土木学会論文集
Online ISSN : 1882-7187
Print ISSN : 0289-7806
ISSN-L : 0289-7806
2002 巻, 711 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 呉 智深, 黒川 徹二
    2002 年 2002 巻 711 号 p. 1-13
    発行日: 2002/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, まずFRP面材の接着により補強されたコンクリート曲げ部材の有限要素法解析を行い, FRP-コンクリート界面のせん断応力伝達メカニズムを解明した. そして得られた結果により, 炭素繊維 (CFRP) 板の破壊・ひび割れ性状および剛性や靭性などに関する曲げ補強効果を実験的に検討した. さらに, CFRP板による補強効果を向上させるための有効な定着補強方法を提案し, その有効性を実験的に実証した.
  • 睦好 宏史, Thiru ARAVINTHAN, 濱田 譲, 渡辺 宗樹
    2002 年 2002 巻 711 号 p. 15-26
    発行日: 2002/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 大偏心を有する外ケーブルPC単純および連続桁の曲げ性状ならびに設計の考え方を, 実験及び解析により明らかにしたものである. 大偏心外ケーブルPC桁は, ケーブルを桁高内に配置した従来の外ケーブル式PCに比べて, ケーブルの高強度を有効に活用することが可能である. また, 外ケーブルを多径間にわたって連続的に配置すれば, 架設現場の状況等に応じて, 外ケーブルの配置に自由度を持たせた設計が可能である. さらに, 従来の外ケーブル式PCの曲げ解析手法が大偏心外ケーブルPC単純および連続桁にも適用できること等が明らかとなった.
  • 濱田 譲, 井上 真澄, 小林 朗, 高木 宣章, 児島 孝之
    2002 年 2002 巻 711 号 p. 27-44
    発行日: 2002/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 引抜き形成された炭素繊維プレートを緊張・定着することにより, 既設コンクリート部材にプレストレスを導入して補強する方法を実用化することを目的として, 補強したRCはりの静的曲げ載荷試験および疲労曲げ載荷試験を実施し, その補強効果を検討した. その結果, 補強したRCはりの曲げ破壊耐力は, 炭素繊維プレートの緊張力が大きいほど大きくなった. 中間定着具を設置すると, 炭素繊維プレートの剥離を遅延することができ, 部材の変形性状と曲げ破壊耐力を効果的に改善できることが明らかとなった. また, 炭素繊維プレートの緊張力を大きくすると補強したRCはりの疲労寿命は大きくなり, 200万回疲労強度は静的曲げ耐力の約50%程度であることが確認された.
  • 石橋 忠良, 津吉 毅, 小林 薫, 吉田 徹, 海原 卓也
    2002 年 2002 巻 711 号 p. 45-57
    発行日: 2002/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    構造物の耐震性能の評価には, 構造物を構成する部材の損傷の程度がひとつの指標とされている. そのため, 鉄筋コンクリート (以下「RC」という) 構造物の耐震設計を合理的に行なうためには, 部材の塑性変形レベルと損傷程度の関係を適切に評価するとともに, 各損傷程度に対応する変形性能の定量的な算定方法を明確にする必要がある.
    本論文は, RC模型試験体の交番載荷実験から, 変形性能に及ぼす諸要因について検討を行い, 部材じん性率が10程度となるような大きな変形性能をもつRC脚柱の変形性能の算定法について提案を行なうものである.
  • 大江 亮二, 吉川 弘道
    2002 年 2002 巻 711 号 p. 59-71
    発行日: 2002/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論は, 過大地震における鉄筋コンクリート単柱のせん断劣化現象を実験・解析両面から検討するものである. まず, 従来のせん断耐力式のコンクリート抵抗成分に繰返しによる劣化現象を考慮することで, 曲げ降伏後にせん断耐力が低下していく現象を追従できる評価式を提案した. さらに, 実地震では, 繰返しによってその劣化の進行状況は異なることから, 不規則的な応答一波が構造物に与える影響を反映させることが考えられ, 既往 Priestley らの基準劣化曲線からただ応答一波が作用したときに対する単発劣化曲線へ拡張し, その累積値 (累乗型累積損傷モデル) から繰返し大変形を受ける鉄筋コンクリート単柱のせん断劣化を定量的に評価した. これらの条件をふまえ, 非線形動的応答解析を実行し, 実地震動下の数値シミュレーションを行った.
