低気圧や台風がもたらす海水位変化, 風, 降雨は, 汽水湖の流動・水質場の重要な外力であるが, 様々な移動形態をとるため与える影響も一様でない. そこで, 低気圧や台風を移動経路で分類し, 中海の流動の特徴を移動形態との関係から明らかし, 水質場に与える影響を考察した. この結果, 次の知見を得た. (1) 低気圧は2種類, 台風は4種類の移動経路に分類でき, 特に日本海低気圧や台風 Type 1, 2による水位変動は特徴的で, これは移動速度や風系による. (2) 台風通過に伴う水交換は, 海水流入より河川流入の影響が大きいため, 降雨量の多い Type 2台風時に水環境が大きく変化する. (3) 台風や低気圧に伴う密度分布の変化は1週間程度で回復するが, 濁質分布は生化学的な影響を受け数週間その影響が残る. (4) 中海・宍道湖の流動・水質変化の把握には, 低気圧や台風が持つ水交換力の正しい評価が必要である.
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