土木学会論文集
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2004 巻, 758 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 牧村 和彦, 中嶋 康博, 佐藤 弘子, 石田 東生
    2004 年 2004 巻 758 号 p. 1-10
    発行日: 2004/04/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年成果を重視した政策評価に基づく道路行政の運営や事業プロセスにおけるPIの必要性が唄われ, 渋滞に関するアウトカム指標のニーズが高まっている. 本研究では, 東京区部を主な走行圏域としているタクシーデータを用いて, カーナビを活用した収集データの分析を行うとともに, 道路のパフォーマンスを客観的に表現する渋滞関連指標として混雑に巻き込まれる時間割合, 渋滞長及び渋滞区間通過時間, 信号待ち回数の3つの指標の定式化及び算定方法を提案し, タクシーのデータを用いて検証を行った. 伝統的な計測手法の効率化や代替が可能であり, これまで把握できないパフォーマンス指標が算定可能であることが示され, 実務での適用性が高いことが実証された.
  • 清水 哲夫, 屋井 鉄雄, 三室 徹
    2004 年 2004 巻 758 号 p. 11-21
    発行日: 2004/04/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 都市高速道路の合流部を対象として, 走行支援情報提供サービスに対するドライバーの対応行動をモデル化し, これと合流部ミクロシミュレーションと統合して, 上記サービスが合流部交通流の運用の改善に与える効果を分析するための評価分析システムを構築することが目的である. 本研究のドライバーの挙動モデルは, 合流部手前区間の挙動と合流車・本線車の相互挙動決定行動を考慮した点に特徴がある. 構築したシステムを用いて簡易な情報提供サービスの効果分析を行い, 対応車両の混入率と情報への信頼度が運用改善に与える効果を試算した.
  • 塚井 誠人, 奥村 誠
    2004 年 2004 巻 758 号 p. 23-34
    発行日: 2004/04/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1990年代, わが国の地域間交通は高速鉄道と地方空港の充実によって時間距離が大きく短縮した. また同時に, IT化によって情報通信も大幅に進歩した. このような変化は情報交流費用の低下をもたらし, 企業の業務ネットワークの構成にも大きな影響を及ぼしたと考えられる。本研究は企業の業務ネットワーク上の情報交流が交通と通信に手段分担されることを考慮して, 地域間の交通・通信トラフィックデータから業務ネットワークの構成を推計する問題を定式化し, その推計手順を示した. 1990年と2000年に手順を適用して企業の支社配置の変化と支社機能の変化を分析したところ, 全国企業の全体的に支社数は減少すると同時に, 支社における本社への伝達情報量の圧縮機能は低下していることが明らかとなった.
  • 塚口 博司, 豊住 健司, 魚井 宏泰, 鈴木 正隆
    2004 年 2004 巻 758 号 p. 35-44
    発行日: 2004/04/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    荷さばき駐車は原則として, 路外の荷さばき駐車施設において行われるべきであるが, 現実には路外の荷さばき駐車施設だけで荷さばき駐車需要を処理することは困難であり, 無秩序な路上荷さばき駐車は道路交通混雑等の交通問題の一因となっている. 路上における荷さばき駐車を適切に管理するためには, トラックが駐車してから出発するまでの行動特性を詳細に把握する必要がある. 本研究は, 集配送トラックの駐車行動を荷物の積み降ろし作業と横持ちトリップとの連鎖として捉え, その特性について詳細に分析するとともに, 集配送トラック用の路上駐車施設であるローディング・ゾーンのキャッチメントエリアの設定手法について論じるものである.
  • 石川 良文
    2004 年 2004 巻 758 号 p. 45-55
    発行日: 2004/04/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    最終需要の増大による地域の経済波及効果を産業連関分析により推計する場合, 一般に当該地域を対象とした地域産業連関表が必要となる. しかしながら, 需要変動に伴う経済波及効果について関心がある地域は, 必ずしも地域産業連関表が作成されているエリアだけではなく, 例えば都道府県の下位レベルとしての小都市圏などがある. 本研究では, 産業連関表の作成されていない小地域を計測の主な対象地域とした上で, それを包含する中地域, さらに小地域及び中地域を包含する大地域の3地域を対象とした Nonsurvey 手法による3地域間産業連関モデルを開発する. また, 提案されるモデルでは, 所得地と消費地が異なる地域間の所得分配・消費支出を内生化することを試みている.
  • 山崎 元也, 本郷 廷悦, 比屋 根一雄, 谷田部 智之
    2004 年 2004 巻 758 号 p. 57-69
    発行日: 2004/04/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高速道路等のコスト縮減に対する技術開発が重要な課題となっている. その中でも高速道路のコストに大きな影響を与えるのは, 道路線形を決定する路線選定の段階である. 本論文では道路設計において最も基本的評価である道路線形に対する事業コスト, 土工量コスト, 安全性・走行性に関する評価方法を検討し, 最適化手法の一つである遺伝的アルゴリズムを用い, 設計者が与える制約条件の下で最適な縦断線形および平面線形を同時に探索する手法について提案する. 従来手法で設計された高速自動車道の既往設計との比較検証し, 提案手法の妥当性及び具体的な有効性について述べる.
