し, 開水路流れに最適の方法を示す. 次に, 支配断面の近傍で生じる非物理的な解 (完全気体における膨張衝撃波) の除去法について検討し, 開水路流れに有効な除去法を示す. また, ソース項の取扱いも含めて数値解の算出法および境界条件の設定法について述べ, ダム破壊流れや常流・射流が混在する流れの計算を行い, FDS法の有効性を示す.
  • 内山 雄介
    2001 年 2001 巻 670 号 p. 37-48
    発行日: 2001/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    海岸帯水層中の地下水の挙動を数値モデルによって調べた. まず, 飽和-不飽和浸透流式と塩分の移流分散方程式を連立させ, 海面の時間変動を境界条件として取り込むことにより, 海岸帯水層特有の地下密度流場を解き, かつ帯水層中に形成される塩水楔の非定常過程を解析し得る数値モデルを示した. この数値モデルを用いて, 砂浜海岸における帯水層中の浸透流場を解析した結果, 前浜表層においてH. W. L. の汀線付近で下向き, L. W. L. の汀線付近で上向きの, 局所的な循環流が形成され, 海水が滞留する領域が出現することを明らかにした. さらに, その形成メカニズムに関する考察を行い, 循環流が潮汐の作用によって形成されたものであること, 帯水層中の密度構造と密接に関連していること, 陸域からの淡水フラックスの大小, 潮位振幅, 海浜勾配等によってもその形態が大きく変化することを見出した.
  • 正村 憲史, 藤間 功司, 後藤 智明, 飯田 邦彦, 重村 利幸
    2001 年 2001 巻 670 号 p. 49-61
    発行日: 2001/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    広い海域では従来と同じ平面2次元モデルを使用し, 構造物周辺など3次元性が無視できない領域では非静水圧3次元モデルを使用する. 2次元・3次元ハイブリッドモデルを用いた津波数値解析法を開発した. 全領域を非静水圧3次元モデルで計算した結果と本ハイブリッドモデルの結果を比較し, 領域接続手法の妥当性を検討した. また, 津波防波堤周辺の波の挙動に関する水理模型実験を実施し, その実験結果と本手法による津波数値計算結果とを比較することにより, 本計算手法の有効性を検証した. 本ハイブリッドモデルを用いることにより, 防波堤閉口部周辺で発生するような3次元性の強い複雑な流況を計算でき, また全領域での3次元計算に比べて大幅に計算量への負荷を軽減できる.
  • 羽田野 袈裟義, 矢野 晶人, 松本 治彦, 朝位 孝二
    2001 年 2001 巻 670 号 p. 63-72
    発行日: 2001/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    斜面上で生じた淡・塩水の開放交換流の流動を実験的に検討した. 斜面を流下する下層流とこれを補償する上層流の運動を調べている. その結果, 傾斜サーマルの初期の流動は, 初期塩水体積と初期相対密度差から決まる時間, 長さおよび速度のスケールと底面勾配により表現されること, これらのスケールを用いて有用なレイノルズ数が定義されること, 下層流先端部の厚さは漸増するがその増加割合は水面の影響がない場合に比べて小さいこと, 最大厚さの断面の密度フルード数は漸増して一定値に漸近しその値は底面勾配とともに増加すること, 上層補償流先端部の流動厚さはほぼ一定で仕切位置水深の0.2-0.3倍程度, 密度フノレード数は1程度であることなどを明らかにした. また, 密度流先端部のくびれや循環流について力学的な検討を行っている.
  • 浅枝 隆, 田中 規夫, 谷本 勝利, Tilak PRIYADARSHANA, Jagath MANATUNGE
    2001 年 2001 巻 670 号 p. 73-82
    発行日: 2001/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    水生植物は被捕食者に対し捕食者からの隠れ場を提供し, 捕食者の行動に影響を与えるため, 動物プランクトン食魚 (モツゴ) の捕食ならびに遊泳行動を, 餌 (ミジンコ) の密度変化 (0.5, 1, 2, 5, 10, 25 prey・1-1) と沈水型人工植生の密度変化 (350, 700, 1400, 2100, 2800 stems・m-2) のもとで, 実験により調べた. 遊泳速度は抱腹の程度に大きく関係し, かつ餌の密度が増えると減少する, 最大捕食率は平均餌間隔に大きく依存し, それとともに変化する. 植生密度が徐々に増加すると, 植生がない場合に比べて捕食者の捕食効率が減少する. 捕食率と遊泳速度は平均植生間隔と魚の体長の比で良く表現できる. 捕食ならびに遊泳活動は, 魚の1回の移動距離である体長の0.7倍付近で急激に減少することが判明した.
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