土木学会論文集
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2003 巻, 742 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 垂水 尚志
    2003 年 2003 巻 742 号 p. 1-15
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
  • 楠見 晴重, 成田 一真, 長谷川 靖明, 片山 辰雄
    2003 年 2003 巻 742 号 p. 17-26
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    岩盤斜面の動態観測に関しては, 1996年に起こった北海道豊浜トンネル岩盤崩落事故を契機として, 岩盤斜面の計測監視技術の確立が大きな問題となっている. 本研究は, 光ファイバセンサによって自然もしくは人工的な岩盤斜面の動態観測手法として, 実際の現揚計測に適用することを想定し, 引張・田縮ひずみを捉えるための固定方法を検討し, その固定方法における種々の確認試験を実施させた. その結果を基に, 実際の亀裂性岩盤斜面において, 光ファイバセンサをV宇型に敷設させた. そして, 岩盤斜面内に静的破砕剤を注入することにより, 人工的に岩盤亀裂を変位させ, そのときの光ファイバセンサの出力特性について検討した. さらに, 人工的に変位させた箇所については, 光ファイバセンサと平行に変位計を取り付けることにより光ファイバセンサの有用性が認められた.
  • 馬場 弘二, 伊藤 哲男, 城間 博通, 宮野 一也, 中島 浩, 谷口 裕史
    2003 年 2003 巻 742 号 p. 27-35
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    一般に, 覆工コンクリートは脱型が早く型枠存置による十分な養生効果は期待できない.しかし, トンネル坑内は温度が安定し, 湿度も高い状態であるといわれている. また, 背面が地山に面しており, 日照作用もなく, 風などの影響もほとんど受けないために, コンクリート表面からの水分の逸散は屋外コンクリートと比較して格段に少ないといわれている. 一方, 作業環境改善を目的に換気設備の大型化も進んでおり, トンネル施工中の坑内環境条件が変化している可能性がある. 以上のような背景から, 本研究では, 現状での施工中のトンネル坑内環境を明らかにするとともに, 覆工コンクリートを模擬した試験体によるコンクリート内部の湿度変化を測定し, 覆工コンクリートに適した養生方法を提案する.
  • 室 達朗, 亀井 泰造, Dang Thai TRAN, 趙 偉民
    2003 年 2003 巻 742 号 p. 37-50
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, コンクリートの振動掘削性能の向上を目指し, 一例として平刃によるセメントモルタルの振動切削特性に関して, 実験的考察を行った. その結果, 振動時切削抵抗である主分力は, すくい角π/9radにおいて, 切削速度0.35~0.95cm/s, 切削深さ0.8~1.2cmの範囲では, 振動周波数20Hz, 最大振幅0.3cmの正弦波形の場合, 無振動切削における主分力と比較し最大で70~80%の減少が見られた. また, 振動波形に関しては三角波の方が有効であることが理論および実験によって確認された.また, 無振動切削に対する振動切削時の最大主分力比率および比エネルギー比率は, 振動角速度と振幅の積を切削速度で除した速度比の増加とともに双曲線的に減少することを理論的に明らかにし, 実験によって検証した.
  • 亀山 修一, 川端 伸一郎, 豊田 邦男, 川村 彰, 笠原 篤
    2003 年 2003 巻 742 号 p. 51-60
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1999年8月~2000年4月にかけて道東自動車道 (芽室I.C~池田I.C.) の縦断プロファイルを測定した. 特に, 2000年2~4月の期間中は測定を毎週実施し, 冬期間における国際ラフネス指数 (IRI) の変動について解析した. 切土の占める割合が大きいセグメントでは, IRIが冬季になると増加し, 春季になると減少する傾向が見られた. 推定された凍結深さが調査期間中に凍上性材料の路床に達したことに加え, 凍結指数の増加とともにIRIが増加し, 春になるとIRIが冬季前のレベルに回復する傾向が見られたことから, 凍上によって冬季の平坦性が悪化することが分かった. また, 冬季のIRIは, 盛土部や橋梁部よりも切土部において大きく増加し, 局所的に秋季の約5倍に達した.
  • 井上 義之, 竹内 淳, 河内 建, 中園 眞人, 中川 浩二
    2003 年 2003 巻 742 号 p. 61-73
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 山岳地域を通過する暫定二車線の高速道路を対象に, 走行快適性の確保を目的として対策を実施した施設について, アンケート諸調査と統計的手法を取り入れた分析を用い, 快適性確保のための施設の効果を検証・評価したものである. 具体的には, 高知自動車道を対象として, 走行快適性の改善をコンセプトに改良・工夫を行った施設について, 被験者の異なる3種類の調査 (実走行調査, パーキングエリア利用者のアンケート調査, スライド写真と走行VTRを使用した調査) によって評価した. これにより, 今後の山岳道路における走行快適性確保のための対策の方向性と検討課題を示すことができたと考える.
