土木学会論文集
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2001 巻, 686 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 何が分かって何が問題なのか
    丸山 康樹
    2001 年 2001 巻 686 号 p. 1-14
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
  • 折敷 秀雄, 佐々木 康
    2001 年 2001 巻 686 号 p. 15-29
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本稿では, 近年発生した3例の震災で基礎地盤が液状化した堤防復旧において実施した調査方法, 被災メカニズムの推定, 再度災害防止のための基礎地盤改良工事の設計・施工について述べ, この理解を助けるために堤防築造と設計に関する歴史的経緯や技術基準類の改定経緯にも言及した.
    従来, 地震により被災した堤防の復旧は原形復旧が原則であった. 地盤改良を併用した復旧が行われたのは釧路沖地震による復旧が国内初であった. 後に, これらの実績も参考としつつ, 必要な区間を限って堤防の築造に耐震計算を導入することが河川砂防技術基準 (案) に明記されることとなった.
  • 三木 千壽, 水ノ上 俊雄, 小林 裕介
    2001 年 2001 巻 686 号 p. 31-40
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    年数を経た社会資本施設が急増する中, 鋼橋においても安全性や機能の確保が重大な課題になりつつある. 鋼橋のメンテナンスにおいてセンサによるモニタリングを行い, 大量の測定データを瞬時に専門家へ転送し, 専門家が判断を下すシステムが有効とされている. 本研究では光通信網を使用した鋼橋の健全度モニタリングシステムの構築を試みた. 国道246号の大坂橋を選定し, 現場にセンサ, 測定器, 制御・通信用PC, 光通信機器を, 通信には光通信網を使用し, 研究室ではデータ処理用, 解析用ウークステーションを設置し全体のシステムを構築した. ひずみゲージによる活荷重のモニタリング, ピーク記憶型ひずみセンサによる地震や車両衝突時の最大ひずみのモニタリング, 物体温度計とひずみゲージによる温度変化とひずみのモニタリングを行った.
  • 熊谷 守晃, 星 俊彦, 佐伯 昇, 太田 利隆
    2001 年 2001 巻 686 号 p. 41-54
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    50数年間, 寒冷地に曝された初代十勝大橋のコンクリートの耐久性の評価を種々の手法により実施した. その結果, コアの圧縮強度は建殼時の28日恒温養生の1.8~2.0倍と著しい強度増進が認められた. この増進はセメントが粗く, ビーライトが多いことに起因する. 平均中性化速度係数から判断するとコンクリートの品質はプレキャストコンクリートの製造状態に相当し, 良好な施工が行われていたことがわかった. 構造物の部位により劣化状態が多少異なるが, 全体的に中性化等による劣化は表層のみに止まっており, 現段階での劣化は軽微であった. 凍結融解試験の結果, 凍結融解抵抗性はかなり低いことがわかったが, 耐凍害性は水はけや石張りなどによって水の供給を少なくしたことにより確保できたと考えられる.
  • 村上 憲司, 山岸 一彦, 渡辺 諭, 兼田 教一
    2001 年 2001 巻 686 号 p. 55-64
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本州四国連絡橋の海峡部橋梁17橋は全てが鋼橋で, 腐食環境の厳しい中に約400万m2に及ぶ塗装面積の鋼橋群の建設であるので, 当初より防錆に関する点が大きな課題であり, 最初に着工された大三島橋の防錆に関する技術は, 続く連絡橋の基本とならねばならないものであった. 大三島橋では以下の3点の防錆技術が研究・開発され施工された. すなわち, (1) 橋梁本体の新規な塗装, (2) 防錆ボルトの開発, (3) 吊材の防錆工法, である. 防錆技術は経年変化により評価されるものであり, まだ中途の段階ではあるが, 点検結果はいずれも良好である. 本論文では, 大三島橋における本体の塗装について建設時および塗り替え塗装時を対象として, 防錆ボルトの維持管理状況および吊材の防錆工法とその後の点検結果について述べるものである.
  • 中村 信義, 川村 努, 泊 弘貞, 村上 博智
    2001 年 2001 巻 686 号 p. 65-77
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    シールドトンネルに近接して工事が行われる場合のトンネル覆工の安全性の検討は, 一次覆工 (セグメント) を対象に行われているが, トンネルとの離れが極めて小さい近接施工, またトンネルが大断面の場合には, セグメントの強度が不足し, 二次覆工をも構造部材として検討する手法が必要となる. 本論文は, 営団地下鉄のシールドトンネルを対象に, 二次覆工を構造部材と考える最近の研究を参考とした検討手法を提案し, この提案による検討事例を示したものである. 検討事例においては, 二次覆工を構造部材とした場合の横断方向および縦断方向の検討を行った. 結果としてトンネルの安全が確保されたうえで, 補強工法の少ない経済的施工が可能となった.
