土木学会論文集
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2001 巻, 679 号
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  • 中野 正文
    2001 年 2001 巻 679 号 p. 1-20
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1969年クリーンエネルギーであり長期の安定供給が可能であるLNG (液化天然ガス) が初めて導入されて以来, 日本全国で, 66基, 554万klにおよぶLNG地下タンクが建設されている. 大深度地中連続壁工法, 大型竪型NATM工法等, 地下タンク建設技術の急速な発展により, 貯蔵容量も開発当初の1万klから20万klまでに大容量化されるとともに, 屋根を鉄筋コンクリート製とした埋設式地下タンクも建設されるようになった. さらに, 側壁と底版を剛結構造とし, 地下タンクの持つ信頼性, 安全性に加え経済性をなお一層追求したタンクが建設されている. 本論文では, 著者がこれまで進めてきた東京ガスにおける地下タンク建設技術の変遷と最新の技術開発について述べる.
  • 中山 隆義, 奥野 三郎, 井上 昭治, 中川 浩二
    2001 年 2001 巻 679 号 p. 21-32
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, 我が国において, TBMによる施工事例が急速に増加している. TBMによる高速施工を実現するためには, 我が国のトンネル掘削において宿命的に遭遇する不良地山でのTBM稼働率を確保することが重要である. 本研究では, 不良地山においても稼働率を低下させることなく進行を確保することを目的に, 仮設支保の考え方に基づくTBM用ロックライナーを開発し実工事に適用した. 本報告はTBMロックライナー工法の概要とこの工法を適用した掘削径5.0mのTBM工事の施工結果と問題点について述べる. 適用の結果, 崩壊性地山においてもTBMを長時間停止することなく安定した進行を得るための有用な知見を得た.
  • 曽根 英樹, 中村 一平, 松井 繁之, 堀川 都志雄, 竹中 裕文, 江頭 慶三, 小川 久志
    2001 年 2001 巻 679 号 p. 33-45
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, 鋼橋の合理化を目的とした技術革新が行われている. 鋼橋の主構造の合理化については, 省力化桁や少数主桁橋と呼ばれる橋梁形式とすることで相当な進展を図ることができる. しかし, 少数主桁橋等の場合には, プレストレストコンクリート床版が一般的であり, 床版のコストアップは否めない. そこで, 現場施工のより一層の省力化と経済性を追求したグラウト充填型せん断キー構造の接合部を有するプレキャストPC床版を用い, 併せて新しい橋軸方向のプレストレス導入工法を開発した. 実用化にあたっては, 種々の試験を行い, その結果を設計に反映させた. さらに現場計測を行い, 設計・施工法の妥当性を確認した.
  • 西林 聖武, 徳江 俊秀, 小泉 淳
    2001 年 2001 巻 679 号 p. 47-64
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    大口径泥水式シールドの技術は, 1982年練馬区氷川台において外径10mの複線シールド工事が基礎となっており, 装備力についてもこの氷川台シールドの規模に横並びする傾向がある. また一方で, 最近の大口径泥水式シールドの施工結果を見ると推力およびトルクの実績値は, シールド機に装備された装備値と比べると低く, 相当の開きがある.
    本稿は, 営団地下鉄が施工した南北線駒込~目黒間の大口径泥水式シールドの実績データと, 同線谷町工区におけるシールド掘進時の計測データとを分析し, シールド機の推力およびトルクの設計に必要な基礎データを示し, 大口径泥水式シールドの装備推力および装備トルクの推定方法について提案するものである.
  • 大垣 賀津雄, 八部 順一, 中薗 明広, 中村 元, 長井 正嗣
    2001 年 2001 巻 679 号 p. 65-80
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, PC床版を有する鋼2主桁橋は, 構造が簡素化され, また施工の機械化も計られ, さらに維持管理の容易さも達成されており, 経済性, 耐久性の向上を目指した橋梁形式の一つとして有力視されている. そして, わが国においても関係各所で検討が行われ, 施工事例が多く見られるようになってきている.
    本文は, PC床版を有する本格的な2主桁橋として, また我が国で初めて連続合成桁として設計, 施工を行った千鳥の沢川橋の各種検討事例を中心に, PC床版, 連続合成桁, 鋼桁部材およびずれ止め等の設計・施工法とともに留意点についてまとめたものである. 今後この種のPC床版2主桁橋が数多く建設される見込みであり, これらの設計全般を通じて有益と考えられる資料を提示するものである.