  • 佐伯 竜彦, 猪口 泰彦, 新野 康博, 長瀧 重義
    2002 年 2002 巻 711 号 p. 73-90
    発行日: 2002/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 骨材資源の有効利用を目的とし, 密度が小さく吸水率が大きいため, 現在JIS等では使用が許されていない低品質骨材や再生骨材と電気炉酸化スラグや銅スラグを混合した場合のコンクリート用骨材としての適用性について基礎的な検討を行った. 混合骨材を用いたコンクリートのフレッシュ性状, 強度特性および耐久性を検討した結果, スラグ骨材および低品質骨材の両者の混合比率によってはコンクリート用骨材として十分な品質を持つことが確認された. さらに, 混合骨材コンクリートの諸特性を骨材の品質から推定する手法について基礎的な検討を行い, 定性的にではあるがそれが可能であることを確認した.
  • 岸 徳光, 三上 浩, 栗橋 祐介
    2002 年 2002 巻 711 号 p. 91-109
    発行日: 2002/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, FRPシートを用いた既設RC部材の合理的な曲げ補強設計手法の確立を目的として, まず断面形状, 主鉄筋比, シート補強量, せん断スパン比, シート材料および載荷形式の異なるFRPシート曲げ補強RC梁の静載荷実験結果に基づき, 梁の耐荷性状やシートの剥離性状に関する種々の検討を行った. 次に, これらの実験結果および既往の実験結果も含め, シート剥離に伴う梁の破壊形式に関する要因分析を行い, 破壊形式の予測式を提案した. さらに, これらの実験データを用いて, 土木学会において提案されている界面剥離エネルギーに基づいたシート剥離照査法の鉛直荷重が載荷し曲げとせん断が作用する場合のRC梁への適用性についても検討を行っている.
  • 加藤 弘義, 宮川 豊章, 中村 明則, 土井 宏行
    2002 年 2002 巻 711 号 p. 111-124
    発行日: 2002/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高炉スラグ微粉末を使用した粉体系高流動コンクリートの問題点として, 自己収縮の増大が指摘されている. 本研究では, 高炉スラグ微粉末に添加されたセッコウ及び石灰石微粉末が高流動コンクリートの自己収縮特性に与える影響を検討し, その機構について考察を加えた. セッコウの添加により, 自己収縮ひずみが低減し, 単位引張強度あたりの自己収縮ひずみが減少した. 自己収縮の低減は, エトリンガイトの生成による毛細管空隙量の増加によるものと推定した. 石灰石微粉末の添加により, 初期材齢において自己収縮ひずみの低減ならびに単位引張強度あたりの自己収縮ひずみの減少が認められた. しかし, 長期にわたり自己収縮が継続する傾向が認められた. 長期にわたる自己収縮の増加は, 石灰石微粉末の反応に起因するものと推定した.
  • 石橋 忠良, 古谷 時春, 浜崎 直行, 鈴木 博人
    2002 年 2002 巻 711 号 p. 125-134
    発行日: 2002/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    昨今, コンクリート構造物からのコンクリート片の剥落が社会問題となっている.
    本文では, コンクリート片の剥落が生じた鉄道高架橋, 架道橋, およびこ線橋 (以下, 高架橋等とする) のかぶり, コンクリートの中性化深さ, 鉄筋腐食度などを調査し, 高架橋等からのコンクリート片の剥落要因を検討した. その結果, かぶり, 中性化残り, および雨水, 漏水の影響が, コンクリート片の剥落および鉄筋腐食と関係の深いことがわかった.
  • 一宮 一夫, 出光 隆, 山崎 竹博
    2002 年 2002 巻 711 号 p. 135-146
    発行日: 2002/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 粉体系の高流動コンクリートの空気量ならびに流動性を表す指標が表面気泡の発生に及ぼす影響を解明するために行った. まず, 空気連行性のないナフタリン系の高性能減水剤にAE剤を併用した場合と, 空気連行性のあるポリカルボン酸系の高性能AE減水剤に消泡剤を併用した場合で, 空気量と表面気泡の関係を比較した. 次に, 粗骨材ならびにコンクリート内部の気泡を球状の剛体と仮定し, それらに作用する流体抵抗にモルタル相のレオロジー定数の影響を考慮し, 各粒子に作用する浮力, 重力, 流体抵抗の力のつり合いから粗骨材の沈降と内部気泡の上昇の各現象を説明した. その結果から, 表面気泡の型枠からの離脱現象が, 上記の作用力と型枠との付着力のつり合いで説明できることを示した.
