土木学会論文集
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2004 巻, 754 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 水山 高久
    2004 年 2004 巻 754 号 p. 1-8
    発行日: 2004/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    流域とそれに関連した海岸を含む流砂系を意識した土砂管理と砂防のあり方を検討し, 実行に移して行く必要がある. 平時の土砂管理と土砂生産を伴う出水の両方が, それぞれ環境, 防災の観点から対象となる. 姫川流域の平成7年の出水を大規模な土砂移動の例として取り上げ, 従来よりも高度な砂防を目指す必要性を示す. 平時の流砂のモニタリング, 流砂系の土砂管理のための砂防堰堤についても考える.
  • 立川 康人, 小松 良光, 椎葉 充晴, 寳 馨
    2004 年 2004 巻 754 号 p. 9-18
    発行日: 2004/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    移流モデルによる実時間予測降雨場の予測誤差構造をモデル化し, それに従う模擬的な降雨場を発生させるアルゴリズムを開発した. 発生する可能性のある降雨場を多数模擬発生させることができれば, 分布型洪水流出モデルを介して任意の地点での予測河川流量を, モンテカルロシミュレーション的に確率的に評価することが可能となる. 移流モデルによる降雨場の予測誤差の統計的な特性を調査したところ, 予測相対誤差は空間相関をもつ対数正規確率場としてモデル化できる可能性があることが分かった. そこで, 共分散行列の平方根分解手法を用いた対数正規確率場の発生法を用い, 模擬的な予測降雨場を多数発生させる手法を実現した.
  • 岡田 将治, 福岡 捷二
    2004 年 2004 巻 754 号 p. 19-31
    発行日: 2004/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    河川の複雑な平面形状を単純化するために, 洪水時の流れ場を規定するパラメータを論理的に導き, 全国14河川の河道データの分析から, わが国の複断面河道の平面形状特性を示した. 次に, 複断面水路を用いて蛇行度Sおよび相対水深Drを種々変化させた定常流実験を行い, 低水路幅/蛇行帯幅<0.5, 蛇行度S<1.10では, 低水路満杯流量程度の水理条件で流砂量, 洗掘深が最大となることを明らかにした. さらに, 洪水ハイドログラフを与えた非定常流実験から, わが国の洪水規模では, 複断面的蛇行流れの継続時間が短いために, 定常流実験で見られた内岸河床の洗掘は生じにくいことを示した. 最後に, 低水路蛇行度Sと相対水深Drを指標とした単断面的蛇行流れと複断面的蛇行流れの発生領域区分図を示し, 洪水流の水理特性をこの2つの指標によって推定可能であることを示した.
  • 岡田 知也, 中山 恵介
    2004 年 2004 巻 754 号 p. 33-50
    発行日: 2004/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    荒川河口域において, 潮差変動に伴う Chlorophyll a 分布および流入負荷量の変動に関する検討を行った. 河口域の Chlorophyll a 分布は, 中潮時には密度フロント前面に集積する様に分布するのに対し, 若潮時には塩分躍層の下側に薄く流下方向に長く分布することが観測から明らかになった, この分布の違いは, 河口域における一次生産可能領域は極めて限定されること, 混合強さの変動に伴ってその領域は変動すること, その生産領域の生産能力は非常に高いことに起因していることが数値解析によって示された. また, 本数値モデルによると, 河口における流入負荷量は小潮期には大潮期の約2倍であった. このことは, 潮差変動に伴って混合強さが変動する河口域は流入負荷量の緩衝域としての機能を有することを示している.
  • 宮武 誠, 藤間 聡
    2004 年 2004 巻 754 号 p. 51-61
    発行日: 2004/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 汀線後退や前浜勾配の急峻化といった波打ち帯の侵食現象に及ぼす前浜地下水の流動特性を海浜変形実験及び数値解析により解明したものである. 海浜変形実験では, 遡上・引き波に伴い砂層表面で生じる地下水流を実験データに基づき構築した数値モデルにより解明し, この地下水の浸透・浸出流束分布特性から, 遡上波掃流のみでは評価できない侵食性から堆積性へと移行する波打ち帯の岸沖漂砂量とその向きを定性的に評価できることを示している. また, 遡上波と浸透流を接続させた数値解析では, 前浜地下水位の上昇により砂層全域で発生する沖向きから上向きに向かう定常飽和浸透流が, 長期間における前浜域の侵食過程に無視できないことを指摘している.
