土木学会論文集
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2001 巻, 677 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 鈴木 洋之, 長谷川 和義, 藤田 睦博, 石田 享平, 岩崎 政司
    2001 年 2001 巻 677 号 p. 1-19
    発行日: 2001/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本邦におけるダム貯水池への流入量推定は静水位の時間変化からの推定を基本としている. しかし, 推定に用いられる水位データはセイシュ・風波・風による水面の吹き寄せ現象などの水面変動に起因するノイズを含むために正確な流入量推定が非常に困難となっており, この問題はダムの操作・運営に大きな支障をきたしている. 本稿ではディジタルフィルタを用いて水位データからノイズを除去する流入量推定手法について検討した. 本手法を用いてノイズの影響を抑えた良好な流入量推定が可能であることが確認できた. また, フィルタ入力となる水位データの持つ統計量の違いから生じる出力の分散の変化を調べることでフィルタ出力の信頼性について考察を行った.
  • 鈴木 誠, 百田 博宣, 神野 健二, 長谷川 誠
    2001 年 2001 巻 677 号 p. 21-31
    発行日: 2001/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    トンネルや空洞の建設は, 広域の地下水流や地下水位に影響を与えるばかりでなく, 地表の降水の流出状況にも影響を与える場合がある. このため, 広域の地形地質を反映できる水理モデルを用い, 両者の相互関係を考慮して同時推定することが重要である. 本研究では, 準三次元浸透流解析手法を対象に, トンネル等の建設後の地表流出量に対する推定方法を提案し, 従来の準三次元解析では困難であった地下水位変動に伴う空洞湧水量も算出できるように拡張した. また, ダム貯水池周辺の観測データに提案手法を適用し, 広域の地下水状況と地表流出状況を的確に評価できることを示した. さらに, 空洞の建設を想定した数値シミュレーションを行ない, 空洞湧水量の影響検討に適用できることを示した.
  • 佐賀 孝徳, 大成 博文, 渡辺 勝利, 杉本 博幸
    2001 年 2001 巻 677 号 p. 33-41
    発行日: 2001/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    側壁領域の水表面部に横断面視, 水平断面視, また二象限同時可視化を適用することにより, 水表面部に形成される組織構造の特徴を考察した. この組織構造は, 側壁に形成された壁縦渦が水表面へ発達し, そこからその片側の渦はさらに水表面に沿って水路中央へ発達する準周期的な渦構造であり, この渦構造は, 河岸ボイルの形成に重要な役割を演じている. この水表面部の組織構造とこれまで明らかにした隅角部の組織構造が誘起する瞬時の二次流れの特徴について, 流れの可視化とPTVを同時に行なうことの可能なDPTVを横断面視に用いて検討を行ない, 水表面に形成する渦構造は側壁方向へ向かう瞬時の二次流れとボイルを誘起すること, 隅角部に形成される壁縦渦構造が隅角に向かう瞬時の二次流れを形成することを明らかにし, 長時間平均像の二次流れの形成機構について言及した.
  • 禰津 家久, 鬼束 幸樹, 藤田 正樹, 濱中 将樹
    2001 年 2001 巻 677 号 p. 43-51
    発行日: 2001/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    逆圧力勾配を有する開水路乱流を水素気泡法によって可視化すると共に, レーザー流速計によって乱流計測を行った. その結果, バーストの無次元周期が等流のものよりも短くなるが, 特に ejection の方が顕著に短くなることが明らかになった. しかし, レイノルズ応力に対する寄与は ejection よりも sweep の方が大きいという結果が得られた. こうした流れの外層では等流のものより流速が増加していることを考慮すると, 逆圧力勾配を有する開水路流においては, 外層における高速流体が間欠的に底面方向に吹き下ろしているといえる. また, こうした現象が等流よりも時間的にも空間的にも頻度が高くなっていることが明らかにされた.
