水質浄化に利用されるヒメガマを夏期に刈り取った場合の影響を定量評価するため, 期別刈り取り実験を6, 7, 8月に行った. 刈り取り影響は, 地上部再生長特性, 冬期における地下部バイオマスより分析した. 刈り取り後, ヒメガマの初期再生長速度は非常に大きく, 通常の初期生長速度の2.5倍程度であった. 冬期における地下部バイオマスは生長初期 (春期) に比べ, 100%~150%程度と微増した. しかし, 同時期 (冬期) の無刈り取り区に比べて, 80%~60%の値に大きく減少したことから, 夏期における刈り取りは現状を維持し群落の拡大を抑制する目的では適切であることがわかった. 再生長モデルにより解析した結果, ヒメガマの再生長には刈り取り時期が早いほど, 生育地の栄養状態が影響を与えること, 6~8月の期間では7月刈りが群落維持にもっとも有効であること, が明らかになった.
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