近年, 各種交通サービスでは, 多様な料金支払方法が提供されており, 特に現金を取扱わない支払方式が普及しつつある. ここで, 現金を取扱わない支払方法には, カード破産に見られるように, 費用意識を希薄にさせる効果が考えられ, 支払方法の違いによって価格感度の差異が存在する可能性が予想される. そこで, 東京圏の私事目的の鉄道経路選択行動を対象に, 利用者の運賃に対する感度が, 支払方法によって異なるという仮説を立て, その検証を行った. アンケート調査データに基づいて鉄道経路選択に関するMNLモデルを推定し, 支払方法間で価格感度を統計的に比較した結果, その感度は, プリペイドカード保有者層と非保有者層とでは変わらないこと, ならびに選択する支払方法の異なる乗車区間の間では, ある程度異なる可能性があることが明らかとなった.
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