  • 禰津 家久, 鬼束 幸樹, 池谷 和哉
    2001 年 2001 巻 677 号 p. 53-61
    発行日: 2001/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    PIV (Partcle Image Velocimetry) を用いて水路側壁に凹部を有する流れを計測した. その結果, アスペクト比 (凹部の流下方向長さ/凹部の奥行き) が3以下の場合は凹部内に比較的定常な渦が存在するが, アスペクト比の増加に伴い非定常性が強くなることが解明された. アスペクト比が5の流れでは, せん断不安定によって発生した渦が移流し, 定常な渦は観察されなかつた. さらにアスペクト比が10のケースでは主流部の流れが間欠的に凹部へと流入するために再付着が生じる. また, 凹部出口付近における流体塊の流出現象はアスペクト比が増加すると間欠的に生じていることなどが解明された.
  • 宮沢 直季
    2001 年 2001 巻 677 号 p. 63-74
    発行日: 2001/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    主に中国で発生する粘性土石流では, 微細成分が土石流の流動形態に大きな影響を及ぼしていると考えられる. そこで, 本研究では, 砂礫と微細成分として粘土を含む泥水からなる土石流を発生させて室内実験を行った. その結果, 間隙流体が水の場合でも, 水の80倍の粘性をもつ流体でも, 土石流のフロント部は砂礫の堆積とその後の堆積の崩壊・流動化によって間欠的に流動することがわかった. また, 間隙流体の粕性は, 間隙流体の砂礫堆積層への浸透を低下させる効果をもつため, フロント部の砂礫の容積濃度は減少し, 流動深は減少することがわかった.
  • 竹林 洋史, 江頭 進治
    2001 年 2001 巻 677 号 p. 75-86
    発行日: 2001/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    直線水路において, 平坦初期河床上に給水と給砂を定常的に与える条件で形成される自己形成流路の形成過程と形成水理条件を水路実験と数値解析により検討を行った. その結果, 自己形成流路は複列砂州の発生領域で形成されることが明らかにされた. さらに, 自己形成流路の形成過程では, 複列砂州が発生するが, 時間とともに交互砂州, さらに自己形成流路と変化することが明らかにされた. そこで, 数値解析により平衡状態の複列砂州の再現を試みたが, 全ての計算条件において自己形成流路が形成され, 複列砂州が平衡状態に到達しない条件が広く存在する可能性が示された. さらに, モード (0, 2) の河床形状の発達が, 1本の流路を有する自己形成流路の形成に重要な役割を果たしていることが明らかにされた.
  • 大槻 英樹, 芦田 和男, 劉 炳義, 大本 雄二, 藤田 暁
    2001 年 2001 巻 677 号 p. 87-102
    発行日: 2001/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    多自然型の河岸保護工の合理的な設計指針を構築するための基礎的な研究として, 特に, 空石張りによる法覆工と捨て石による根固工からなる護岸形式を対象とし, そうした河岸保護工が流水に対してどの程度の安定性を有するかを実験的に調査するとともに, 河道湾曲部の外岸において河岸保護工に働く外力を評価する方法について, 水理模型実験および平面2次元数値シミュレーションを交えて検討する. その結果を基に, 河道条件を表す数種類の指標に基づき河岸保護工への外力分布を予測する方法を示す.
  • 西本 直史, 森 明巨, 板倉 忠興, 田原 達人
    2001 年 2001 巻 677 号 p. 103-113
    発行日: 2001/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    限界流や流れの遷移を伴う河床変動解析では, 流れが河床変化に影響を及ぼすと同時に河床変化も流れに影響を及ぼすという相互干渉を考慮する必要がある. この構造を特性帯の理論を用いて解明し, その結果をFDS法 (流束差分離法) に適用して解析の有効性を確認する. その中で, FDS法の流れのみの解析に現れる非物理的な解 (気体流における膨張衝撃波) が本解析では現れないことを示し, この性質は流れのみの解析における膨張衝撃波の除去として利用できることを示す. さらに, 本研究で得られた相互干渉の構造を踏まえ, 流れの基礎方程式に流砂の連続式を単純に加えた解析 (準定常解析) による効率的な計算法を提案する.