  • 湯谷 賢太郎, 浅枝 隆, 坂本 健太郎, Kien Trung VU, 藤野 毅
    2004 年 2004 巻 754 号 p. 63-74
    発行日: 2004/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    魚の採餌行動特性とエネルギー収支との関係を調査するために, モツゴを用いて, 側壁に退避場所を設けた水路を用いた実験を行った. 魚のエネルギー収支を, 曲線加 (減) 速運動を表現できる数学モデルを構築して算出し, 流れの状況に応じて, 採餌の形態, 退避場所に退避する時間割合等の検討を行った. 魚の採餌行動は流速や満腹度, 積算エネルギー消費量の増加に伴ってエネルギー消費を抑えるように変化し, 退避場所にいる時間の割合と正面での採餌の割合が増加した. 魚は, 流速の増加に対して, 流速7cm/sまでは流速の増加によるエネルギー消費の増加を, 餌の採餌数を増加させることによって補ったが, その流速を超えると, 魚の行動量は急に減少し, それに伴ってエネルギー摂取量も減少した.
  • 道奥 康治, 金井 健史, 東野 誠
    2004 年 2004 巻 754 号 p. 75-90
    発行日: 2004/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    富栄養化により貧酸素化した底泥堆積層においては, 嫌気的な溶出が水中の物質濃度と密度を増加させる. 堆積層表面が勾配を有する場合には溶出成分の過剰密度によって傾斜プルームが発生し, 境界層の流れの構造を変えるために底泥からの物質溶出もまたその影響を受ける. 堆積層系のリンと鉄の酸化還元反応・吸脱着ならびに好気的分解による酸素消費を考慮し, 水中でのリン・鉄・溶存酸素の保存則や運動量保存則を定式化して, 壁面密度流と嫌気的溶出に関する水系-堆積層系の連成解析が行われた. 溶出水塊の密度, 堆積面の傾斜角, 周囲水の流速と溶存酸素濃度, 堆積層のリンと鉄の濃度などが溶出フラックスや酸素消費速度におよぼす影響を明らかにした.
  • 武村 武, 田中 規夫, 浅枝 隆
    2004 年 2004 巻 754 号 p. 91-100
    発行日: 2004/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    水質浄化に利用されるヒメガマを夏期に刈り取った場合の影響を定量評価するため, 期別刈り取り実験を6, 7, 8月に行った. 刈り取り影響は, 地上部再生長特性, 冬期における地下部バイオマスより分析した. 刈り取り後, ヒメガマの初期再生長速度は非常に大きく, 通常の初期生長速度の2.5倍程度であった. 冬期における地下部バイオマスは生長初期 (春期) に比べ, 100%~150%程度と微増した. しかし, 同時期 (冬期) の無刈り取り区に比べて, 80%~60%の値に大きく減少したことから, 夏期における刈り取りは現状を維持し群落の拡大を抑制する目的では適切であることがわかった. 再生長モデルにより解析した結果, ヒメガマの再生長には刈り取り時期が早いほど, 生育地の栄養状態が影響を与えること, 6~8月の期間では7月刈りが群落維持にもっとも有効であること, が明らかになった.
  • 鈴木 洋之, 野口 健太郎, 長谷川 和義, 石田 享平
    2004 年 2004 巻 754 号 p. 101-106
    発行日: 2004/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本邦におけるダム貯水池への流入量推定は静水位の時間変化 (計測水位時系列のトレンド成分) からの推定を基本としている. しかし, 推定に用いられる水位データはセイシュ・風波・風による水面の吹き寄せ現象などの水面変動に起因するノイズを含むために正確な流入量推定が非常に困難となっており, この問題はダムの操作・運営に大きな支障をきたす. 本稿では新しい信号処理手法の一つである同期加減算処理によって計測水位の時系列から静水位トレンドを直接推定する方法について検討した. また, 同期加減算処理で推定される静水位トレンドの推定精度について考察を行った. 本研究では同期加減算処理によってノイズの影響を抑えた推定流入量が得られること, および本手法の推定特性が確認された.
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