土木学会論文集
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2003 巻, 727 号
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  • 岩根 泰蔵, 山本 和夫, 川本 尋義, 福士 謙介, 島崎 大
    2003 年 2003 巻 727 号 p. 1-12
    発行日: 2003/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    多摩川河川水, 全国6地域の下水処理場試料水, 多摩川上流域世帯の単独処理浄化槽試料水におけるアンピシリン耐性大腸菌の分布を調査した. 多摩川河川水では, 流下に伴って下水処理場放流水の影響により全菌数は増えるものの, 耐性割合には有意な増加が認められなかった. 全菌濃度が高い底質においても耐性割合に有意な差が無かった. また, 多摩川流域の下水処理場では, 処理過程を通じた耐性割合の変化は認められなかった. 全国6地域の下水処理場を比較すると, 流入水中の全菌数には有意な差が認められたが耐性割合に有意差は無く, いずれの処理場でも処理過程を通じた耐性割合の有意な変化は認められなかった. さらに浄化槽については, 耐性割合に世帯ごとの大きなばらつきが観察された. また, 大腸菌群および腸内細菌科細菌では, 構成菌種の変動が耐性割合に影響すると推察された.
  • 田中 周平, 藤井 滋穂, 山田 淳, 畦原 貴容子, 西川 博章
    2003 年 2003 巻 727 号 p. 13-22
    発行日: 2003/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, ヨシ植栽後2ヶ月, 1年, 2年, 3年が経過した植物群落の遷移状況を調査し, ヨシが繁茂する地盤高を特定した. 以下に主な知見を示す. (1) 植栽後の経過年数別の植物種数は, 1年目が37種, 2年目が74種, 3年目が92種, 102種と経過年数が長くなるにつれて増加した. 一方, 一年生草本の出現率の低下より, 時間経過による群落の安定化が確認できた. (2) ヨシ植栽地に生育する植物種の優占する地盤高を示した. ヨシの優占する地盤高は, 1年間の冠水日数が約94日~192日 (年間の26%~52%) の区域であった. (3) 分散分析により, 植栽後の経過年数の増加にともなう植栽位置の影響の増大傾向, 植栽工法の影響の縮小傾向を明示した. また, チクゴスズメノヒエの優占とヨシの衰退との関係を示した.
  • 〓 慶鎮, 丁 仁永, 西嶋 渉, 滝本 和人, 岡田 光正
    2003 年 2003 巻 727 号 p. 23-30
    発行日: 2003/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    自然と同様な人工干潟の造成に関する設計因子を明らかにすることを目的とし, 復元した人工干潟における土壌構造の変化を調査した. また, 広島湾内における10ヶ所の自然及び人工干潟土壌の経年変化を調べた. 干潟を復元するときに傾斜を緩やかにして, シルト含有量や細菌現存量が高い土壌を投入すれば自然干潟と同様な人工干潟の造成が一時的には可能であった. しかし, 造成から2年以上経過後には, 斜面勾配が大きくなりシルト含有量及び細菌現存量が減少した. 自然干潟と同様な土壌構造を持つ人工干潟を造成するためには, 勾配を緩やかにすると土壌中に存在するシルトの流出が減少し, 海水中のシルトは沈降しやすくなり, シルト含有量, 細菌現存量も自然干潟と同様になると考えられる. 自然と同様な人工干潟を創出しても, 潜堤のように維持管理の手法がされないと日常的な海水流動によって徐々に干潟土壌の洗掘が起こると考えられる.
  • 藤島 繁樹, 宮原 高志, 小野寺 寿治, 野池 達也
    2003 年 2003 巻 727 号 p. 31-38
    発行日: 2003/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高アンモニア濃度条件下での酸生成段階における有機物分解特性を連続実験により検討した. その結果, アンモニア性窒素濃度を2000mg-N/L付近に設定した場合, 炭水化物除去率は滞留時間が4.1hでも91%と高い除去率を維持していたが, 4000mg-N/L付近に設定した場合, 除去率は滞留時間の減少とともに, 低下していき, 滞留時間6.0hで47%となっていた. 一方, タンパク質の除去率はアンモニア性窒素濃度条件によらず, 滞留時間の減少に対し, ほぼ同様に推移していた. また, 高アンモニア濃度条件で基質中のタンパク質濃度が高い場合も炭水化物分解が制限されていた. 以上のことから, 高アンモニア濃度条件では, 酸生成細菌による有機物の資化性が様々な因子により変化することが明らかとなった.
  • 藤長 愛一郎, 松久 裕之, 笹本 譲, 吉田 幸司
    2003 年 2003 巻 727 号 p. 39-47
    発行日: 2003/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    人の健康リスクに基づいた土壌・地下水汚染の浄化濃度レベルを設定する手法について検討した. 今回提案した浄化目標値設定手法は, 現場に特有の条件, 有害物質濃度の土-地下水-表流水中の相関および複数の有害物質による総合のリスクを考慮でき, この手法を用いて複数の有機塩素化合物で汚染された現場を例に各物質の浄化目標値を算出した. 算出した浄化目標値は, 住宅地で井戸水を飲料水として使用する場合には日本の環境基準値と同等の値となり, 井戸水を飲料水として使用しない場合には使用する場合の数十倍以上の値となり, また工場用地の場合には住宅地の数倍高い値となった.