  • 栗山 善昭
    2001 年 2001 巻 677 号 p. 115-128
    発行日: 2001/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    沿岸砂州 (バー) の長期変動特性, ならびにその特性と底質移動特性との関係を検討するために, 8年間の現地断面データを経験的固有関数法などを用いて解析した. 現地断面データは鹿島灘に面する波崎海岸において後浜から外浜にかけてほぼ毎日観測されたものである. 解析の結果, バーの頂部は約1年のサイクルで沖向きに移動歩ること, ただし各地点の岸沖漂砂は沖向き, 岸向きに変動することが明らかとなった. さらに, このバーの移動に伴う岸沖漂砂の変動特性と外力である沖波のエネルギーフラックスとの関係を検討し, 両者の関係を明らかにした.
  • 内山 雄介
    2001 年 2001 巻 677 号 p. 129-140
    発行日: 2001/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    自然干潟における浮遊砂の生成, 砂面変動等に代表される漂砂の基本特性を把握することを目的として, 冬期の東京湾盤洲干潟において, 波, 流れ, 浮遊砂, 地形に関する短期の現地観測を行った. その結果, 下げ潮時に大きな波浪が来襲し, かつ風の吹送方向と潮汐流の方向が一致したときに大量の浮遊砂が生成されて侵食が進行するという, 有意な地形変化を捉えることに成功した. 盤洲干潟は長期的には3.8cm/yの速度で徐々に堆積しているものの, 本観測では, 高濃度の浮遊砂が断続的に発生するイベントによって, 16日間の観測期間中に最大8cm程度の侵食が生じていた. また, シールズ数を用いた検討の結果, 盤洲干潟の底質移動には浮遊砂が大きく寄与していること, 潮汐による水深変化に追従して変動する波浪が高濃度の浮遊砂の発生に対して重要な役割を果たしていることなどを明らかにした.
  • 田中 規夫, 浅枝 隆, 谷本 勝利, Shiromi KARUNARATNE
    2001 年 2001 巻 677 号 p. 141-150
    発行日: 2001/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    湛水影響下におけるアシの生長予測を行うシミュレーションモデルを開発し, 湛水深変化にともなうアシの葉茎および地下茎のバイオマスの生長変化を解析した. アシの生長には, 地下茎の栄養で生長する期間に湛水深に余裕高さを加えた初期生長期目標高まで生長することが必要であり, これを超えられない場合, アシのバイオマスが地上部・地下茎とも大きく変化する領域 (強湛水影響ゾーン) が存在することが判明した. 強湛水影響ゾーンは地下茎の初期値によって変化し, 1本当たりのアシの葉茎の密度比は湛水深の増加に伴い大きく減少し, 強度が低下する. また, 初期生長期目標高を満足する湛水深までは, アシの地下茎の形態変化は, バイオマスの減少を防ぐのに貢献していることが判明した.
  • 浅枝 隆, 田中 規夫, 谷本 勝利, Hong Son DUONG
    2001 年 2001 巻 677 号 p. 151-161
    発行日: 2001/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    付着藻類群集の変動を解析するモデルを, 糸状藻類と非糸状藻類の間の生長パターン, 群集の形成, 外部栄養塩, せん断応力による剥離を考慮し構築した. これにより, バイオマスの鉛直分布, 付着藻内の栄養塩量, 糸状藻類と非糸状藻類の間の形態的特徴に基づく生存競争を解析することが可能となった. 藻のバイオマスを3種の藻類, アオミドロ Spirogyra, アクナンテスオ Achnantes minutissima, シネドラ Synedra の実験結果と比較しモデルの正当性を検証した. 解析の結果, 外部栄養塩条件は生長に必ずしも影響を与えないこと, 上層水の流速と光条件は主に藻群の純生長率とピークバイオマスに関与すること, デトリタスの分解は基部の栄養塩バランスに大きく貢献していることなどが判明した.
