土木学会論文集
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2003 巻, 733 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 藤田 睦博, Surakha WANPHEN, 田中 岳, 清水 康行
    2003 年 2003 巻 733 号 p. 1-20
    発行日: 2003/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 実測資料を用いた遅れ系のパラメータ同定法であるモーメント法を提案し, 北海道内の山地流域を対象として実測水文資料を用いた解析を行なった. 実測雨量と流出量から計算される等価周波数伝達関数には, 雨量, 流量に含まれる全ての誤差成分が集約される. この性質を利用することによって雨量と流量の対応関係の適合性を判断できることを示し, 採用するデータの取捨選択をした. 一方, 藤田らは, kinematic wave 式を基本モデルとして降雨量と流域からの流出量間の等価周波数伝達関数もまた2~3次の遅れ系で近似できることを明らかにしている. 実測資料より得た遅れ系のパラメータを評価するために, 斜面域, 河道域における到達時間を求め, 降雨量の影響を取り除いた2つの流域特性指標を示している.
  • 台地部既成市街地を対象として
    谷岡 康, 福岡 捷二
    2003 年 2003 巻 733 号 p. 21-35
    発行日: 2003/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    都市域の河川・下水道の流出・氾濫は相互に関連し合う治水システムであり, その浸水被害を全体として最小限にするためには, 超過洪水に対する危機管理施策を事前に講じておくことも必要ではあるが, 毎年の様に発生する都市型水害に対して, 河川, 下水道の整合のとれた治水計画における連携が目前の最重要課題であり早急に進めなければならないことと考える. 本文は, 下水道が整備され河川へ自然排水される様な台地部の都市域中小河川・下水道流域を対象として, 下水道と中小河川で一般的に用いられる合理式に基づく各々の計画で進めている治水計画の現状に対して, 降雨・流出特性の実態整理や具体的・実際的なケーススタディを通して問題点を示し, 合成合理式等の下水道小流域の流出を考慮出来る流出解析手法を用いた河川・下水道の連携した治水計画を行う方法を示し, 今後の課題を明確にする.
  • 横倉 順治, 須賀 如川
    2003 年 2003 巻 733 号 p. 37-56
    発行日: 2003/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年開発途上国の河川では, 日本のODAによる橋梁建設が増加している. その多くは原始的河川が対象であって, 大河川の沖積部では粒径が細かく, また, 雨季の流量が長期間継続する等, 日本の河川の場合とは異なる特徴があって不安定である. かつ資料が少ない. したがって, 治水施設が施され, 豊富かつ精緻な資料を前提とした日本の河川の考え方をそのまま適用できない. そのため, 架橋位置・橋長・桁下高・局所洗掘対策等の計画検討に困難をきたすことが多い. 本論文では, 日本の開発援助により調査された信頼できる資料を用いてこれらの橋を総合的に調査し, 沖積河川の長大橋と氾濫原の橋梁という2つの課題に関し, 多数の事例に基づいて問題点の抽出・整理や現象の解明を行って, 一般的な考察と事例研究を行い, 実務遂行上重要で新しい提案を行った.
  • 福嶋 祐介, 菊池 卓郎, 西村 浩一
    2003 年 2003 巻 733 号 p. 57-65
    発行日: 2003/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地吹雪の数値解析法の妥当性を検討するため, 低温風洞での小スケールの吹雪実験と南極みずほ基地での現地観測データとの比較を行った. 数値解析には, κ・ε乱流モデルを用い, SIMPLE法により偏微分方程式を離散化した. 吹雪は固気二相流の代表例であり, 類似の現象に飛砂がある. 固体粒子である雪の輸送は乱流拡散方程式で記述する. この積分にあたって底面での境界条件の設定が重要である. このために固体粒子の連行係数の概念を用いているが, 吹雪の場合解析例が少なく連行係数の関数形は未定である, ここでは, 風洞実験及び現地観測で得られた飛雪流量分布の測定値に最も良く一致するように連行係数の値を推定した. 雪の連行係数を開水路の浮遊砂流で提案されている砂の連行係数の実験式と比較し考察を行った.
  • 禰津 家久, 吉田 圭介, 牛島 省
    2003 年 2003 巻 733 号 p. 67-76
    発行日: 2003/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    水面上に風シアーが存在する開水路流れ場 (水・空気2層流) を対象として, 水路中央鉛直断面における水・空気流をレーザー流速計 (LDA) で2次元乱流計測を行い, 両層の乱流構造に関して実験的に検討した. その結果, 底面シアーが卓越するケースでは空気層および水層ともに対数則が成立し, 乱れ強度は普遍関数に従うことが判明した. 一方, 風シアーが卓越するケースでは乱れ強度は界面近傍で増大し, レイノルズ応力は界面近くで負値を有することがわかった. これは波動成分の影響であることを説明できた.
