土木学会論文集
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2004 巻, 757 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 松尾 修
    2004 年 2004 巻 757 号 p. 1-20
    発行日: 2004/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1995年兵庫県南部地震の後に改訂された道路橋示方書において, 液状化判定法も大幅に見直されたが, 本論文ではその改訂成案に至る根拠資料を提示するものである. 主な項目は, 液状化する可能性のある土の範囲, 原位置液状化抵抗の簡易評価法, および簡易液状化判定法である. また, 液状化判定法についての残された技術的課題についても最後に言及する.
  • 原子力土木委員会・地盤安定性評価部会
    2004 年 2004 巻 757 号 p. 21-31
    発行日: 2004/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    原子力発電所基礎地盤及び周辺斜面の安定性評価手法の体系化にあたり, 動的上下動を考慮した地盤安定性評価に関する基本的な検討を行った. 岩盤上で観測された地震記録から, 水平動と上下動の加速度ピーク値の発生時間差を整理・分析し, 入力地震動としての両者の加速度ピーク値発生時間差が基礎地盤や周辺斜面の最小すべり安全率のばらつきに及ぼす影響を解析的に検討した結果, 大きな影響を及ぼさないことを示した. また, 等価線形化法に基づく水平動・上下動同時入力による動的解析における地盤の減衰ならびに剛性 (体積弾性係数) の設定方法に関しても合わせて基本的な検討を行った.
  • Yuezeng YU, Hitoshi INO, Hiroshi NAGO
    2004 年 2004 巻 757 号 p. 33-44
    発行日: 2004/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    This paper deals with the liquefaction process of the inhomogeneous sand bed under the oscillating water pressure. The inhomogeneous sand bed treated in this study has a smaller porosity in upper zone and has a larger porosity in the lower zone. In our experiment, it is formed after the loosely deposited sand bed has been once liquefied, The study is carried out experimentally and numerically, by means of the vertical one-dimensional model of sand bed. The applicability of the analytical model proposed in our past study to the inhomogeneous sand bed is verified.
  • 門間 敬一, 千田 容嗣, 馬 貴臣, 進士 正人, 大西 有三
    2004 年 2004 巻 757 号 p. 45-55
    発行日: 2004/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    岩盤崩壊の予知を行うために, 数値解析による岩盤挙動の再現と予測は, 工学上極めて有用な手法である. しかし, 現場状況および試験結果をどこまで数値解析に反映させれば崩壊挙動が再現できるかは不明確である. 本論文では, 全国で実施されている岩盤崩壊モニタリングのうち, 岩盤崩壊 (自然崩壊) に至った天鳥橋西地区の実測データを不連続変形法により再現することにより, 岩盤崩壊のプロセスの再現において, 岩盤をどのようにモデル化すればよいかおよび力学試験との関連性について論述する. そして, 今後の岩盤崩壊予知に関する数値解析の有効性を検討する.
  • 松下 英次, 山本 哲朗, 鈴木 素之, 笹西 孝行
    2004 年 2004 巻 757 号 p. 57-72
    発行日: 2004/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    pHを人工的に変化させた5種類の粘性土について段階載荷による圧密時間一日の一次元圧密試験を実施し, 粘性土の圧密特性とpHの関係を検討した. 試料のpHの調整には硫酸および水酸化ナトリウムを用いた. その結果, pHの変化によって間隙比の大きさが変化する粘性土と変化しない粘性土があることが分かった. 圧密係数および透水係数はpHの値に伴って変化するが, その傾向は粘性土の種類によって異なっていた. 一方, pHの値によって体積圧縮係数はほとんど変化しないが, 圧縮指数は変化するものとしないものがあることが分かった. 走査型電子顕微鏡観察によって土粒子の微視的構造はpHおよび粘土鉱物含有量の影響を受けることが示された.
  • 小林 泰三, 深川 良一, 小林 俊一, 柿田 隆弘
    2004 年 2004 巻 757 号 p. 73-87
    発行日: 2004/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コーン貫入試験 (CPT) 結果と地盤定数をより合理的に関連づけるための基礎的研究として, 砂地盤を対象にX線透視装置を用いた可視化手法によってコーンペネトロメータ周辺地盤の変形機構の解明を試みた. また, コーン周辺地盤の粒子破砕状況を定量的に評価するための実験も別途実施した. その結果, コーン貫入時の土粒子の変位経路図や変形場のひずみ分布, 破砕の分布などを定量的に示すことができた. また, コーン貫入機構は砂の詰まり方や境界条件による影響を著しく受けるが, 比較的先端角が鈍い場合にはコーン先端形状の相違による影響はほとんど見られなくなることが分かった.
