土木学会論文集
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2002 巻, 695 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 交通安全対策のフロンティア―道路安全監査システム―
    土木計画学研究委員会
    2002 年 2002 巻 695 号 p. 1-2
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
  • 木下 栄蔵, 中西 昌武
    2002 年 2002 巻 695 号 p. 3-15
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ネットワーク型評価の適用にむけてAHP (Analytic Hierearchy Process) を拡張したANP (Analytic Network Process) は, 評価要因クラス間の“評価合成”を適切に処理できない弱点がある. 本稿では, この問題を処理できる新しい評価合成モデル「比較構造分析法 (CSA: Comparison Structure Analysis Method)」を提案する. CSAは, 評価行列を確率行列に変換することにより, (i) 従来型AHPなどの一方通行型評価, (ii) 外部相互評価, (iii) 支配型AHP, (iv) 支配型一斉法, (v) 内部相互評価, を評価サブシステムとする全体評価システムを構成することができる. その結果, 各評価要因クラスのインスタンス評価値は, このシステムを数学的に表現するCSA超行列の主固有ベクトルとして求めることができる.
  • 加河 茂美, 稲村 肇, Gloria P. GERILLA
    2002 年 2002 巻 695 号 p. 17-29
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, ハイブリッド型SNA産業連関モデルに基づき, 構造階層化システムによる内部構造分解とI-O SDAによる外部構造分解とを結合させることによって, エネルギー需要構造の内部状態の変化がエネルギー供給産業起源の内包型エネルギー必要量に与える影響効果を推計するための分析手法を提案する. また同時に, 本モデルの利用によって, エネルギー需要構造の解釈に一定の定義式を与える. 実証分析の結果, 1985年から1990年における日本経済の構造変化において, エネルギー需要構造の内部で機能する非エネルギー生産技術の変化は, 商品循環を通して省エネルギーの方向に導いていることが示された. その一方で, エネルギー生産技術の変化はエネルギー利用増の方向に働いていることが明らかとなった.
  • 大野 研, 大野 博之, 鈴木 勝士, 葛西 紀巳子
    2002 年 2002 巻 695 号 p. 31-44
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, 土木事業においても自然環境を保全・創出することが求められるようになり, 自然環境や景観に配慮した土木事業が実施されるようになってきた. しかし, 実際の施設の周辺環境との調和については, 客観的な景観評価の方法がほとんどなく, 設計者などの主観的な評価で主に実施されている.
    本研究では, フラクタル理論を基に, 自然環境と調和した構造物の景観の評価法を色彩と形状の観点から検討した. その結果, 自然な景観と人工的な景観とでは, 形状と色彩のフラクタル性やフラクタル次元が異なることが示された. このことは, 自然と調和した景観を作り出すための一つの指針としてフラクタル特性が利用できることを示唆している.
  • 野村 哲郎, 外井 哲志, 清田 勝
    2002 年 2002 巻 695 号 p. 45-58
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 案内情報が不十分な状況下で, 運転者が分岐点間の認知的距離と走行経路の形状に関する記憶によって進路を推論する機構を認知科学におけるメンタルモデルの考えにもとづいて考察し, この機構を組み込んだ運転者行動モデルを構築した. 本研究における進路推論モデルでは, 走行前の既知情報および走行中の獲得情報の特性, また案内標識の有無などを進路決定の条件として, 数理モデルによる各種の推論を定式化している. さらに, 従来の推論を考慮しない場合との比較を行い, 進路推論モデル導入による迷走量の変化を分析した.
  • 金子 貴之, 河野 達仁, 森杉 壽芳
    2002 年 2002 巻 695 号 p. 59-65
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では道路混雑等の外部不経済対策である容積率規制と道路投資について考察する. 2地域2変数の一般均衡モデルを構築し, 容積率規制及び道路投資に対する評価法を作成する. 更に, 所与の道路容量に対する適正な容積率規制条件, 所与の容積率に対する適正な道路投資条件を導く. また, 容積率規制と道路投資の組合せ政策を考察し, 評価法を提案する. これにより, 容積率規制が行われている次善の経済においても, 常に適正な容積率規制が達成されている状況では, 道路市場のみで道路投資の便益を計測できることを述べる.
  • 首藤 敦, 徳永 幸之
    2002 年 2002 巻 695 号 p. 67-75
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    阪神・淡路大震災では, 防災計画が不十分であったこと等により, 救援物資配送は大いに混乱した. 災害後, 迅速且つ円滑に配送を行うには, 事前に想定される様々な被災状況に応じて, どのような配送方法が有効であるか把握しておく必要がある. 本研究では, 阪神・淡路大震災での救援物資配送の問題点に焦点を当てて, 救援物資配送計画の効果をモデル分析により考察した. 考慮した対応策としては, 配送拠点の配置, 緊急路の配置と速度, 配送形態 (効率的配送と公平な配送の違い), 投入車両台数である. 分析の結果, 緊急路の速度が決定的に重要な影響を与え, その速度に応じてその他の対応策において採るべき方策が異なってくることを明らかにした.