  • 禰津 家久, 鬼束 幸樹, 高橋 俊介, 矢野 勝士
    2003 年 2003 巻 733 号 p. 77-88
    発行日: 2003/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    側壁に凹部を有する開水路乱流において, 流入フルード数を常流から射流にかけて4ケース変化させた. このときの水平断面内における流速場をPIVで計測すると共に, 超音波波高計を用いて水面変動を測定した. その結果, 時間平均された平均渦のスケールは流入フルード数が変化してもほとんど変化しないが, 平均渦によるリターンフローは流入フルード数の増加関数であることがわかった. 一方, 流入フルード数が増加すると瞬間渦の強度が増加するとともに長さスケールは小さくなり, その特性も移流とともに急速に変化することがわかった. 以上のように瞬間渦の強度とスケールはフルード数に依存するが, ストローハル数は流入フルード数に依存せずほぼ一定であることが解明された.
  • 安田 浩保, 山田 正, 後藤 智明
    2003 年 2003 巻 733 号 p. 89-105
    発行日: 2003/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ゲートの閉鎖に伴い発生する段波の特性を考察することを目的に水理実験とその数値計算を行った. まず, 水理実験を行い, その結果からゲートの操作方法に関するパラメータを導入することでゲートを緩やかに降下させた場合に発生する段波がゲートの閉鎖後の間もない段階から波状性を伴うか否かの判定が可能なことを示した. つぎに, 浅水理論式と非線形分散波理論式を基礎式とした2つの数値解析モデルを構築して実験値の再現計算を行った結果, 非線形分散波理論式に基づく数値解析モデルはいずれの実験ケースの波形や波速も精度良く再現できることを示した. 最後に, この数値解析モデルを利用して長大な水路を仮想した数値実験を行い, ゲートの操作方法の違いが伝播に伴う段波の変形過程や保存波への遷移に及ぼす影響について考察した.
  • 日比野 忠史
    2003 年 2003 巻 733 号 p. 107-118
    発行日: 2003/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    北海道付近を節とした北太平洋西~北側沿岸での水位振動と黒潮・親潮系水塊の挙動との関係について検討し. 北側海域沿岸において水位低下時には親潮が南下, 水位上昇時には親潮が北上していることが見いだされた. さらに, 海流の影響が季節的に異なる沿岸域では気圧による水位変動成分よりも海流によって運ばれる暖・冷水塊の交換にともなった水位変動成分が大きいこと, 日本沿岸域では水位変動が主に気圧と水塊交換にともなう体積変動量によって表されることが見いだされている. 最後に, これらの特性を利用して三陸沿岸に流入する水塊の密度を水位と気圧から推定することの妥当性について検討した. これらの結果, 沿岸域に流入する水塊密度の指標として気象, 水位データの利用が可能であることが示された.
  • 北野 正夫, 殿最 浩司, 真期 俊行, 佐藤 広章, 高山 知司
    2003 年 2003 巻 733 号 p. 119-130
    発行日: 2003/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 和歌山県御坊市沖における方向スペクトルの観測結果を用いて, この海域における方向スペクトルの出現特性, 特に多峰型方向スペクトルの出現特性について検討を行った. その結果, 特に冬季において, 多峰型方向スペクトルの出現頻度が予想以上に高いことがわかった. また, 港内静穏度解析の精度向上を目的として, 方向スペクトルの出現特性が港内静穏度に与える影響について検討し, 港外で観測した方向スペクトルそのものを用いて港内波高を推定する方法を示した. この方法を用いて港内静穏度を評価し, 港内波浪の実測値と比較した結果, 港内観測波浪の再現性が高く, 方向スペクトルの多峰性を考慮することの重要性が確認された.
  • Olga TRUSENKOVA, Vladimir PONOMAREV, 石田 啓
    2003 年 2003 巻 733 号 p. 131-150
    発行日: 2003/05/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    The study is motivated by new findings on oceanography of the Japan Sea and by research on climate change in the adjacent area. The primitive equation quasi-isopycnal model (MHI model) is applied to simulate principal circulation patterns in the Japan Sea for two different climatic conditions observed in the mid and late 20th century. It is shown that redistribution of the Tsushima Current transport between western and eastern branches and development of the subarctic gyre in the northwestern Japan Sea are controlled by variation of vertical density stratification and baroclinicity in the sea, in accordance with climate change in the East Asia-Northwest Pacific marginal area.
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