土木学会論文集
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2001 巻, 692 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 中西 弘
    2001 年 2001 巻 692 号 p. 1-11
    発行日: 2001/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地球規模での持続可能な社会のあり方, および21世紀の水道, 下水道のあり方について述べた. 資源の循環再利用は可能であるが, エネルギーは循環不可能である. そのためには, 技術開発によって資源, エネルギー, 環境保全の利用枠を拡大させるとともに, 省資源, 省エネルギー型の新ライフスタイルの構築を急がねばならない. こうした努力をしてもても, 途上国の生活レベルの向上を考慮すると持続可能な条件は厳しい. また, 少量め飲料水と大量の生活洗浄用水との2面性をもつ水道水の実態と水系処理としての下水道の実態を直視するとともに, それに則した新しい上下水道システムの構築が必要である.
  • 羽田野 袈裟義, 尾崎 哲二, 鈴木 義則, 吉越 恆
    2001 年 2001 巻 692 号 p. 13-20
    発行日: 2001/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    夏季の熱環境改善とエネルギー節減を目的として, 水の気化潜熱を応用した建材の遮熱機能を検討している. まず, 夏季の電力使用量は大温が高いほど多いことを確認した. 次に, 水分蒸発特性に関する室内実験の結果, 照射熱フラックスで無次元化した大化潜熱フラックスは, 建材の体積含水率が13%以下では体積含水率と共に増加し13%以上では0.7程度の一定値となることを見出すと共に, 水分量の変化を表す式を求めた. また, 実施面で問題となるコスト, 水使用量, 設置形態を検討し, 既往の関連技術に比べて明らかに優れていることを示した.
  • 奥田 友章, 古崎 康哲, 村上 定瞭, 笠原 伸介, 石川 宗孝
    2001 年 2001 巻 692 号 p. 21-30
    発行日: 2001/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    水熱反応を利用した汚泥削減化システムの基本設計に必要な水熱反応条件に関する知見を得ることを目的とし, 水熱反応温度, 反応時間および注入汚泥濃度が, 汚泥の可溶化, 低分子化, ガス化の各特性に及ぼす影響, 水熱反応温度が, 可溶化液の生分解性に及ぼす影響について検討した. その結果, (1) 汚泥の水熱反応は, 先ず汚泥が溶解化し, 次に溶解成分のガス化が進行する逐次反応であること, (2) 反応温度が高いほど, 反応時間が短くなること, (3) 150℃ (0.6MPa) 以上の水熱反応により, 汚泥の約85%が可溶化されること, (4) 反応温度が高くなるにしたがって低分子化が進行し, 可溶化液の生分解性はわずかに増加すること, (5) 可溶化液と人工下水の混台液は, 微生物を馴致することにより6時間程度で分解されること, を明らかにした.
  • インド国ムンバイ市を事例として
    四蔵 茂雄, 原田 秀樹
    2001 年 2001 巻 692 号 p. 31-40
    発行日: 2001/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, インド国ムンバイ市内の3ヵ所の低所得地区を事例に, 都市廃棄物 (ごみ) に関する住民意識調査と処理行動の要因分析を行った. 意識調査の結果からは, 水やトイレ等の問題に比べると, ごみに対する深刻さの認識は相対的に低いことが示された. また, 処理行動に関する要因分析では,「消費支出」,「教育年数」,「定住期間」などの個人の特性や「追い出しに対する恐れ」は, ごみ処理行動に影響を及ぼすほど重要な要因ではないことを示し, 住民は「コンテナーまでの距離」と「健康リスク認識の有無」によって行動を選択している事を明らかにした. さらに住民がごみを健康リスク要因として認識している価値をコンテナーまでの距離を尺度として表し, 約100mと評価した.