  • 河野 達仁, 金子 貴之, 森杉 壽芳
    2002 年 2002 巻 695 号 p. 77-90
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では人口に応じて発生する交通混雑などの外部不経済を適正化する土地利用規制を考察する. 2つのゾーンを持つ基本モデルを構築し, 各ゾーンの人口を調整する政策として, ビルが建ち並ぶ都市部では容積率規制, 一戸建と農地が混在する郊外部では住宅地面積規制及び Minimum lot size zoning を対象に分析を行う. 結論として, 都市部では市場均衡で決まる容積率よりも大きく容積率を規制する地域と小さく容積率を規制する地域の両者が必要であることを示す. 更に, 郊外部では開発面積を広げる規制が必要である一方で, Minimum lot size zoning は必ず社会的厚生水準を低下させるため, 望ましくない政策であることを示す.
  • 吉田 禎雄, 原田 昇
    2002 年 2002 巻 695 号 p. 91-102
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    我が国では, 均衡配分に利用する汎用的なBPR型リンクコスト関数の推計に関する検討事例が少ない. これは, 汎用的なBPR関数を推計する場合に利用できるデータとしての道路交通センサスデータの観測誤差が多く, 扱いにくいデータとなっていることに起因している. 本研究では, 道路交通センサスデータによる停止時間と旅行速度の現状を検討し, 観測誤差を少なくする方法を提案すると共に, 信号交差点の影響を別途考慮したBPR型リンクコスト関数のパラメータ推計を試みた. さらに, この関数を用いてOD修正法による時間帯均衡配分を実施し, 提案するBPR関数の汎用性が高いことを確認した.
  • 溝上 章志, 柿本 竜治, 朝倉 康夫, 古市 英士
    2002 年 2002 巻 695 号 p. 103-114
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    我が国においても, 観光は地方部においては主要な産業の一つであると同時に, その開発は地域経済活性化の主要な手段ともなっている. 本研究では, 地域間広域観光流動需要量とそれをコントロールトータルとした観光地域内周遊需要量の予測システムを開発し, 観光関連交通施設整備による観光交通需要を高い精度で予測することを可能にした. さらに, 消費者余剰法, および開放型逆行列係数を用いた産業連関分析による時間短縮便益と地域経済インパクトの計測方法を提案した. 最後に, これらを用いて奈良北部地域における高規格幹線道路の整備による観光インパクトの試算を行った.
  • 奥田 孝次
    2002 年 2002 巻 695 号 p. 115-124
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本稿では1920年代に活躍したベントン・マッカイがアメリカの地域計画に及ぼした影響や功績を紹介する. マッカイは自然保護主義者, 森林学者, 地域計画者として幅広く活躍し, ルイス・マンフォードらと共にアメリカ地域計画協会 (RPAA) を設立した. マッカイとマンフォード, クレアレンス・スタインらとの書簡等を中心として, マッカイが地域計画に打ち出した彼の地域思想の本質を明らかにすると共に, RPAAに貢献したマッカイの業績や背景を解析する. 結論として, マッカイの地域思想は今日の地球規模的なサスティナビリティの源流とも捉えられる. 21世紀が始まろうとしている今日こそ, マッカイの地域思想がより求められていることは明白であろう.
  • 大口 敬, 片倉 正彦, 谷口 正明
    2002 年 2002 巻 695 号 p. 125-136
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    自動車による二酸化炭素排出量の低減は地球温暖化対策として大変重要視されている. 自動車単体の性能向上, 自動車交通量の抑制など様々な対策が検討されているが, 交通運用・交通制御面から捉えて交通混雑状況がどれだけ二酸化炭素排出量に影響があるかを的確に推定する手法がない. 本稿では, 実際の都市部の道路で行った実走行実験から得られた燃費データの実証分析とエンジン熱機関と車両運動の理論モデル解析を通して, 交通混雑状況下における車両挙動と燃料消費量 (すなわち二酸化炭素排出量) の関係の定式化を行う. その結果, 自動車による二酸化炭素排出量は, 旅行時間, 旅行距離, 車速変動特性の3要因により適切に定量評価できることが明らかとなった.