  • 三好 孝治, 李 偉青, 金田 和文, 山下 英生, 中前 栄八郎
    2004 年 2004 巻 758 号 p. 71-83
    発行日: 2004/04/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文の目的は, 既存のラスタ地図のデジタル化に際して, 広領域に分布する建物を自動抽出し, その構成ベクトルチェーンを整形することである. この際の問題点は, 多種多様な幾何形状の自然物, 人工物, 記号が輻輳して混在し, 接触・重複・分断されていることである. 本論文では, 建物の幾何学的特徴である, ループ・直線・直角特性とその大きさに着目し, ベクトルチェーンのノード近傍の歪みの除去, およびループ間のブリッジの除去により, 建物の幾何特徴に則ったループを検出し整形する方法を提案する. これにより, 例えば, 計画中の地物を含む3DCG画像を作成して, 安全性・景観の評価作業の効率化と高信頼化が期待される.
  • Robert CERVERO, 谷口 守
    2004 年 2004 巻 758 号 p. 85-95
    発行日: 2004/04/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本稿では近年の米国におけるサステイナブルな都市・交通計画の中心的な概念となっているスマート型成長政策 (smart growth) を取り上げ, その背景から応用事例に至るまで, 分かり易い解説を行うことを目的とする. 特にその特色や実施上の障害を検討した上で, 具体的にどのような先進的な試みが進められているかについて整理を行った. 土地利用マネジメントやインフィル型開発及び遠隔通信技術の活用まで含めて広い見地からスマートグロースを取り上げている. また, プライシングによる都市政策には限界があり, むしろスマート型成長政策の導入によって, 今後さらに多様化が進むと考えられる都市居住者に対して, 幅広い選択肢を提供していくことの重要性を指摘した.
  • 池田 佳介, 阿部 貴弘, 篠原 修
    2004 年 2004 巻 758 号 p. 97-116
    発行日: 2004/04/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 堀川開削による低湿地開発がすすめられた大坂下船場地区における設計論理の解明を目的として, 堀川や下水路網などのインフラ整備の観点から, 近代測量図の計測による定量的分析を行い, 以下のような分析結果を得た. 1. 下船場地区では, 船場, 島之内地区の設計論理とは異なり, 堀川を微低地に開削することが優先され, この堀川が町割の基軸となっていた. 2. 既存研究で示されている道頓堀川及び長堀川におけるセット開発のモジュールを検証し, 既存研究とは異なるモジュールが存在した可能性を指摘した. 3. 道頓堀川以降に開削された各堀川についても, 商人をはじめとした開削者によるセット開発が行われた可能性の高いことを示した. 4. 各堀川の開発完了後に残された土地の設計単位を明らかにし, さらに下船場地区全域の開発過程を整理した.
  • 樋口 輝久, 馬場 俊介
    2004 年 2004 巻 758 号 p. 117-136
    発行日: 2004/04/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, わずか四半世紀の間に, 導入・発展・衰退の過程を辿ったわが国のバットレスダムの変遷を明らかにしようとするものである. 薄い遮水壁と控え壁 (バットレス) で構成されるバットレスダムは, 笹流ダムで初めてわが国に導入され, 物部長穂の耐震理論によって発展を遂げたが, 国際大ダム会議で凍害が報告された直後の三滝ダムが最後とされてきた. 本論文では, 希少性と形態上の特異性からわが国のダム史上における特徴の一つになっているバットレスダムについて, ダム技術史上における位置付けを明確に示すとともに, 大正~昭和初期にかけてこの形式が積極的に採択された理由, そして, その後すぐに採択されなくなった理由の双方を明らかにすることで, 近代日本におけるバットレスダムの技術史の構築を目指す.
  • 外井 哲志, 辰巳 浩, 野村 哲郎, 梶田 佳孝
    2004 年 2004 巻 758 号 p. 137-142
    発行日: 2004/04/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    著者らが開発した運転者の進路推論モデルでは, 経路上の実距離に対する運転者の認知的距離, 分岐点間の認知的距離と走行経路の形状に関する記憶に基づいて分岐点を選択する機構, 迷走時の進行方向選択確率が重要な役割を果たしている. 現実的な進路推論モデルを構築するためには, これらに関する運転者の諸特性が必要である. そこで, 本研究は, シミュレータを用いた3種類の室内実験を行い, 実験結果を分析することによって, 運転者の確率的な諸行動特性を明らかにした.
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