土木学会論文集
Online ISSN : 1882-7187
Print ISSN : 0289-7806
ISSN-L : 0289-7806
2004 巻, 755 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 中山 正与, 江成 敬次郎, 佐々木 長市
    2004 年 2004 巻 755 号 p. 1-12
    発行日: 2004/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高濃度の有機性汚水が土壌に浸透した場合の嫌気的な分解挙動におよぼす温度の影響を実験的に検討した. 50cmの厚さに砂を充填したカラムを用いて, 10, 20, 30℃の温度条件で44週にわたるカラム実験を行った. その結果, 10℃の温度条件では, 揮発性有機酸の蓄積のためにCODの除去率は3%程度であった. 20, 30℃の条件については, メタンの生成が見られ, CODの除去率は90%ほどであり, 20, 30℃の温度条件でのCOD除去は同程度に進行していた.
  • りんくう公園内海の事例
    中谷 直樹, 大塚 耕司, 奥野 武俊
    2004 年 2004 巻 755 号 p. 13-28
    発行日: 2004/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 生態系モデルを用いて沿岸域における環境修復技術の機能を評価する方法について検討することを目的とし, 環境修復技術の一例として, 透過性堤体で閉鎖された浅場を形成している大阪府泉佐野市のりんくう公園内海を研究対象とした. 現地における水質, 底質, 生態系の調査結果を基に, 浮遊生態系モデル, 付着生態系モデル, 底泥生態系モデル, 堤体モデルの4つのサブモデルからなる生態系モデルを開発し, 環境修復効果の一指標として炭素および栄養塩の固定量について定量的な評価を行った. その結果, 炭素および栄養塩固定効果は, 海底有機堆積物の増加に伴って年々減少すること, 海藻の生産量と密接に関係のある内海の水深に大きく依存することがわかった.
  • 末永 慶寛, 河原 能久, 山本 直樹, 田中 陽二
    2004 年 2004 巻 755 号 p. 29-36
    発行日: 2004/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    自国管理水域内での水産資源生産力向上のための技術として, 様々な人工魚礁が開発され沿岸から沖合に渡る漁場造成施策の中心を成している. 特に魚礁設置による漁場造成場所選定において, 自然条件や魚種と漁場造成の規模との関係, 流動環境と餌料となる小型生物の着生との関係等については, より定量的評価が必要となっている. 筆者らは, 海域生物環境改善のための数値モデルによる漁場造成適地選定法および流動制御機能を有する水産資源増殖構造物を開発し, 特性の異なる複数の海域での実証実験を経て, 海域生物環境創造システムの有効性を検証した.
  • 奥原 浩之, 白木 渡, 松原 行宏, 井面 仁志, 西村 哲郎
    2004 年 2004 巻 755 号 p. 37-44
    発行日: 2004/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 複数の開発案の中から自然環境保全と着目する種の保存にとって最も有益な開発手法を選択することを支援する枠組みを提案する. そのために, コンピュータ・シミュレーションでダイナミクスを仮想的に再現することで環境影響の評価と予測を行い, 持続可能な開発を選択することを考える. そこで, 人工生命技術であるセルオートマトンと発見的自己組織化から構成されるハイブリッドシステムを利用した環境影響予測・評価システムの開発を行った. シミュレーションの結果, 提案システムはモデルの構造が既知である場合にはその係数を精度よく近似し, モデルの構造が未知である場合であっても近い将来のダイナミクスが予測可能であることが示された.
  • 木橋のケーススタディー
    橋本 征二, 広池 秀人, 山中 勇司, 貫上 佳則, 角田 邦夫, 今村 祐嗣, 小松 幸平, 川井 秀一
    2004 年 2004 巻 755 号 p. 45-56
    発行日: 2004/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    クレオソート油処理木材, CCA処理木材を用いて建設された木橋を題材としてLCAを実施し, これをコンクリート橋, 鉄橋と比較しながら, 防腐処理木材の環境パフォーマンスについて検討し, 以下の結論を得た. 1) 気候変動, 光化学オキシダント生成, 酸性化, 富栄養化では, 木橋 (クレオソート, CCA) が優位なシナリオとなったが, 人間毒性, ほとんどの生態毒性では, 木橋 (CCA) が最も劣位なシナリオとなった. 2) 木橋 (CCA) を最も劣位なシナリオとしている原因は, CCA処理木材の使用期間中に, また, CCA処理木材が焼却された際に, 環境中へ排出されるヒ素, クロム, 銅である. 3) CCA処理木材の毒性影響を効果的に削減するためのターゲットは, 焼却時におけるCCA成分の捕集である.
