土木学会論文集
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2003 巻, 735 号
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  • 鈴木 雅行, 笠 博義, 肥後 満朗, 吉武 勇, 進士 正人, 中川 浩二
    2003 年 2003 巻 735 号 p. 1-13
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 山岳トンネル補助工法として多用されているウレタン注入工法の設計に関する基礎的資料を得るために, 特に異なる地山条件下でのウレタン系注入材の固結特性に関して検討を試みた. 本研究では, 先ずウレタン系注入材の粘度と地山の透水性に着目し, 固結形態に関する機構について考察した. また室内試験では, 模擬地山の透水係数およびウレタン系注入材の発泡倍率をパラメータとした実験を実施し, 固結形態の観察を行った. さらに様々な地山特性を有する環境下において, ウレタン注入実験を試みた. その結果, 地山の透水性によりウレタン系注入材の注入・浸透過程は異なり, 生成される固結体の形状も異なることが確認され, 地山の透水係数を用いることで固結体の形状を概略的に予測できることが判明した.
  • 豊福 俊泰, 田口 茂久, 山崎 竹博, 鶴田 浩章
    2003 年 2003 巻 735 号 p. 15-31
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, コンクリート構造物の損傷は大きな社会問題となっており, 建設工事において,「コンクリートの品質保証」を構築・普及することの重要性が高まっている. 日本コンクリート工学協会九州支部では,「コンクリートの品質保証に関する研究委員会」が設置され, 委員会活動が進められた (活動期間: 平成11年6月~平成13年11月). 委員会では, コンクリート工事におけるコンクリートの品質管理および検査の現状と課題を把握し, 次にコンクリートの製造と品質判定法の技術を調査した結果を基に,「コンクリート構造物の品質保証システムの提案」が行われた. 本研究は, この提言からさらに検討を進めたものである.
  • 豊福 俊泰, 添田 政司, 岩原 昭次, 堤 博文
    2003 年 2003 巻 735 号 p. 33-44
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    完成した構造物中のコンクリートの圧縮強度は, 生コンクリートの品質変動のほか, 構造物の形状・寸法, 打込み・養生の方法, 材齢, 気象条件等によって大きく変動する. この検査には, コア抜きの困難さから, テストハンマーによる非破壊試験によることが多いが, 推定誤差が大きいとされ, 試験方法の確立には至っていないのが現状である. そこで, 本研究は, テストハンマーによる非破壊試験に及ぼす各種要因を, 普通コンクリートの供試体, 高流動・高強度コンクリートの模型桁, 長期経過した建築物で検討し, これらについて総合的に解析した結果から, テストハンマー試験によって構造物中のコンクリート (コア供試体) の圧縮強度を推定する方法を提案したものである.
  • 岩波 基, 山口 哲司, 小泉 淳
    2003 年 2003 巻 735 号 p. 45-64
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    大深度円形立坑用の土留め壁の設計では, その仕様は3次元解析で決定される現状であるが, そのモデルの壁の厚さを決める事前解析に水平断面方向の2次元構造解析が用いられる場合が多い. しかし, 土留め壁の厚さを合理的に定める2次元構造解析モデルとそれに作用させる荷重系が確立されていない現状にある.
    本研究は, 円形立坑土留め壁の3次元挙動をできるだけ忠実に表現できる2次元構造解析モデルの確立を目指して, 現状の設計に用いられている5種類の水平断面方向の2次元構造解析モデルを対象に解析を実施し, その結果からこれらのモデルの適用できる条件について検討を加えるとともに, 3次元効果を考慮したより合理的な2次元構造解析モデルを提案するものである.
  • 馬場 弘二, 伊藤 哲男, 城間 博通, 宮野 一也, 中島 浩, 谷口 裕史
    2003 年 2003 巻 735 号 p. 65-74
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    トンネル覆工コンクリートは, セントルを使用して数箇所の打込み口から順次打ち込む施工方法が一般的である. このため, 打込み口の切り替え時にトラブルが生じた場合などでは, 打重ね時間が長くなりコールドジョィントの発生が危惧される. また, 天端部の施工は, 締固めが困難なために充填が不十分となる場合がある. これに対し, 天端部の施工に流動化コンクリートあるいは高流動コンクリートを適用して, 施工性を向上させる手法も提案されているが, 異種配合の打重ね部の特性は必ずしも明確ではない.