  • 関 雅樹, 田中 宏昌, 堤 要二, 山下 和敏, 中野 聡, 西村 昭彦
    2001 年 2001 巻 686 号 p. 79-89
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 東海道新幹線のような基幹鉄道橋りょうの洪水時における安全性確保にあたり運転を規制する方法と規制値等を定めるための新しい手法を提案する. 一般的に, 洪水時の運転規制は, 水位と橋脚幅から推定される洗掘深さから算出される危険水位等を観測して実施されている. しかし, 橋脚の安定には基礎耐力が重要である. 洗掘により基礎耐力が低下すると橋脚の固有振動数が低下することに着目し, 橋脚の洗掘深さと固有振動数の関係を数値解析により把握し, 衝撃振動試験による実測固有振動数から橋脚の安定性を評価する手法を提案した. 評価手法も含めた洪水時の安全管理システムは, 新幹線富士川橋りょうにおいて実効性と信頼性を確認したが, 道路橋においても適用可能である.
  • 前田 良刀, 緒方 辰男, 徐 光黎, 平井 卓
    2001 年 2001 巻 686 号 p. 91-107
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地盤改良複合杭基礎は, 軟弱地盤での基礎の水平抵抗を向上させるため, 地盤改良体と杭からなる複合杭基礎形式である. 本基礎形式は, 一般の杭基礎よりも大きな地盤抵抗が期待でき, 排土量が少なく, 環境に優しい基礎であると考えられる. 本基礎の有効性および設計法の確立を図るため, 地盤改良複合杭基礎を2試験体製作し, 載荷試験を実施した. 載荷試験から, 地盤改良体と鋼管杭は, 改良体前面幅の1%程度の変位において一体構造としての挙動を示し, 十分な複合効果が見られた. また, この基礎の水平抵抗メカニズムを検討するために, 3次元FEM解析を行った. 実務への適用を図るため, 梁バネモデルを提案し, この設計モデルによる解析結果と載荷試験結果の比較より, 設計モデルの有用性を確認した.
  • 堀田 昌英, 神野 由紀
    2001 年 2001 巻 686 号 p. 109-120
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は参画型パブリック・マネジメントのための情報基盤システムの開発を目的とする. 近年決定支援システム研究の分野において, 定量的政策効果モデル等の実証主義的手法論に替わるパラダイムの必要性が指摘されている. 本研究は代替的手法の一つとして, 筆頭著者による先行研究にて開発された非形式論理学に基づく議論モデルを用い, 政策論議支援システムCRANESを開発した. 当システムは公共政策決定における, 政策担当者と一般市民との間の建設的議論を促進することを目的とした情報システムである. 本論文はロンドンの都市再生事業, 及び国内公共事業を巡る行政機関と報道機関間の政策論議を事例として, 当システムが公共政策決定の情報基盤として技術的に適用可能であることを示した.
  • 赤木 渉, 佐野 理, 進士 正人, 西 琢郎, 中川 浩二
    2001 年 2001 巻 686 号 p. 121-134
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    NATMは, 計測と施工が一体化したトンネル掘削工法であり, その導入からすでに20年が経過している. この間に蓄積された計測データを有効に活用することにより, 合理的な山岳トンネル施工を目指すことは今後極めて重要となる. 日本道路公団では, 従来の地質的な記載が中心で, 地山状態を定性的に評価する切羽観察手法を改め, 切羽状態をより定量的に評価できる切羽評価法を提案した. そこで, 本論文では, この評価法により収集された6,101断面の切羽観察結果データベースを活用し, 切羽観察項目の寄与度を数量化する. そして, 湧水や劣化による評価点の調整方法について議論し, この切羽評価法を実際のトンネル施工事例に適用した際, 妥当な評価結果が得られたことを記述する.
  • 森 麟, 加賀 宗彦
    2001 年 2001 巻 686 号 p. 135-144
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    この論文は, 注入式水膨張性ゴムを用いた不定形止水材の継手部の止水のメカニズムを検討した. これまでシールドトンネルなどの継手面では, 止水材と継手面間の接面応力を作用水圧より大きくすることで止水性を保持していた. しかし, 複雑な継手面で止水性を保持することは困難である. そこで注入式水膨張性ゴム材による止水工法が開発され実用化された. その止水のメカニズムは, 従来の接面応力とは異なることが示唆されたので, 実験の結果, 限界止水圧は押出し抵抗によって決まることがわかった. このメカニズムから, 押出しの式をベースにした準理論式によって限界止水圧を予測することも可能となった.
  • 小島 尚人, 大林 成行
    2001 年 2001 巻 686 号 p. 145-157
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 筆者らが開発してきた土地分級評価モデル (潜在因子モデル) において, 評価者の意向が分析結果に及ぼす影響を分析するアルゴリズムを新たに構築し, その有用性を示したものである. 潜在因子モデルは, 衛星データと各種地理情報を融合して作成される主題別の土地分級評価図を階層化意思決定法に言う「評価基準」とし, 開発側と保全側の両者の意向を調整した「相互調整図」を作成・分析するものである. 評価基準間の一対比較値の変化に伴う相互調整図への影響を分析するとともに, 図上に現れる変化を表示した「影響分析図」を新たに提案した. 影響分析図とその解釈の内容は,「整備・開発または保全の方向性」を示す計画合意形成を支援していく上で, 今までにない有用な情報を内包していることを示した.
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