  • 松尾 真紀, 二羽 淳一郎, 児島 孝之
    2002 年 2002 巻 711 号 p. 147-159
    発行日: 2002/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリートと補強材間の付着伝達機構を表現するために, 2次元有限要素モデルを提案した. 本付着モデルは, コンクリート要素と補強材要素の界面に接触する2つの曲線からなる2次アイソパラメトリック線要素で表現される. これは, 既報の論文中で定義したひび割れモデルを拡張したものである.
    そして, 付着引抜き試験の2次元有限要素解析を行い, 本論文で提案する付着モデルのコンクリートと連続繊維補強材間の付着応力―すべり関係を同定した. 実験結果と解析結果との比較を行うことによって, 各連続繊維補強材 (より線状炭素繊維補強材および組紐状アラミド繊維補強材) の付着応力伝達機構の相違を明らかにすることができた.
  • 藤田 学, 佐藤 良一, 松元 香保里, 高木 康宏
    2002 年 2002 巻 711 号 p. 161-172
    発行日: 2002/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高強度コンクリートを用いたRCはりの斜めひび割れ発生時の公称せん断応力度 (以下, せん断強度) と寸法効果を明らかにするため, 圧縮強度36~100N/mm2, 有効高さ250~1000mm, せん断スパン比2~5としたせん断補強筋のないRCはりのせん断強度を実験的に検討した. その結果, 寸法効果は普通強度コンクリートのそれよりも大きいことを確認した. さらに破壊力学的アプローチに基づき, コンクリート引張強度で正規化したせん断強度は, 特性長さに対する有効高さの比の-1/2乗に比例することを確認した. これらに基づき, 圧縮強度80~125N/mm2の高強度コンクリートに対して, 寸法効果は有効高さの-1/2乗に比例するとした新しいRCはりのせん断強度算定式を提案した.
  • 谷村 幸裕, 渡邉 忠朋, 瀧口 将志, 佐藤 勉
    2002 年 2002 巻 711 号 p. 173-190
    発行日: 2002/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震による鉄筋コンクリート構造物の被災を契機として, 種々の機関で耐震設計法の見直しがなされている. 筆者らは, 性能照査型設計体系への移行を念頭において, 構造物の復旧性を照査する場合に必要となる鉄筋コンクリート柱部材の損傷状況と修復のための補修方法を関連付けた損傷レベルを設定し, その限界点を算定する手法を提案してきた.
    本研究では, 場所打ち鉄筋コンクリート杭部材の損傷レベル限界点の設定とその算定方法について, 柱部材の方法をもとに, 断面形状, 施工条件や軸方向力の違いを考慮して, その適用方法について提案をするものである.
  • 杉山 隆文, Sorn VIRA, 辻 幸和, 大城 武
    2002 年 2002 巻 711 号 p. 191-203
    発行日: 2002/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    フライアッシュコンクリートの塩分浸透性を迅速に評価するため, 15Vの直流定電圧を連続印加して電気的に塩化物イオンを移動させる電気泳動法の適用を試みた. その結果, 水中養生期間が91日では, フライアッシュの置換率が大きく水結合材比が小さい場合に塩分浸透抵抗性が大きくなることを示した. また, フライアッシュを細骨材の一部代替使用したコンクリートを3年間自然暴露した結果ともよく整合し, 電気泳動法より得られる拡散係数 (電気泳動) の評価指標としての妥当性を示した. そして, 拡散係数 (電気泳動) は, 塩水浸漬試験から求めた見掛けの拡散係数よりも大きくなること, この主な理由は, 固定化の影響による可能性が大きいことを明かにした. さらに, 評価指標としてのクーロンや比抵抗の妥当性およびこれらと拡散係数 (電気泳動) との比較を考察した.
  • 上田 多門, 佐藤 靖彦, 伊藤 常正, 西園 勝秀
    2002 年 2002 巻 711 号 p. 205-215
    発行日: 2002/08/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 光学的手法であるレーザースペックル法によって測定された, せん断補強筋を有するはりのせん断変形の実験結果を示している. それによれば, 曲げ変形に加え, 無視できないほどの大きさのせん断変形が, せん断ひび割れ部に集中して生じた局部的なせん断変形により, 生じていた. 実験結果に基づき, 変形を推定するための簡便な力学モデルを提案している. 提案モデルは, せん断変形を算定するためのトラスモデルと, テンションシフトによる付加的な曲げ変形を算定するためのモデルとからなっている. モデルは, 実験結果を精度よく推定できている.
feedback
Top