  • 杉山 博一, 後藤 茂, 西村 和夫
    2004 年 2004 巻 757 号 p. 89-99
    発行日: 2004/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ECLトンネル周辺地盤は高流動鋼繊維補強コンクリートの圧力により支持される機構であるため, この圧力をもとに覆工断面力を求める設計法について検討してきた. この場合, コンクリートの圧力をできるだけ高くできると覆工の断面力が軸力卓越型となり, 覆工の設計において有利となるが, 液圧で支持されたECL周辺地盤の破壊メカニズムについては明らかになっていないため限界値の設定ができない. そこでネオプレン製のゴム袋に水を満たしたラバーバルーンを介して地盤に圧力を作用させ, 載荷・除荷を繰り返す遠心模型実験を行い, 地盤の受働破壊に関する挙動を観察した. また, ECL周辺地盤の受働破壊メカニズムを表現できる破壊テデルを構築し, その結果を実験結果と比較したところ, 受働破壊圧についてある程度説明できることを確認した.
  • 小峯 秀雄, 緒方 信英, 中島 晃, 高尾 肇, 植田 浩義, 木元 崇宏
    2004 年 2004 巻 757 号 p. 101-112
    発行日: 2004/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高レベル放射性廃棄物地層処分において用いられる緩衝材には, 廃棄物収納容器や周辺地盤との間の隙間部分を充填する役割 (自己シール性) が期待されており, 高い膨潤性が要求されている. 第一・第二著者は緩衝材の自己シール性を定量的に評価するため, 粘土鉱物結晶間の反発力や引力の理論評価式に新しいパラメータの算出式を組み合わせて, ベントナイト系緩衝材の膨潤評価式を提案した. 本研究では, 隙間部分と緩衝材の関係を一次元的に縮尺・模擬した模型実験を行い, 緩衝材の隙間部分への充填挙動について調査し膨潤評価式の適用性について検討を行った. その結果, 膨潤変形により隙間部分がほぼ充填されることを確認するとともに膨潤評価式が隙間充填後の膨潤挙動に対して適用できることを明らかにした.
  • 伊藤 政人, 三田地 利之, 増井 直樹, 崎本 純治
    2004 年 2004 巻 757 号 p. 113-126
    発行日: 2004/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    スカート・サクション基礎とは, 下部が開口した中空円筒形 (スカート) の基礎を, サクション (静水圧からの水圧低下) を利用することによって海底地盤に貫入し, 安定性を確保する基礎構造物である. 本論文では, スカート・サクション基礎が貫入される地盤ごとに, サクション効果を考慮した貫入抵抗予測式を提案した. さらに, 実海域で行われたスカート・サクション基礎の実証工事における貫入抵抗実測値と提案した予測式による計算値を比較することにより, 提案した上部粘土層・下部砂層の二層地盤における貫入抵抗予測式の評価を行い, その適用性を検証した.
  • 操上 広志, 千々松 正和, 小林 晃, 杉田 裕, 大西 有三
    2004 年 2004 巻 757 号 p. 127-137
    発行日: 2004/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高レベル放射性廃棄物の地層処分において処分場付近で生じると考えられる熱-水-応力連成現象を解明するために, スイスのグリムゼル試験場において実規模原位置試験 (FEBEX原位置試験) が行われている. この試験は, スペインの処分方式に則って廃棄体を横置きとし, 緩衝材にスペイン産のFEBEXベントナイトを用いている. 本研究は, これまで釜石における熱負荷試験等で検証されてきた既往の熱-水-応力連成モデルをFEBEX原位置試験に適用し, 処分方式や緩衝材, 岩盤の違いによる解析結果への影響について考察した. 特に不飽和領域における水分移動の物理的意味を考慮する上で, 水分拡散係数を適切に同定することが非常に重要であることがわかった.