  • 福士 大介, 風間 聡, 沢本 正樹
    2001 年 2001 巻 677 号 p. 163-174
    発行日: 2001/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    閉鎖性の高い有明海, 島原湾, 八代海を対象にNOAA/AVHRRを用いて湾内熱構造を調べた. NOAA/AVHRRデータ1年間190シーンのデータセットを作成した, これをフーリエ展開し, 変動特性を領域毎に調べ, 位相と振幅が湾口からの湾奥にかけて特徴的な分布をすることを示した. また, バルク式から海面での熱収支を計算した. それによると, 海面からの熱放出量として夏季には潜熱が, 冬季には長波放射が卓越している. これに加え, 潮位と河川流量から鉛直面の熱交換量を計算し, 水平熱移動を把握した. 湾内では, 放射により吸収された熱が潮によって外洋へ運ばれること, 洪水による熱量の大きなことが確認された.
  • 有働 恵子, 武若 聡
    2001 年 2001 巻 677 号 p. 175-187
    発行日: 2001/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    茨城県鹿島灘に面する角折海岸で後浜の現地調査を行い, 詳細な地形変動, 植生の分布状況, 風況等の相互の関係を検討した. さらに, 航空写真を用い, 茨城県鹿島灘沿岸における複数海岸の後浜地形の長期的な変動を調べた. 現地調査の結果には, 植生の表覆度と後浜の地盤高変化の間に正の相関関係があることが見られた. 航空写真測量の結果には, 人為的に造成された連続砂丘に約10年で切れ目が入り, 沿岸方向に並ぶ複数の小砂丘に分裂することが見られた. 連続砂丘が分裂した後, 海岸林の海側に新たな砂丘が形成されるまでの間, 砂浜面積が減少するとともに, 海岸林面積も減少していた. 1984年~1999年の期間, 角折海岸の砂丘部土砂量は増減を繰り返しながら一定の値に収束する傾向にあった.
  • Luai HAMOUDA, 藤田 睦博
    2001 年 2001 巻 677 号 p. 189-203
    発行日: 2001/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, Saint Venant 式とこれから派生する diffusion wave, gravity wave と kinematic wave 式を対象に, 降雨量と斜面末端あるいは河道末端からの流出量間の等価周波数伝達関数や等価インパルス応答関数を求める手法を提案した. 一方, これまで Saint Venant 式より得られるフルード数F0とキネマテックウィブ数Kの2つの無次元パラメタを用いて, F0K平面上でモデルの敵合度が検討されてきた. これらは, 一定の降雨量を採用し各モデルより計算される上昇期のハイドログラフを比較している. 本研究では, 各モデルの等価インパルス応答関数を比較し, 降雨波形に依存しないF0K平面上でモデルの敵合度の判定法を示した. 更に, 等価周波数伝達関数や等価インパルス応答関数を実流域の流出解析に応用する手法についても検討している.
  • Ashis Kumar DEY, 北村 忠紀, 辻本 哲郎
    2001 年 2001 巻 677 号 p. 205-213
    発行日: 2001/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ヘッドカットにおける平面的擾乱の発達過程が数値解析モデルによって検討された. ヘッドカットの平面的擾乱は流量集中部の空間的変動をもたらして擾乱を発達させ, ついにはガリー形成に至るものと考えられる. 水深平均流れモデルを任意の平面形状を有するヘッドカットに適合する境界適合格子上で解くことによりヘッドカットにおける流量分布状況が再現され, さらに計算目された流量によるヘッドカットの進行速度からヘッドカットの平面形状変化が得られた. 非線形効果を考慮できる本数値解析結果から, ヘッドカットの平面形状の曲率が擾乱の発達に大きな影響を与えることが明らかとなった.
  • Mahadevan PATHMATHEVAN, 黄 光偉, 玉井 信行
    2001 年 2001 巻 677 号 p. 215-219
    発行日: 2001/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    湖沼では, 水表面に到達した日射量の一部は薄い水表層に吸収され, 残り部分が水中に透過して水に熱エネルギーを与える. 谷中湖の水温モデルを構築する際, 透明度 (セッキ深度) の観測データを用いて水表層の熱吸収率及び水中の吸光係数を見積った. さらに, 風, 成層及び流入・流出の影響を考慮した渦動熱拡散係数を導入した. 計算結果と観測データの比較によって, 以上の改良の有効性が示された.
  • 中山 昭彦, 二瓶 泰雄, 灘岡 和夫
    2001 年 2001 巻 677 号 p. 221-222
    発行日: 2001/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
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