    以上のような背景から, 本研究では, トンネル覆工コンクリートを対象として, 打重ね時間, 異種配合の打重ねなどが覆工コンクリートの品質に及ぼす影響について実験的に検討した.
  • 角江 俊昭, 石井 清, 吉越 洋
    2003 年 2003 巻 735 号 p. 75-91
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高透水性岩盤に対する基礎処理における注入工法に関して, グラウトカーテンを効率的に形成し所要の止水処理を図るためにはどのような注入材を選択するべきかは, 最も重要な議論のひとつである. 本論文では開口割れ目を有する岩盤に対して通常のセメントグラウトによる基礎処理では効率的なグラウトカーテンの形成が難しいことを実証的に示す. その上でダムの基礎処理においてわが国で初めての採用となるゲルタイムが調整できる急硬性グラウトの適用性を検討し, 実施工への本格適用を図り, 本工法が極めて効率的でかつ有効なものであることならびに急硬性グラウトは品質が長期的にも安定し耐久性が高いことを証するものである.
  • 江口 忠臣, 室 達朗, TRAN DANG THAI
    2003 年 2003 巻 735 号 p. 93-103
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は建設車両の車両制御, 走行性能向上に資するため, 地盤上における建設車両用タイヤの弾性挙動特性および純粋転動特性を明らかにするものである. 従来, 簡易的にタイヤの等価縦弾性係数が接触地盤の等価縦弾性孫数より大きい時, タイヤは剛性車輪であると見なされてきた. 供試地盤上において載荷, 純粋転動試験を行い, 3種類の低内圧における特性について調査した. その結果, タイヤ沈下すなわち地盤表層破壊は載荷重よりもタイヤ設定空気圧に依存し, タイヤの等価縦弾性係数が接触地盤の等価縦弾性係数より大きい場合においてもタイヤが弾性挙動を示すことが明らかになった. タイヤ沈下はフローテーション性に大きく影響することから, 空気圧制御により走行性能を改善できる可能性を示した.
  • 庄 健介, 平塚 元康, 北村 泰寿
    2003 年 2003 巻 735 号 p. 105-117
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    供用中の構造物の振動特性を簡便に調べる方法に重錘による打撃試験がある. 筆者らは, 橋脚の健全性一次診断法として, 重錘打撃による橋脚の実測応答波形が解析モデルの動的応答波形と一致するように部材のヤング係数や支持地盤の地盤ばね定数等の諸定数を推定し, この推定値と初期値とを比較することにより, 橋脚の健全性を判定する方法を提案している. 本研究では, この方法における試行錯誤的な推定作業の軽減を図り, 測定現場で短時間かつ簡便に, 橋脚の健全性を評価できる方法を開発することを目的に, ニューラルネットワークを用いて橋脚支持地盤の地盤ばね定数の推定及び橋脚躯体の損傷推定を試みた.
  • 井上 義之, 山下 秀信, 熊谷 孝司, 中園 眞人, 中川 浩二
    2003 年 2003 巻 735 号 p. 119-129
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高速道路において, 面壁型トンネル坑門に対する運転者の流入抵抗感に関しては多くの議論がある. またこの抵抗感を軽減するためのグラデーション塗装が試みられた例がある. 本研究は, 流入抵抗感の軽減と自然景観への配慮を目的に, グラデーション塗装および今回提案する逆グラデーション塗装によるリメークを行った坑門を対象に, CG動画と実写ビデオによる心理評価実験を行い, 坑門リメークデザインと流入抵抗感・好感度評価の関係を明らかにし, 逆グラデーション塗装によるリメーク手法の有効性を論じたものである.
  • 連 重俊, 平野 廣和
    2003 年 2003 巻 735 号 p. 131-144
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鋼桁の構造物振動に伴い発生する30Hzから200Hz域の比較的低い騒音を低減するために, 振動している橋体部材にゴムと鋼板とからなる複合材料を直接付加する工法を開発した. この工法を用いて試験施工する機会を得て不快な低音域騒音を低減することができた. さらに施工の簡素化による工期短縮, 工費低減をも実現したので開発経緯と施工技術の両面で報告を行う.