  • 今井 昌文, 出光 隆, 横田 勉, 溝口 茂
    2001 年 2001 巻 679 号 p. 81-92
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    パイプ状に加工されたPC鋼棒を用いることにより, PC鋼材を緊張および固定するための, 固定装置を必要としないプレテンション方式プレストレス導入方式が可能となった. この方式を以下, HPCシステムと呼ぶ. HPCシステムのコンクリート部材への定着は, PC鋼棒ねじ部の付着と定着用ナットの支圧とによる複合定着である. 本研究では, PC鋼棒ねじの付着特性と定着用ナットの定着特性をそれぞれ個別に把握することにより, この複合定着状態を定量的に表せると仮定して実験的に検証を行った. その結果, 複合定着状態をねじの付着特性と定着用ナットの定着特性を用いて定量的に表せることを確認した. さらに, HPCシステムを用いた実大構造物実験により, HPCシステムPC鋼材の経時定着性能および定着耐力について所要の定着性能を有していることを確認した.
  • 松島 学, 中川 貴之, 堤 知明
    2001 年 2001 巻 679 号 p. 93-100
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, コンクリート構造物の劣化が問題となってきている. 特に, 港湾構造物などの塩害の影響を受けやすい地域での劣化が問題となっている. そのため, 現在使用している構造物があと何年供用できるかという寿命予測の方法や, 構造物の劣化を遅らせるための補修方法・材料の研究がさかんに行われるようになってきた.
    本研究は, コンクリート構造部材の劣化モデル及び予測モデルの構築を行うために, 塩害劣化した既設コンクリート構造物の調査を行った. はじめに外観調査を行い, ひび割れ幅等の調査を行い, その後, かぶりコンクリート部をはつり, 鉄筋の腐食減量の調査を行った. 調査後, 得られたデータから信頼性理論に基づき各因子のばらつきを考慮した耐力予測手法を開発し, 鉄筋の腐食速度の推定, および腐食したRC部材の耐荷力評価を行った.
  • 中村 啓, 宇野 尚雄
    2001 年 2001 巻 679 号 p. 101-110
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 下水道等の地下管路の敷設方法として長距離化が要望されている「推進工法」の推進力低減のために, まず施工時の計測に基づいて, 「始発推力」や「定常推力」の発生特性を分析・究明した. 次に, 開発が進んでいる「滑材」や「マニキュア加工」の各効果を施行事例のデータ等に基づいて分析した結果, かなりの低減効果が認められたことを報告する.
  • 野田 利弘, 高稲 敏浩, 高木 健次, 野津 光夫
    2001 年 2001 巻 679 号 p. 111-122
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    砂質地盤の液状化対策には,「振動」を使う締固め工法の他,「振動」を与えることなく, 砂杭拡径のみによって地盤を締固める工法が開発され, 現場ではその有効性が確認されている. しかし, 側圧一定三軸圧縮試験での密な砂の吸排水挙動のように, 砂を静かに締固めることは困難であると考えられる. そこで本研究では, 水~土連成有限変形計算により, 砂杭造成過程も考慮しながら比較的締まった砂地盤の円筒拡径による締固めのメカニズムと特性について調べた. その結果, 主に次のメカニズムが明らかになった. (1) 拡径に対し, 拡径近傍の砂要素は有効応力径路が総じて限界状態線下側で上昇し, 負のダイレイタンシーによって締まる. (2) 砂杭およびケーシングパイプが地盤から受ける鉛直上向きの摩擦力は, 段階的な造成により発生が小さく抑えられ, しかもケーシングの引抜きに伴う除荷によって蓄積されない.
  • 大津 宏康, 大西 有三, 水谷 守, 伊藤 正純
    2001 年 2001 巻 679 号 p. 123-133
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 地震に伴う災害リスク評価に基づく斜面補強を戦略的に立案する方法を提案するものである. 具体的な事例としては, 全国主要都市での高速道路に近接する斜面を対象とし, 各地域での地震動特性および, 各高速道路の利用状況に応じた被害推定に基づき, コスト次元でのリスク評価を実施した. そして, その算定されたリスクに基づく費用便益解析により, 同じ形状の斜面であっても, その補強対策は地震動の地域性および各道路での損害の大きさの相違によって異なることが定量的に表現可能となることを示した. これらの結果より, 本研究で提案する手法は, 合理的に斜面の補強策を立案する上で極めて有効であることを示した.
  • 高橋 宏直, 横田 弘
    2001 年 2001 巻 679 号 p. 135-140
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 港湾の係留施設を対象として将来の維持補修費の推計を試みた. 先ず, 全国を対象とした係留施設の維持補修に関するアンケート結果等から維持補修費率モデルを構築した. 次に, このモデルにより更新費をも考慮した維持補修費の将来動向を定量的に推計した. その結果, 係留施設については総事業費に占める維持補修費の比率が2010年度には約10%, 2025年度には約20%と推計され, また, 更新費も考慮した場合にはそれぞれ30%以上, 50%以上と推計された. これにより, 維持補修・更新に対する早期の対応の必要性が明らかになった.
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