  • 井上 靖武, 落合 英俊, 松尾 修, 岡村 未対, 森 昌文
    2004 年 2004 巻 757 号 p. 139-154
    発行日: 2004/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    性能設計による盛土の耐震設計では, 地震動のレベルと盛土の重要度に応じて, 必要とされる耐震性能を確保する設計を行う. 道路盛土の耐震性能は, 盛土天端の沈下量を指標として判断されるため, その沈下量を定量的に評価できる手法が必要となる. 本研究では, 中間砂層を有する軟弱粘土地盤を対象として, 深層混合処理工法とサンドコンパクションパイル工法により, 常時の安定確保に必要な地盤改良を施した盛土断面を検討断面とし, 動的遠心模型実験により断面の耐震性を検討した. さらに, 動的FEM解析による解析を行った. 検討の結果, 盛土天端の沈下量は最大380mmであり盛土は十分な耐震性を有することが確認された. さらに, 地震時の地盤改良域の変形抵抗のメカニズムが明らかとなった.
  • 野並 賢, 加藤 正司, 柴田 安彦, 吉森 久貴
    2004 年 2004 巻 757 号 p. 155-166
    発行日: 2004/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は粗粒土に細粒分が混入したときに生じる強度低下について, 三軸圧縮試験により検討を行っている. 供試体の作製を容易にするため, 粗粒分としての珪砂に細粒分として内部摩擦角の小さいグラスビーズを混入して供試体を作製して試験を実施した. 粗粒分のみによる間隙比を一定とし、グラスビーズの混入量を増加させたところ, グラスビーズの混入量の増加に伴い内部摩擦角が低下した. また, 混入量が一定状態での強度の側圧依存性は, 混入量が大きくなると小さくなる傾向を示した. しかしダイレイタンシー補正により得られる内部摩擦角φrは, グラスビーズと珪砂のそれぞれの重量比に従い平均した値とほぼ一致することが明らかとなった. さらに, 得られた側圧と破壊時のダイレイタンシー係数の関係に基づき, 内部摩擦角φdの予測方法を示している.
  • 池田 清宏, 市村 強, 高村 浩之, 須藤 良清, 堤 成一郎
    2004 年 2004 巻 757 号 p. 167-176
    発行日: 2004/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 土の平面ひずみ供試体の変形挙動の画像処理法を提案する. この解析法は, PIVとブロック対角化原理とを組み合わせたものである. 本手法により, 左右対称性を持つ系に対して, PIVにより得られる画像データは左右対称成分と反対称成分に分解される. このとき, ブロック対角化原理により, 反対称成分の発現が分岐の発現に対応する. 豊浦砂の平面ひずみ圧縮せん断試験を行い, せん断帯の発生過程を観察する. さらに, PIVを用いることにより, 供試体の変位場の経時変化を求め, この変位場を対称成分と反対称成分とに分解し, 局所化のメカニズムを調べる. この結果, 反対称成分の向きや大きさが複雑に変化することにより, 分岐の発生やせん断帯の発生方向や発生過程などの特徴的な挙動を支配していることを明らかにできた.
  • 相馬 宣和, 歌川 学, 瀬戸 政宏, 長 秋雄, 浅沼 宏
    2004 年 2004 巻 757 号 p. 177-187
    発行日: 2004/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高レベル放射性廃棄物の地層処分での調査・開発を想定し, 調査ボーリングに付随して地下構造の推定が行える坑井掘削音利用法の, 土木開発規模への適用を検討した. 小規模な掘削行為を利用するために, 初めに小型軽量坑井内3成分弾性波検出器を製作し, 特性評価試験により従来の大型の機器と同等の性能を持つことを確認した. 花崗岩採石場において, 掘進長約10mを対象に坑井掘削音の観測を行い, 3軸VSP法により地下反射係数分布を評価したところ, 比抵抗などの検層結果と調和的であった. 比較的小規模の掘削行為への適用で簡便に深部の推定が可能であり, 本方法の有効性を確認することができた.