  • 福原 輝幸, 谷本 智, 長尾 泰
    2004 年 2004 巻 755 号 p. 57-65
    発行日: 2004/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地下水流れと熱交換掘削杭の熱的相互作用を考慮した3次元BHES (Bore-hole Heat Exchange System) モデルの妥当性を検証するために, 地下水データを基に被圧帯水層杭周辺の地下水流れを解析し, その顕熱効果を考慮して熱交換杭内の水温分布を計算した結果, 3次元モデルは採熱過程およびその後の水温回復過程とも, 実測結果を良好に再現することができた. また, 夏期の熱交換杭から帯水層への放熱に伴って発生する温域, および冬期の帯水層からの採熱に伴って発生する冷域の発達・消滅をシミュレーションによって評価するとともに, BHESの採・放熱性能に及ぼす地下水流速の影響を明らかにした.
  • エヒメテンナンショウ雑種起源の可能性の検討を基として
    増田 理子, 泉 勝也, 西村 文武
    2004 年 2004 巻 755 号 p. 67-73
    発行日: 2004/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    開発による生物の生育地の破壊はその場所に生育する生物の絶滅だけでなく, 新しい種の出現にも大きな影響を及ぼす可能性が指摘されている. 新しい種は交雑によって出現する可能性があり, 生物多様性の増加に大きな貢献をする. しかし, これまで交雑による新種の出現が示された例はほとんどなかった. エヒメテンナンショウはその形質から, マムシグサとアオテンナンショウの雑種である可能性が示唆されていたが, 同所的に生育していないこと, 花の開花時期が異なることから交雑の可能性はないと考えられてきた. 今回の調査により, 開花期が一部重なることから, 交雑による種形成の可能性が示された. これまで考慮されなかった雑種形成による種分化の一例として交雑域の重要性が検討された.
  • 平山 修久, 伊藤 禎彦, 加川 孝介
    2004 年 2004 巻 755 号 p. 75-84
    発行日: 2004/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    今後の上水道事業において, リスクを伝えるコミュニケーションの過程が重要となってきており, 新たな情報公開技術が必要とされている. そこでは, 需要者がどのようにリスクを捉えるかを把握することが重要であり, そのリスク認知構造を明らかにすることが必要である. まず, Semantic Differential 法によるアンケート調査をもとに, 水道水に対するリスク認知の構成要素を明らかにした. 確認的因子分析法を用いて, 需要者の水道水に対するリスク認知における構成概念の構造モデルを構築し, 水道水質に対する安心感がどのように規定されているかについて考察し, 情報量, 未知性, 安心感に因果連鎖があることを示した. また, 水道水質については, よく知れば安心できるというものではない, ことを指摘した.
  • 松藤 敏彦, 鄭 昌煥, 筑紫 康男, 田中 信壽
    2004 年 2004 巻 755 号 p. 85-94
    発行日: 2004/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    都市ごみの資源化・適正処理を進めるための基礎的な情報を得るため, 粗大ごみ破砕処理施設における物質収支, 金属収支を推定した. 対象は家庭系粗大ごみであり, 収集車9台分を別々に破砕し, 搬出物の計量, 破砕残渣の組成分析, および素材ごとに重金属含有量を分析した. 粗大ごみ処理施設の第一の目的は可燃物と不燃物の分離にあるが, 破砕後のふるい選別効率が低く, 特に30%以上の可燃物が不燃残渣に移行していることを明らかにした. また搬入製品個数からおおよその搬出物組成を推定することができた. さらに, 家電製品以外の製品も重金属の寄与が無視できず, 環境負荷低減のためには幅広い製品の管理が必要であることを示した.
  • 徳島県小松島港で行われた実証実験を例に
    倉田 健悟, 上月 康則, 村上 仁士, 水谷 雅裕, 森 正次, 北野 倫生, 岩村 俊平
    2004 年 2004 巻 755 号 p. 95-104
    発行日: 2004/02/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    港湾の人工構造物を含む生態系の問題点を解消するため, 垂直面の多い既存の構造物の形状を変えた実験用の構造物を徳島県小松島港沖洲地区に設置した. 潮間帯や浅い水深の潮下帯に生息する生物群集の働きによって海底へ堆積する有機物の負荷が減少するという仮説を設け, 検証するための実証実験を行った. その結果, 実証構造物の港湾側の海底への沈降物の有機物濃度は低くなっていることが示された. しかしながら, 沈降物を一時的に蓄積する役割の平坦面の水深が異なる Type Aと Type Bでは有機物の蓄積の程度に差異があり, 平坦な面を設計する際にはDL-2mより浅い水深にする必要があると考えられた.
feedback
Top