  • 鈴木 宏典, 中辻 隆
    2002 年 2002 巻 695 号 p. 137-148
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高速道路上の起終点 (OD) 旅行時間を推定する新手法を提案した. 各道路区間の交通状態を感知器からのフィードバック作用により推定し, 区間旅行時間の時空間的な合計によってOD旅行時間を推定した. 筆者らは現在までニューロカルマンフィルタ (NKF) を用い, 交通状態を推定せずにOD旅行時間を直接推定する手法を提案してきた. 今回既存のNKFによる手法と新提案手法を用いてOD旅行時間を推定した結果, 新提案手法が精度の高い推定を行うことを確認した. さらに提案手法を実際の高速道路単路部へ適用した結果, 密に感知器を設置することにより混雑状態を含めた広範な交通状態の推定が可能となる見通しを得た. これらの数値計算結果から, OD旅行時間推定に対する提案手法の実用化へ向けての課題を整理した.
  • 都市鉄道経路選択行動を対象に
    加藤 浩徳, 家田 仁, 中嶋 義全
    2002 年 2002 巻 695 号 p. 149-158
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, 各種交通サービスでは, 多様な料金支払方法が提供されており, 特に現金を取扱わない支払方式が普及しつつある. ここで, 現金を取扱わない支払方法には, カード破産に見られるように, 費用意識を希薄にさせる効果が考えられ, 支払方法の違いによって価格感度の差異が存在する可能性が予想される. そこで, 東京圏の私事目的の鉄道経路選択行動を対象に, 利用者の運賃に対する感度が, 支払方法によって異なるという仮説を立て, その検証を行った. アンケート調査データに基づいて鉄道経路選択に関するMNLモデルを推定し, 支払方法間で価格感度を統計的に比較した結果, その感度は, プリペイドカード保有者層と非保有者層とでは変わらないこと, ならびに選択する支払方法の異なる乗車区間の間では, ある程度異なる可能性があることが明らかとなった.
  • 土井 健司, 森本 信次, 黒川 洸
    2002 年 2002 巻 695 号 p. 159-170
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    大都市内の密集市街地においては, 住環境の改善や防災性の向上から面的整備が望まれるが, 小規模宅地が卓越する地区では土地区画整理事業等の実施が困難とされている. 本研究は, 工区間換地により密集市街地と新市街地の整備とを組み合わせたツイン区画整理手法を対象として, 密集市街地側の地権者の参加動機という観点から, 事業の成立条件や移転動機への影響要因の分析を試みている. GISに基づく市街地診断と, 期待効用概念に基づく移転動機の定量化に基づき, 実際の密集市街地を対象に実行可能性を分析し, 1) 工区間換地による宅地地積の増加が移転のインセンティブとして働くこと, 2) 市街地特性のみならず都市基盤の整備目標の設定や許容減歩率の設定によって, 小規模宅地所有者の参加動機が大きく左右されること等を確認している.
  • 渡辺 義則, 緒方 剛, 清田 勝, 角 知憲, 小佐々 昌典
    2002 年 2002 巻 695 号 p. 171-176
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    自転車で通学する高校生の経路選択を記述したモデルを用いて, 地域のどこに「車道に自転車専用レーンの標示」と「車道と自転車の走行路の物理的な分離」という2つのタイプの道路を, どれだけの幅で設置すれば自転車利用者にとって有用かを考察した. その結果, 1) 最短経路に比べてより平坦な競合経路が存在すれば, 自転車走行路の拡幅によって, 登り坂を嫌う自転車利用者を中心に経路変更が起きる, 2) 車道の交通量が30台/5minより少ないと車道にレーン標示した方が, 一方, それより大きいと車道と自転車の走行路を物理的に分離した方が, 利用者にとって有用なことが認められた.
  • エスパダ イアン, 中辻 隆, タナボリブン ヨッポン
    2002 年 2002 巻 695 号 p. 177-186
    発行日: 2002/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    HCM等これまでに提案されている無信号交差点における容量算定式は, 一時停止制御と譲れ制御の相違を明確には考慮していない. 無信号交差点を含む市街地道路へのマクロ交通流モデルの適用にあたっては, 容量算定式が不可欠であることから, T字交差点を対象として両制御の相違を考慮したパラメータを新たに含む容量算定式の開発を行った. 次に, 当該算定式を組み込んだ高次項を含むマクロ交通流モデルの作成を行い, 主道路における交錯交通量を変化させたシミュレーション解析を行った. その結果, パラメータ値は, 一時停止制御では旧HCM式より小さく, 譲れ制御では大きくなることを明らかにした. さらに, 渋滞時には, 譲れ制御も実質的に一時停止制御状態となる現象を表現するよう算定式の改良を行った.
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