  • 中山 隆義, 溜渕 孝治, 篠原 茂, 安井 義則, 進士 正人, 中川 浩二
    2003 年 2003 巻 742 号 p. 75-86
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    TBM掘削時の機械データを用いて, 地山特性をリアルタイムに評価し支保判定を行う手法については, これまでいくつかの研究がなされている. 支保判定を行うための地山評価の更なる精度向上を目的として, 筆者らは, TBMオペレータにTBM掘削時の注目指標に関するアンケートを実施した. そのアンケート結果に基づき, 従来からよく利用されている機械データにずり高さと機械振動の測定結果を加えたファジィモデリング手法を考案し, それによりリアルタイムに地山特性を自動判定する評価システムを開発した. 本システムを掘削径5mのTBM実工事に適用した結果, 地質担当者による岩盤評価判定に対して本システムは88%の合致率を達成し, その実用性が確認できた.
  • 渡辺 伸和, 遠藤 秀彰, 安 雪暉, 中野 正文, 青木 浩之
    2003 年 2003 巻 742 号 p. 87-100
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    現在建設中のLNG地下タンクでは, 底版と側壁を完全に一体化した剛結構造を採用している. 剛結部分とその周辺には水圧, 地震時荷重等により応力が集中して複雑な応力状態を示し, 非常に高密度な配筋となる. これらの課題に対し, 材料, 施工技術の面では, 大容量プレストレスと自己充填コンクリートの採用により, 設計技術面では, 剛結部の応力集中に対するRC部材挙動を解析的に検証することが可能となったことにより剛結構造を実現した. 初めに非線形解析を用いて, 剛結部の耐荷メカニズムを把握し, 剛結部内部に配置する補強鉄筋の効果と必要性の確認をした. さらに弾性設計によって必要とされた剛結部周囲の高密度配筋を, レベル2地震時の構造性能照査に非線形解析を適用することによって緩和した.
  • 大津 宏康, 尾ノ井 芳樹, 大西 有三, 李 圭太
    2003 年 2003 巻 742 号 p. 101-113
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 金融工学理論に基づき, 従来の地盤リスクに関する対応策について, 簡易な数学モデルを用いて解説を加えると共に, 地盤リスクが建設コストに及ぼす影響を評価する方法論について検討を加えるものである.具体的には, 従来の数量精算を基本として地盤リスク対応は, 公共事業数が多い場合には, 広義のポートフォリオ理論に準ずるものと解釈できることを明らかにした.しかし, 今後の公共事業の動向を踏まえた場合には, 新たな検討方法として, リスクー期待値平面を用いた地盤リスクの建設コストに及ぼす影響を評価する方法が有効であることを提案する共に, その方法に基づき, 実際の地盤構造物の建設プロジェクトでの, 地盤リスクが建設コストに及ぼす影響を評価した事例について示した.
  • 河村 圭, 宮本 文穂, 中村 秀明, 佐藤 亮
    2003 年 2003 巻 742 号 p. 115-131
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究の最終目的は, コンクリート構造物の目視点検の省力化および効率化を行うために, デジタルカメラにより取得した画像からコンクリート構造物の表面に発生している変状を自動的に抽出し, それらを変状図として自動生成する点検支援システムの開発である.特に本論文では, コンクリート構造物の代表的な変状であるひび割れを処理対象としており, それを自動抽出する手法の検討を行うとともに, ひび割れ抽出システムのプロトタイプシステムを開発した. なお, 本システムは, デジタル画像からのひび割れ抽出に必要とされる画像処理手法やこれら画像処理手法に伴う各種パラメータの最適化へ対話型遺伝的アルゴリズムの適用を試みたものである.
  • 前島 俊雄, 森岡 宏之
    2003 年 2003 巻 742 号 p. 133-148
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 高地圧下の大規模岩盤空洞の合理的な情報化設計システムを構築することを目的として, 亀裂性岩盤の塩原発電所の計測実績に基づき, 空洞周辺岩盤のゆるみ領域の発生メカニズムを考察し, 空洞掘削に伴う周辺岩盤の応力変化を表現することができる予測解析手法の適用性を評価した. さらに, この解析手法を用い空洞周辺岩盤のゆるみ領域を抑制する情報化設計システムを提案し, 高地圧下の岩盤空洞となる神流川発電所に適用した. そして, 神流川発電所の計測実績に基づき, 空洞周辺岩盤のゆるみ領域の発生・進展メカニズムについて確認し, 空洞の実挙動に基づき提案した情報化設計システムの妥当性を検証するものである.
