本研究では, ヨシ植栽後2ヶ月, 1年, 2年, 3年が経過した植物群落の遷移状況を調査し, ヨシが繁茂する地盤高を特定した. 以下に主な知見を示す. (1) 植栽後の経過年数別の植物種数は, 1年目が37種, 2年目が74種, 3年目が92種, 102種と経過年数が長くなるにつれて増加した. 一方, 一年生草本の出現率の低下より, 時間経過による群落の安定化が確認できた. (2) ヨシ植栽地に生育する植物種の優占する地盤高を示した. ヨシの優占する地盤高は, 1年間の冠水日数が約94日~192日 (年間の26%~52%) の区域であった. (3) 分散分析により, 植栽後の経過年数の増加にともなう植栽位置の影響の増大傾向, 植栽工法の影響の縮小傾向を明示した. また, チクゴスズメノヒエの優占とヨシの衰退との関係を示した.
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