  • 長谷川 琢磨, 田中 靖治, 馬原 保典, 五十嵐 敏文
    2004 年 2004 巻 757 号 p. 189-202
    発行日: 2004/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    スウェーデンSKBのÄspö Hard Rock Laboratory を対象として, 事前調査に基づいて構築した数値解析モデルの妥当性を検証するために, トンネル建設に伴う水圧と塩化物イオン濃度の変化を解析した. トンネル建設時の地下水流動は, トンネルが高透水帯を通過する際の湧水によって主に引き起こされており, バルト海水の流入が顕著であった. このため, トンネル建設の進捗や湧水の時系列変化, バルト海などをモデル化し, 高透水帯の位置や透水性を校正することにより, 水圧や塩化物イオン濃度の変化を概ね再現することが出来た. トンネル建設に伴う地下水流動は, 広範囲において大きい水圧や水質の変化を引き起こすため, 解析モデルの妥当性の検証に有効であった.
  • 石森 洋行, 勝見 武, 深川 良一
    2004 年 2004 巻 757 号 p. 203-220
    発行日: 2004/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    反応透過壁工法の最適な形状条件・材料条件 (設計パラメータ) を決定するために, 設計パラメータと反応透過壁系の性能の関係および反応透過壁系の性能と汚染サイト特性の関係を調べた. 前者の関係は, 各設計パラメータに対する平面2次元浸透流解析によるパラメトリックスタディの結果から評価した. 一方, 後者の関係は, 汚染地下水と反応壁の化学反応に基づく反応速度解析から評価した. これら2つの関係をもとに, 汚染調査によって汚染サイト特性がわかった場合の, 反応透過壁工法の最小施工費用を与える最適な設計パラメータを最適化問題として整理し, その最適解を見出した. その結果, 反応透過壁工法の最適な設計パラメータを汚染濃度と汚染範囲に基づいて決定する手法を提案した.
  • 八木 一善, 三浦 清一
    2004 年 2004 巻 757 号 p. 221-234
    発行日: 2004/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 北海道にある代表的な火山灰地盤において原位置試験 (SPT, CPT, SCP試験) を行い, さらに不撹乱と再構成試料に対する三軸圧縮試験および繰返しせん断試験を併せて実施し, 原位置火山灰土の力学特性と適切な評価法を調べている. 試験結果から, 破砕性火山灰土の排水せん断では粒子破砕の効果による圧縮変形と粒子の再配列が顕著になるため, 不撹乱供試体のせん断強度に及ぼす固結や構造異方性の影響は小さいことが明らかになった. また拘束圧が低い場合, 原位置火山灰土の液状化強度に及ぼす固結, 構造異方性, 粒径および細粒分の影響は大となることが判った. さらにSPT試験時に生ずる粒子破砕を調べ, それが室内と原位置試験で得た強度定数の相関に及ぼす影響について考察した.
  • 谷 和夫, 小山 良浩
    2004 年 2004 巻 757 号 p. 235-246
    発行日: 2004/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    大規模な内陸性の地震が発生すると, 地震動だけでなく, 地表地震断層によっても土木構造物が被害を受ける場合がある. この地表地震断層による地盤変形は, 断層の変位や未固結被覆層の特性などに依存しており複雑である. 横ずれ断層については, 地表面に形成される網目状のせん断帯の性状やメカニズムが検討されているが, 未固結被覆層の内部に発達するせん断帯に関する詳細は未だ解明されていない. そこで, 横ずれ断層に関する模型実験において, X線CT技術を利用して模型地盤の内部に発達するせん断帯を観測した. そして, 花弁状構造を特徴とするせん断帯の発達過程および形状や寸法に関する知見を得た.
  • 豊澤 康男, 楊 俊傑, 三浦 清一, 末政 直晃
    2004 年 2004 巻 757 号 p. 247-257
    発行日: 2004/03/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    基礎地盤の表層部に補強材を一層敷設した補強砂地盤の支持力を遠心模型実験により調べた. 得られた結果は, 重力場における従来の模型実験結果とほぼ同様であった. すなわち, 1) 補強効果が最大となる補強材の最適敷設深さが存在し, この最適敷設深さは補強材の敷設幅にかかわらず, ほぼ基礎幅と同程度である. 2) 補強材の敷設幅にかかわらず最適敷設深さを境として, 補強基礎地盤の支持力特性と地盤の破壊形態が異なる. 3) 補強材を最適敷設深さより浅く敷設した場合, 敷設幅とともに補強効果は増加するが, ある敷設幅以上になると補強効果増加の程度が小さくなる.
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