  • 数値解析
    東條 安匡, 田中 信寿, 松藤 敏彦
    2001 年 2001 巻 692 号 p. 41-52
    発行日: 2001/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    キャピラリーバリアに関する降雨浸透実験の実験結果を土壌不飽和浸透理論を基にした数値計算モデルで模擬した. キャピラリーバリアは上部に砂層, 下部に礫層を有する二層構造であるが, 上部砂層には不飽和浸透理論式, 下部の礫層には膜状流れ式を適用した. 作成した計算モデルを用いて実規模でバリアの構造や上部層材料の粒度等を変化させてバリアの排水能力を増大させる方法について検討した結果, (1) 斜面の最下流端で上部層を下方へ引き込む効果はある深度で一定となる. (2) 上部砂層には, フィルター基準を満たす範囲で粒径の均一な砂を用いるほど効果が高い. (3) 上部層下端の毛管ポテンシャルが境界面の毛管ポテンシャルに達するまでの水量であれば浸入水の100%を側方排除可能であることがわかった.
  • 実験的研究
    東條 安匡, 田中 信寿, 松藤 敏彦, 松尾 孝之
    2001 年 2001 巻 692 号 p. 53-62
    発行日: 2001/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    最終処分場底部にキャピラリーバリアによる排水構造を設けることを提案し, その可能性について実験的に検討した. 実験では, 試料, 勾配, 降雨強度の他, 斜面の最下流端の構造, 斜面長を変化させ, それらが排水能力に与える影響を検討した. その結果, キャピラリーバリアの排水効果は, (1) 勾配が大きい, (2) 降雨強度が小さい, (3) 砂の粒度が均一, (4) 最下流端の構造は上部層を下部層側へ引き込む, (5) 斜面長が短いほど高い傾向にあった. キャピラリーバリアの排水効果は, 降雨強度に斜面の水平距離を乗じた総浸入水量に依存するため, 実規模で用いる場合には底部到達水強度を極めて小さくしなければ効果を発揮できない. しかし, 年降水量 (1600mm/年) が埋立層内で十分に平均化されて底部に到達するとすれば対応できる可能性がある.
  • 山田 僚一, 須藤 芳雄, 丸山 俊朗
    2001 年 2001 巻 692 号 p. 63-72
    発行日: 2001/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    建設工事における濁水処理工程から発生する脱水ケーキは, 完熟堆肥等の有機資材を混合することで物性改善を施し, 植物が生育し得るような土壌緑化基盤材として再利用することが可能である. 原料となる脱水ケーキは, 発生源が異なるとその物性が大きく異なる. このような初期物性の異なる脱水ケーキに対して, 有機資材混合による改良方式を適用させるために, 脱水ケーキの具備すべき初期条件をいくつか明らかにした. すなわち, 有機資材の嫌大分解を防ぐためには脱水ケーキの含水比を液性限界値以下にすること, 土壌微生物の活性を促進させるためにpHを9以下にすること, 改良土の物性を適切な値にするためには脱水ケーキの初期含水比がより低い方がよいこと, などが判った.
  • 松井 康弘, 大迫 政浩, 田中 勝
    2001 年 2001 巻 692 号 p. 73-81
    発行日: 2001/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    板橋区在住の区民を対象として, ごみの分別行動に関する意識構造を明らかにすることを目的にアンケート調査を実施した. 社会心理学分野においてこれまでに提案されている環境行動に関するモデルを参考に, 分別行動に関する規定因モデルを仮定し, パス解析手法を適用して規定因モデルの修正・提案を行った. また, 参加率の低い個人属性区分を明らかにするとともに, モデルにおいて規定因となっていた情報認知・環境意識の諸要因の状況についてこれら区分と他の属性区分を比較検討し, 参加率向上に向けた情報提供, 意識啓発の方向性を提案した.
  • Md. Rezaul KARIM, 関根 雅彦, 樋口 隆哉, 浮田 正夫
    2001 年 2001 巻 692 号 p. 83-97
    発行日: 2001/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    博多湾奥部における酸素欠乏水塊の形成に至る過程およびその後の貧酸素・無酸素水塊の発現確率について解析するために, 流体力学と富栄養化の統合モデルを開発した. 計算結果と観測データを通年比較した結果, モデルは湾内の水質および溶存酸素の変化における重要な特徴を表し得ることが示された. 貧酸素・無酸素水塊は, 淡水流入と気象条件に起因する成層の形成により夏季に湾奥底部で発生し, 8月に最も著しいことがわかった. また, 現在進行中の埋立事業は, 水質に対しては大きく影響しないが, 貧酸素・無酸素の継続時間を長くすることが明らかになった.
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