  • 佐合 純造, 永井 明博
    2003 年 2003 巻 727 号 p. 49-62
    発行日: 2003/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は既往の「河川水辺の国勢調査」の結果を用いて, 各河川で生息の確認された魚種数と流域・河川の諸指標, 魚類以外の生物種数との相関関係を明らかにして河川環境の定量評価の可能性を検討したものであり, 要旨は次の通りである. (1) 全国109の1級河川の魚種数の分布特性を求めた結果, 魚種数の平均は37.8種, 魚種数の最大は淀川で61種, 最少は本明川で16種であった. (2) 魚種数と流域・河川及び水環境指標との相関を求めて, 流域面積, 河口の緯度, 河道密度, 河畔市街地率, 魚類以外の生物種数等と有意な相関が示された. (3) 各河川の生息魚種数を上記指標等から推算できる重回帰式を提示し, その適応性を実証した.
  • 中谷 隼, 稲葉 陸太, 荒巻 俊也, 花木 啓祐
    2003 年 2003 巻 727 号 p. 63-75
    発行日: 2003/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    環境を経済的に評価するための手法としてはCVM (仮想評価法) やTCM (旅行費用法) が代表的であるが, いずれの手法にも問題点が残される. 本稿では, 諏訪湖を対象とし, CVMおよび表明選好によるTCMを用いて4段階の仮想的な水環境改善の評価額を計測した. その結果, CVMの評価額は包含効果によって過大評価された金額を差し引くことで正確な環境価値となり, TCMの評価額は, 絶対値に信頼は置けないものの, 環境価値の比を正確に反映していることが示唆された. そこで単純な線型回帰モデルを考え, TCMの評価額を用いて, CVMにおいて包含効果によって過大評価された金額を定量的に解析し, それをCVMの評価額から差し引くことで, より正確な環境価値を求める方法を提案した.
  • 高岡 昌輝, 藤原 健史, 藤田 淳, 武田 信生
    2003 年 2003 巻 727 号 p. 77-89
    発行日: 2003/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    都市ごみ焼却灰, 飛灰および, 下水汚泥焼却灰など多種多様な灰分に対して, 熱重量示差熱分析を適用し, 高温下での試料の挙動を観察し, 溶融パターンを分類することを試みた. 41試料は示差熱曲線の形状より, 5パターンに分類された. また, 900~1450℃範囲の約1℃ごとの示差熱曲線のデータ (577データ) を特徴抽出することにより, 平均19データに圧縮することができた. 各分示差熱曲線類における示差熱曲線の代表パターンを決定するため, 採用すべき共通温度とその数を決定した. さらにパターン認識を用いた最適化により代表パターンを決定し, 示差熱曲線の判別モデルを作成した. 本モデルを未知試料に対して適用し, 簡便に示差熱曲線から溶融パターンが分類できることを明らかにした.
  • 高岡 昌輝, 藤田 淳, 藤原 健史, 武田 信生
    2003 年 2003 巻 727 号 p. 91-101
    発行日: 2003/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    都市ごみ焼却灰, 飛灰, 下水汚泥焼却灰41試料の溶融特性をJIS法にて測定し, 融点, 軟化点, 溶流点を求めた. 融点の推定式を作成するために, 前報において示差熱曲線の形状により分類されたグループごとに灰の組成および示差熱 (DTA) 曲線の主成分分析データを用いて, JIS法の融点を目的変数とする重回帰分析を行った. その結果, DTA曲線の第2主成分を説明変数に採用した場合には灰組成のみを説明変数にした場合と比較すると, 5グループのうち3グループで非常に高い相関を持った回帰式が得られた. 未知試料に対し, 重回帰式により融点の推定を行った結果, 8試料のうち6試料においてJIS法の実測値との差が約60℃以内で合致し, 本研究において得られた推定式により融点予測は可能であるといえた.
  • 八十島 誠, 小森 行也, 田中 宏明
    2003 年 2003 巻 727 号 p. 103-111
    発行日: 2003/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    下水中の天然エストロゲン (E2, E1) および合成エスロトゲン (EE2) のLC/MS/MSを用いた分析法を開発した. 本法では, 1~80μg/lの範囲で直線性が認められ, 下水を用いて行った添加回収試験の結果, 回収率は, 90%以上と良好であった. 検出下限値はE2では0.12ng/l, E1では0.14ng/l, EE2では0.24ng/lであった. 本法を実際の下水に応用したところ, 下水処理場内ではE2は脱水素化されてE1に形態変化している可能性が示唆された. また, 脱水素化は, エアレーションタンクで顕著であることが明らかとなった.
  • 東條 安匡, 田中 信寿, 松藤 敏彦, 松尾 孝之
    2003 年 2003 巻 727 号 p. 113-118
    発行日: 2003/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    各種廃棄物の物理特性と不飽和水分移動特性を把握するために, 都市ごみ溶融スラグと破砕残渣を対象に, 比重, 粒度分布, 飽和透水係数, 水分特性曲線を測定するとともに, 一次元・二次元の不飽和水分移動実験を行った. いずれの廃棄物も大きな飽和透水係数を有するとともに, 水分特性曲線も明瞭な毛管水縁を示さず垂直に立ち上がる性状を示した. 対象とした廃棄物は粒度分布が広く, 粗大間隙を流下する急流水による水分移動が支配的であると考えられたため, 流束制御法により含水率と流束の関係を実測し, それを元に一次元水分移動式を決定した. また, 二次元不飽和浸透に関しても, 二次元実験の流出分布から横方向水分移動式を決定した. 求めた関数系による計算結果は実測値を概ね再現した.
  • 2003 年 2003 巻 727 号 p. e1
    発行日: 2003年
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
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