本研究の目的は, モルタルの欠陥部に生じる塩害あるいは中性化による鉄筋腐食の形態 (マクロセル, ミクロセル) と速度を網羅的に明らかにすることである. このため, 1) Cl
-・CO
2の供給位置, 2) 水分・酸素の供給条件, 3) W/Cをパラメータとし, コールドジョイント部やひび割れ部を模擬したモデル欠陥部に生じる腐食の形態と速度を網羅的に整理した. その結果, 欠陥が存在する場合, (1) 塩害による腐食では, W/Cが低いほどマクロセルが卓越し, W/Cが高いほどミクロセルが卓越し, 低W/Cにおいても腐食速度が速い場合があること, (2) 中性化による腐食では, W/Cに拘わらずマクロセルが卓越し, W/Cが高いほど腐食速度は速いこと, (3) 塩害は中性化より腐食速度を促進させること, が明らかとなった.
抄録全体を表示