  • 野口 達雄, 岡田 勝也, 杉山 友康, 木谷 日出男, 土田 泰弘
    2003 年 2003 巻 742 号 p. 149-158
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    従来用いられている落石や岩盤崩壊に対する評価は, 専門技術者の持つ技術やノウハウを最大限に駆使し, その思考プロセスに基づいている部分が多いと考えられる. ここでは, 鉄道沿線 (KK線) の軟岩斜面を取り上げ, 専門家による判断基準を要因別に数量化し, この結果を組み込んだ安定性評価手法を提案した. その構築には, まず, 軟岩斜面の剥落型落石・岩盤崩壊に着目し, 現場データの収集とそれを用いた数量化解析を実行した. その結果に基づいて, 落石や岩盤崩壊の発生に直接寄与し, これにより斜面が明らかに不安定であると判断できる要因 (決定的素因: CPC) を抽出し, 現在・過去・将来の安定性を評価するための要因を求め, 新しい安定性評価手法を提案した.
  • 今泉 暁音, 清水 則一, 櫻井 春輔
    2003 年 2003 巻 742 号 p. 159-168
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地下空間は, トンネル, 地下発電所, 地下街などの社会基盤施設としての利用だけでなく, アート空間やアミューズメント空間として利用することが考えられる. しかし, 一般に人々は地下空間に対して暗い, 狭い, 怖い, といったネガティブなイメージを持つことが多く, 力学的立場からのみではなく, 空間の快適性など感性的要素を取り込んで設計できれば, より良い地下空間デザインができるのではないかと思われる.
    本研究は, 感性と力学を総合した地下空間の形状デザインの可能性を検討することを目的とし, 地下空間形状に対して, 感性的な快適性の評価と力学解析による安全性の評価を行い, それらの結果を用いて地下空間形状を総合的に評価する方法を提案する.
  • 西垣 誠, 木佐貫 徹, 野田 誠司, 渡邉 雄二
    2003 年 2003 巻 742 号 p. 169-180
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    大規模な線状地下構造物を建設する際には, 地下構造物によって地下水流動が阻害され, 地盤沈下をはじめとする数々の周辺環境等への影響が重要な課題となっている. このため, 地下構造物の設計および施工においては, この地下水流動阻害量が現状の周辺環境等に及ぼす要因や影響を定量的に評価し, 対策工の必要性を工学的に評価する指標が求められている. 本論文は, 地下水流動阻害対策の必要性を評価する指標として, 地盤環境や周辺環境等を総合的かつ定量的に評価できる設計指標「許容地下水位変動量」を提案し, 東京周辺地盤の特徴および地下水位特性を踏まえ適用し考察したものである.
  • 江合 忠臣, 室 達朗
    2003 年 2003 巻 742 号 p. 181-192
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は建設車両用大型タイヤの稼働中における詳細な空気圧変動を把握し, 実際の稼働管理に供する手法の検討を行うものである. 従来, タイヤ空気圧については稼働中において一定であると見なされてきた. タイヤ空気圧の適正管理の考え方は現揚における稼働管理の基本を成すものである. 砕石路を走行する建設運搬車両用大型タイヤについて, 空気圧の詳細を長期にわたり調査した結果, 考慮すべき変動を有することが判明した. 空気圧の変動はタイヤ内部の発熱に起因していることが明らかになった. また空気圧変動が種々のタイヤ陛能に影響を及ぼすことを検証し, 特に施工管理学上重要な耐摩耗性向上に寄与する稼働管理について述べた. 本結果は建設車両用大型タイヤ性能維持に関して, 従来の管理手法以外にも多様な側面を含んでいることを示している.
  • 斉藤 知秀, 内海 博, 水流 正人, 関本 恒浩
    2003 年 2003 巻 742 号 p. 193-202
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    消波工断面の一部が波浪により被災したことを背景に, 本研究では, 部分被覆消波工の被災現象について, 水理模型実験・数値解析および現地調査結果により定量的に評価し, 水理模型実験により算定された安定数を設計に用いる際の波浪場評価の重要性を示した. これに基づき, 消波ブロックの耐波安定性に対するライフサイクルコストを最小化することを目的として信頼性設計法を適用し, 最適なブロックの体積, 比重を選定した. さらに, 石炭灰を大量に利用したコンクリートを使用した場合に懸念される凍害劣化現象について, 凍結融解試験結果および期待被災度を反映した劣化確率評価を行い, ライフサイクルを考慮した最適配合を選定した.
  • 三井 隆, 池田 昭彦, 吉川 正, 浜田 清一, 吉武 勇, 中川 浩二
    2003 年 2003 巻 742 号 p. 203-208
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高圧噴射攪拌工法のひとつであるJG工法は, 土層構成が複雑な地盤条件下において, 地盤の硬軟に伴う有効径の違いに起因するラップ不足など, その信頼性に課題が残るとされている. 本報は, JG工法における技術的な問題に対して, 改良体内部を広範囲に切り拡げるといった特殊な施工事例から得た知見を報告するものである. その観察結果から, 先行造成の改良体はほぼ円形に形成されること, ならびに後行造成の改良体は先行造成体間に密接して形成されることが分かった. さらに, 近接する個々の改良体が互いに独立せず密着して一体に配列していたことから, その地盤改良効果は良好なものであることが確認された.
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