  • 原田 隆郎, 横山 功一
    2003 年 2003 巻 735 号 p. 145-155
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    橋梁台帳に記録されている補修歴は過去の補修実績を記録したものであるが, データの蓄積が十分に行われていないなどの問題からマネジメントシステムにおいて有効に使われていない. しかしながら, 補修歴は地域ごとの維持管理方針が反映されており, 長期的な維持管理策定のためには有益な情報となる. 本研究では, 維持管理計画の策定を支援する長期供用性予測手法を開発することを目的とし, 補修歴をもとに過去の補修実績に基づく補修の必要度を表現する曲線を提案した. 各橋梁の補修履歴データを分析し, 各地域, 各部材, 各対策の補修実績の傾向を把握するとともに, 累積大型車交通量と補修件数の関係より補修率曲線を同定した. そして, 補修率曲線を用いた長期的な維持管理計画の策定手法を提案した.
  • 加賀山 泰一, 河村 圭, 宮本 文穂, 田中 信也
    2003 年 2003 巻 735 号 p. 157-170
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 橋梁の合理的な維持管理手法を立案する一環として, データベースに蓄積されている情報から, データマイニングの手法を用いて, 橋梁伸縮継手の損傷に関するルール型知識の獲得を試みた. 知識獲得のためのデータマイニングの手法としては, ラフ集合の概念を取り入れた決定表簡約化を採用した. 既存の研究において, このような知識を抽出したという研究はいくつか報告されているが, 獲得されたルールの評価までを行った研究は数少ない. そこで, 本研究では, 橋梁伸縮継手の損傷に関するルール型知識を抽出するだけでなく, 獲得された知識を評価するための方法を提案し, その検証を行った.
  • 加藤 証一郎, 川原 睦人
    2003 年 2003 巻 735 号 p. 171-183
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    直接基礎形式の建物等の不同沈下を新しい円筒ゴム式ジャッキにより修正制御するための基礎的研究として模型実験, 数値シミュレーションおよび制御解析を行った. 実験では, 模型砂地盤中に円筒ゴムを埋設し, 水を圧入して円筒ゴムを膨張させた. また, 砂地盤を弾完全塑性とする砂地盤-円筒ゴム-水の相互作用問題を有限要素法により解析し, 実験結果と解析結果を比較検討した. 水の流入に対する載荷面の鉛直変位と水圧変化の関係を把握した. 一方, 制御解析は, 3つの円筒ゴム式ジャッキの適用を想定し, 評価関数を設定する最適制御解析を行った. その結果, 円筒ゴム式ジャッキによるジャッキアップの現象が明らかになり, また有限要素法により定式化する相互作用問題への最適制御の適用性が確認できた.
  • 連 重俊, 平野 廣和, 青木 徹彦, 井田 剛史, 野中 眞一, 丸田 光政
    2003 年 2003 巻 735 号 p. 185-195
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    橋梁上に設置されている標識柱や照明柱などの長柱構造物は, 直接埋設部分とは異なり交通荷重による様々な振動の影響を常時受けている. これにより基部にき裂が生じるなどの損傷も報告されている.
    本研究では, 標識柱のモデル化による構造解析, 実大モデルによる振動特性と基部応力発生状況の把握試験, さらに疲労試験を行い疲労によるき裂や耐久性の差異を検討する実験を行った. これらの結果をもとに, 標識柱を紫外線硬化樹脂によって複合的に補修する方法が, 既設構造物における簡易な延命手法であることが確認されたので, 一連の成果を報告する.
  • 種 健, 鈴木 拓雄, 深沢 且典, 清水 秀樹
    2003 年 2003 巻 735 号 p. 197-202
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    現在, 構造物の劣化状況や健全度を診断するために目視による検査や打音検査等が行なわれている. 構造物の維持・管理にあたっては, その劣化要因および状態を把握するために, 種々の検査結果を総合して判断を下す必要があるが, この中で力学的な状態を現位置で把握して対策をとるケースは稀である. とりわけ現有応力・ひずみを計測することは検査項目としては認知されていないが, これらの値は構造物の力学的な状態を把握する場合の基礎資料の一つに位置付けられるものである.
