オーストラリア, ビクトリア州南西部の半乾燥地において, 河川水の酸素・水素同位体比と溶存成分濃度から, 河川水の蒸発過程と塩水化の原因を解明した. 内陸部の降水量が少なく, 水の供給量が少ない場所では, 塩湖が存在する. 塩湖では, 乾季に周辺から供給された水が完全に蒸発することで塩が集積し, 雨季に新たに降水が加わることで, 塩濃度が高く, 同位体比はほとんど降水の値に一致する水が形成された. 湿地において, 蒸発と水の供給が繰り返し起こることによって, 水が完全に干上がった部分の塩と一部で干上がらずに残った水が混ざることで, 塩濃度も同位体比も高い水が形成された. 河川や湿地において, 水位低下が小さく, 干上がることがない場合は, 同位体比, 塩濃度は蒸発の割合で変化する.
抄録全体を表示