    本論文では, 既往の現有応力計測法の概要について言及しているほか, これらの方法の問題点を解決した新しい現有ひずみ計測法を提案している.
  • 小峯 秀雄, 緒方 信英, 中島 晃, 高尾 肇, 植田 浩義, 木元 崇宏
    2003 年 2003 巻 735 号 p. 203-208
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高レベル放射性廃棄物の地層処分において, ベントナイトは低透水性と高い膨潤性等の特性を有することから緩衝材としての利用が有望視されている. 緩衝材は地上に建設された工場において, 乾燥密度が1.6~2.0Mg/m3程度のブロック状に製作されたものを廃棄物収納容器と周辺岩盤の間に設置する方法が有力と考えられている. 緩衝材の製作方法の一つとして, 金型モールドを用いて静的な圧力をかけて締固めるという方法が検討されているが, 実際に緩衝材を製作するにあたっては, 解決すべき様々な問題があると予想されている. 本研究では, ベントナイトおよびベントナイトと砂の混合材料を用いて, 縮尺模型のブロック型緩衝材の製作実験を行い, 緩衝材製作上の問題点とその解決のための対策を提案した.
  • 中村 真, 近藤 悦吉, 楠見 晴重
    2003 年 2003 巻 735 号 p. 209-214
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    山岳部においてトンネルを建設するに際し, 事前調査として弾性波探査や比抵抗探査による地質調査が実施されている例が多いが, これらの調査結果に基づく設計は経験的で, 度々実際と異なることがある. 一方, 設計・施工において, 断層, 破砕帯, 帯水層等の地質構造を正確に把握することは安全性や経済性の点からも重要である. 本研究では, 弾性波速度と比抵抗の測定結果を設計・施工時の有効な指標になると考えられる間隙率と飽和度に変換する地質構造評価手法のシステム化を図るとともに, 本システムに用いる弾性波速度および比抵抗の物理定数評価式の妥当性を, 岩盤ブロックを用いた室内試験で検証した. さらに, 既往のトンネル経過地点の地質構造評価に適用し, 掘削実績と比較することによって適用性の検証を行った.
  • 三井 隆, 池田 昭彦, 吉川 正, 吉武 勇, 中川 浩二
    2003 年 2003 巻 735 号 p. 215-220
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高圧噴射攪拌工法 (JG工法) による地盤改良効果の評価には, 一般にボーリングコアの一軸圧縮強さが用いられている. しかしながら, この一軸圧縮強さは良好に改良され供試体の成型が可能であった部分の限定された代表値であり, 地盤中にはある程度の応力伝達ができてもボーリングコア供試体としては成形できない部分も存在する. すなわち, 従来の評価方法では改良体全体系での評価に適さない場合も多いものと考えられる. 本報では, JG工法による改良体のボーリングコアの調査結果を用いて, 改良体全体系で評価できるような改良効果の指標 (分類) ならびにその評価方法の提案を行った. さらに同評価基準に基づいた改良体全体系での強さ推定手法の構築について検討を試みた.
  • 松田 浩朗, 清水 則一, 工藤 洋三
    2003 年 2003 巻 735 号 p. 221-226
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    単独測位用GPS受信機は, 相対測位方式のGPS受信機とは異なり, その測位精度から精密計測には不向きであると考えられている. 筆者らは, これまでに, 単独測位用GPS受信機によって精度よく相対座標を計測する方法を提案した. 本研究では, この方法を発展させ, 単独測位用GPS受信機によって地盤変位計測が可能となる方法を提案する. さらに, 実測結果を用いたシミュレーションにより, 提案法によって, 実際の変位と数cm内の誤差で計測を行うことのできる可能性を示した.
  • 荒井 健, 夏川 亨介, 目野 豊, 蜂須賀 義文, 松井 繁之
    2003 年 2003 巻 735 号 p. 227-231
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
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